BLUE LETTERS
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#111 [我輩は匿名である]
:09/07/19 16:35
:SO903i
:☆☆☆
#112 [我輩は匿名である]
古い窓辺に青い手紙が忘れられたように凪いでいる。
開け放された窓から吹き抜けた和かく陽気な風に誘われて春嘉は校庭を覗いた。
:09/07/19 16:36
:SO903i
:☆☆☆
#113 [我輩は匿名である]
とたんに春嘉の視界を満たす昼下がりの明るさと、
彼の後ろ姿、
あまりの眩しさに、思わず目を伏せた。
:09/07/19 16:38
:SO903i
:☆☆☆
#114 [我輩は匿名である]
彼は明日、この街を去る。
:09/07/19 16:39
:SO903i
:☆☆☆
#115 [我輩は匿名である]
彼が春嘉にその旨を伝えたとき、彼の瞳に躊躇は一切なかった。
悔しいかな切ないかな、その凛とした姿は春嘉が思いを寄せた姿そのものだった。
:09/07/19 16:40
:SO903i
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#116 [我輩は匿名である]
「そう、東京、か…遠いねぇ。もうこっちには戻らいの?」
もう僕の所に帰らないつもりなのかい?
聞いてしまえば、いっそ楽になれたのだろうか。
それっきり二人して黙り込み、そして先に教室を出たのは春嘉のほうだった。
ごく自然な足取りで、まるで明日またこの街で会えるかのように。
:09/07/19 16:42
:SO903i
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#117 [我輩は匿名である]
――そもそも、春嘉は密かに彼に抱いたその切ない気持ちを明かすつもりは甚だなかった。
:09/07/19 16:44
:SO903i
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#118 [我輩は匿名である]
いつも遠くから――この教室から走る彼を見ていた。
はじめて彼が春嘉の視線に気付き、手を振ってきたときは胸が痛いほど打ったのを憶えている。
いつも一方方向だった視線が交わり、いつしか互いを優しく意識するようになっていた。
知らない彼を見つける度に愛しい、この人でよかったと思った。彼の笑顔が見られたときには春嘉も幸せだった。
:09/07/19 16:46
:SO903i
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#119 [我輩は匿名である]
愛していると、
いっそのこと、かき抱いて身を寄せて、言ってしまえばよかったのだろうか。
:09/07/19 16:48
:SO903i
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#120 [我輩は匿名である]
だが別れを泣いて惜しむつもりはない。
春嘉は覚悟をきめていたのだ。
彼がいなくとも、彼が微笑みかけなくとも、例え彼が春嘉以外の誰かのものになってしまったとしても。
彼を思い続ける、覚悟。
彼に恋をし続けることを。
:09/07/19 16:52
:SO903i
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