17歳。
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#1 [匿名]
好きな人が
出来ました。
メールもするし、
物の貸し借りもするし、
世間話もします。
自転車の後ろにだって
乗っちゃいます。
:09/03/15 17:24
:W61T
:QuE32LZ2
#2 [匿名]
藍川ももか 17歳
青春真っ盛りな
高校2年生。
もちろん恋だって
しちゃってます。
隣の席のこいつに。
:09/03/15 17:29
:W61T
:QuE32LZ2
#3 [匿名]
『もーもかっ!』
『ももちゃーん』
『ももたろー!』
「うるさい!」
あたしを呼ぶこいつ、
池内祐紀。
あたしの隣の席。
あたしの好きな人。
:09/03/15 17:34
:W61T
:QuE32LZ2
#4 [匿名]
『今日チャリで来たから後ろ乗ってく?』
「まじでー?
乗ってく乗ってく!」
『ついでにCD買うの付き合って桃太郎☆』
「誰が桃太郎じゃ!」
はい、周りから見ても仲良しでいい感じのあたしたちです。
:09/03/15 17:40
:W61T
:QuE32LZ2
#5 [匿名]
「ほんと藍川と池内は仲良しだな(笑)」
って担任にまで
言われるほど。
クラスのみんなにも
冷やかされたりする。
このままだと
あたしたち、付き合っちゃうんじゃない?
:09/03/15 17:42
:W61T
:QuE32LZ2
#6 [匿名]
………なーんて、
付き合えたら
どんなに幸せか。
あたしの好きな
祐紀には、
他校に彼女がいます。
つまりあたしは
叶わない恋をしてる訳。
:09/03/15 17:44
:W61T
:QuE32LZ2
#7 [匿名]
「あたしといたら
彼女が怒っちゃうんじゃない?」
って聞いた事がある。
そしたらあいつは
『桃太郎は俺の親友だもん』
って笑顔で言いやがった。
あたしは親友じゃなくて祐紀の彼女がいいよ
ばーか。
:09/03/15 17:46
:W61T
:QuE32LZ2
#8 [匿名]
祐紀の自転車の後ろは
あたしだけの特等席。
彼女を乗せた事がないんだって。
「何で乗せないの?」
って聞いたら
『いいじゃん桃太郎の特等席って事で』
なーんて言われたもんだから、少し期待しちゃうよ、あたし。
:09/03/15 17:51
:W61T
:QuE32LZ2
#9 [匿名]
祐紀の後ろに
乗りながら、
CDショップに向かう。
「ねー祐紀ー」
『何ー?』
「彼女とどうー?」
『…秘密ー』
:09/03/15 17:53
:W61T
:QuE32LZ2
#10 [匿名]
祐紀はいつもこう。
彼女の事を聞くと
『秘密ー』とか
『桃太郎は人の恋愛より自分の恋愛気にしろ』
とか言って
ごまかす。
でも別れてないし、
順調なんだなきっと
:09/03/15 17:55
:W61T
:QuE32LZ2
#11 [匿名]
『桃太郎ー』
「んー?」
『お前ほんと空好きだなー』
「好き好きー」
―祐紀の後ろに乗っている時は、いつも空を見上げる。
:09/03/15 17:59
:W61T
:QuE32LZ2
#12 [匿名]
だって前を向いたら
祐紀の背中が
視界に入る。
抱きつきたくなる。
切なくなる。
叶わない恋だから…
あたしは彼女じゃなくて親友だから。
上を向いてないと
祐紀への想いが
溢れてくるから。
:09/03/15 18:01
:W61T
:QuE32LZ2
#13 [匿名]
いつも上を向いてる
あたしを、
祐紀は空が好きなんだって思ってる。
周りから見れば、
あたしたちはカップルに見えるんだろうな。
ちょっとした優越感。
このイケメン君は
あたしの彼氏ですよー
なんて思っちゃったり。
:09/03/15 18:03
:W61T
:QuE32LZ2
#14 [匿名]
『着いたよー』
祐紀の声であたしは
空から目線を移す。
『早く行こーぜ!売り切れる!!!』
あたしの腕を掴んで
全速力で店に入って行く。
掴まれた部分が熱くて
くすぐったくて。
:09/03/15 19:00
:W61T
:QuE32LZ2
#15 [匿名]
『これこれー!これが欲しかったの俺』
「高っ!3600円もすんじゃん」
『アルバムだしなーそれにポスターも付いてんの』
「ポスター?いいな!ちょーだい」
『駄目ー』
:09/03/15 19:03
:W61T
:QuE32LZ2
#16 [匿名]
カップルみたいな会話。
またちょっと優越感。
帰り道、祐紀の後ろに乗ってあたしはまた
空を見る。
:09/03/15 19:04
:W61T
:QuE32LZ2
#17 [匿名]
『桃太郎ー家着いたよ』
「送ってくれてありがとね!」
手を振って家の中に
入ろうとすると、
『桃太郎ー』って
呼ばれた。
「何?」って振り向くと同時に何かが飛んできた。
とっさに掴むと、
祐紀は『じゃーな』って帰って行っちゃった
:09/03/15 19:07
:W61T
:QuE32LZ2
#18 [匿名]
掴んだ物を見てみると、
あたしが祐紀に
ちょうだいって言った
ポスター。
………馬鹿。
冗談だよ。大体あたしこのアーティストよく知らないし…
祐紀の大好きなアーティストでしょ?
:09/03/15 19:09
:W61T
:QuE32LZ2
#19 [匿名]
ポスター欲しかったんじゃないの?
そういう優しい事するから、もっと好きになるじゃん。ばーか。
あたしは家に入ると
すぐ自分の部屋に向かって、祐紀のくれたポスターを壁に貼った。
:09/03/15 19:10
:W61T
:QuE32LZ2
#20 [匿名]
ポスター見て
にやにやするあたし。
祐紀があたしの事を
好きになりますように。
ポスターに向かって
つぶやくあたし。
…よっぽどあたしの方が馬鹿か。
:09/03/15 19:11
:W61T
:QuE32LZ2
#21 [あやか]
気になる�x
:09/03/15 19:42
:W61T
:T0gWUw.U
#22 [匿名]
>>21ありがとうございます^^
諦めたくても
諦められない。
あたしの中の祐紀は、
すごく大きい存在だから…
:09/03/15 20:15
:W61T
:QuE32LZ2
#23 [匿名]
告白なんてしようとも思わなかった。
フラれるのは分かっていたし、“親友”という立場さえなくなるのが怖かったから。
この気持ちは祐紀に伝わる事のない、そう思ってた。
:09/03/15 20:19
:W61T
:QuE32LZ2
#24 [匿名]
―暑い日差しの中、
あたしと香奈は
久しぶりに買い物に来ていた。
香奈は中学からの
あたしの親友で、
…あたしの祐紀への気持ちを知っている人物。
祐紀の事とかでよく
相談に乗ってもらっている、大好きな友達。
:09/03/15 20:22
:W61T
:QuE32LZ2
#25 [匿名]
『この服絶対ももかに似合うよ♪』
「え゙っちょっと派手じゃない…?」
『そんな事ないない!』
試着しろって香奈が
うるさいから、しぶしぶ服を持って試着室に
入る。
全身鏡に映る自分を見て、ため息をついた。
:09/03/15 20:25
:W61T
:QuE32LZ2
#26 [匿名]
…祐紀の彼女は、
どんな顔なんだろ。
あたしより
可愛い…のかな。
はぁ…何でいつも
祐紀の事ばっか
考えてんだろ。
やめよやめよ!
:09/03/15 20:27
:W61T
:QuE32LZ2
#27 [匿名]
結局あたしは
その服を買って、
香奈と一緒に
ファミレスに来た。
香奈は彼氏がいるから、ノロケ話に散々付き合わされる。
あたしは適当に聞いてるけど、香奈の幸せそうに話す姿を見て
いいなー彼氏…なんて
思う。
:09/03/15 20:33
:W61T
:QuE32LZ2
#28 [匿名]
『…ももかは祐紀君に告白しないの?』
「だって…フラれるし、親友でいたいもん。」
『逃げてるだけじゃん! フラれても親友でいれるでしょ。伝えなよちゃんと!』
…簡単に言うんだから。あたしだって
このままじゃ嫌だけどさ…
:09/03/15 20:35
:W61T
:QuE32LZ2
#29 [匿名]
『…気持ち伝えて、次の恋に進めば?』
「…そうだね。告白しよっかな…フラれて、次の恋いく♪」
『その調子!』
報われない恋をいつまでもしていたくない。
祐紀には彼女がいる。
現実を受け止めなきゃ。
:09/03/15 20:40
:W61T
:QuE32LZ2
#30 [匿名]
―そして今、
あたしは祐紀の漕ぐ
自転車の後ろに乗ってる。
告白すると決めてから
3日目。
いまだに言えてないけど、今日伝えようと思う
もしかしたら
もう今までの関係に
戻れないかもしれない。
自転車の後ろに乗せてくれないかもしれない。
:09/03/15 20:42
:W61T
:QuE32LZ2
#31 [匿名]
最後かもしれないし、
今日は前を見よう
いつも見ている空から
祐紀の背中へと
視線を移した。
細いくせにさ、
やっぱり背中は
男の子ってかんじ。
当たり前だけどさ。
:09/03/15 20:45
:W61T
:QuE32LZ2
#32 [匿名]
後ろに乗っている時、
祐紀に掴まる事は
なかった。
触れたらどうにかなっちゃいそうだし、
彼女じゃないのにっていう抵抗があったから。
………でも、今日くらいいいよね?
:09/03/15 20:48
:W61T
:QuE32LZ2
#33 [匿名]
恐る恐る祐紀の腰に
手を回す。
祐紀は少し驚いて
『どうした桃太郎ー』
って笑ってる。
あたしは何も言わずに
ぎゅっと手に
力を入れた。
あー、あたしほんとに
祐紀の事諦められるのかな?
伝わってくる体温が
もどかしくて、
切なくて。
:09/03/15 20:51
:W61T
:QuE32LZ2
#34 [匿名]
「…祐紀ー」
『何ー?』
「祐紀の自転車の後ろってあたしだけのものでしょ?(笑)」
『そうだな(笑)』
「…明日からは彼女乗せなよ?」
そう言うと同時に、
車の音であたしの声はかき消された。
:09/03/15 20:54
:W61T
:QuE32LZ2
#35 [匿名]
『えー?聞こえなかったー何て言ったん?』
「何でもなーい!」
ふと空を見上げたら、
いつものように
青かった。
あたしはもう、
この自転車の後ろに乗らない。
乗れない。
:09/03/15 20:56
:W61T
:QuE32LZ2
#36 [匿名]
今決心した。
だって乗ってたら
いつまでも祐紀の事
諦められないじゃん?
乗せてくれないかもだし…ね。
:09/03/15 20:58
:W61T
:QuE32LZ2
#37 [匿名]
『着いたよー』
「…送ってくれてありがとね!」
祐紀の腰から手を離し、自転車の後ろからトンっと降りた。
『じゃあまたな!』
そう言って帰ろうとする祐紀。
「―祐紀!」
声が震えた。
:09/03/15 21:01
:W61T
:QuE32LZ2
#38 [匿名]
『何だよ桃太郎ー』
けらけら笑う祐紀。
「あたしさー!」
『おう!』
心臓がばくついた。
…しばらく無言のあたしを不思議そうに見る祐紀。
待って…今言うから。
:09/03/15 21:07
:W61T
:QuE32LZ2
#39 [匿名]
「…桃太郎はねー!」
『桃太郎はー?』
「祐紀の事が…好…き」
あぁ、駄目だ。
あたし泣いてる。
『………え?』
驚いてる祐紀。
「彼女いるの知ってるし…ごめ…伝えたかっただけだから!送ってくれてありがと…ばいばい!』
祐紀の顔を見ないで、
あたしは家の中に
逃げ込んだ。
:09/03/15 21:11
:W61T
:QuE32LZ2
#40 [匿名]
何でこんなに涙が
出んの。
何でこんなに
好きなの。
何であいつには
彼女がいるの。
何で…何でこんなに
切ないの。
:09/03/15 21:13
:W61T
:QuE32LZ2
#41 [匿名]
その日はずっと
泣いてた。
目が腫れようが
鼻水が出ようが
関係ない。
泣いて泣いて
泣きまくって、
藍川ももかは
あなたの事を諦めます。
:09/03/15 21:15
:W61T
:QuE32LZ2
#42 [あやか]
それでそれで?
この小説まじ気に入った�ト
:09/03/15 22:27
:W61T
:T0gWUw.U
#43 [匿名]
>>42嬉しいです(´;ω;`)
次の日あたしは
学校をサボった。
祐紀はきっと、
自分のせいで
あたしが休んだって思ってるんだろうな。
あたしも行こうと思ったけど、やっぱり祐紀と普通に接する自信がなかった。
やっぱりまだ祐紀が好きだから。…それにこの腫れた目じゃ…無理っす。
:09/03/16 18:06
:W61T
:E9FIQkmQ
#44 [匿名]
いつも学校を休んだ時は、祐紀が会いに来た。
風邪で休んだ時は
あたしの好きなお菓子を持ってお見舞いに来てくれた。
サボった時は
『桃太郎がいないとつまんない』って言って
一緒にサボりに来る。
どんだけあたしの事
好きなのこいつ(笑)
彼女もよくヤキモチ妬かないよね、ほんと。
:09/03/16 18:09
:W61T
:E9FIQkmQ
#45 [匿名]
…今日は
来てくれますか?
『桃太郎いないとつまんない』って笑いながら
一緒にいてくれる?
きっと祐紀は今日
来てくれない。
分かってる。
でも心のどこかで、
来てくれるんじゃないかって期待しちゃってるよ、あたし。
:09/03/16 18:13
:W61T
:E9FIQkmQ
#46 [匿名]
―騒がしい朝の廊下。
教室の前で、
立ち止まってるあたし。
昨日結局祐紀は
会いに来てくれなかった。当たり前だけど。
:09/03/16 18:15
:W61T
:E9FIQkmQ
#47 [匿名]
普段みたいに祐紀は
話し掛けてくれるかな。
あたしは
話し掛けられるかな。
ドキドキしながら
ゆっくりと教室に
入って行った。
時間が止まっているように感じた。
:09/03/16 18:18
:W61T
:E9FIQkmQ
#48 [匿名]
………あれ。
あたしの隣の席、
空いてる。
祐紀いっつも来るの
速いのに何で?
…あたしのせい?
寒気が走った。
周りのガヤガヤとした音が小さく聞こえて、
涙が出そうになった。
:09/03/16 18:22
:W61T
:E9FIQkmQ
#49 [匿名]
『………郎ー!』
祐紀があたしを
呼ぶ声がした。
幻聴?(笑)
あたしどんだけ祐紀の事考えてんだろ…情けない。
『……太郎ー!』
…うるさいなぁ。
祐紀があたしを呼ぶ訳ないじゃん。
『…桃太郎ー!』
…あれ?
外から聞こえる?
:09/03/16 18:26
:W61T
:E9FIQkmQ
#50 [匿名]
窓を覗いてみれば、
自転車に乗って
こっちを見てる祐紀の姿が映った。
『桃太郎ー!』
かすかに聞こえる、
祐紀があたしを呼ぶ声。
あたしは教室を
飛び出した。
告白しちゃったとか、
会いに来てくれなかったとか、どうでも良かった。
祐紀に会いたかった。
:09/03/16 18:29
:W61T
:E9FIQkmQ
#51 [匿名]
廊下を全力で走るあたし。
体育の授業でも、
こんなに頑張って走った事ないよ。
切なくて胸が痛かった。これから、きっとちゃんとフラれるんだと思う。
それでもいい、
それでもいいよ。
祐紀があたしを呼ぶなら、あたしは祐紀に会いに行く。
:09/03/16 18:33
:W61T
:E9FIQkmQ
#52 [匿名]
上靴のまま
外に飛び出した。
『桃太郎ー』
手を振ってる祐紀。
あー、好きです。
悔しいけど、やっぱり
その笑顔が好き。
あたしは祐紀の元へと
走った。
『何でお前上靴なんだよ(笑)』
「履き替えんの面倒だったの!(笑)」
:09/03/16 18:36
:W61T
:E9FIQkmQ
#53 [匿名]
『ほんと馬鹿だよなー桃太郎。』
ふにゃって笑う祐紀。
「うっさいなー」
それを見て照れるあたし。
あたしたち、普通に話せてるよね?
昨日の事なんてなかった事にして、今まで通り親友でいられるんじゃない?
そうしよう。
『公園行かね?サボろーぜー』
「何で公園なの(笑)」
必死に考えてるあたしに比べて、祐紀は脳天気。
:09/03/16 18:40
:W61T
:E9FIQkmQ
#54 [(p‥`q)]
やばい 超いいですね�K
:09/03/16 21:05
:W53H
:Ydnj4fOo
#55 [匿名]
:09/03/16 23:07
:W61T
:E9FIQkmQ
#56 [匿名]
『俺今ブランコ乗りたい 気分なの!』
…ブランコって
何歳だよ(笑)
でも、あたし知ってる。
あたしが気まずくならないように、わざとこんな事言ってるんでしょ?
馬鹿だね。
でも、ありがと。
優しいね、やっぱり。
:09/03/17 19:47
:W61T
:2Yp7h0Io
#57 [匿名]
『じゃ行くか!』
笑顔で言うあいつ。
「うんっ!…あっ」
迷わずに返事をした後に、はっとした。
いつもなら祐紀の自転車の後ろに乗る。
『乗れよー』
普段通りな祐紀。
…いいの?あたしが乗ってもいいのかな?
:09/03/17 19:52
:W61T
:2Yp7h0Io
#58 [匿名]
…このまま後ろに乗っていたら、きっとずっと祐紀の事を諦めきれない気がするの。
“あたしだけの特等席”
こんなものがあるから、自分は特別だなんて思い込んじゃうの。
期待しちゃうんだよ。
…だったら、“あたしだけの特等席”はもういらない。
諦めるの。
あたしは、祐紀を諦めなくちゃいけないから。
:09/03/17 19:55
:W61T
:2Yp7h0Io
#59 [匿名]
「………乗らない。」
声がうまく出なくて
振り絞った。
祐紀の顔を見るのが怖くて、自分の上靴のつま先を見つめながら。
『桃太郎。』
心臓が速く動くのが分かった。
祐紀は何て思ってるのかな。うざいとか面倒とか思われてんのかな。
:09/03/17 19:58
:W61T
:2Yp7h0Io
#60 [匿名]
:09/03/17 19:59
:W61T
:2Yp7h0Io
#61 [匿名]
―「…………は?」
祐紀の言った言葉の意味が分からなかった。
『だーかーらー、桃太郎が漕げ。いっつも俺ばっかり濃いで不公平だと思ってたんだよなー!』
面食らった。
やっぱりこいつには
勝てない。
:09/03/17 20:01
:W61T
:2Yp7h0Io
#62 [匿名]
「………おう!」
自然と笑顔になった。
『んじゃ出発!転ぶなよお前…』
「転ばないし!ぶっ飛ばしてくから捕まっててよ。」
『行け桃太郎ー!!!』
祐紀を乗せて自転車を漕ぐあたし。
あたしが漕ぐのは初めて。
:09/03/17 20:05
:W61T
:2Yp7h0Io
#63 [匿名]
「ねえ祐紀っ」
乗り心地どう?(笑)
なんて聞こうとしたあたしは、後ろを振り向いた。
―それと同時に、
前を向いていない、
空を見ている祐紀が
映った。
『んー?』
返事はするけどこっちを見ない祐紀。
………あたしとおんなじじゃん。
:09/03/17 20:08
:W61T
:2Yp7h0Io
#64 [匿名]
『…桃太郎がいっつも空見てる理由分かった。
こんなに綺麗なんだなー空って!(笑)』
空を見上げながら
笑う祐紀。
あたしは綺麗だから空を見てたんじゃないよ。
祐紀を見たくないから空を見てたんだよ。
心の中でつぶやいた。
:09/03/17 20:13
:W61T
:2Yp7h0Io
#65 [匿名]
涙が出そうで
どうしていいか分からなかったから、
あたしは何も言わずに自転車を漕いだ。
ねえ祐紀。
あたしこんなにあんたの事想ってるよ。
自分でも気持ち悪いくらい(笑)
自分から告白したのだって初めてなんだからね。
男子と自転車2人乗りするのも、こんなに仲良くなったのも、桃太郎ってあたしの事呼ぶのも。
全部祐紀だけ。
:09/03/17 20:19
:W61T
:2Yp7h0Io
#66 [匿名]
―公園に着くと、祐紀ははしゃぎながらブランコに走って行った。
さっきの空を見ていた時みたいな大人びてる顔じゃなく、小さい子みたいな無邪気な顔。
『桃太郎ー!早く来い貧乳!』
「なっ…貧乳って気にしてるんだから!」
…あたしは何だか、この時間が終わらなければいいのにと思った。
2人でいるのはいつもの事なのに、何だか今日が特別に感じた。
:09/03/17 22:07
:W61T
:2Yp7h0Io
#67 [匿名]
祐紀の元へ走って行くと、ほら。
そのふにゃっとした顔で笑うの。
女のあたしでも祐紀のその笑顔には負ける。
悔しいけど、可愛いんだもん。
『桃太郎、何ぼーっとしてんだよー。』
あんたの可愛さに見とれてましたなんて、恥ずかしくて言えないよばーか。
「今日の給食何だろーなって考えてたの!」
『さすが桃太郎』
「さすがって何よ!」
:09/03/17 22:12
:W61T
:2Yp7h0Io
#68 [匿名]
『なあ、靴飛ばししよーぜ』
「…靴飛ばしって何?」
『知らねーの?ブランコ漕ぎながら靴飛ばすやつ。』
「そのまんまじゃん(笑)」
高2のあたしたちが
公園で朝から靴飛ばしです。普段のあたしなら恥ずかしいから絶対にやらない。
…祐紀と一緒なら別だけど。
:09/03/17 22:15
:W61T
:2Yp7h0Io
#69 [匿名]
『どっちが遠くに飛ばせるか勝負だ桃太郎!』
「上等だし!」
『言ったな!負けた奴は勝った奴の言う事聞くってことで』
「ジュース奢らせてやるから覚悟しろよ(笑)」
そう言ってあたしと祐紀はブランコを思いっきり漕ぎ出した。
:09/03/17 22:19
:W61T
:2Yp7h0Io
#70 [匿名]
「おりゃぁあ!」
先に靴を飛ばしたのはあたし。
初めてやったにしてはなかなか飛んだと思う。
……上靴、帰ったら洗わなきゃな。
ぼんやりそんな事を考えていると、
祐紀の靴があたしの靴よりもずっと遠い所に落ちていった。
:09/03/17 22:24
:W61T
:2Yp7h0Io
#71 [匿名]
『俺の勝ち♪』
「あ゙ー…」
『余裕だな』
「うっさい!靴取りに行こっ」
片足だけ靴を履いてないあたしたち。
靴を取りに行こうとしたあたしは、思いっきりバランスをくずしてブランコから落ちた。
:09/03/17 22:28
:W61T
:2Yp7h0Io
#72 [匿名]
「―痛い………」
頭から落ちて痛がってるあたしを見て、
『パンツ見えちゃった!てへっ』
なーんて言ってる祐紀。
心配くらいしてよね、
本気で痛かったんだから!
制服についた砂を落として、あたしは気を取り直して靴を取りに行こうとした。
:09/03/17 22:31
:W61T
:2Yp7h0Io
#73 [匿名]
―行こうとしたけど、
行けなかった。
あたしの腕を、
掴んだまま離してくれないから。
「………祐紀?」
:09/03/17 22:33
:W61T
:2Yp7h0Io
#74 [匿名]
振り返ったあたしの目に映った祐紀は、
さっきまでの無邪気な顔じゃなかった。
真剣で、どこか悲しそうで、あたしを真っ直ぐ見ている祐紀。
あたしは祐紀の視線から逃げたくなった。
逃げたい。これから起こる事をあたしは分かっている。
嫌だ、やめてよ。
離して。
:09/03/17 22:37
:W61T
:2Yp7h0Io
#75 [匿名]
『………ももか』
胸が締め付けられた。
何で桃太郎って呼ばないの。
これから大事な話をするから?
やめてよ。いつもみたいに笑って桃太郎って言ってよ。
“ごめんな。桃太郎とは親友でいたい”
そうやって言ってくれればいいの。
:09/03/17 22:40
:W61T
:2Yp7h0Io
#76 [匿名]
そしたらあたしも
“うん。これからも親友でいようね”って
笑って言えるの。
“ももか”
そんな風に改まって言われたら、あたしはきっと泣いてしまう。
自分から告白しといて、あたしは逃げてるの。
:09/03/17 22:43
:W61T
:2Yp7h0Io
#77 [匿名]
『………はははっ!』
―いきなり笑い出す
祐紀。
………え?
意味が分からないあたしは動揺して目をパチパチさせた。
『らしくねーな俺!(笑)』
そう言って1人で笑う祐紀。
:09/03/17 22:49
:W61T
:2Yp7h0Io
#78 [匿名]
…何で笑ってるの?
…あたしフラれるんじゃなかったの?
完全に動揺してるあたし。
『桃太郎ー、俺さ、昨日色々考えたんだ。』
………“桃太郎”。
やっぱり祐紀には桃太郎って呼ばれるのが嬉しい。本名よりも。
:09/03/17 22:52
:W61T
:2Yp7h0Io
#79 [匿名]
『俺さ、今まであの自転車の後ろに乗せた奴って桃太郎しかいないんだよね。』
…知ってる。
『男でよくつるむ奴はたくさんいるけどさ、何かつまんねーんだよな』
…あたしも。
『お見舞いに行ったりしてやんのもお前だけ』
…うん。
:09/03/17 22:57
:W61T
:2Yp7h0Io
#80 [匿名]
『“桃太郎”って俺がつけたしな。』
…呼ぶのも祐紀だけだよばーか。
『ペチャパイだし短気だし図々しいし小さいし』
…うるさい。
『でも俺の下らない事に文句言いながら付き合ってくれるし、励ましてくれるし。』
…うん。
:09/03/17 23:01
:W61T
:2Yp7h0Io
#81 [匿名]
『お前といるとすげー楽しいんだよね、悔しいけど!』
…あたしも。悔しいけどすっごい楽しい。
『…桃太郎は俺の親友!』
…馬鹿だねほんと。
「…祐紀はあたしの親友!」
真似して言うあたし。
:09/03/17 23:04
:W61T
:2Yp7h0Io
#82 [匿名]
『俺の自転車の後ろは親友しか乗れないんですよ。特別なんですよ。』
「…うん」
『だーかーらー乗れないだのなんだのふざけた事言うな!
お前の特等席だろーが』
涙で視界がぼやけた。
フラれて悲しいから泣いてるんじゃないの。
嬉しいから泣いてるんだよ。
:09/03/17 23:08
:W61T
:2Yp7h0Io
#83 [匿名]
きっと、あたしが傷つかないように祐紀なりに考えてくれたんでしょ?
優しいね。
馬鹿だよ、ほんと。
あたし、祐紀の後ろに乗っていいんだね。
ありがと。祐紀はあたしの大切な“親友”だよ。
:09/03/17 23:11
:W61T
:2Yp7h0Io
#84 [匿名]
―「香奈、あたしも合コン行く!」
あたしの前には、
ポテトを頬張りながら驚いている香奈。
『は?!祐紀君は?あんたが合コンって熱でもあんの?きもい!』
「祐紀の事は諦める。てかあたしたちお互い親友って公園で言ったし!
あたしは新しい恋がしたいの!」
:09/03/18 18:03
:W61T
:buNzZ3cs
#85 [匿名]
『ももかがそう言うんなら香奈は何も言わないけどさ。じゃ今日の夜でも行っちゃう?』
困った顔をしながら
聞いてくる香奈。
「行く!」
あたしは即答した。
服、何着て行こうかな。髪も巻いちゃおっかな。
:09/03/18 18:06
:W61T
:buNzZ3cs
#86 [匿名]
公園で祐紀と靴飛ばしした日から2週間。
あれからあたしたちは変わらず、“親友”の位置にいる。
自転車の後ろにも乗る。時々、あたしが漕ぐ日もあった。
告白なんてなかったかのように、いつも通りのあたしたち。
誰も、
あたしが告ったなんて思いもしないんだろうな。
:09/03/18 18:09
:W61T
:buNzZ3cs
#87 [匿名]
本当はあたし、
気づいてるの。
まだ祐紀の事が
好きってこと。
必死に“親友”って
自分に言い聞かせてる事。
―簡単に諦められる気持ちじゃないって事、あたしが1番知ってる。
なのに、公園でのあたしは、祐紀に“親友”だと言われて忘れていたんだ。
:09/03/18 18:12
:W61T
:buNzZ3cs
#88 [匿名]
あの時は本当に、
諦められるって思った。
祐紀は親友だって
心の底から思った。
祐紀はあたしの親友。
でも、ごめん。
諦めきれてない。
あたし、しつこいよね。ごめんね。
…早く、早く忘れなきゃ。
:09/03/18 18:14
:W61T
:buNzZ3cs
#89 [匿名]
―その夜の合コンは、
何ともまぁ普通だった。
“佐々木ひかる”って男の子と連絡先交換した。
多分、あたしの事気になってる…と思う。
これじゃあたし
自意識過剰か…。
祐紀とは反対の、
大人びてる人。
―1つ上の高3。
:09/03/18 18:20
:W61T
:buNzZ3cs
#90 [いちご]
あたしの恋に似てます
あたしわ失恋したけど
桃太郎にわ頑張って
欲しいです(pqω・`)
主さんも頑張って
下さいm(__)m
長文失礼しました
:09/03/18 23:37
:SO906i
:☆☆☆
#91 [匿名]
:09/03/20 21:32
:W61T
:YgsLzOIc
#92 [匿名]
―それからひかるとは
よく会うようになった。
クールだけど、
優しいひかるに
だんだんと惹かれている自分がいた。
ううん、惹かれてるって必死に思い込んでる自分がいた。
ひかるを好きになろう、って頑張ってる自分がいた。
:09/03/20 21:36
:W61T
:YgsLzOIc
#93 [匿名]
ひかるはあたしを
笑わせてくれた。
一緒にいると
楽しかった。
祐紀の事を忘れさせてくれると思った。
これでいいのかな。あたしは前に進めてるの?
祐紀、あたしがひかると付き合っても、何も思わない?
:09/03/20 21:39
:W61T
:YgsLzOIc
#94 [匿名]
―『俺、ももかの事好き。付き合って下さい。』
ねえ…祐紀、
あたし告白されちゃった。
何も思わないよね
きっと。
ついに桃太郎にも
彼氏かーって一緒に喜ぶんでしょ?
俺にも紹介しろって
偉そうに言ってくるんでしょ?
:09/03/22 16:28
:W61T
:6kRvc.FE
#95 [匿名]
―「はい。」
ごめんねひかる。
あたし、まだ祐紀の事
好きすぎてどうしようもないの。
でも、この気持ちを隠してひかると付き合う。
最低だよね。
もうこんな気持ち嫌なの。
親友を好きな、こんな叶わない恋をもう終わりたい。
ひかるなら
忘れさせてくれそうだから…。
:09/03/22 16:32
:W61T
:6kRvc.FE
#96 [匿名]
『…良かったぁあ』
満面の笑顔のひかる。
…あ、ひかるってこんな顔するんだ。
いつも落ち着いてるし、笑ってもニコッとか
そんなかんじ。
こんな子供みたいな
笑顔…するんだ。
何か意外だった。
『フラれたらどうしようかと思ったし!』
「あたし今すごい緊張したんだからね!」
『それは俺のセリフだろ(笑)』
あ、何か忘れられる気がする。
:09/03/22 16:36
:W61T
:6kRvc.FE
#97 [我輩は匿名である]
頑張ってください
続き楽しみに待ってます.
:09/03/26 18:22
:W51P
:Ieyti9tg
#98 [匿名]
>>97ありがとうございます
更新遅くなって
すいません(´・ω・`)
:09/03/27 12:13
:W61T
:b6atQLyE
#99 [匿名]
―『良かったじゃん!』
祐紀があたしに
言った一言。
彼氏出来たよって言ったら、ほら予想通り。
笑顔で喜んでくれるんだもんね。
やっぱり傷ついたけど、前より軽くなった気がする。
ひかるのおかげかな?
:09/03/27 12:16
:W61T
:b6atQLyE
#100 [匿名]
『あ、今度ダブルデートしよー!桃太郎の彼氏見たいっ!』
…ダブルデートか。
てことは、祐紀の彼女を見なきゃいけない訳で。
イチャついてる2人を
見なきゃいけない訳で。
何かすごく複雑な気持ちだった。
:09/03/27 12:19
:W61T
:b6atQLyE
#101 [匿名]
「いいよ。あたしの彼氏超イケメンだから!
祐紀とは比べものにならないくらい(笑)」
『えー今傷ついたんだけどー!』
…何か、彼女さんと祐紀を見たら
忘れられる気がする。
ちゃんと、現実を受け入れられる気がする。
あたしの彼氏はひかる。だけどあたしは祐紀を忘れられていない。
早く忘れなきゃ。
…ほんとあたし最低。
:09/03/27 12:23
:W61T
:b6atQLyE
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