秘愛

たまに時が止まる。
私はどうしちゃったの？
あんなにも愛していた人が目の前に居るのに‥

幸せって、一体何。

｢俺、ホストだから！｣と、自信満々に言ってた智樹。

若さからなのか、それをカッコいいと思った私。

これからの試練など知らず彼氏が出来たことに気分は浮ついていた。

1日1日が終わるたびに私は智樹を好きになった。

その代わり"独占欲"が強くなり私は智樹を束縛するようになった。

｢ねぇ！いくら仕事だからって私と居る時他の女とメールするの辞めてよ！！！｣

‥。
幸せな時間も、私の心無い一言で全ての空気が壊れる。

｢仕方ねぇだろ！メール返さなきゃいちいちうるさいんだよ！｣

｢は？別に言わせとけばいいじゃん！なんなの？
てか、私とその女どっちが大事なん？｣

｢‥‥‥‥。｣

｢何で黙るの？｣

｢疲れるから話しかけんな。｣

｢‥‥‥。｣

付き合って３ヶ月‥

耐えられなくなった私は、智樹に別れを告げた。

｢自分勝手な女。｣

最後、智樹にそう言い放たれて私達は別れた。

あれは凄く凄く寒い冬だった。
自分から言ったのに、涙が止まらなかった‥。

耐えられないのは、好きだから。

好きなのに‥耐えられなかった。

それからの私は荒れたかの様に遊び歩いた。
寂しさを埋めるかの様に色んな男に抱かれた。

恋愛ごっこしてみても、やっぱり智樹と比べてて‥

馬鹿みたいって、自己嫌悪に陥る。

そんな悪循環な生活が半年経った時。

智樹に彼女が出来たって、風の噂で聞いた。

もう智樹とは半年も前に終わってるのに、この時初めて終わりを実感した。

毎日泣いて、毎日想った。

もう、何も届かないのに‥

諦めきれない私は、彼女が居るのを知っていながら智樹にメールを送った。

｢美奈だけど、分かる？
久しぶりに思い出したからメールしてみた！元気？｣

まず送れるか分からなかったし、こんな単純な文章を30分かけて考えて送った。

すると、意外にも返事は即効で来た。

｢んー？｣

と、あまりにも淡白だった。

｢あ、もしかして分からない？よね‥。｣

ガッカリしたのと後悔が一気に襲って来た。

｢久しぶりだなぁ。元気だよ｣

"彼女出来たの？"
なんて‥聞けるハズもなく
返す言葉も見付からず‥
私は携帯を閉じた。

我慢してた自分の気持ちが爆発しそうな、そんな気がして‥
自分が怖かった。

本当は直ぐにでもメールを返したかった。

｢あの時ごめん｣
｢今でも好き｣

伝えたい言葉は、私の自分勝手な気持ち。

そんなこと、言える訳ない。

自分から別れを選んで勝手に決めて‥
離れて行ったのは私だったのに。

結局、離れられないのは私。

こんな話、ダサすぎる

友達は居るけど
浅く広く付き合って来た私に心を全て許せる人なんて居なかった。