BLUE LETTERS
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#206 [我輩は匿名である]
あるとき、あなたは時間だった。
あなたはどんな姿でもかわらずに美しく。
平等で残酷なのに美しく美しく。
:09/11/21 23:41
:SO903i
:☆☆☆
#207 [我輩は匿名である]
私はあなたをいつも厚手のコートの懐に忍ばせて、ポケットに手をつっこんで歩いた。
あまりの寒さに心臓が縮むようだったけれど、あなたの針の音のほうがずっとせわしなく感じられた。
:09/11/21 23:42
:SO903i
:☆☆☆
#208 [我輩は匿名である]
肩で風をきるようにして家路を急いでいると視界の端に痩せほそった仔猫が息も絶々な様子で横たわっているのが見えた。私は仔猫の前を足早に通り過ぎ、ポケットの中のありたっけのはした貨幣をみすぼらしい格好をした浮浪者の帽子の中に突っ込んでまた足早に歩き出した。
時間だった頃のあなたは誰にでも等しく優しく残酷だった。
:09/11/21 23:43
:SO903i
:☆☆☆
#209 [我輩は匿名である]
あるとき、あなたは私の恋人だった。
あなたはどんな姿でもかわらず美しく。
温かく滑らかで美しく美しく。
:09/11/21 23:45
:SO903i
:☆☆☆
#210 [我輩は匿名である]
私が戦争にとられることになったときには枯れてしまうのではないかと思うほど泣かせてしまった。
父も母も亡くしていた私はあなただけを心残りに極寒の戦場へ。
:09/11/21 23:46
:SO903i
:☆☆☆
#211 [我輩は匿名である]
その年のクリスマスはそこで度数のきつい酒を少しずつ口に含んで寒さをやりしのいだ。
そしてその後はお決まりの展開だった。
戦場で仲間達にあなたの写真を見せた翌日に、つめたい鉛弾が私を貫いた。
私は激痛と傷口の灼熱で悶えながら、冷たくなった。
:09/11/21 23:47
:SO903i
:☆☆☆
#212 [我輩は匿名である]
あるとき、あなたは青い手紙だった。
あなたはどんな姿でもかわらずに美しく。
簡素でそっけないのに美しく美しく。
:09/11/21 23:49
:SO903i
:☆☆☆
#213 [我輩は匿名である]
私はあなたが誰から届いたのか最期までわからなかったけれど、世界の果てからやってきたということだけはわかっていた。
:09/11/21 23:50
:SO903i
:☆☆☆
#214 [我輩は匿名である]
最愛の息子と幾人かの孫達にみとられ静かに眠りについたとき、私は幸福な気分で神に祈った。
次の世界でもあなたにあわせて下さい、と。
:09/11/21 23:51
:SO903i
:☆☆☆
#215 [我輩は匿名である]
青い手紙のしめくくりの言葉を心に刻む。
きっと守っておくれよ。
約束だからね。
きっとだよ。
:09/11/21 23:52
:SO903i
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