BLUE LETTERS
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#131 [我輩は匿名である]
 
もしかしたらそれは夢なんかではなく、彼の記憶そのものなのかもしれない。
 

⏰:09/08/07 21:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#132 [我輩は匿名である]
 
彼にとって自分が夢の中にいるかどうか見極めるのは至極容易だった。夢の中では彼の腕時計の音だけが聞こえないのだ。
 

⏰:09/08/07 21:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#133 [我輩は匿名である]
 
彼が愛用する腕時計――ベルトは重厚な黒の皮革があしらわれた彼の一番のお気に入りのそれ――は彼の妻が彼の誕生日に贈った物だった。
 

⏰:09/08/07 21:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#134 [我輩は匿名である]
 
誕生日を祝うという習慣が無かった家庭に育った彼は、少し戸惑いながら不器用に微笑んだ。
そして、これまた不器用に包装を解き、その時計の美しさに息をのみ今度は屈託の無い笑顔を妻に向けた。 

⏰:09/08/07 21:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#135 [我輩は匿名である]
 
顔を上げ妻へと視線を移した彼は、その時はじめて、自分以上に妻が嬉しそうに微笑んでいることに気が付いたのだった。
 

⏰:09/08/07 21:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#136 [我輩は匿名である]
 

「――」

 

⏰:09/08/07 22:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#137 [我輩は匿名である]
 



目覚めたら、そこは仕事場の机の前だった。
何人かの部下達が、慌てて視線を自分達の仕事へと戻して縮こまった。

以前は仕事に関して他人にも、また自分にも厳しかった彼。
ばつが悪そうに、一度髪を乱暴にかいて机に直った。
 

⏰:09/08/07 22:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#138 [我輩は匿名である]
 

ふ、と。

彼は自分に向けられる視線に気付いた。

真っ黒な瞳が印象的な、凛とした雰囲気の青年がこちらをじっと伺っている。

そして青年は彼に恭しく近づいた。
 

⏰:09/08/07 22:03 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#139 [我輩は匿名である]
 




びっ、と冷たくて強い風が彼と青年の頬を叩くようにふいた。

二人は仕事場の屋上にいた。

 

⏰:09/08/07 22:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#140 [我輩は匿名である]
 
誘ったのは青年のほうだった。
しかし青年は何も話さず握った缶コーヒーを徒に玩んでいる。少し緊張しているようでもある。


「佐藤君――」


堪らず口を開いたのは彼のほうだった。
勿論寒さに、ではない。

 

⏰:09/08/07 22:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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