黒猫の棲むところU
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#216 [イリア]


衣装「お化粧のほうなんですけど、麗さん。時間が……」


麗「仕方ないわ、前半はすっぴんで。今回の劇場は客と少し離れてるし、バレやしない。休憩の時にするから、用意だけしといて。」


衣装「はい。」


扉の向こうから、麗さんを呼ぶ声がする。

⏰:09/11/30 20:36 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#217 [イリア]



衣装「時間です!麗さん早く!」


麗「……えぇ」



そう言うと衣装さんたちは、足早に部屋を出ていった。


⏰:09/11/30 20:36 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#218 [イリア]




七「…頑張ってくださいね、麗さ…」




言葉につまる。
目の前の綺麗な人は……微かにだけど、震えていた。


⏰:09/11/30 20:37 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#219 [イリア]



七「……麗さ…っ!」




麗「もひとつ、あったわ」


私の声が、麗さんによって遮られる。


⏰:09/11/30 20:38 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#220 [イリア]



七「……え?」




麗「…どうしても舞台を休めない理由」


⏰:09/11/30 20:38 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#221 [イリア]



麗さんは震える手を固く結び、足を進める。



扉に手をかけ、ゆっくりと私のほうに振り返る。


⏰:09/11/30 20:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#222 [イリア]









麗「――……プロ、だからよ」



⏰:09/11/30 20:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#223 [イリア]





【 ……プロだからね 】



さっき猫さんが男たちに言った言葉と、麗さんの言葉が被る。


⏰:09/11/30 20:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#224 [イリア]



麗「……プロだから……私たちを待っている観客がいるから……代わりなんて、いないのよ」


麗さんが扉を押し開き、向こう側に消える。


⏰:09/11/30 20:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#225 [イリア]



何か、言えることはないんだろうか。

震える体で、『プロ』の仕事をしにいく彼女に。



仲間を想い、たった一人で戦い続けてきた彼女に。


⏰:09/11/30 20:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


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