大相撲春場所で３６度目の優勝を飾った横綱白鵬（宮城野部屋）が千秋楽から一夜明けた２８日、大阪市内で記者会見し、４場所ぶりの賜杯奪回に「おかげさまでおいしい酒が飲めました」と笑顔を見せた。

　昨年７月の名古屋場所で３５度目の優勝を果たした後、同年９月の秋場所は左膝周辺を痛めて途中休場。「これで終わりかと、引退することも考えた」という。今場所は初日黒星を喫したが、「あれがいい薬になった」と立て直し、１４勝１敗と健在ぶりを示した。

　それでも場所中には駄目押しを審判部から注意され、優勝を決めた千秋楽の日馬富士戦での立ち合い変化に観客から手厳しいヤジも受けた。「あれで決まるとは思わなかった。自分でも悔しい。でも、どうしても賜杯を抱きたい気持ちが強かった」と振り返り、優勝インタビュー中の涙については「こんなに優勝は大変なんだ。厳しい言葉もいただいて、いろいろ（思いが）重なりましたね」と話した

大相撲夏場所３日目（１０日、両国国技館）

　大相撲夏場所３日目の１０日、西前頭３枚目の安美錦（３７）＝伊勢ヶ浜＝が日本相撲協会に休場を届け出た。２日目の栃ノ心戦で痛めた左足が、アキレス腱断裂と診断された。この日夕方に都内の病院で手術を受け、約１週間で退院する見込み。

　師匠の伊勢ヶ浜親方（元横綱旭富士）は「（１０日に）精密検査した結果、完全分裂ではない。部分断裂。ただほとんど切れている。少しでも早く場所に出たい思いはある。復帰に向け努力をしていく」とコメントした。

　関取最年長の安美錦は、３日目の栃煌山戦は不戦負けとなり、今場所はこのまま全休する。来場所の出場も難しく、長期休場は避けられない。

鶴竜土俵入り

◆大相撲夏場所　４日目　○稀勢の里（寄り切り）隠岐の海●（１１日・両国国技館）

　東大関・稀勢の里（２９）＝田子ノ浦＝が西小結・隠岐の海（３０）＝八角＝を下し初日から４連勝を飾った。

　稀勢の里が先に左上手を差し、一度土俵に追い込む。隠岐の海の粘りで土俵中央に押し返されたが、落ち着いた相撲で寄り切った。

　稀勢の里は、３月の春場所で１３勝２敗と優勝に準ずる成績。優勝ではないため、明確な綱取り場所ではないが、ハイレベルな優勝で、ムードが高まれば、今場所での綱取りの可能性がある。日本出身横綱は１９９８年夏場所後の３代目若乃花以来、途絶えている

＜大相撲夏場所＞◇５日目◇１２日◇東京・両国国技館
初めて土がついた横綱鶴竜（３０＝井筒）が、珍しく憤った。
手つきが不十分だとして、１度目の立ち合いを立行司の式守伊之助に止められた。２度目は自身が手をつけられずに待った。３度目で自らが先につき、ようやく呼吸が合った。最後は左前まわしを引いて寄り、万全かと思われたが、土俵際で逆転の小手投げを食らった。支度部屋で風呂から上がった鶴竜は「そんなにズレていましたか？　納得できないですね。それに対してムキになって、冷静に相撲が取れなかった自分がいけないです。いつもの冷静さがなかったから、ああいう感じになった」と、珍しく怒りの表情を見せながら敗因を分析した。前日も、取組後に二所ノ関審判部長（元大関若嶋津）から手つきについて注意を受けた。だが、それまで、立ち合いについて注意や指摘を受けたことは１度もなかっただけに「オレは立ち合いで駆け引きしないし、ちょっと分からないです」と憤りは最後まで抑えられなかった

大相撲夏場所５日目（１２日、両国国技館）関脇勢が結びの一番で横綱鶴竜を小手投げで破った。横綱白鵬、日馬富士は盤石の相撲で勝利。全勝の大関稀勢の里、豪栄道も勝利した。

　結びの一番、鶴竜と勢の立ち合いは、手つきの甘さから行司が鶴竜の手が下りていないと「待った」をかけた。二度目の立ち合い。今度も鶴竜が手をつけず合わない。三度目にやっと合い、鶴竜が張って左四つに。両者上手を取れない中、右からの小手投げで鶴竜が形を作ろうとするも勢が残す。鶴竜が頭をつけ、良い形に持って行ったが。最後は勢が土俵際で豪快な小手投げで鶴竜を破った。

　横綱白鵬は、まっすぐの立ち合い。すぐに右四つの体勢を作りもろ差しで小結魁聖に寄り切りで５連勝。日馬富士は、左で張って右前回しを取り、そのまま前へ。平幕碧山を寄り切り４勝１敗とした。

　大関陣は稀勢の里が、右の上手をなかなか取れなかったが、焦らず最後は上手を取り寄り切りで平幕宝富士を冷静な相撲で下した。豪栄道も寄り倒しで平幕正代を下しともに５連勝。前日４日目に土がついた琴奨菊も小結隠岐の海を圧倒し、４勝１敗とした。照ノ富士は、平幕妙義龍に寄り切られ３日目から３連敗となった。

＜大相撲夏場所＞◇５日目◇１２日◇東京・両国国技館
西前頭１５枚目の遠藤（２５＝追手風）が、新入幕で同じ９０年生まれの東前頭１４枚目の錦木（２５＝伊勢ノ海）を押し出しで破り、２日目から４連勝とした。
立ち合いから低く当たって突き放すと、腰を落としながら、休まずに攻め勝った。前に出ている相撲内容に「そこまで意識はしてないけど、結果的に前に出ていい相撲を取れている。それが勝ちにつながってるので良かったです」と振り返った。体重も過去最高の１５３キロとなり、重みも増した様子。古傷の左膝はまだ完治していないが、前半５日間については「思ったよりいいかな」と手応えを感じていた

　「大相撲夏場所・６日目」（１３日、両国国技館）

　大関稀勢の里、横綱白鵬が勝って、初日から６連勝とした。大関豪栄道は敗れ、初日からの連勝は５で止まった。

　稀勢の里は魁聖との対戦し、左四つから１分１９秒の熱戦の末に寄り切った。白鵬は逸ノ城に突き落としで勝った。豪栄道は琴勇輝の攻めに引いてしまい、そのまま押し出された。

　大関琴奨菊は妙義龍にはたき込みで敗れ２敗目を喫した

大関琴奨菊は妙義龍にはたき込みで敗れ２敗目

　関学大から初の関取となった新十両の宇良（２３）＝木瀬＝は朝弁慶（２７）＝高砂＝を肩すかしで破り、４勝目（２敗）を挙げた。

　低く当たって左に動いて左差し。素早く左に回りながら、体を開き、相手の首を抑え、土俵に落とした。自身より６０キロも重い１８７キロを電光石火の早業で封じ切った。

　「（朝弁慶の）動画を見たら石浦さんが１回転して負けていた。危ない。失敗したらケガをすると思った。大きくてびっくりした。飛ばされたら困る」と腹をくくって、自らのスピード相撲を取り切った。

　この日は母校・関学大の化粧まわしを初めて着用し土俵入り。校章の三日月の入ったデザインが全国放送された。「力士で初、関取で初。今までなかったし、第一人者になれたのはうれしい。部員も増えたらうれしい」と、ＫＧ初陣を白星で飾った。

　これまでと違い、はるかに大きく重い相手と１５日間取り続ける負担も徐々に増してきた。「１日一番なのに体は張っている。（マッサージなど）体の手入れがそろそろ必要になってくる」と、残り９日間を見据えた。