BLUE LETTERS
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#147 [我輩は匿名である]
そして彼はぽつりぽつりと自分と妻の事を語りだした。
青年は曖昧に相槌を打つことはせずに、しかし熱心に耳を傾けた。
青年は、自分は言葉を探すよりこっちのほうがむいているな、と思った。
:09/08/07 22:18
:SO903i
:☆☆☆
#148 [我輩は匿名である]
……罰があたったんだよ。何にかえたって、僕は妻を守るべきだった。仕事にしたって、僕の代わりはいくらでもいたんだ。でも妻の――智子の夫は僕しかいなかったのに。ねえ佐藤君、ひとりぼっちになるのはどんな時だと思う?誰からも忘れられてしまった時さ。それが僕ときたら、寝ても覚めても、仕事仕事の毎日。妻のためにはじめた仕事だったのに、いつからか妻の笑顔より仕事を優先するようになっていた。夜遅くまで起きて帰りを待ってくれてる妻に見向きもしないで。
:09/08/07 22:21
:SO903i
:☆☆☆
#149 [我輩は匿名である]
僕と妻の間には子供がいなかった。妻はそれを自分のせいだと思っていたんだろうね…遺品を整理してたら産婦人科の通院書が出てきたんだ。何枚も何枚も…。智子はいつも僕を支えてくれていた。見えるところでも、見えないところでも。僕は愚かだ。智子がいなくなってはじめて、彼女の存在がこんなにも大きなものだって気付くなんて。
:09/08/07 22:22
:SO903i
:☆☆☆
#150 [我輩は匿名である]
昨日ね、智子から電話がかかってきたんだ。可笑しいと思うかい?僕も君の立場ならきっとそう思っただろうな。でも智子からの電話をとったとき、僕はいやに冷静だった。ああ、智子が僕を心配してかけてきてくれたんだなって、本気でそう思ったんだ。智子が僕の名前を呼んでいた。智子が笑っていた。智子がいたんだよ。智子が――
:09/08/07 22:25
:SO903i
:☆☆☆
#151 [我輩は匿名である]
さとうくんは恋人はいるのかい?君は顔も良いし利口だからもてるだろう。彼女も、きっと素敵な子なんだろうな。
…………はい、
料理が上手くて…あ、グラタンが特に得意で、子供好きで、俺が言うのもなんですけど、美人で可愛くて天然で、
:09/08/07 22:27
:SO903i
:☆☆☆
#152 [我輩は匿名である]
はは、これは重症だな。ああ、そうだ、これからちょっと付き合ってくれないか。今日は妻の誕生日なんだよ。恥ずかしい話なんだけど女性に花を贈ったことがなくて、こういうのはよく解らないんだ。適当な花をみつもってもらいたいんだ。君も彼女に贈るといい。
:09/08/07 22:28
:SO903i
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#153 [我輩は匿名である]
「ただいまー」
「あ!はるくんおかえりなさいっ」
「うん、ゆう、はいこれ」
「え、どうしたの?今日なんかあったっけ」
:09/08/07 22:30
:SO903i
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#154 [我輩は匿名である]
「何かないと駄目なのか」
「そうじゃないけど」
「あのな、ゆう、いつも美味い飯つくってくれてありがとう」
「……はるくんっ!!」
:09/08/07 22:30
:SO903i
:☆☆☆
#155 [我輩は匿名である]
君をさがすよ。
あの駅に、あの夏の坂に、あの夢の中に、あの部屋の片隅に、あの約束に、
:09/08/07 22:33
:SO903i
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#156 [我輩は匿名である]
END
:09/08/07 22:35
:SO903i
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