黒猫の棲むところⅡ

七「―……ｯｯ!!ふざけないで下さい!!
麗さんいるんですか?!何で??!!
昨日のことだって……
どこにいるんですか??!!
早く言わないと、誰か人を―…ｯｯ!!」

男「黙れよ雨原ぁ～」

七「!!」

後ろから羽交い締めにされる。
気がつかないうちに、
後ろにもう一人いたらしい。

七「離して下さいｯｯ!!!!」

男「あんたってさ、いっつもそうなの？
誰か人をってさ、あんたは？

あんたは何もしない訳？」

七「――……ｯｯ!!」

男「昨日も森で、
あんたが狼を呼びにいったんだろ？
何ですぐ飛び出して来なかったの？

本当に麗のこと好きなら、
なりふり構わず、
飛び出してくるっしょ～」

考える。

思い出す。

昨日、私は森で
かなわないと思ったから
狼さんを呼びに行った。

震えてる麗さんを残して。

男「…まぁ所詮、俺たち半妖と人間は
解(ﾜｶ)りあえないってこと♪
特にあんたら、雨原一族とはさぁ」

男「それにしても、
ｱｽﾀﾘｽｸも墜ちたよなあ～
まさか雨原を、
団員にするとは思わなかった」

男「雨原一族なんてさ、
利用して捨てるに限るよ♪
てか、最近続いてる雨も
よく考えたらこいつのせいじゃね？
まぢ体だるいんですけどー」

七「――…ｯｯ!!!!
知りませんよ、そんなの!!
いいから離して!!麗さんはどこ?!」

男「あははー♪威勢いいね。
あんたさ、黒猫や団長に
気に入られてるからって
調子のってない？
言いたくないけど、俺たちさぁ…」

後ろで私の首をしめてる
男性の声がやむ。

不思議に思って振り向こうとすると、
首もとに痛みが走った。

七「――――……………痛………」

何かに噛まれている感じがする。

なに―――………？

男「…雨原一族、嫌いなんだよね」

首もとから、血の香り。
甘い甘い、あの夢と同じ。

男「うわ、やっぱこの女
本当に雨原なんだー…うん、
嫌な臭いがする。雨原の香り。」

男「…おい、あんまり血流させるな。
誰かが気づく。」

その声と同時に、私の首もとから
何か、が離れた。

男「ﾍﾟｯ!まっずー
雨原一族なんて、噛むもんじゃないね」