高洲二の奇跡

「はぁ～。」
入り口に「第30回入学式」と書かれている看板を見つけ、何で二年の俺が入学式なんか……と思っちまう
めんどくせーな
屋上に行ってヤニでも吸おうと思いバックレをはかろうと思った時だった
「順平～っ」
めんどい奴がきやがったっ
逃げようと試みたがすぐ捕まっちまった
「何逃げてんだよ、つ…ち…や君」
不気味な言い方でいいやがる
同じサッカー部の高橋政隆(マサ）
いい奴なのだが俺と一緒にいすぎるせいか周りの奴はもはやゲイ扱いをしてやがる
俺は正常な男ですと証明したいのだがマサの野郎は
「だって俺、順平の側いるの好きだも～んっ」

とかみんなの前で言う始末
そりゃゲイとか思われても仕方ねぇか
「順平、バックレよーとしたべ」
「クソめんどいもん、お前といる位めんどい」
「嘘つけ俺のこと大好きなくせに」
はぁ～、呆れてものも言えねぇ
「おぉ相変わらず仲がいいことお二人さん」
からかうのは山本大地(ダイチ）
サッカー部のサイドバックの野郎でマサと俺をからかうのをいきがいにしてやがる野郎だ
いいやつだがバカなのだ

こんなバカ達でいっぱいなこの中学校は高洲二中
平和って文字がピッタリあう中学校だね
まぁオレはマサとダイチがいっから平和じゃねぇけど
生徒数が少なくてなんと130人
野球部がないって中学も珍しいっしょ
かわりにサッカー部はあるけどオレを含めて10人
今年はレギュラー確実っていうスローガンで新入生にアタックするつもりっ

っとかダイチが言っていた
どんだけだよなぁ
ダイチやマサはサッカーに対して前向きだが俺は前向きではない
「サッカー部に入ろうっ」
このマサの一言がなかったら俺はただの不良になっていただろう

とか色々思ってる間にマサとダイチに入学式が行われる体育館に連れてかれた
仕方なく席につき周りを見渡す
別に何もない
少ない生徒達に先生
新入生ように空いてるパイプ椅子
ただひとつ違ったのはオレンジ色の髪をした知らない男が俺の横にいたことだった

入学式が終わった
クラスでホームルームがあるため一度クラスに行く
オレンジ色の髪の奴…式中ずっと気になっていた
おそらく同じクラスであろう転入生
髪の色だけで気になっていたのではない
端正な顔付きに180センチ程の長身
そして何より何か他の人にはない何かを持っていた気がしたんだ

クラスに戻るとホームルームで先生から転入生の紹介があった
名前は微風太陽(ソヨカゼタイヨウ）
まず微風でソヨカゼってよむんだって基本的な事で驚いた
「微風です。よろしくお願いします。」
普通の挨拶を交しながらも何か普通じゃないように聞こえた
オーラってヤツかな…分かんないけど何かすごく惹かれるものがあった気がする

普通転入生にはある程度の人気が出るものだ
だが微風は程度の桁がまるで違っていた
女子の熱い目線と男子の冷たい目線
それがぶつかりあっていたが微風はあまり興味関心がないらしくみんなの質問を軽く流していた

女に大大人気の微風が俺のとこにきたのは放課後だった
「あんたサッカー部だろ」
そう言って微風は俺に近づいてきた
「そうだけど…どうかした」
いきなりの質問に驚いた