黒猫の棲むところⅡ

そう言われ、腕を引っ張られる。
頭がクラクラして、立っていられない。
その場に倒れこんだ。

男「おいおい、どんだけ吸ったわけ？」

男「ごめーん♪だってさ、
雨原一族の血だぜ？今貰わないと
一生飲むことなんて出来ないだろうし」

男「それもそうか…
まぁとりあえず続きは、
場所を移動させてからね♪」

意識が朦朧(ﾓｳﾛｳ)としだす。

駄目、今意識を飛ばしたら、
必ず後悔する。

下唇を噛み、意識を保つ。

男達は私の腕を引っ張り、
引きずるように歩き出した。

しばらくすると、
道は行き止まりになった。

暗く狭い路地裏。
そこにいたのは、男性一人と、麗さん。

男「遅っせ～待ちくたびれた…って、
あら、雨原？本当にいたんだ」

麗「――………ｯｯ??!!」

麗さんの驚いている顔が見える。

麗さんは紐(ﾋﾓ)か何かで
腕を後ろで縛られていて、
壁にもたれ座りこんでいた。

でも、怪我はしてなさそう……

麗「ちょっとｯｯ!!!!!」

麗さんの声が、狭い路地裏に響く。

麗「何よ、その子……その血…
…ｯｯ!!本当いい加減にしてよ!!!!
何でこんなことするの!!!!
雨原は…関係ないでしょ??!!」

血が足りないからか
本当に飛びかけていた意識が、

麗さんの声で引き戻される。

男「関係なくはないでしょー♪
記憶はなくても、雨原なんだし？
別に個人的な恨みはないけど、
何かさ…雨原一族って
嫌いなんだよねー」

麗「……何言ってんの……
血は止まってるの？
止血はしてるの？」

麗さんの声で初めて気づく。

さっき噛まれた傷は
今も熱を持っていた。

耳に近いせいか、
ﾄﾞｸﾄﾞｸと、血の流れる音がする。

男「……やけに雨原のこと、
気にかけるのね～……
止血？してるわけないじゃん。
思いっきり噛んじゃったから、
まだ血も止まってない。」

麗「……何で…こんなことするの……」

男「聞きたい？最後だし、
教えてあげようか？」