BLUE LETTERS
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#168 [我輩は匿名である]
 
一瞬戸惑ったように足踏みをした彼だったが、私はもう何も言わなかった。


こんなとき、可愛い女ならそれこそ愛らしく、いかないで、と男を引き留めることが出来るのだろう。
賢い女なら言葉巧みに誰もが騙されるような言い訳を思いつくのだろう。

でもそのどれも私にできなかった。
 

⏰:09/09/27 00:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#169 [我輩は匿名である]
 
口数の少ない私達は、ありがとうもごめんねもあいしてるも、全てくちづけで伝えあっていた。
優しさも寂しさもおおよそ恋人が分かち合う全てを(いいや、伝わっていると思っていたのは私だけだったのかもしれない。今となっては確かめる術は無いが)。
それが、いつからだっただろう、瞳を見つめあわなくなった。身体を重ねる事も少なくなった。唇を寄せる事すら億劫になった。
 

⏰:09/09/27 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#170 [我輩は匿名である]
 
口数の少ない私達は、

…お互いを繋ぎとめておく術を知らなさすぎた。

今あふれだしたこの涙も、いっそ彼の前で流せたらまた違った未来があったのだろうけど。
 

⏰:09/09/27 00:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#171 [我輩は匿名である]
 


二人で暮らしたこの部屋に独りきりで佇んでいた。


「好き…」


言葉にすれば、

笑えてくるほど簡単な事で

 

⏰:09/09/27 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#172 [我輩は匿名である]
 

「…、…すきだったよ」


言葉が浮かばないのならば、寄り添えば良かった。

壊れた玩具みたいに止まらない涙ばかり拭うこの掌で彼を抱きしめればよかった。

 

⏰:09/09/27 00:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#173 [我輩は匿名である]
 


私の掌にはアイスブルーのピアスが片方だけ残った。

 

⏰:09/09/27 00:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#174 [我輩は匿名である]
 

ここにはかえらない彼は、

こことは違うどこかで笑っているのだろうか。


 

⏰:09/09/27 00:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#175 [我輩は匿名である]
 
片耳の石を無くした事に気付かなかった。
そんなふうに、私達は私達の恋をなくしてしまった。
片方だけのピアスなんて、もう付けられないではないか。
そんなのは、"無い"のと同じだ。

 

⏰:09/09/27 00:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#176 [我輩は匿名である]
 


ピアスは片方だけがなくなる。

何時だってそう。


 

⏰:09/09/27 00:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#177 [我輩は匿名である]
 


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⏰:09/09/27 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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