黒猫の棲むところU
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#79 [イリア]
:09/04/04 01:11 :W61P :☆☆☆
#80 [イリア]
傘を片手に、地図の通りに歩く。
坂道を駆け上ると、街が見えた。
七「うわー…
こんな近くに街があったんだ…
なら、何でわざわざ
森にテントなんか建てるんだろ?」
:09/04/04 01:12 :W61P :☆☆☆
#81 [イリア]
ファンの追っかけが、
鬱陶(ウットウ)しいから。
猫さんにそう聞くのは、
まぁもう少し先の話。
:09/04/04 01:13 :W61P :☆☆☆
#82 [イリア]
地図通りに歩く。
雨は心なしか、大分ましになってきた。
七「良かったー!!
だいぶ小雨になってきた…っていうか
昨日も今日も、よく雨降るよね…ん?」
:09/04/04 01:13 :W61P :☆☆☆
#83 [イリア]
独り言を言いながら考える。
そういえば私、雨原一族だっけ?
狐さんが言うには、
確かこの一族の人たちは
雨に関する何らかの力を持ってて…
雨を呼んだりできるから、
妖や半妖たちは雨原一族を嫌ってる。
それで私は、雨原一族…
:09/04/04 01:14 :W61P :☆☆☆
#84 [イリア]
……もしかしてこの雨って私のせい?
いやいや、でも何も覚えてないし。
そもそも私が本当に雨原一族なのかも
私からしたらよく分かんないし。
:09/04/04 01:14 :W61P :☆☆☆
#85 [イリア]
:09/04/04 01:15 :W61P :☆☆☆
#86 [イリア]
…私は何で、
劇団に入れてもらえたんだろ。
私が本当に雨原一族なら、
そこに帰ったほうがいいのかな?
それに、どうして妖と半妖は
仲が悪いんだろ。
――……あの、夢の中の私は何だろう。
:09/04/04 01:15 :W61P :☆☆☆
#87 [イリア]
深い闇と、甘い血の香り。
そんな中で幼い私は、
確かに微笑んでいた。
隣にいた男の子は誰だろう…
小さい手を繋いで、
楽しそうにあの唄を歌っていた。
:09/04/04 01:17 :W61P :☆☆☆
#88 [イリア]
――……僕は君を、守りたい。
男の子の声が頭に響く。
顔はぼやけていて思い出せない。
:09/04/04 01:17 :W61P :☆☆☆
#89 [イリア]
夢と現実は繋がってる―……
猫さんの言った通りなら、
夢の中の男の子は
今どこにいるんだろう?
まぁ守ってくれるったって…
:09/04/04 01:17 :W61P :☆☆☆
#90 [イリア]
――……俺が、守る。
初めて逢ったとき、
初めて助けて貰ったとき、
森の中で、猫さんに言われた。
七「……私は、猫さんに
守ってもらうんだけどね」
:09/04/04 01:18 :W61P :☆☆☆
#91 [イリア]
カァ―――――………////
言った途端、恥ずかしくなる。
:09/04/04 01:19 :W61P :☆☆☆
#92 [イリア]
七「いや別に!!
守ってもらわなくても
大丈夫ですケド!!///
いやさ、妖たち来たら
流石にやばいけど…
守ってもらうほど、
弱くないもんね私!!!!////」
:09/04/04 01:19 :W61P :☆☆☆
#93 [イリア]
次々に疑問が生まれ、不安になる。
考えても仕方ないことだと
分かってても、考えてしまう。
:09/04/04 01:19 :W61P :☆☆☆
#94 [イリア]
だけど最後にはいつも
猫さんの声が頭に響く。
猫さんの声は優しくて、安心する。
:09/04/04 01:20 :W61P :☆☆☆
#95 [イリア]
そんなことを考えてる間に、
狐さんに貰った地図の場所まで来た。
ここでペンだけ買って…
早く私もホールに行きたい。
猫さんや狼さん、
麗さんの演技がみたい。
:09/04/04 01:21 :W61P :☆☆☆
#96 [イリア]
―…っていうか、
麗さん体調大丈夫かな…
…うん、舞台始まる前に
もう一回話しかけたい。
急いで行こう!
:09/04/04 01:21 :W61P :☆☆☆
#97 [イリア]
七「……すいませーん!!
サインペンってどこですか?!」
店員「サインペン?
あーお嬢ちゃんもアレかい?
この街に一週間くらいいるっていう
何ちゃら劇団のファンかい?」
:09/04/04 01:21 :W61P :☆☆☆
#98 [イリア]
七「…あ…ま、まぁそんなとこです」
店「はいよ、何本だい?
でもサイン会なら
あっちがペンくらい持ってるだろうに。
みんな舞い上がっちゃってさ〜
まぁ私も見に行くけどね、
明日の午後の部。
お嬢ちゃんはいつ行くんだい?」
:09/04/04 01:22 :W61P :☆☆☆
#99 [イリア]
七「あ、え?私は…「辞めてよ!!」」
え…?
返事をしようとしたとき、
店の外から誰かの声がした。
:09/04/04 01:23 :W61P :☆☆☆
#100 [イリア]
「離してって言ってるでしょ!!
時間がないのよ!!早く離して!!!!!」
この声――…………
:09/04/04 01:23 :W61P :☆☆☆
#101 [イリア]
店「あー誰だろね。
この街さ、結構治安悪いしね。
お嬢ちゃんは近寄っちゃだめだよ」
七「――……麗さん…?」
店「はぃ?」
:09/04/04 01:24 :W61P :☆☆☆
#102 [イリア]
七「……今の声……麗さん…?
でもまさか…すいません、
いま何時ですか??!!!」
言いながら、時計を探す。
私の真後ろに大きな時計があった。
:09/04/04 01:26 :W61P :☆☆☆
#103 [イリア]
店「9時28分だね。
どうしたんだい、そんなに慌てて?」
9時半――……?
午前の舞台って確か、
10時からだったよね?
何でこんなとこに
麗さんがいるの?
:09/04/04 01:26 :W61P :☆☆☆
#104 [イリア]
脳裏に昨日のことが浮かび上がる。
麗さんと、大道具の人たち。
痣を(アザ)内緒にしてた、麗さんのこと。
七「――…………ッッ!!!!!」
:09/04/04 01:27 :W61P :☆☆☆
#105 [イリア]
店の出口まで走る。
麗さんの姿はない。
どこに行ったんだろう。
近くの人に尋(タズ)ねる。
七「すいません!!いまここで…
離してッて叫んでた、
女の人いましたよね?
どこに行ったか分かりますか??!!」
:09/04/04 01:27 :W61P :☆☆☆
#106 [イリア]
「は?…あぁ、あの子…
何人かの男に連れられて、
あっちに真っ直ぐ行ったけど…
あんた知り合い?
やっぱまずいかな。
ここらへん通行人少ないし、
俺しか見てなかったし…
警察って連絡したほうがい…」
七「今すぐ連絡して下さい!!早く!!
どこ行ったんだろ……
有難うございました!!」
:09/04/04 01:28 :W61P :☆☆☆
#107 [イリア]
教えてもらった方角に走る。
傘はささない。
雨はまた、少しずつ降ってきた。
後ろから店員さんの声がしたけど
そのときの私には聞こえなかった。
:09/04/04 01:28 :W61P :☆☆☆
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