黒猫の棲むところ
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#100 [イリア]
狐「今度は殴ったあああぁぁあ!!!」
猫「てめぇ本当、いい加減にしろよ。
何のためについてきたんだ、あ?」
:09/03/22 19:32 :W61P :☆☆☆
#101 [イリア]
「ふんだ、ふんだ…
よくもまぁこんな綺麗な顔して
カスだのてめぇだの
言えたもんだよ…
お客さんが君の本性知ったら
僕らの劇団終わりだね」
「…てめー」
:09/03/22 19:34 :W61P :☆☆☆
#102 [イリア]
「あーはい!ごめんなさい★
えーではさっそく、お嬢さん!」
「あ、はい!」
二人のやり取りを
口をポカンと開けて見ていた私は、
ハッと意識を戻す。
:09/03/22 19:34 :W61P :☆☆☆
#103 [イリア]
狐「いやぁさっきは怖かったね!
あれは悪い妖だから気をつけてね!
あ、そうそう、僕の名前は狐。
アスタリスクっていう劇団の
団長をやらせてもらってる。」
七「…アスタリスク…?」
さっきの鬼も、そんなこと…
:09/03/22 19:35 :W61P :☆☆☆
#104 [イリア]
狐「そう、アスタリスク。
聞いたことあるかな?
僕が言うのもアレだけど、
結構有名なんだよねー!!」
七「…あ…すいません…
私なんか…自分の名前くらいしか
覚えてなくて…ってことに、
今さっき気がついて…」
:09/03/22 19:36 :W61P :☆☆☆
#105 [イリア]
狐「………へぇ…?」
そう言うと狐は
さっきまでのちゃらけた感じとは
真逆の笑みで七衣を見た。
:09/03/22 19:36 :W61P :☆☆☆
#106 [イリア]
七「…狐さん…?」
狐「…ん?いや何でもないよ!
ごめんごめん!
いや、なに、アレさ!
僕らの劇団を知らないって
いうもんだから、
ちーとばかりショックをね…」
:09/03/22 19:37 :W61P :☆☆☆
#107 [イリア]
七「…ごめんなさい…」
狐「いや何!
記憶喪失というなら
いた仕方ない!!」
七「…はぁ」
:09/03/22 19:37 :W61P :☆☆☆
#108 [イリア]
狐「そんな七衣ちゃんに
軽ぅ〜く説明するとだね、
アスタリスク劇団というのは
巷じゃ人気、まぁ色んな意味でね!
人間に言わせると
イケメン揃いの移動劇団、
妖に言わせると
裏切り者の殺戮奇術(サツリクキジュツ)、
アスタリスク劇団!」
:09/03/22 19:38 :W61P :☆☆☆
#109 [イリア]
七「裏切り者…?」
狐「うん、
さっきの鬼も言ってたけど
僕らは半妖。
普段は人間の姿でいるけど、
こうやって…」
そう言うと狐は、
左手で自分の頬に触れた。
:09/03/22 19:39 :W61P :☆☆☆
#110 [イリア]
ボンッ!
「キャッ?!
――……え?」
私の目の前にいたのは
:09/03/22 19:41 :W61P :☆☆☆
#111 [イリア]
七「…き、きつね…?」
狐はコクン、コクンと頷くと、
右手を自分の頬にあて、
またボンッ と人間の姿に戻った。
:09/03/22 19:41 :W61P :☆☆☆
#112 [イリア]
狐「まぁ、こんな感じ。
気持ちをこめて頬に触れると
僕らは元の姿に戻れる。」
七「…信じられない…でも…
…ってことは」
私は狐さんの横で
腕組みをしている少年に話しかけた。
:09/03/22 19:42 :W61P :☆☆☆
#113 [イリア]
「…あのときの…黒猫さん…?」
「………ふん」
黒猫が、鼻を小さく鳴らした。
:09/03/22 19:43 :W61P :☆☆☆
#114 [イリア]
狐「あ!そうそう!
ネコくんのこと、
助けてくれたんだってね!
いやぁ有難う!」
七「助けたなんて…
私別に何も…」
:09/03/22 19:43 :W61P :☆☆☆
#115 [イリア]
狐「いやいやいや!
川の水で血を清めて、
雨からも守ってくれたんだろ?
凄いよ君、
見ず知らずの半妖をさ!
ネコくんに話を聞いたときは
感動しすぎて鼻水が出たよ!
あ、もちろんその前に
涙も出てるよ?
さぁ、君の無垢(ムク)で
美しい心に乾杯!
流石ネコくんがスカウトしたいと
いうくらいだよ!!
マリア様と呼ばせてもらっても
いいかい?」
:09/03/22 19:45 :W61P :☆☆☆
#116 [イリア]
七「マリア様はちょっと…
っていうか、
川…雨…スカウト…?」
猫「あの川、俺たち妖にとって
怪我に何よりも効く薬なんだ。
あと妖は雨が苦手。
雨が降ってると
力があまり出せない。」
:09/03/22 19:46 :W61P :☆☆☆
#117 [イリア]
黒猫さんが答えてくれた。
いや、でもあなた
私が止めるのも聞かず、
雨の中飛び出して
いきましたよね…?
まぁ、それは言わないでおこ。
:09/03/22 19:47 :W61P :☆☆☆
#118 [イリア]
七「もう、怪我はいいんですか?」
猫「…あんたのお陰で、何とか。
もともと血は止まってたしな」
良かった…口には出さなかったが、
代わりに私は口元を緩めた。
:09/03/22 19:48 :W61P :☆☆☆
#119 [イリア]
狐「ちょっと、僕を置いて
ラブラブしないでくれる?」
猫「いつラブラブしたよ、あ?」
狐「またそんな
えげつない声出すぅー
もぉーネコくんったら
顔と声と性格が合ってないぃー
僕の劇団の花形俳優ってとこ、
もう少し自覚して
欲しいとこだよね、まったく」
:09/03/22 19:50 :W61P :☆☆☆
#120 [イリア]
>>115続きになってしまった(゚д゚)
読んで下さってる方
もしいましたら
感想・アドバイスなど
頂けると嬉しいです(;_;)
:09/03/22 19:52 :W61P :☆☆☆
#121 [イリア]
猫「…狐…」
狐「コホン!
えー話が大分ズレましたが!
僕らアスタリスク劇団の主な仕事は
昼間は人間、たまに妖の
心のオアシスともなりえる
大人気!移動劇団!!」
:09/03/22 19:59 :W61P :☆☆☆
#122 [イリア]
七「…はぁ」
狐「しかし!もう一つの姿は
最近、罪なき人間を
襲うようになった
怖ぁ〜い妖を退治する
ハンター集団!
…さっきの、
ネコくんみたいにね♪」
:09/03/22 19:59 :W61P :☆☆☆
#123 [イリア]
七「…ハンター…」
狐「そう♪かっこいいでしょ★
って言っても、
悪い妖ばっかじゃないんだよ?
ちゃんと人間と共存しようと
努力してる妖もいる。」
:09/03/23 13:51 :W61P :☆☆☆
#124 [イリア]
七「…あの…それで…
さっきの鬼が言ってた、
アマハラ…?って、
何のことですか…?」
ピクッ
空気が変わる
狐さんからは
おちゃらけた笑みが消え、
黒猫さんは私から目をそらす。
:09/03/23 13:52 :W61P :☆☆☆
#125 [イリア]
七「…あの…?汗」
何か…聞いちゃいけない
ことだったかな?
でもでもでも!
鬼は間違いなく
私のことアマハラ一族だって…
:09/03/23 13:52 :W61P :☆☆☆
#126 [イリア]
七「あ、あの!
言いづらいことだったら
ごめんなさい!
でも私…さっきも言ったけど
自分のこと…何も覚えてなくて…」
猫「―……何も…?」
どもりながらも必死に言うと、
黒猫さんが、私に話しかけてきた。
:09/03/23 13:52 :W61P :☆☆☆
#127 [イリア]
七「何も!本当に何も!!
あ、名前と…あと、
日本語は一応喋れますけど!
なんていうか…どこに」
:09/03/23 13:53 :W61P :☆☆☆
#128 [イリア]
どこに
誰が
マ ッ テ ル ?
七「…どこに…行けばいいか…」
:09/03/23 13:53 :W61P :☆☆☆
#129 [イリア]
狐「―…ふぅ…ネコくん、
どう思う?本当にこの子、
雨原の子かい?」
猫「フフン、頭だけじゃなく、
ついに嗅覚まで
イカれちまったか、狐。
お前は匂わないのか?
この血は…」
:09/03/23 13:53 :W61P :☆☆☆
#130 [イリア]
黒猫さんは私の腕を掴み
自分のほうに寄せた。
七「キャッ!」
猫「――……間違いなく、
雨原の血だ」
:09/03/23 13:55 :W61P :☆☆☆
#131 [イリア]
そう言うと黒猫さんは
掴んでいた私の腕を舐め、
血を拭った。
:09/03/23 13:55 :W61P :☆☆☆
#132 [イリア]
七「――ッッ!!!!!!キ!!キャアアー!!!!///」
キ――ン……
あたり一面に
私の叫び声が轟(トドロ)く。
:09/03/23 13:56 :W61P :☆☆☆
#133 [イリア]
狐「―…120dB(デシベル)…笑」
猫「…煩(ウルサ)いな、何だよ?」
七「な、何だよじゃないですよ!
いま…いま…私の腕、
舐めたでしょっ?!」
:09/03/23 13:56 :W61P :☆☆☆
#134 [イリア]
猫「フフン、何あんた、
こんくらいで照れるわけ?
顔真っ赤だよ?」
七「な、な、な、
慣れて…ないもんで…」
猫「って、ことは」
:09/03/23 13:57 :W61P :☆☆☆
#135 [イリア]
グイッ
顎(アゴ)をもたれ、無理矢理顔を
近づけさせられる。
猫「―…誰かと唇を重ねたことは?」
:09/03/23 13:57 :W61P :☆☆☆
#136 [イリア]
七「なっ…////」
綺麗な顔がすぐ目の前にある。
何この人!慣れすぎでしょ!//
七「はなはなはな、離して下さい!」
猫「クス、いいよ」
:09/03/23 13:58 :W61P :☆☆☆
#137 [イリア]
:09/03/23 13:58 :W61P :☆☆☆
#138 [イリア]
狐「ちょっとちょっとネコくん。
本当にキスするかと思ったよー
駄目だよ?七衣ちゃんって
何もかも処女みたいだしさ?
優しくしなきゃ〜」
七「何もかもって…
てか、処女っ…?!//」
:09/03/23 13:59 :W61P :☆☆☆
#139 [イリア]
猫「何あんた?記憶がないくせに
処女とか、そういう言葉は
覚えてるんだ、ふーん。」
ニッコリ笑って
こっちを見る黒猫さん。
さ、さっきまでは
私から目を
そらしてたくせに…!!///
:09/03/23 14:01 :W61P :☆☆☆
#140 [イリア]
狐「はいはい、お二方、
そろそろ話を
元に戻しましょうかね、
うん、確かに七衣ちゃんからは
雨原一族の血の匂いがする。」
七「…アマハラ…」
:09/03/23 14:01 :W61P :☆☆☆
#141 [イリア]
狐「雨に、原っぱの原で、雨原。
一人一人が雨に関する
何かしらの力を持ってて…
さっきも話した通り、僕ら妖は
雨が大の苦手。
だからその力で雨雲なんか
呼ばれた日にゃ、
僕らなんかまったく
太刀打ちできないって訳。」
:09/03/23 14:02 :W61P :☆☆☆
#142 [イリア]
七「なんか…おとぎ話みたい」
猫「現実だけどね」
狐「そう、まさしく現実。
僕らが生きてる世界だ。
―…だから僕らは今まで」
雲が出る。
もう一雨きそうな曇天。
:09/03/23 14:02 :W61P :☆☆☆
#143 [イリア]
狐「――……雨原一族を、
見つけしだい…殺してきた」
え…
いま何て…
:09/03/23 14:03 :W61P :☆☆☆
#144 [イリア]
狐「大丈夫、まだ続きがあるんだ。
もう何百年も昔から、
妖と人間は、戦い続けてきた。
共存なんて無理だ。
妖を人間を喰らうし、
人間は妖を恐れ殺す。
…僕ら半妖は一応、
妖側として戦争に参加していた。」
:09/03/23 14:03 :W61P :☆☆☆
#145 [イリア]
七「………」
狐「ずっと…ずっと、ね?
そこで少しずつ、
頭角(トウカク)を表してきたのが
雨原一族。君の一族だ。」
:09/03/23 14:04 :W61P :☆☆☆
#146 [イリア]
七「私の…?」
狐「妖にとっての最大の弱点。
雨を呼ばれ、妖は一時期
本当に滅亡しかけた。だけど」
七「…だけど?」
:09/03/23 14:05 :W61P :☆☆☆
#147 [イリア]
狐「…あるとき急に、
雨原一族が妖側に言ったんだ。
【そちらで丁重に扱って頂けるなら
私達、雨原一族は妖側に立ちます】
…って、ね。」
:09/03/23 14:05 :W61P :☆☆☆
#148 [イリア]
ポツポツ…
少しずつ、雨が降り出す。
黒猫さん、狐さん
大丈夫なのかな?
:09/03/23 14:06 :W61P :☆☆☆
#149 [イリア]
狐「そうして、雨原一族は
僕らの君主になった。
……雨だ、場所を変えよう」
猫「…いや…」
七、狐「?」
:09/03/23 14:06 :W61P :☆☆☆
#150 [イリア]
猫「ここで、話してしまおう。
どちらにしろ早く話さないと
そろそろ麗(レイ)が気づく」
狐「麗ちゃん嗅覚いいもんねー
もうバレてるかも…で、
どこまで話したかな?
あ、そうそう。それで数十年は
うまくいってた。」
:09/03/23 14:06 :W61P :☆☆☆
#151 [イリア]
七「…どうして雨原一族は
人間を裏切ったんですか?」
狐「―…さぁ…それは僕らにも
分かんないな。」
そう言った狐さんの横顔は
何故か少し寂しそうだった。
:09/03/23 14:07 :W61P :☆☆☆
#152 [イリア]
狐「うん、でもまたある時
雨原一族は僕ら妖を裏切った。」
七「―――……え?」
:09/03/23 14:07 :W61P :☆☆☆
#153 [ちー]
ここ好きー(゚∀゚)
続きまってるー
:09/03/23 14:25 :SH902iS :☆☆☆
#154 [イリア]
>>153ちー様
あわわ(゚д゚)
もったいないお言葉
有難うございます(;_;)
初コメにものすごく
感動してます(´;ω;`)←
駄文だし更新もまちまちですが、
最後まで頑張るので
また見て頂ければ
嬉しいです\(^O^)/
コメントありがとう
ございました★
:09/03/23 23:52 :W61P :☆☆☆
#155 [イリア]
:09/03/23 23:53 :W61P :☆☆☆
#156 [イリア]
狐「驚いたよ、あれだけ仲良く…
って言っても、
主従関係だけどね。
何故?って思った。
雨原一族と妖で」
雨が本格的に降り出す。
川の表面にあたる雨は
広がり、波音を残し
…また、消える。
:09/03/23 23:54 :W61P :☆☆☆
#157 [イリア]
狐「…愛し合ってた人も、
いたのにさ。」
狐さんの声はもう、
雨音に混じりかき消され
聞き取りずらい。
猫「…関係なかったんだろ、
結局…雨原も人間だったってことだ
血には逆らえない。」
:09/03/23 23:55 :W61P :☆☆☆
#158 [イリア]
狐「妖は雨原一族を憎んでる。
新しい君主のもと、雨原の血を
途絶えさせるべく
全国に散らばってる。
だけど雨原だって
黙っては殺(ヤ)られない。
雨を呼び、妖を殺す。
そして、行き場のない
妖たちの憎しみは、
関係のない人間を殺す…
…悪循環だ」
:09/03/23 23:57 :W61P :☆☆☆
#159 [イリア]
七「―…私も殺すんですか?」
狐「え?」
七「なら、さっき
助けてくれないで良かったのに。
あのまま鬼に殺されておけば、
少しはあの鬼の憎しみも
取れたかもしれない。」
:09/03/23 23:57 :W61P :☆☆☆
#160 [イリア]
狐「…七衣ちゃん…」
七「だって、話だけ聞くと、
雨原一族って何なんですか。
あっち行きこっち行き…
そんなの妖に憎まれたって
文句言えないですよ、ね?」
:09/03/23 23:58 :W61P :☆☆☆
#161 [イリア]
猫「…まったく、正論だ」
狐「うん、記憶がないとはいえ
雨原の匂いがする人間に
こんなこと言われると…
不思議な気持ちだねぇ」
:09/03/23 23:58 :W61P :☆☆☆
#162 [イリア]
七「…あはは
殺すなら、殺してくれて
かまいませんよ。
…どうせさっきみたいな
鬼がきたら、
逃げられないんだし」
:09/03/24 00:00 :W61P :☆☆☆
#163 [イリア]
どうせ死ぬなら
今、死にたい。
私は貴方達には
殺されない。
…もう、
貴方達の思い通りには
ならないのよ。
:09/03/24 00:02 :W61P :☆☆☆
#164 [イリア]
頭の中で、美しい声が響いた。
いつか、どこかで、
誰かに言われた。
美しい人。
美しい唄。
:09/03/24 00:04 :W61P :☆☆☆
#165 [イリア]
ずっと前だった気もするし
つい最近のような気もする。
…誰だったかな?
:09/03/24 00:04 :W61P :☆☆☆
#166 [イリア]
猫「あんたを殺して、
それでおしまい。
そうしたい。簡単だ。
…ところが、
そうはいかない。」
七「え?」
:09/03/24 00:05 :W61P :☆☆☆
#167 [イリア]
黒猫さんは一瞬
私の目を見たあと、
空を仰ぎながら、喉を鳴らす。
:09/03/24 00:06 :W61P :☆☆☆
#168 [イリア]
その揺りかごが風に揺れて
私は大きくなった
私は風にさらわれて
もうあなたは見えない―…
雨の音 風の声 聴いて
揺りかごを揺らして
早く私を迎えにきて――……
:09/03/24 00:07 :W61P :☆☆☆
#169 [イリア]
美しい声
この声を聞きながら死ねたら
どれほど幸福なんだろう。
どれほどの痛みで
魂と躯(カラダ)は
別れを告げあうのだろう。
それにこの唄…
さっき私が歌った…?
:09/03/24 00:10 :W61P :☆☆☆
#170 [イリア]
パチパチパチ
狐さんが拍手をした。
狐「いやあ!流石花形俳優!
美声だね〜思わず聞き惚れた!」
:09/03/24 00:10 :W61P :☆☆☆
#171 [イリア]
猫「フフン、当たり前。
あんたさ、さっきこの唄
歌ってなかった?
ほら、怪我した俺を洞穴に
連れてってくれたとき。」
:09/03/24 00:11 :W61P :☆☆☆
#172 [エ]
今めっちゃ読んでました
いいですね★
これからも読みます
:09/03/24 01:03 :W51CA :☆☆☆
#173 [イリア]
>>172e様
(´д`⊂。)
コメントありがとうございます!
もう本当に本当に嬉しいです(;_;)
e様のコメ見て、眠気が
一気に吹っ飛びました。笑
これからも読んで頂けるとか
最高に嬉しい言葉です(;_;)★
今からがっつり(?)更新するので
読みづらいようでしたら
>>2の安価を使って下さい(^ω^)
コメありがとう
ございました(´;ω;`)☆
:09/03/24 01:44 :W61P :☆☆☆
#174 [イリア]
:09/03/24 01:45 :W61P :☆☆☆
#175 [イリア]
七「…歌って…ましたよね…
何となく覚えてたんです。
でも正確な歌詞までは…
この唄、何なんですか?」
猫「この唄が何かなんて
そんなの俺たちが聞きたい。
何でも…雨原一族の血に
受け継がれる
唄らしいけど…」
:09/03/24 01:46 :W61P :☆☆☆
#176 [イリア]
七「…黒猫さんは
何でこの唄を?」
猫「…俺は…」
雨
あぁ私が目覚めてからの天候は
雨ばかりだな。
:09/03/24 01:47 :W61P :☆☆☆
#177 [イリア]
猫「―…教えてもらった、昔。
声をくれた人…
…もう何年も前の話だ」
そう言うと黒猫さんは
また、空を仰ぐ。
雨に濡れ、雫が伝う漆黒の髪は
どうしてか、私の鼓動を早める。
:09/03/24 01:47 :W61P :☆☆☆
#178 [イリア]
狐「君は雨原だ」
狐さんの声が響く。
七「―…私は…雨原…」
狐「ここまでは、いいかい?」
七「…はい」
:09/03/24 01:48 :W61P :☆☆☆
#179 [イリア]
狐「妖は雨原一族を憎んでる、
危険だよ…
例え、君に記憶がなくても。
君の体に流れる
その血は、その匂いは…
僕らに雨原の居場所を
教えてくれる」
:09/03/24 01:48 :W61P :☆☆☆
#180 [イリア]
危険
そうだろう
あんな鬼が次に私を襲い、
さっきみたいに
黒猫さんが守ってくれなかったら
私なんか、一瞬であの世行きだ。
:09/03/24 01:49 :W61P :☆☆☆
#181 [イリア]
死ぬなら
もし死ぬなら、私は
黒猫さんの唄を聞きながら
死にたいな。
痛みも苦しみもないだろう。
美しい声は
全てを消し去ってくれる。
何故か、そう感じた。
:09/03/24 01:50 :W61P :☆☆☆
#182 [イリア]
:09/03/24 01:50 :W61P :☆☆☆
#183 [イリア]
さっきから…
頭の中で、声がする
誰?私の中に誰かいる?
教えて、雨原のこと。
私は何?
何故、一人ぽっちなの?
:09/03/24 01:51 :W61P :☆☆☆
#184 [イリア]
猫「―…ィ……………オイ!!」
七「…え?あ、はいッ!!」
:09/03/24 01:51 :W61P :☆☆☆
#185 [イリア]
猫「はい?じゃねえよ、
あんたさ、何ぼけっとしてんの。
狐の話聞いてる?
こいつにしては結構まともに
話してるんだぜ、これでも」
狐「おーい」
:09/03/24 01:52 :W61P :☆☆☆
#186 [イリア]
七「あ、すいません!
なんか…考えること、
いっぱいで…」
猫「―…アスタリスクに、入らない?」
:09/03/24 01:52 :W61P :☆☆☆
#187 [イリア]
七「…え?」
猫「だから、俺たちの劇団に
入らないかって聞いてるの。
劇団についての説明は
さっき一通り聞いただろ?」
:09/03/24 01:53 :W61P :☆☆☆
#188 [イリア]
狐「ネコくん自ら
スカウトするなんてねー
珍しいこともあるもんだ。
僕は歓迎だよ?
七衣ちゃん、可愛いし…
…ちょっと冗談だよネコくん、
いや七衣ちゃんは可愛いけど…
そんなに睨まないでくれる?
…軽口叩いてごめんなさい!」
:09/03/24 01:53 :W61P :☆☆☆
#189 [イリア]
七「…でも…あたし…」
猫「―…何?」
七「貴方達のこと、
何も知らない。」
:09/03/24 01:56 :W61P :☆☆☆
#190 [イリア]
猫「知ってるよ
俺は黒猫。クロやらネコやら
好きに呼んで。」
七「名前じゃなくて…」
猫「俺は今生きて、
あんたの目の前で呼吸をしてる」
七「………あ」
:09/03/24 01:56 :W61P :☆☆☆
#191 [イリア]
猫「…そんだけ知ってれば
充分だと思うけど?
仮にあんたがもっと俺のこと
知りたいと望むなら…」
黒猫さんが、私の目を見つめる。
:09/03/24 01:57 :W61P :☆☆☆
#192 [イリア]
:09/03/24 01:57 :W61P :☆☆☆
#193 [イリア]
カァァァ
顔が赤くなる
そんな自分を隠すように
私は声を張り上げる。
七「―…で、でもでもでも!!」
狐「なになに?」
:09/03/24 01:57 :W61P :☆☆☆
#194 [イリア]
七「…私…
雨原一族なんですよね…?
私は覚えてないけど…
一緒にいて…」
猫「フフン、あんたなんか
一人でほっつき歩いてたら
二秒で鬼の腹の中だよ」
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#195 [イリア]
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#196 [イリア]
え―……?
私が言葉を終える前に
黒猫さんが言葉を重ねる。
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#197 [イリア]
:09/03/24 01:59 :W61P :☆☆☆
#198 [イリア]
ボッ
そのキザだが、
美しい外見に似合う
台詞(セリフ)を言われたとき
私は顔は真っ赤だったらしい。
まぁ後から狐さんに
聞いた話だけど。
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#199 [イリア]
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#200 [イリア]
狐「駄目だね、落ちたね
いやさ、ネコくんいいよー
今の台詞じゃないもんね?
素のネコくんだもんね?
うんうん、かっこいい!
やっぱアレだ。
次の舞台主役も
君にしてもらおっと♪
狼くんには悪いけど」
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