Color of sadness
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#11 [安曇]
「どうしたの?」
「ううんっ。ただコノエちゃんに会いたかっただけだよ!」
緊張しているのが、一目見ただけで分かる。それでもニコリと笑って見せるエアに、コノエは感謝した。
いつもコノエが緊張した時、毎回エアがそれをほぐそうとしてくれるからだ。
「頑張ろうね、エア」
「うん!」
エアの返事が返ってくると同時に、門の方から大声があがった。
:09/02/26 22:53
:W53T
:XKzTGs0w
#12 [安曇]
「もう直ぐそこまで敵が来ています!数はたぶん、僕らの倍…いや、それ以上…!!」
皆に聞こえるように叫び、門から入って来たのは偵察部隊の者達だった。
その報告を聞いた訓練生達が、一斉にどよめく。
「…おい聞いたか?俺らの倍だってよ…」
「ど、どうしよう…っ」
:09/02/27 02:56
:W53T
:tBSa.sjo
#13 [安曇]
それぞれに焦りの色が見え始める。もう緊張だけでも押し潰されそうな彼らに、不安と焦りまでもが重なる。
ざわつく砦。
それを静める、凛とした声が飛んできた。
「落ち着きなさい!!」
その声は、副団長アメリのものだった。
彼女は庭に居る者、窓から顔を出している者、そして屋上から見下ろしている者々へと順に目をやった。
:09/02/27 03:05
:W53T
:tBSa.sjo
#14 [安曇]
「大丈夫、今まで通りにやればいいのよ。貴方達になら出来る!そうでしょう?」
「はい!」
全員の声が揃う。
もう皆の顔には不安などは消え去っていた。
――そうだ…今まで通りに…大丈夫、大丈夫…
コノエが自分にそう言い聞かせたその時、屋上からリーネの大声があがった。
:09/02/27 15:07
:W53T
:tBSa.sjo
#15 [安曇]
「皆〜!敵が来たよ!そこに隠れてる!!」
門の奥…森の方を指差すリーネにアメリは頷くと、黒のロングコートを揺らし、凛とした声を張り上げた。
「全員戦闘準備!敵が森から出、姿を現したら射手で攻撃!…リーネ、合図は貴女が出しなさい!!」
「はいっ!」
敵が姿を見せてから、矢を放つタイミングを掴むのはとても難しい事だ。
弓の使い手として、訓練生の中で最も優秀なリーネだからこそ、選ばれたのだろう。
:09/02/27 15:21
:W53T
:tBSa.sjo
#16 [安曇]
「…コノエちゃん…」
アメリによって取り除かれた不安が、敵の知らせを聞きまた戻ってきたのか…エアの表情は不安気だった。
そんな彼女の頭を、コノエは撫でてやる。
「エアなら大丈夫!」
「本当に…?」
「本当だよ。だって今までずっと頑張ってきたじゃない。エアは強い、だから大丈夫だよ!」
:09/02/27 15:34
:W53T
:tBSa.sjo
#17 [安曇]
今度はコノエがエアの緊張や不安を取ろうと、ニコリと笑って見せた。それに応えるようにエアも笑った。
無数の銀色が、森の中からチカチカと木漏れ日に反射していた。
弓か、剣か――…リーネは森へと目を凝らし、敵が姿を現すのを今か今かと待った。
射手らも、リーネの合図を弓を構えながら待ち続ける。
:09/02/27 15:56
:W53T
:tBSa.sjo
#18 [安曇]
コノエはリーネの居る屋上を見上げるが、直ぐに門へと向き直った。
森から草木や葉の擦れる音と、大勢の足音が鳴り出したのだ。森に隠れて居る敵は微かだが、コノエの位置からも見えた。
あと数十歩で木々を抜け、姿を現すだろう時に、リーネは射手達に合図を出した。
:09/02/27 16:07
:W53T
:tBSa.sjo
#19 [安曇]
「今よ!放て!!」
リーネのかけ声で、一斉に射手達は森へと矢を放った。
上手くいけば敵の数は減り、これから白兵戦へと入る訓練生達の負担も減少させる事が出来るだろう。
屋上と三階の窓から射られる矢は、次の合図が出るまで止まらない。
矢の雨が降り続ける中、敵は剣で矢を弾きながら次々と門へと駆け抜けて来る。
:09/02/27 22:09
:W53T
:tBSa.sjo
#20 [安曇]
「来た…!」
コノエ達、訓練生が着ている黄と白を基調とした明るい色の制服とは反対に、敵は青と白を基調とした、落ち着いた色合いの制服に身を包んでいた。
その中に一人、アメリと同じ色のコートを羽織った、長身の青年が先頭を切って砦へと侵入して来た。
「全員武器を取りなさい!何が何でもこの砦を守るわよ!!」
:09/02/28 02:17
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