Color of sadness
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#1 [安曇]
安曇(あずみ)と申します。
名前は違いますが、以前こちらで小説を書いていた者です。また新しく話を書きたいと思い、来ました^^*
これから書く小説のジャンルはファンタジーもの。マイペース更新(遅め)になると思いますが、最後まで付き合って下さると嬉しいです(・v・)
>>2 感想板
>>3 アンカー
登場人物イメージ [jpg/21KB]
:09/02/25 22:55
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#2 [安曇]
:09/02/25 22:58
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#3 [安曇]
:09/02/25 23:03
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#4 [安曇]
(1)
フレリア騎士団領の中央にある森の中。
大人三人分程の高い柵に囲まれた、大きな建物『砦』があった。広い庭と建物を合わせれば、何百人もの人が入れる広さだろう。
その砦内と庭には二、三百人ものフレリア騎士団の訓練生達が、緊張した面持ちで、それぞれ待機していた。
:09/02/25 23:14
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#5 [安曇]
そんな緊張感の漂う中、二人の少女と、一人の少年は呑気に話をしだす。
「皆緊張してるみたいだね」
建物の入口の前に立つ三人。
コノエは少し短めな前髪を触りながら口を開いた。彼女の言葉に、赤髪の双子、リーネとアッシュは落ち着きの無い他の訓練生達を見る。
:09/02/25 23:22
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#6 [安曇]
「だね〜。まあ、今日は私達にとってかなり大事な日だし、仕方ないんじゃない?」
「…仕方ないって…緊張しないコノエと姉ちゃんがオカシイんだって…」
「何だとー!お姉さんに向かってオカシイって何よ!」
ただでさえリーネの声は耳に響くと言うのに、この静か過ぎる砦には余計に大きく響いた。
:09/02/25 23:31
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#7 [安曇]
そんな彼女の声に、訓練生達は皆「静かにしろ」と注意するかのように目を向けてきた。
リーネは皆からの視線に耐えられず、直ぐに頭を下げる。
「…もうっ、皆して睨まなくたっていいじゃない…」
しょんぼりとするリーネを励ましてやろうと、コノエは彼女の肩を軽く叩こうとした。
だが自分の後ろで腕組みをしながら立つ人物に気付き、瞬時に伸ばした手を引っ込めた。
:09/02/26 01:50
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#8 [安曇]
「貴方達、呑気に喋ってないで少しは集中しなさい!」
白に近い、金色の長い髪の女――フレリア騎士団の副団長、アメリだ。
アメリは眉を寄せ、三人を叱咤する。
「もうすぐ敵が此処を攻めて来るというのに……リーネ、貴女の持場は此処ではないでしょう!射手は砦の三階か屋上で待機!!」
「はっ、はい!」
:09/02/26 02:31
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#9 [安曇]
得意の武器である弓矢を持ち直し、リーネは駆け足で自分の持場へと戻って行く。
残った二人もアメリに何か言われる前に、庭に居る訓練生達の中へとバラバラに入って行った。
コノエは先程まで呑気に会話をしていたが、緊張してないわけではないのだ。
ジッとしていると落ち着かない。皆と全く同じ状態だった。
:09/02/26 12:38
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#10 [安曇]
腰に佩した剣へと一度目をやり、少しでも緊張をとく為に息を吐き出す。
そんなコノエの横から、彼女を呼ぶ声がした。
「コノエちゃん」
横を向けば、そこにはコノエより三つ年下のエアが居た。
まだ幼いエアは、皆から妹のように可愛いがられている少女だ。もちろん、コノエも例外じゃない。
:09/02/26 12:40
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#11 [安曇]
「どうしたの?」
「ううんっ。ただコノエちゃんに会いたかっただけだよ!」
緊張しているのが、一目見ただけで分かる。それでもニコリと笑って見せるエアに、コノエは感謝した。
いつもコノエが緊張した時、毎回エアがそれをほぐそうとしてくれるからだ。
「頑張ろうね、エア」
「うん!」
エアの返事が返ってくると同時に、門の方から大声があがった。
:09/02/26 22:53
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:XKzTGs0w
#12 [安曇]
「もう直ぐそこまで敵が来ています!数はたぶん、僕らの倍…いや、それ以上…!!」
皆に聞こえるように叫び、門から入って来たのは偵察部隊の者達だった。
その報告を聞いた訓練生達が、一斉にどよめく。
「…おい聞いたか?俺らの倍だってよ…」
「ど、どうしよう…っ」
:09/02/27 02:56
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:tBSa.sjo
#13 [安曇]
それぞれに焦りの色が見え始める。もう緊張だけでも押し潰されそうな彼らに、不安と焦りまでもが重なる。
ざわつく砦。
それを静める、凛とした声が飛んできた。
「落ち着きなさい!!」
その声は、副団長アメリのものだった。
彼女は庭に居る者、窓から顔を出している者、そして屋上から見下ろしている者々へと順に目をやった。
:09/02/27 03:05
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:tBSa.sjo
#14 [安曇]
「大丈夫、今まで通りにやればいいのよ。貴方達になら出来る!そうでしょう?」
「はい!」
全員の声が揃う。
もう皆の顔には不安などは消え去っていた。
――そうだ…今まで通りに…大丈夫、大丈夫…
コノエが自分にそう言い聞かせたその時、屋上からリーネの大声があがった。
:09/02/27 15:07
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:tBSa.sjo
#15 [安曇]
「皆〜!敵が来たよ!そこに隠れてる!!」
門の奥…森の方を指差すリーネにアメリは頷くと、黒のロングコートを揺らし、凛とした声を張り上げた。
「全員戦闘準備!敵が森から出、姿を現したら射手で攻撃!…リーネ、合図は貴女が出しなさい!!」
「はいっ!」
敵が姿を見せてから、矢を放つタイミングを掴むのはとても難しい事だ。
弓の使い手として、訓練生の中で最も優秀なリーネだからこそ、選ばれたのだろう。
:09/02/27 15:21
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:tBSa.sjo
#16 [安曇]
「…コノエちゃん…」
アメリによって取り除かれた不安が、敵の知らせを聞きまた戻ってきたのか…エアの表情は不安気だった。
そんな彼女の頭を、コノエは撫でてやる。
「エアなら大丈夫!」
「本当に…?」
「本当だよ。だって今までずっと頑張ってきたじゃない。エアは強い、だから大丈夫だよ!」
:09/02/27 15:34
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:tBSa.sjo
#17 [安曇]
今度はコノエがエアの緊張や不安を取ろうと、ニコリと笑って見せた。それに応えるようにエアも笑った。
無数の銀色が、森の中からチカチカと木漏れ日に反射していた。
弓か、剣か――…リーネは森へと目を凝らし、敵が姿を現すのを今か今かと待った。
射手らも、リーネの合図を弓を構えながら待ち続ける。
:09/02/27 15:56
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:tBSa.sjo
#18 [安曇]
コノエはリーネの居る屋上を見上げるが、直ぐに門へと向き直った。
森から草木や葉の擦れる音と、大勢の足音が鳴り出したのだ。森に隠れて居る敵は微かだが、コノエの位置からも見えた。
あと数十歩で木々を抜け、姿を現すだろう時に、リーネは射手達に合図を出した。
:09/02/27 16:07
:W53T
:tBSa.sjo
#19 [安曇]
「今よ!放て!!」
リーネのかけ声で、一斉に射手達は森へと矢を放った。
上手くいけば敵の数は減り、これから白兵戦へと入る訓練生達の負担も減少させる事が出来るだろう。
屋上と三階の窓から射られる矢は、次の合図が出るまで止まらない。
矢の雨が降り続ける中、敵は剣で矢を弾きながら次々と門へと駆け抜けて来る。
:09/02/27 22:09
:W53T
:tBSa.sjo
#20 [安曇]
「来た…!」
コノエ達、訓練生が着ている黄と白を基調とした明るい色の制服とは反対に、敵は青と白を基調とした、落ち着いた色合いの制服に身を包んでいた。
その中に一人、アメリと同じ色のコートを羽織った、長身の青年が先頭を切って砦へと侵入して来た。
「全員武器を取りなさい!何が何でもこの砦を守るわよ!!」
:09/02/28 02:17
:W53T
:B6xdhLZY
#21 [安曇]
アメリの掛け声に訓練生達は剣を手に持ち、侵入して来た敵へと駆けて行く。
コノエとエアも剣を強く握り締め、皆に続いた。射手らもリーネから新たな合図を受け、味方に矢が当たらぬように攻撃を始めた。
「く…っ!」
金属音が響く中、コノエは必死に剣を振るう。
偵察部隊が言っていた通り、敵は倍以上もの数。いくらリーネ達射手が敵を倒しても、その倍という数字は変わらなかった。
:09/02/28 02:27
:W53T
:B6xdhLZY
#22 [安曇]
正面から斬りかかって来た敵の攻撃を、コノエは身軽にかわた。
勢い良く攻撃した所為か、敵は体勢を崩す。それを見逃さずにコノエは敵へと剣を振り下ろした。
「コノエ!!」
地面に倒れた敵を見、次へ行こうとするコノエをアッシュが呼びかけてきた。
アッシュの声がした方へと顔を向けるとそこには、あの鮮やかな赤髪は無かった。コノエの目に映ったのは、自分目掛けて駆けて来る青年の姿だった。
:09/02/28 02:45
:W53T
:B6xdhLZY
#23 [安曇]
「?!」
目の前で振り上げられた剣に、コノエは直ぐさま自分の剣を横にし、身を低くしてそれを受け止めた。
あまりにも強い衝撃に、剣を伝って、コノエの身体を震わせる。
「どうした。こんな軽い攻撃…どうって事ないだろう?」
青年はコノエを挑発し、口許に笑みを浮かべた。
:09/03/13 17:02
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:hTElqRUg
#24 [安曇]
「…ええ!軽過ぎて笑いを堪えるのに…必死になっちゃいました……よっ!!」
口ではそう言うものの、実際、青年の攻撃は軽くなどないのだ。
コノエは地面を思い切り蹴って青年の剣を弾く。一瞬だけ驚いた顔をするが、青年は直ぐに嬉しそうな、そして楽しそうな表情となった。
:09/03/13 17:09
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:hTElqRUg
#25 [安曇]
青年は体勢を立て直すと、すかさず剣を繰り出してくる。
コノエも負けじとそれを弾き、青年の肩を狙う。だが、その攻撃は簡単に避けられてしまい、コノエの剣は青年の茶の髪を揺らす事しか出来なかった。
――しまった!!
今の攻撃で完全に隙だらけとなってしまったコノエ。次の体勢に入って相手の剣を防がなければならないのに、無理な体勢をとってしまった為、直ぐに反応する事が出来ない。
:09/03/16 13:07
:W53T
:39pCtq2k
#26 [安曇]
それが分かった直後に、横腹に強烈な痛みが走った。
青年の攻撃を、くらったのだ。
「ぐあぁ…っ!」
痛み耐えられず、コノエは呻き声をあげ、地面へと崩れ落ちる。
あれ程強く握り持っていた剣も手からはなれ、カキン…と音を鳴らして、倒れたコノエの足元へと落ちた。
:09/04/03 02:14
:W53T
:DPZefR1w
#27 [安曇]
同時に響く、敵達の歓声。痛む横腹を庇いながら砦の最上階――屋上を見れば、そこには大勢の敵が侵入していた。
そして、青と白で塗られた大きな旗が、掲げられていたのだ。
それはコノエ達訓練生の負けを意味していた。
「コノエ!!」
:09/04/03 02:24
:W53T
:DPZefR1w
#28 [安曇]
アッシュが慌てた様子でコノエへと駆け寄り、横たわるコノエの上半身を起こしてやる。
「大丈夫か?!」
「…ん、大丈夫。……加減とか一切無かったから目茶苦茶痛いけどね…」
アッシュに支えられ、コノエは横腹を擦りながら、その痛みをつくった張本人である青年を睨み付けた。
青年はその睨みを気にする事なく剣を鞘へとしまい、一つ息をつく。
:09/04/03 02:34
:W53T
:DPZefR1w
#29 [安曇]
「お前なぁ…もし俺が持っているのが真剣だったら痛いじゃ済まないんだぞ。それに、戦場で手加減する奴だって居ない」
青年は呆れた声で言う。
その言葉にコノエは、青年の腰に下げられた訓練用の剣(刃が潰されたもの)を見て、もしこれが真剣だったら……きっと自分はもう息などしていなかっただろう。
そう考えると背筋が凍った。
横に居たアッシュも、同じく顔を青くしていた。
:09/04/13 14:26
:W53T
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