漆黒の夜に君と。U[BL]
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#96 [ちか]
「どこ行く気?」

振り向くと、腕を組みながら俺を見据える恭弥が居た。

「…分かってるくせに嫌な質問してくるなぁ。」

苦笑いをする俺を見て、恭弥はふっと笑った。

「まだそう言うことしてたんだ。いい加減やめれば?」

まるで俺をバカにしているかのような瞳(メ)。
黒くて、全てを見透かしているかのようなその瞳がたまに嫌いやったりする。

⏰:09/05/05 22:57 📱:P906i 🆔:eZG02kr2


#97 [ちか]
「止めれたらとっくに止めとうわ。」



それだけ吐き捨てるように呟いて俺はそこを後にした。


外に出て改めて景色の美しさに気づく。

たくさんの星が一斉に瞬いて地面を照らしていた

⏰:09/05/06 23:00 📱:P906i 🆔:z4wn19po


#98 [ちか]
だけど、俺はそんなことにいちいち感動出来るような心の綺麗な奴じゃない。



むしろ、嫌いや。



遠く上の方から、ちっぽけな俺を見下してるように見えて。

⏰:09/05/07 18:09 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#99 [ちか]
真っ黒でバカでかいこの世界で俺は蟻みたいに小さい存在でしかなくて、惨めな気分になる。


やから夜は嫌い。



俺は一歩、また一歩と歩く速度を早め恭の別荘を後にした。

まるで何かから逃げるかのように‥‥―――

⏰:09/05/07 18:21 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#100 [ちか]
― 冥side.―

恭弥が出ていったあと、俺達に残されたのはどうしようもない沈黙だった。


黙々と食事を続ける凌さん。

ちょっと食べ過ぎなんじゃ‥‥――と思ったけど、そんな事を言える雰囲気じゃなかった。


あまりにもそんな時間が長く続くもんだから、耐えきれなくなって俺は風呂にでも入ろうと席を立った。

⏰:09/05/07 19:15 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#101 [ちか]
と、言っても実は俺、かなりの方向音痴‥‥。

時々すれ違うメイドさん達に何度も何度も場所を聞いては迷い、最終的には案内されると言う形でそこに辿り着いた。


アジアンテイストな造りのバスルームからは夜空に浮かぶ月によってキラキラと輝く海がよく見えた。


「明日は海行けるかな‥。」


そんなか細い独り言は、お湯の中に溶けていった。

⏰:09/05/07 19:24 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#102 [ちか]
「あっちぃー‥」


長く入りすぎて身体はかなりの熱を帯びていた。

俺は顔の周辺をパタパタと仰ぎながら熱を冷ますが、熱は尚も俺の身体を支配し続ける。


仕方無しに俺は夜風にでもあたろうと、バスルームのすぐ傍にあった窓から庭に出た。

⏰:09/05/07 19:43 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#103 [ちか]
熱のせいでぼんやりとする頭と、フラフラな足取り。

よろよろとその辺を歩いていると、不意に何処からか綺麗な音色が聞こえてきた。

‥───♪‥〜〜♪


「あれ‥‥?」


音のする方へ進むと、段々と人影が見えてきた。

⏰:09/05/07 20:34 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#104 [ちか]
「‥‥―――!!!」

俺の目に飛び込んできたのは、雪のように真っ白で細い手でバイオリンを弾く凌さんの姿だった。


月明かりがちょうどスポットライトかのように凌さんを照らしていて、さらにその美しさを引き立たせている。

あまりに綺麗な旋律と容姿に俺は思わず暫くの間見とれてしまっていた。

⏰:09/05/07 20:40 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#105 [ちか]
我に返ったのは、ピタリとその白い手首が動きを止めた時だった。

ハッとした俺は、その場からどうしたらいいか分からなくなり立ち尽くした。


そんな俺に鋭い碧眼が向く。



「いつまでそうしてる気?」

⏰:09/05/07 20:52 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


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