『ごめんなさい』なんて、言いたかねぇよ
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#8 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
無題

はじめ、
僕の歌には名前がありませんでした
だって歌うのは僕一人だし
聴かせる人もいなかったし

初めて人前で歌い時に
名前が必要なんだ、って気が付きました

だから僕は
誰にも聴かせる予定が無くて
誰にも必要とされていない
この寂しい歌に、せめて

「無題」

と名付けました

⏰:12/06/13 18:58 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#9 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
爆弾の作り方

自意識の袋小路
悲鳴を上げた心象風景
窓ガラスに黒いゴミ袋
数か月分のアルバイト雑誌と
丁度同じ高さに
積み上げられたルサンチマン
「僕は特別だ」だけがよりどころの
その他大勢としての僕

一つの事から目を逸らし続けるのは
一つの事を見つめ続けるのと
同じくらい危険だ

僕は空っぽだから
戦う術がないから
皆を見返すにはこれしか方法がなかった

笑った奴らを
見下した奴らを
皆ぶっ殺してやる

bakudannotsukurikata.html

そんな僕の黒く淀んだ部分は
全部フォルダの中にしまってあって
誰にも見せられない

⏰:12/06/13 18:58 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#10 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
隅田川

とても大切だったはずの
僕らの特別は
まるで特別じゃないみたいに
いつも側にあったから

ずっと履いている
ボロボロのスニーカーみたいに
ジャケットが気に入っている
好きなバンドのCDみたいに
音が出なくなっても
何故か手放せないギターみたいに
当たり前に側にあったから

あの時、ずっと続くと思ってた事の殆どは
今じゃもう終わっている
じゃあ、
今、ずっと続くと思っている事の殆ども
いつかは終わってしまうのかな
信じられないけど
きっとそうなんだろうな

こんな馬鹿な僕に
ひとつだけ
文句が言えるのだとしたら
「忘れちゃいけない」は
もう忘れちゃいけない

⏰:12/06/13 18:58 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#11 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
カルマ

僕がくしゃみをする事で
どこかの誰かが傷ついたり

僕が食事をする事で
どこかの誰かが餓え死んだり

僕が舌打ちをする事で
どこかの誰かが憤ったり

そんな事を考えると
僕は何も出来なくなって
息を止めてみたりするけれど
テレビの中の戦場では
相変わらず人が死んでいて
それでも腹は減るから
飯の度に罪悪を感じて

ごめんなさい
僕は知らない誰かの命を救う為に
餓死も出来ない人間です

なんだか辻褄の合わない
訳の分からない気持ちが
胸の中で内部紛争
動悸がうるさい

僕がこんな事で頭を 抱えて
もうずっと眠れないのは
きっと地球の裏側で
誰かがくしゃみをしたせいだ

⏰:12/06/13 18:59 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#12 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
奇跡

僕の奇跡は言い訳だ

どうしようもない状況で
救いようも無くて
それでもまだ
どうにかしたいと願う力だけが残っているなら
全てが奇跡だと言い張るしかないじゃないか

些細な事で傷つく弱さも
すれ違いざま肩がぶつかった男の舌打ちも
どこか遠い国の戦争も
季節の変わり目に止まらない咳も
ふがいない自分も
全てが奇跡だと言い張るしかないじゃないか

でも
全てが奇跡なら
奇跡なんか無いってのと同じだな
って、気が付いたのはつい最近

何も変わらねぇな
って言いながら
何も変わらねぇな
って言えている自分に驚いた

⏰:12/06/13 18:59 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#13 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
クリスマス

人は生きている間
毎秒罪を犯しているとして
一分で
六十の罪があるとして
一時間で
三千六百の罪があるとして
一日で
八万六千四百の罪があるとして
三百六十五日で
三千百五十三万六千の罪があるとして

それを洗い流すのが
年明け前に降る雪だとしたら
新年に皆が清々しい顔をして笑っているのも
無理やり頷けない事も無いな

だから僕は
雪の降る街が好きなんだよ
罪悪だらけだもんな

⏰:12/06/13 18:59 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#14 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
ポルノ映画の看板の下で

空虚な目で見れば
そりゃ世界は空虚だ

空虚な目で見て
空虚な足で歩き
空虚な無学さで
空虚な憂いを歌い
空虚な褒め言葉を頂いて
空虚な自尊心をやっとこさ満たし
空虚なこの街で
空虚な女の子と
空虚な人生の岐路で
すれ違う事も良くある空虚

僕が見ている世界と
同じ世界を彼女は見ているのだ
という過敏な自意識も
だらしない程にまた空虚

⏰:12/06/13 19:00 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#15 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
ワンルーム叙事詩

中村橋駅徒歩十分
僕の愛しいボロアパート
ここ三日
扉も開けず
誰とも話さず

僕を縛り付けて
身動き取れなくさせる記憶が
必ずしも悪いものではない事に絶望するよ

退出時に支払う費用は
この数年溜め込んだ楽観で
ベランダに積んだ資源ゴミは
ふとした時、顔を出す感傷で
眠れない夜に数えた天井の染みは
癖になった溜息で
換気扇の薄茶けた油汚れは
必死になって追いかけた馬鹿な夢だ

なんにしたって
どこへ逃げるにしたって
扉は開けなくては

⏰:12/06/13 19:00 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#16 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
真っ白な世界

朝、目が覚めたら雪が降っていて
路上ライブに出かけようと思っていた僕は
舌打ちをしながら車のエンジンをかける

青森駅までの二時間半
窓を柔らかく打つ追慕
打ちのめされて
打ちのめされて
それでも
それでもって
足を引き摺って
何とか踏み出したのはいいけれど
一向に光は射さず

そんなあれこれを
ワイパーが開き直りの速度で蹴り飛ばし
やらなくちゃと言う脅迫観念だけで
僕の生活は一方通行の命を前進する

夕方六時
いつもの場所で
いつもの歌を歌う頃
そこは真っ白な世界

⏰:12/06/13 19:00 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


#17 [黒猫◆JUDE8gLNR.]
アノミー

僕は自由を手に入れた
一仕事終えた後の一服の自由を手に入れた
朝露のビールを飲む自由を手に入れた
晴天のどこまでも続く荒野で、
東西南北、何処へでも歩き出す自由を手に入れた
むなしい歌を好きなだけ歌う自由を手に入れた
自分を殺す自由を手に入れた
咎める人は誰も居ない
阻む物は何もない
そんな自由を手に入れた

僕らは孤独をおもちゃのようにもてあそんで
さもそれが、与えられた免罪符かのように
自慢げに見せ付けるけれど

君の自由は誰かの自由ではないか

君の脳みそがインターネットではなく、
君の脳みそがワイドショーではなく、
君の脳みそが週刊誌ではなく、
家族や、友人や、恋人や、
君自身が愛するものであることを願う

⏰:12/06/13 19:00 📱:T006 🆔:WgKr8JGs


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