Color of sadness
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#9 [安曇]
得意の武器である弓矢を持ち直し、リーネは駆け足で自分の持場へと戻って行く。
残った二人もアメリに何か言われる前に、庭に居る訓練生達の中へとバラバラに入って行った。
コノエは先程まで呑気に会話をしていたが、緊張してないわけではないのだ。
ジッとしていると落ち着かない。皆と全く同じ状態だった。
:09/02/26 12:38
:W53T
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#10 [安曇]
腰に佩した剣へと一度目をやり、少しでも緊張をとく為に息を吐き出す。
そんなコノエの横から、彼女を呼ぶ声がした。
「コノエちゃん」
横を向けば、そこにはコノエより三つ年下のエアが居た。
まだ幼いエアは、皆から妹のように可愛いがられている少女だ。もちろん、コノエも例外じゃない。
:09/02/26 12:40
:W53T
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#11 [安曇]
「どうしたの?」
「ううんっ。ただコノエちゃんに会いたかっただけだよ!」
緊張しているのが、一目見ただけで分かる。それでもニコリと笑って見せるエアに、コノエは感謝した。
いつもコノエが緊張した時、毎回エアがそれをほぐそうとしてくれるからだ。
「頑張ろうね、エア」
「うん!」
エアの返事が返ってくると同時に、門の方から大声があがった。
:09/02/26 22:53
:W53T
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#12 [安曇]
「もう直ぐそこまで敵が来ています!数はたぶん、僕らの倍…いや、それ以上…!!」
皆に聞こえるように叫び、門から入って来たのは偵察部隊の者達だった。
その報告を聞いた訓練生達が、一斉にどよめく。
「…おい聞いたか?俺らの倍だってよ…」
「ど、どうしよう…っ」
:09/02/27 02:56
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#13 [安曇]
それぞれに焦りの色が見え始める。もう緊張だけでも押し潰されそうな彼らに、不安と焦りまでもが重なる。
ざわつく砦。
それを静める、凛とした声が飛んできた。
「落ち着きなさい!!」
その声は、副団長アメリのものだった。
彼女は庭に居る者、窓から顔を出している者、そして屋上から見下ろしている者々へと順に目をやった。
:09/02/27 03:05
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#14 [安曇]
「大丈夫、今まで通りにやればいいのよ。貴方達になら出来る!そうでしょう?」
「はい!」
全員の声が揃う。
もう皆の顔には不安などは消え去っていた。
――そうだ…今まで通りに…大丈夫、大丈夫…
コノエが自分にそう言い聞かせたその時、屋上からリーネの大声があがった。
:09/02/27 15:07
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#15 [安曇]
「皆〜!敵が来たよ!そこに隠れてる!!」
門の奥…森の方を指差すリーネにアメリは頷くと、黒のロングコートを揺らし、凛とした声を張り上げた。
「全員戦闘準備!敵が森から出、姿を現したら射手で攻撃!…リーネ、合図は貴女が出しなさい!!」
「はいっ!」
敵が姿を見せてから、矢を放つタイミングを掴むのはとても難しい事だ。
弓の使い手として、訓練生の中で最も優秀なリーネだからこそ、選ばれたのだろう。
:09/02/27 15:21
:W53T
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#16 [安曇]
「…コノエちゃん…」
アメリによって取り除かれた不安が、敵の知らせを聞きまた戻ってきたのか…エアの表情は不安気だった。
そんな彼女の頭を、コノエは撫でてやる。
「エアなら大丈夫!」
「本当に…?」
「本当だよ。だって今までずっと頑張ってきたじゃない。エアは強い、だから大丈夫だよ!」
:09/02/27 15:34
:W53T
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#17 [安曇]
今度はコノエがエアの緊張や不安を取ろうと、ニコリと笑って見せた。それに応えるようにエアも笑った。
無数の銀色が、森の中からチカチカと木漏れ日に反射していた。
弓か、剣か――…リーネは森へと目を凝らし、敵が姿を現すのを今か今かと待った。
射手らも、リーネの合図を弓を構えながら待ち続ける。
:09/02/27 15:56
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#18 [安曇]
コノエはリーネの居る屋上を見上げるが、直ぐに門へと向き直った。
森から草木や葉の擦れる音と、大勢の足音が鳴り出したのだ。森に隠れて居る敵は微かだが、コノエの位置からも見えた。
あと数十歩で木々を抜け、姿を現すだろう時に、リーネは射手達に合図を出した。
:09/02/27 16:07
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