黒猫の棲むところU
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#225 [イリア]
何か、言えることはないんだろうか。
震える体で、『プロ』の仕事をしにいく彼女に。
仲間を想い、たった一人で戦い続けてきた彼女に。
:09/11/30 20:41 :W61P :☆☆☆
#226 [イリア]
扉に向かって走る。
向こう側を見ると、麗さんが小走りで長い廊下を進んでいた。
七「――……麗さん…!」
少し驚いたように、その人は私に振り返る。
:09/11/30 20:42 :W61P :☆☆☆
#227 [イリア]
麗「……」
七「…私…初めてだから…」
麗「……?」
七「―……舞台、見るの初めてだから!その舞台のヒロインが麗さんで良かったです!!」
:09/11/30 20:42 :W61P :☆☆☆
#228 [イリア]
麗さんはずっと私を見てくれている。
私が喋ってるときにちゃんとこっちを見てくれたのは、出会ってから初めてなんじゃないだろうか。
七「…あ…それだけです……時間ないのに呼びとめてすいませんでした……汗」
麗「――……それで」
:09/11/30 20:43 :W61P :☆☆☆
#229 [イリア]
七「?」
麗「その初めて見る舞台のヒーローが、猫で良かったです?」
ボッ////
顔が熱くなるのが分かる。
:09/11/30 20:44 :W61P :☆☆☆
#230 [イリア]
七「いいいいいい、今はそんな話じゃなくて、私は麗さんの演技が……っ///」
麗「……クス、分かりやすい…」
え………
:09/11/30 20:44 :W61P :☆☆☆
#231 [イリア]
七「…笑った……」
麗「……何よ、文句でもある訳?」
七「いえいえ、別にそんなっ…」
狐「麗ちゃん??!!何してんの2分前!!スタンバイよろしく!!!!」
狐さんの声に、麗さんがまた走り出す。
:09/11/30 20:45 :W61P :☆☆☆
#232 [イリア]
麗「…あぁ…あと、言い忘れてた」
七「?」
麗「今回の舞台、恋愛ものじゃないの。だから主役は猫だけど、私はヒロインじゃないわ」
七「…あ…」
:09/11/30 20:45 :W61P :☆☆☆
#233 [イリア]
麗「――……だから、猫とはキスできないわね、残念だけれど。」
そう言って麗さんは、意地悪く微笑む。
:09/11/30 20:46 :W61P :☆☆☆
#234 [イリア]
七「………!!麗さん…///」
麗「……ほんと、分かりやすい…」
またまた顔が赤くなる。
いや別に、私は猫さんと麗さんがキスしたって、別に……///
麗さんが、足を動かす。
:09/11/30 20:47 :W61P :☆☆☆
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