漆黒の夜に君と。U[BL]
最新 最初 🆕
#1 [ちか]
あなたが居れば
    それだけで、



この暗い暗い漆黒の夜も



きっと素敵な道になる


 漆黒の夜に君と。U‥―

>>2-4

⏰:09/04/04 19:01 📱:P906i 🆔:bpL8Tp2Y


#2 [ちか]


*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

漆黒の夜に君と。T[BL]
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9870/

第一話〜第四話のまとめ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9870/906-911

⏰:09/04/04 19:06 📱:P906i 🆔:bpL8Tp2Y


#3 [ちか]
感想板↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

*アンカー

>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550

⏰:09/04/04 19:09 📱:P906i 🆔:bpL8Tp2Y


#4 [ちか]
*アンカー続き

>>551-600
>>601-650
>>651-700
>>701-750
>>751-800
>>801-850
>>851-900
>>901-950
>>951-1000

※URLミスすいません><
中傷・荒らしお断り*
アドバイス・感想大歓迎*

⏰:09/04/04 19:12 📱:P906i 🆔:bpL8Tp2Y


#5 [我輩は匿名である]
楽しみにしてます

頑張ってね

⏰:09/04/05 13:26 📱:W52S 🆔:iMl3l6lo


#6 [ちか]
>>5
└→我輩は匿名さま*

さっそくコメ頂けてめっちゃ嬉しいです(´;ω;`)!
続きも楽しんで頂けるように頑張ります★
もし良かったら、感想板にも遊びにきてくださいね♪

⏰:09/04/05 15:05 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#7 [ちか]



第五話 不器用なココロ


⏰:09/04/05 15:22 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#8 [ちか]
過保護な両親に
年の離れた姉が二人


末っ子の俺は、酷く
甘やかされて育った


アレが欲しいと一言言えば
それが山ほど用意される


どんなにワガママな願いも
俺が言えば全て叶った


だけど、

⏰:09/04/05 15:31 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#9 [ちか]

本当に欲しいモノだけは
いつも言えなくて、


代わりを作ってみるけれど


いつだって俺の気持ちが
満たされることはなかった


本当の愛なんて分からない
隙間の空いたこのココロ


   ――‥‥椿めぐる

⏰:09/04/05 15:46 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#10 [ちか]
幼くして捨てられた俺を
養子として
引き取ってくれた、
大切な両親


優しくて温かくて
俺をたくさん愛してくれる


たくさんの幸せをもらった俺は暮らしに何の不自由も無かった


だけど、

⏰:09/04/05 15:54 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#11 [ちか]

ワガママを言えば
またそれが壊れてしまいそうで、


本当に欲しいモノなんて
いつも言えなかった


いつだって俺の気持ちが
満たされることはなく、


本当の愛なんて分からない
隙間の空いたこのココロ


   ――‥‥櫻井凌

⏰:09/04/05 15:58 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#12 [ちか]


これはそんな
不器用な二人と出逢った、


暑い夏の


不器用なおはなし。

⏰:09/04/05 16:04 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#13 [ちか]
――――――‥‥
―――――‥

蒸し暑い熱帯夜

「ふ…あッ///だ…めっ//」

ギンギンと冷えたこの部屋も

「クスッ…何がダメなの?」

俺達を包む空気だけは

「はぁッ//んン…!!イ、イッちゃ‥う!!///んぁっ//」

燃えるように熱い。

⏰:09/04/05 16:20 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#14 [ちか]
「ハァ…ッ//ハァ‥ッ//」

「クスッ、息あがりすぎ。」

真っ赤になった俺を見ながら妖艶に微笑む漆黒の瞳。

「っな!!///恭弥が強引だったから…ん、ふ‥ぅ///」

言い返そうとすると、また唇を塞がれる。


そんな強引な男、黒羽恭弥に感じてしまう俺は日下冥。

言っとくけど俺はこれでも歴(レッキ)とした男だ。
名前とかで判断すんなよな。

⏰:09/04/05 16:36 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#15 [ちか]
「こう言うのが好きなクセに。」

わざとクチュッと音を鳴らして離された唇と唇に、銀色の糸がのびる。

その色っぽい声に紅く染まる頬をシーツで隠しながら

「うるさい…//」

と小さく呟く。

するとこの人はその漆黒の目を細めてにっこりと笑うんだ。

その笑顔が俺はたまらなく好き。

⏰:09/04/05 21:27 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#16 [ちか]
って、早速のろけてごめんなさい。


でもさぁ、こんだけ美形だとのろけたくもな…

「冥?何ぶつぶつ言ってるの?」

「えっ、ふあ?!!?///」

やべっ!!
声出てた?!///

って言うか、急に後ろから抱きしめるとか反則っ!!!!///


絡みつく恭弥の腕を必死にほどこうとしたが、俺の身体は恭弥のすっぽりと納まってしまった。

⏰:09/04/05 22:17 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#17 [ちか]
恭弥の体温が心地良い。


うとうとと睡魔が襲ってくる。
目が自然と微睡(マドロ)んできた。


あ、ちなみに今は夏休み真っ只中!

期末は試験前に透がいろいろ教えてくれたおかげで赤点無かったんだ!!
ホントに奇跡…(泣)
つまりお仕置きもなんとか受けずに済んだってワケ!!

⏰:09/04/05 22:53 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#18 [ちか]
夏休みは買い物に行ったり、水族館に行ったり、とにかく外でいっぱいデートした。

恭弥最初は面倒だから嫌って言ってたのに、意外と楽しんでた(笑)

まぁ、そんな感じで思いっきり夏休みを楽しんでるわけです。


恭弥の程よく筋肉のついた腕に抱かれながら、俺はデートのことを思い出してニヤついていた。

すると不意に頭上から俺を呼ぶ声がした。

⏰:09/04/05 23:03 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#19 [ちか]
「ねぇ、冥。」

そう呼ばれ、微睡んでいた目で頭上に居る恭弥を見ながら短く返事をした
すると、

「明日から旅行でも行こっか。」

そう、さらりと言葉を放つ恭弥。

「‥‥‥‥‥‥‥‥、えぇえぇ?!??!」

「反応おそ。」

俺はあまりにあっさりとした口調だったからか、暫く反応を返せなかった。

⏰:09/04/05 23:17 📱:P906i 🆔:EVOvgo76


#20 [ちか]
「りょっ旅行?!!?」

俺は目を丸々とさせながら聞き返す。

「うん。暇だし、どっか行こうよ。」

そう言って俺の髪を優しく撫でた。

暇だしって…
この人、相変わらずマイペースなことを…

「で、でも明日からって!!さすがに飛行機のチケットとかいろいろ無理があるんじゃ…」

「ん?ウチのを使うから心配ないよ?」


ま、まさかの自家用ジェットですか…
さすが大金持ち…

⏰:09/04/06 13:26 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#21 [ちか]
いろんな事に驚いてしまって声も出ない俺を見て、恭弥はにっこりと微笑んだ。

「どこ行きたい?」

そう問われた俺は暫く黙り込む。

「冥?」

「‥‥‥‥‥。」

口をもごもごとさせながら、俺はシーツをぎゅっと握る。

そして小さく呟いた。

「‥‥‥‥‥‥‥‥海。」

⏰:09/04/06 14:03 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#22 [ちか]
「海?」

「うん‥‥‥だめ?」

定番すぎかな?
笑われてしまいそうで俺は恥ずかしくなり顔を赤くした。

そんな俺を撫でる優しい手。

「いいよ。でも海って言ってもいろいろあるよ?
定番にハワイとかグアムにでも行く?
そう言えば、その近くにウチの島が‥‥、」

「お、沖縄がいい!!//」

恭弥の声を遮って俺は声を張り上げた。

⏰:09/04/06 14:17 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#23 [ちか]
勢いよく振り向いた俺に、恭弥は少し驚いた様子

「いいけど、なんで沖縄なの?もっと綺麗な海たくさん…、」

そんな問いかけに、俺は勢いをなくした声でぼそりと呟いた。

「昔…家族で行った時綺麗だったから……」

父さんと母さんがまだ生きてた頃の話だけど‥。

思い出すと悲しくなってきて俺は俯いた。

⏰:09/04/06 15:33 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#24 [ちか]
グイッ

「分かった。行こ、沖縄。」


不意に引き寄せられて俺の頭は恭弥の胸の中。

俺を慰めるかのように優しい手つきが俺の心を温かくした。

「うん‥‥ありがと。」


俺はそれだけ呟いて、眠りに落ちた。

⏰:09/04/06 15:45 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#25 [ちか]
翌日。


目覚めた時の俺は、旅行の話なんて夢だったんじゃないかと、半信半疑だった。


が、それはやっぱり夢じゃなかったんだ。


「む、む、無理!!!!落ちる!!!!早く降ろせーっ!!!」

「うるさいなぁ。
落ちるわけないでしょ?」

俺は今、飛行機に乗ってます…。

⏰:09/04/06 18:21 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#26 [ちか]
「自分が高所恐怖症だったなんて知らなかった…。」

飛行機なんか乗ったの、ホントに小っちゃな頃に一回きりだったから、飛行機の感覚を忘れてたみたいだ…

げっそりとした顔でそう呟くと恭弥はクスクスと笑った。

「仕方ないね。」

ぎゅっ

「これで大丈夫でしょ?」

「‥‥‥っ!///」

手を強く握られて、鼓動がドクドクと早くなる。


結局俺は飛行機が怖くて、到着するまで恭弥に手を握られたまま震えていた。

⏰:09/04/06 18:33 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#27 [ちか]
漸く目的地に着いた俺達の目の前に広がったのは、青い空と青い海。


「すっげー!!!
見て恭弥、超キレイ!!」

俺はまるで子供に戻ったかのように目をキラキラさせながら、海を指差した。

「見てる見てる。
綺麗だね。
て言うか、ちゃんと前見て歩かないと転ぶよ?」

「大丈夫、大丈夫!
俺そんなガキじゃな…っほわ!?!!」

まだガキだったみたい…

⏰:09/04/06 21:08 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#28 [ちか]
「ほらー。だから言ったのに。」

そう言って恭弥は俺に片手を差し出した。

「いてて‥だってさぁ、早く海行きたいんだもん。」

恭弥の手を借りて立ち上がると俺は口を尖らせる

「海は逃げないから、大丈夫だってば。」

そんな俺に呆れ口調でそう言う恭弥。

そうして少しじゃれあった後、俺達は別荘へ向かって車に乗り込んだ。

⏰:09/04/06 22:20 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#29 [ちか]
数十分と車を走らせると、別荘と呼ぶには大きすぎる屋敷が見えてきた。

「来るの何年ぶりだっけ。
懐かしいなあ。」

そんな呑気なことを呟く恭弥に俺は呆気にとられながら車に揺られること数分。


玄関の前で車は静かに停まった。
 

⏰:09/04/06 22:27 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#30 [ちか]
松山さんがドアを開けてくれて、俺達は車から降りると扉まで歩いていく。


松山さんが鍵をジャラリと鳴らしながら取りだし、それを鍵穴に差し込もうとしたその時。


バァン!!!!!


「「「‥‥‥‥っ?!?!」」」


大きな音を立てて内側から扉が開いた。

⏰:09/04/06 22:37 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#31 [ちか]
「遅かったなあ!!!
待ちくたびれたわあ!!!」


そう声を大きく張り上げたのは、見知らぬ男。


赤茶色のクセづいた髪、キラリと光る小さなシルバーのピアス。

少しつりあがった大きな瞳に、笑うと見える八重歯が特徴的だった。



この人は一体‥‥?

⏰:09/04/06 22:46 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#32 [ちか]
「まぁ、ええわ!
暑かったやろ??
ほら、早(ハ)よ入りぃ♪」


そう言ってその人はニコニコ笑いながら手招きをする。

この独特な話し方、関西弁‥?

ワケが分からず、恭弥をチラリと横目で見てみると、案の定恭弥の顔は最強に曇っていた。


うん。
すっごくヤな予感‥‥

⏰:09/04/07 16:01 📱:P906i 🆔:/p5nooO.


#33 [ちか]
「住居侵入罪で警察に突き出してあげようか?」


わぁ‥‥。
顔は笑ってるけど、オーラがすっごく怖いんですけど…


「相変わらずやなぁ、きょん♪」


そんな恭弥にびくともせず、相変わらずの笑顔を向ける男の人。

⏰:09/04/07 16:06 📱:P906i 🆔:/p5nooO.


#34 [ちか]
プチン.

隣で何かが切れたような音が鳴った。

コレは久々の‥‥‥


「その呼び方やめろって言ったよね?
本気で死にたい?ねぇ。」

キレモードの恭弥…


恭弥はその人の腕をぐねりと捻る。

「い、痛い痛い痛いっ!!!!!
ごめんなさい!!!!もう言わへんからッ!!!!頼む!!離して!!!!」


半泣きで痛がるその人が可哀想にすら見えた。

⏰:09/04/07 16:35 📱:P906i 🆔:/p5nooO.


#35 [ちか]
「で、なんでお前が此処に居るの。」

恭弥がやっとのことでその人を離した後、俺達は気を落ち着かせるためにとりあえず中に入りリビングのソファーに腰かけた。

相変わらずの怒った口調で恭弥がその人に問うと、その人はニッと俺達に笑いかけて口を開いた。

「なんでって、会いに来たからに決まってるやろ♪」

⏰:09/04/07 22:08 📱:P906i 🆔:/p5nooO.


#36 [ちか]
「はぁ…、そう言う意味じゃなくて。
なんで僕達が此処に居るって分かったの?」

「ん〜?
まぁ簡単に言うと、恭の家行ったらメイドの可愛い姉ちゃんが沖縄(ココ)行った言うから、先回りして驚かしてみてん★」


刺々しい口調の恭弥と、
呑気な口調のその人。


俺は向かい会って座る2人を交互にキョロキョロと見た。

⏰:09/04/07 22:15 📱:P906i 🆔:/p5nooO.


#37 [ちか]
「先回りって…。よく僕達より早く来れたね。」

苦笑いを浮かべる恭弥。

「おふくろに頼んだらすぐ飛行機用意してくれたからな♪」

「相変わらずだね、その過保護。」

「あの〜…」


あまりに2人の会話について行けないから、俺は間を裂くように小さく声を発した。

⏰:09/04/08 18:00 📱:P906i 🆔:PgiMtaMc


#38 [ちか]
俺の小さな声に、ぐるりと2人の顔がこちらへと向く。

そして関西弁の人は、ぱっと顔を明るくさせて勢いよく俺を指差した。

「あ、君が噂の!!!」

「はい…?」

噂??
噂って、どんな…

言葉の意味が分からず、俺はただ間抜けた顔をするだけ。

⏰:09/04/13 16:51 📱:P906i 🆔:Y1fCMan.


#39 [ちか]
「俺、君に会いに来てんで!!」

そう言ってその人は俺の手をぎゅっと握った。

「な、なんで俺…なんですか?」

混乱状態の俺に、にっこりとその人は笑いかけると、この上なく大きな声を発した。


「君が恭の恋人やろ?!」

⏰:09/04/13 16:56 📱:P906i 🆔:Y1fCMan.


#40 [ちか]
ぱっちりとした大きな目でそう問われた俺は、戸惑いを隠しきれなかった。


はいって言うべき??
いや、恭弥の知り合いみたいだし、神楽さんみたいなことになったら大変‥‥、でもこの人なんの迷いもなく男の俺を恋人って‥‥‥

俺はぎゅっと両手を握られたままパニック中。


「え、あ‥その、なんて言うか‥‥「そうだよ。」

⏰:09/04/13 18:55 📱:P906i 🆔:Y1fCMan.


#41 [ちか]
「僕の恋人。冥って言うんだ。」

落ち着いた瞳が真っ直ぐにその人を見つめる。

俺は恭弥のこう言うところが好き。
堂々と言ってくれると、嬉しさと照れで身体が熱くなるけど、それもちょっと好きだったりする。

「へえーっ!冥かあ♪
えらい可愛い名前やなぁ!!」

そう言ってその人は俺の頭をワシャワシャと撫でた。

⏰:09/04/13 23:33 📱:P906i 🆔:Y1fCMan.


#42 [ちか]
「あ、俺も自己紹介せなな!
俺は椿めぐる(ツバキメグル)♪
めぐって呼んでな★
恭とは昔っからの幼馴染みで、まぁ俺は大阪に住んでるからしょっちゅうは会ってへんけど…(以下省略)」


よく喋る人‥‥
1人でマシンガントークを続けるめぐるさんに俺は適当な相槌を打ち続けた。


「まぁ、とりあえずよろしくな冥ちゃん♪」

⏰:09/04/13 23:40 📱:P906i 🆔:Y1fCMan.


#43 [ちか]
「なっ、なんで【ちゃん】付けなんですか!!///
冥でいいですっ!!///」

慣れないちゃん付けに、俺は思わず顔を赤くさせた。

そんな俺に口を尖らすめぐるさん。

「だって、冥って言うたら絶対恭怒りそうやもんー。
冥ちゃんは【くん】より【ちゃん】ぽいし!
まぁ細かいことは気にせんでいいやん♪」

そうして俺の呼び名は、冥ちゃんになった‥‥

⏰:09/04/13 23:46 📱:P906i 🆔:Y1fCMan.


#44 [我輩は匿名である]
待 っ て る ね

楽 し み に し て ま す

⏰:09/04/15 01:42 📱:W52S 🆔:kZoi0h0A


#45 [ちか]
>>44
└→我輩は匿名さま*

ありがとうございます♪
更新不定期ですが、頑張るので良かったら続きも読んでくださいね^^*

⏰:09/04/15 17:12 📱:P906i 🆔:XWrMgS7Y


#46 [ちか]
めぐるさんは俺が嫌がれば嫌がるほど、【冥ちゃん】を連呼する。

「めぐるさん、その呼び方やっぱ慣れないって言うか…」

あまりのハイテンションさに若干うんざりしながら俺は小さく呟いた。

「俺だって【めぐるさん】て呼ばれるん慣れへんわぁ!【めぐ】でいいって!」


いやいや、会って数分でめぐとか馴れ馴れしいだろ!!

⏰:09/04/15 17:17 📱:P906i 🆔:XWrMgS7Y


#47 [ちか]
闘い(ただの言い合い)の末、勝者は‥‥

「しゃあないなぁ!!じゃあ、【めぐさん】で許したるわ!冥ちゃんだけ特別なっ♪」

「もうなんでも良いです‥‥。」


…言うまでも無くめぐさんだ。


恭弥は疲れはてた俺の顔を見てクスクスと笑っていた。

⏰:09/04/16 20:55 📱:P906i 🆔:x7h8Kuxk


#48 [ちか]
プルルルル‥


不意に恭弥のポケットから機械的な音が鳴りだす

「あ、ごめん。」

それを取り出して、耳に押し当てながら恭弥はそう言うと席を外した。


リビングに取り残された俺とめぐさん。

⏰:09/04/16 21:07 📱:P906i 🆔:x7h8Kuxk


#49 [ちか]
目線を右へやると、ニコニコした笑顔を絶やさないめぐさんが見える。

その笑顔が少し鬱陶しくて下に視線をそらした。


続く沈黙。
続く笑顔。


「……めぐさんは、」

聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で俺はポツリと呟いた。

⏰:09/04/16 21:27 📱:P906i 🆔:x7h8Kuxk


#50 [ちか]
そんな俺の声に「ん?」とめぐさんも短く返事を返す。

その返事を聞いて俺は再び口を開いた。

「俺が恭弥と……その‥そう言う関係だって聞いて、なんとも思わないんですか‥?」


口にしてみるとやっぱ変な感じだよな‥
間違ったことしてるわけじゃないのに、こんな事聞くなんて。

こんな質問をして、反応を聞くのが怖いなんて…

⏰:09/04/16 21:51 📱:P906i 🆔:x7h8Kuxk


#51 [ちか]
「なんともって??」

「へ‥?」

「やから、“なんとも”ってどう言う意味なん?」

きょとんとした顔で聞き返されて俺は唖然とした


「だっ、だから…同性愛とかキモいとか、幼なじみなのにショック‥とか‥」

俺が途切れ途切れにそう言うと、めぐさんは相変わらずの声色と調子で笑顔を向けた。

⏰:09/04/16 22:13 📱:P906i 🆔:x7h8Kuxk


#52 [ちか]
「あはは!アホか、この世の中同性愛なんかもう珍しないわ♪どっかの国では結婚も出来んねんで?!
国際派のめぐ様がそんなんで驚くわけないやろーっ!」


めぐさんはそう言ってケラケラとおかしそうに笑う。

俺はめぐさんが俺達を受け入れてくれた事に安堵の息を漏らした。

そんなのも束の間、めぐさんは明るかった笑顔をやめて、口を開いた。


「って言う気持ちもあるけど、ほんまはちゃうねん。」

⏰:09/04/17 19:08 📱:P906i 🆔:K9rwRhC6


#53 [我輩は匿名である]
ド キ ド キ

ふ ぁ い と

⏰:09/04/17 20:36 📱:W52S 🆔:rLtJXr2k


#54 [ちか]
>>53
└→我輩は匿名さま*

ありがとうございます★
頑張りますっ(p`・ω・。q)

⏰:09/04/18 18:30 📱:P906i 🆔:OLJvo4FQ


#55 [ちか]
>>52

「え‥‥?」


ドクンと心臓が大きく脈を打った。

じんわりと汗が滲んでくる。めぐさんがあんまり真剣な顔をするから‥


めぐさんは俺から目をそらして呟くように話し出した。

⏰:09/04/18 18:33 📱:P906i 🆔:OLJvo4FQ


#56 [ちか]
「…ほんまはな、俺はアイツに誰かを好きになる日が来ること自体信じられへんかってん。」

細い眉が八の字を描き、めぐさんは哀しげな笑顔を作った。

「今日も来るまでは正直半信半疑やったしな。
でも、来てみてびっくりしたわ。アイツのあんな優しそうな瞳(メ)今まで見たことなかった。
一目で冥ちゃんが大事にされてるんやって分かったで。」


めぐさんはそう言うと、落としていた目線を俺に向けて片手を俺の頭にポンと乗せた。

⏰:09/04/18 18:42 📱:P906i 🆔:OLJvo4FQ


#57 [ちか]
「ありがとうな、冥ちゃん。」

哀しそうな優しそうな笑顔に顔が少し熱くなった

「でッでも、俺ありがとうなんて言われるようなことなんて何も‥‥――っ」

“何もしてない”
そう言おうとしたが、めぐさんはそれを遮った。


「いや、恭は冥ちゃんに大分救われてるで。
あんな優しい目出来るようになったんも冥ちゃんのおかげや。
…アイツ、ひねくれてるけど、これからもよろしくしたってな。」

⏰:09/04/18 18:52 📱:P906i 🆔:OLJvo4FQ


#58 [ちか]
「‥は、はいっ」
と、返事をするとめぐさんはふんわりと笑った。

優しい笑顔に、俺まで笑顔になった。

「ところで、冥ちゃん。」

「ハイ?」

めぐさんの表情が急にガラリと変わった。
なにか企んでいるような‥

「ええモン見せたるわ♪」

⏰:09/04/20 08:26 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#59 [ちか]
めぐさんはそう言ってポケットからスルリと一枚の写真を取り出した。


「え‥‥これって…っ」


「せやで〜♪どうや?『ええモン』やろ??」


口角をあげてニヤつくめぐさん。


俺が見せられたモノ。

それは‥‥――――

⏰:09/04/20 19:33 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#60 [ちか]
「恭がまだ初等部に上がる前のやから、4、5歳のんやったかなぁ?」


そう。
子供版恭弥の写真!!


「か、可愛い…っ///」


クリクリとした大きな瞳に真っ赤な唇。
そして透き通るような白い肌の、幼さの残る恭弥の顔はそれはもう…可愛いかった‥///


俺はめぐさんから写真を受けとると、ソレに釘付けになった。

⏰:09/04/20 19:40 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#61 [ちか]
写真に見とれる俺に、めぐさんは耳元で囁いた。


「欲しいやろ??
特別に冥ちゃんには激安特価で‥‥「僕で悪どい商売するのやめてくれる?」



後ろで響く、怒りの混ざった低い声。

⏰:09/04/20 19:47 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#62 [ちか]
めぐさんの肩がピクリと揺れて、まるで『マズい‥』とでも言いたげな表情(カオ)を作った。

黒いオーラのようなモノが俺達の背中を熱くする


「いっ、いややなぁ!!;
冗談やんかぁ、冗談っ♪
なっ?!冥ちゃん?!」

ぐるりと振り返り弁解するめぐさん。
‥‥‥目が必死だ。

「はッはい‥!!(?)」

俺がそう返事をすると、恭弥は大きくため息をついた。

⏰:09/04/20 20:52 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#63 [ちか]
「でっ電話はもう終わったんか?!誰からやったん?!」

めぐさんは話題をそらす事に必死らしい。

恭弥もめぐさんの言葉に、今思い出したかのような声をあげた。


「あぁ、そのことなんだけど‥‥、」


その続きを言おうとした時、玄関からリビングに通じていたドアが目の前でゆっくりと開いた。

⏰:09/04/20 21:08 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#64 [ちか]
「‥‥‥だ‥れ‥?」


一枚のドアが開くとそこに立っていたのは、


肩につくかつかないかぐらいのブロンドの髪に、
長い睫毛が伸びた碧眼(ヘキガン)を持った綺麗な女の人。


周りを見渡すと、大きな目をさらに大きく開き、口をポカンと開けて固まっていた。

それを見てニヤニヤと口元を緩める恭弥。

⏰:09/04/20 21:31 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#65 [焔枉
この小説めちゃ好きです
応援してます
頑張ってください

⏰:09/04/20 21:35 📱:SH706i 🆔:HpkNfg2A


#66 [ちか]
>>65
└→焔桙ウま*

そう言って頂けて、ほんまに嬉しいです(´;ω;`)
ありがとうございます!
これからも頑張るので、
続きも読んで頂けると嬉しいです♪
>>3に感想板があるので、よかったら遊びに来てくださいね∩^ω^∩★

⏰:09/04/20 22:09 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#67 [ちか]
>>64

「久しぶり。
凌、背伸びたんじゃない?」

呑気な口調で話す恭弥に、凌と呼ばれたその人は不満そうに口を開いた。

「でもまだ恭には勝ってない。」

そんな返事を聞いて、ふふっと恭弥は笑う。

めぐさんは相変わらず固まったまま。


が、暫くして震える人差し指をしっかりとその人に向けながら叫んだ。

「なっ…なんでお前がココに居んねん!!!!」

⏰:09/04/20 22:17 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#68 [ちか]
めぐさんがそう大声を張り上げると、碧眼がめぐさんを映した。


「あぁ。居たんだ。
ごめん、小さかったから視界に入らなかった。」


そんな毒づいた言葉を、単調に吐き捨てるその人


それと同時に『ブチン』と聞き覚えのある音が聞こえた。
しかし、それは恭弥のモノじゃない。


これは、

⏰:09/04/20 22:20 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#69 [ちか]
「そこまで小っちゃないわボケ!!!!
もっぺん言ってみぃ!!」


めぐさんがキレた合図。


「だから、『小さすぎて視界に入りませんでした。』
これで満足?」


面倒くさそうな表情でめぐさんを見下ろす謎の綺麗な女の人。


3人の関係性が全く見えないんですけど…。

⏰:09/04/20 22:27 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#70 [ちか]
「…〜〜っ!!(怒)
何しに来てん!!!!!」

「何しにって、お前に言わなきゃいけない義務でもあるワケ?」

「勝手に入ってくんなや!!」


※君もね☆
(↑冥・恭弥の心情)


「来る前に電話もしたし、インターホンも押した。
松山さんに入れてもらったんだけど文句ある?
て言うか、いつからお前が此処の出入りを制限出来るような人間になったワケ?」

「…〜〜っ!!!!!」


睨み合いながらの壮絶な口喧嘩。

⏰:09/04/20 22:35 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#71 [ちか]
「まぁまぁ。
2人とも落ち着きなよ。」

口ではそんな事言ってるけど、恭弥絶対2人の喧嘩見て楽しんでる…

俺は口元をニヤつかせる恭弥の脇で2人の喧嘩にビクビクしていた。


「俺は落ち着いてる。
落ち着いてないのはこの猿だけだろ。」

ん?

「誰が猿じゃボケェッ!!!」

「お前以外に誰か居る?」


今この女(ヒト)、“俺”って‥‥―――

⏰:09/04/20 22:49 📱:P906i 🆔:DHUcas..


#72 [我輩は匿名である]
頑 張 っ て ね

楽 し み イ

⏰:09/04/20 23:57 📱:W52S 🆔:PKV/1AmY


#73 [ちか]
>>72
└→我輩は匿名さま*

いつもいつも嬉しいコメントありがとうございます
今から更新しますねっ*

⏰:09/04/21 21:27 📱:P906i 🆔:vRwZN9EM


#74 [ちか]
>>71

「お前ほんっっっまにムカつく!!!!」

「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ。」

そう言えば、なんか言葉使いも女の人にしては少し乱雑って言うか‥‥

俺は恐る恐る恭弥の服の裾を引っ張った。

それに反応して、俺に目をやる恭弥。

「あの‥‥この人って‥」

⏰:09/04/21 21:42 📱:P906i 🆔:vRwZN9EM


#75 [ちか]
俺の聞きたいことを悟った恭弥は2人の間に入り、自分の両側に居る2人を手のひらで差した。


「えっと、こっちは分かるよね。」

と言って、恭弥がめぐさんを横目で見たから俺はコクンと頷いた。
そして恭弥の視線は右から左へと移る。

「で、この外人顔の奴は櫻井凌(サクライ シノグ)。
神楽を入れた俺達4人は親繋がりの幼なじみ。」

⏰:09/04/22 19:04 📱:P906i 🆔:KZdQLZfE


#76 [ちか]
「神楽入れて3人でええわ!!こんな奴幼なじみやと思ったこと無いし!」

「ソレこっちのセリフ。」


2人は恭弥を挟んで睨み合う。
そんなことも気にせずに話を続ける恭弥。


「一応言っておくけど、凌は男だからね。」

⏰:09/04/23 00:07 📱:P906i 🆔:FPxhwjMk


#77 [ちか]
恭弥のその声に思わず凌さんの顔に目をやった。


確かに背も高いし、声も女にしては低い。


でも‥‥


俺はその容姿から凌さんが男だと言うことを信じれずにいた。

⏰:09/04/24 19:10 📱:P906i 🆔:g0nkni46


#78 [ちか]
すると恭弥は俺の思っていることが分かったのか、クスッと小さく笑うと凌さんの方にくるりと顔を向けた。


「凌、冥はお前のこと女だって思ってるみたいだよ?」

少し馬鹿にしたような、意地悪な笑みを浮かべながら恭弥がそう言うと、凌さんは少し嫌そうに「え‥。」と呟いた。

そして暫く考え込むような顔で俯いたあと、俺に目を向けた。

⏰:09/04/24 19:16 📱:P906i 🆔:g0nkni46


#79 [ちか]
「これで信じてくれるかな。」


凌さんな呟いた声は俺の耳には微かにしか届かなかった。


「え??‥‥‥ッッ!?!?//」


しかし次の瞬間俺の顔はタコのように真っ赤に染まった。


「分かった?」

顔色一つ変えず、無表情で凌さんはそうやって俺に問いかける。

⏰:09/04/24 19:26 📱:P906i 🆔:g0nkni46


#80 [ちか]
凌さんの後ろで恭弥は笑いを堪えるように口元を片手で隠し、めぐさんは呆れたようにため息をついていた。


俺の顔はみるみる内に耳まで赤くなった。


なんでかって?


だって……

この人、急にTシャツ脱ぎだして‥‥っ///
じょ、上半身が!!!///

⏰:09/04/25 18:57 📱:P906i 🆔:K6GokItw


#81 [ちか]
当の本人は俺がなんで真っ赤になってるのか全く気づいてない様子。

それどころか、

「まだ分かんないかな?
…じゃあこれでどう?」

そう呟いて不意に俺の手首を強く掴んだ。

突然手を引っ張られて俺は思考停止状態。


ペタ。


…手の行き先は、凌さんの胸。

⏰:09/04/25 19:07 📱:P906i 🆔:K6GokItw


#82 [我輩は匿名である]
わ く わ く

あ げ ま す ね

⏰:09/04/26 23:37 📱:W52S 🆔:KmF3cRkI


#83 [ちか]
>>82
└→我輩は匿名さま*

あげてくれてありがとうございます*´ω`
>>3の感想板にも良かったら遊びにきてくださいね♪

⏰:09/04/27 18:18 📱:P906i 🆔:BdDFPefA


#84 [ちか]
>>81

一気に心拍数が上がった。

意外と鍛えられていた胸がリアルな感覚を手に与える。

離したくても手首を強く握られて、そこから手を離すことが出来ない。

やがて凌さんはゆっくりと俺に問いかけた。

「胸ないだろ?
男って信じてくれた?」

表情は至って『無』。

俺が激しく首を縦に振ると、漸く凌さんは手を離してくれた。

⏰:09/04/27 21:00 📱:P906i 🆔:BdDFPefA


#85 [ちか]
触れていた手に熱が残る
尚も鼓動は早いまま。


突然だったことに俺が立ち尽くしている間、凌さんは脱ぎ捨てたTシャツを拾って被っていた。


やっぱり表情は無い。


そんな凌さんを見ながら俺は心の中で叫んだ。



この人絶対ズレてる!!

⏰:09/04/27 21:22 📱:P906i 🆔:BdDFPefA


#86 [さやか]
あげ(^O^)/

いつでもいいんで
書いて下さい

⏰:09/05/02 22:54 📱:F905i 🆔:017gNd7E


#87 [ちか]
>>86
└→さやかさま*

優しいお言葉ありがとう
ございます(´;ω;`)
更新不定期すぎて、本当にすいません‥
ですが絶対完結させますので、ゆっくり待っていただけたら嬉しいです

⏰:09/05/04 21:27 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#88 [ちか]
>>85

そんな俺を見てやっぱり恭弥はクスクスと笑っている。

…なんかすっごいムカつくんですけど‥。


睨み付けるように恭弥を見ると、恭弥は目を細めて微笑んだ。
やっぱりこんな時でも俺はこの笑顔に弱いんだよな。


そんなことをぼんやり思っていると、刺々しい口調で関西弁が響いた。

「んで、お前何しに来てん。」

⏰:09/05/04 21:38 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#89 [ちか]
その静かながら怒りの籠(コモ)った声に、チラリと凌さんは振り向いた。


「…たまたまこっちの知り合いに演奏頼まれて呼ばれたから。」


相変わらず険悪な雰囲気だ…。
疲れきった俺を察して恭弥は一度コホンと喉を鳴らすと口を開いた。

「じゃ、僕らは海でも行って来ようかな。」


その一言で俺のテンションは一気にぐんと上がった。

⏰:09/05/04 21:47 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#90 [ちか]
『海』と言う一文字は今の俺にとって魔法の言葉のようだ。


表情がパッと明るくなったのが自分でも分かった







が。

⏰:09/05/04 21:52 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#91 [ちか]
「はぁ?!そんなん自分らだけずるいわ!!俺も行く!!」

「恭が居ないのに此処居ても仕方ないし。」

同時に二つの声が重なって響いた。


「「コイツと行くんはごめん」」「やけど!!」「だけど。」

そしてまた語尾だけが異なって二つの声が重なる。


声が重なったことでまた口喧嘩を始める2人に、俺達もため息を重ねた。



やっぱりそう簡単にこの2人から離れるのは難しそうだ。

⏰:09/05/04 21:58 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#92 [ちか]
結局、俺達は海に行けないままこの険悪なムードと共に1日を過ごす羽目になった。


そんな夕方のこと。


夕食を済ませた俺達4人は黙りこんでいた。


暫くして、急にめぐさんが立ち上がる。

⏰:09/05/04 22:06 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#93 [ちか]
「言うん忘れとったけど、俺、夜は此処泊まる気無いし出ていくわ!」


相変わらずの明かるい笑顔。

しかし、恭弥と凌さんはその一瞬で顔を曇らせた。


だけど俺はそれを大したことだとは考えずただ椅子に座り込んでいた。


そんな中、めぐさんは俺の隣に寄ってくると小さく耳打ちした。


「夜まであんたらの邪魔する気無いから、好きなだけ仲良うしいや♪」

⏰:09/05/04 22:14 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#94 [ちか]
俺はびっくりすると同時に赤面した。

そんな俺の反応を見てニヤッと笑うとめぐさんは玄関の方に繋がるドアから出ていった。


すると、恭弥はそれを追うようにして席を立った。



凌さんは出ていった2人を見た後、視線を斜めに落として大きくため息をつく。



なんか嫌な予感がする…
今の俺にはそんな曖昧な事しか分からなかった。

⏰:09/05/04 22:19 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#95 [ちか]
― めぐるside.―


玄関のドアノブに手をかけた時、恭に呼び止められて初めて恭が後ろに居たことに気づいた。


コイツは昔っからそう言う奴やった。
影みたいに黒い部分(トコロ)があって、時々気配が無いみたいな感覚にさせる。


俺は振り返って、「なんや。」と低く声を発した。

⏰:09/05/04 22:36 📱:P906i 🆔:/B51orBQ


#96 [ちか]
「どこ行く気?」

振り向くと、腕を組みながら俺を見据える恭弥が居た。

「…分かってるくせに嫌な質問してくるなぁ。」

苦笑いをする俺を見て、恭弥はふっと笑った。

「まだそう言うことしてたんだ。いい加減やめれば?」

まるで俺をバカにしているかのような瞳(メ)。
黒くて、全てを見透かしているかのようなその瞳がたまに嫌いやったりする。

⏰:09/05/05 22:57 📱:P906i 🆔:eZG02kr2


#97 [ちか]
「止めれたらとっくに止めとうわ。」



それだけ吐き捨てるように呟いて俺はそこを後にした。


外に出て改めて景色の美しさに気づく。

たくさんの星が一斉に瞬いて地面を照らしていた

⏰:09/05/06 23:00 📱:P906i 🆔:z4wn19po


#98 [ちか]
だけど、俺はそんなことにいちいち感動出来るような心の綺麗な奴じゃない。



むしろ、嫌いや。



遠く上の方から、ちっぽけな俺を見下してるように見えて。

⏰:09/05/07 18:09 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#99 [ちか]
真っ黒でバカでかいこの世界で俺は蟻みたいに小さい存在でしかなくて、惨めな気分になる。


やから夜は嫌い。



俺は一歩、また一歩と歩く速度を早め恭の別荘を後にした。

まるで何かから逃げるかのように‥‥―――

⏰:09/05/07 18:21 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#100 [ちか]
― 冥side.―

恭弥が出ていったあと、俺達に残されたのはどうしようもない沈黙だった。


黙々と食事を続ける凌さん。

ちょっと食べ過ぎなんじゃ‥‥――と思ったけど、そんな事を言える雰囲気じゃなかった。


あまりにもそんな時間が長く続くもんだから、耐えきれなくなって俺は風呂にでも入ろうと席を立った。

⏰:09/05/07 19:15 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#101 [ちか]
と、言っても実は俺、かなりの方向音痴‥‥。

時々すれ違うメイドさん達に何度も何度も場所を聞いては迷い、最終的には案内されると言う形でそこに辿り着いた。


アジアンテイストな造りのバスルームからは夜空に浮かぶ月によってキラキラと輝く海がよく見えた。


「明日は海行けるかな‥。」


そんなか細い独り言は、お湯の中に溶けていった。

⏰:09/05/07 19:24 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#102 [ちか]
「あっちぃー‥」


長く入りすぎて身体はかなりの熱を帯びていた。

俺は顔の周辺をパタパタと仰ぎながら熱を冷ますが、熱は尚も俺の身体を支配し続ける。


仕方無しに俺は夜風にでもあたろうと、バスルームのすぐ傍にあった窓から庭に出た。

⏰:09/05/07 19:43 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#103 [ちか]
熱のせいでぼんやりとする頭と、フラフラな足取り。

よろよろとその辺を歩いていると、不意に何処からか綺麗な音色が聞こえてきた。

‥───♪‥〜〜♪


「あれ‥‥?」


音のする方へ進むと、段々と人影が見えてきた。

⏰:09/05/07 20:34 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#104 [ちか]
「‥‥―――!!!」

俺の目に飛び込んできたのは、雪のように真っ白で細い手でバイオリンを弾く凌さんの姿だった。


月明かりがちょうどスポットライトかのように凌さんを照らしていて、さらにその美しさを引き立たせている。

あまりに綺麗な旋律と容姿に俺は思わず暫くの間見とれてしまっていた。

⏰:09/05/07 20:40 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#105 [ちか]
我に返ったのは、ピタリとその白い手首が動きを止めた時だった。

ハッとした俺は、その場からどうしたらいいか分からなくなり立ち尽くした。


そんな俺に鋭い碧眼が向く。



「いつまでそうしてる気?」

⏰:09/05/07 20:52 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#106 [ちか]
「あ…っ、えっとその…ッ」

冷たい瞳が言葉の自由を奪う。
両手だけが空間を掻いた。


凌さんはそんな俺を暫く見つめた後、大きくため息をついて手招きをする素振りを見せた。

⏰:09/05/07 21:23 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#107 [ちか]
俺は戸惑いながらも、小走りで凌さんに近寄った

「盗み見なんて悪趣味な事されるくらいなら、近くに居た方がマシ。」

相変わらずの無表情が言葉にトゲをつける。

だけど俺は嬉しかった。
あの綺麗な旋律を近くで聴けると思うと自然と顔が緩んでいた。

「そ、それって見てていいってことですよね…?」

恐る恐るそう聞くと、凌さんは初めて柔らかい笑みを見せた。

「今日だけ特別、ね。」

⏰:09/05/07 23:18 📱:P906i 🆔:ltv73rLQ


#108 [ちか]
そして白い手首は再び動きだす。

俺はペタリと座りこんで、それをじっと見続けた。


指先から足の爪先まで、本当に整った、中性的な容姿。

時々風に靡くブロンドの髪がキラキラと輝いて美しかった。

こうしてみるとやっぱり女の人に見える。
それくらい綺麗だった。

⏰:09/05/08 21:00 📱:P906i 🆔:0YEHIE/g


#109 [ちか]
暫くすると凌さんは手を止めた。

さっきのように急にではなく、余韻を残すようにゆっくりと丁寧に。


どうやら曲が終わったみたいだ。

それを合図するかのように碧眼は目線を落として、俺を写した。

その澄みきった碧(アオ)に吸い込まれそうになる。

⏰:09/05/08 23:14 📱:P906i 🆔:0YEHIE/g


#110 [ちか]
「なんで泣いてるの?」

「え‥‥?」


言われるまで全く気づかなかったが、触れてみると頬は確かに濡れていた。


「良く分かんないけど、なんか凌さんの弾いてた曲聴いてたらなんか胸の奥が苦しくなって‥‥―――」


綺麗で優しいけど、どこか哀しくて寂しさが伝わってくる。

⏰:09/05/09 20:28 📱:P906i 🆔:zjxVugOY


#111 [ちか]
凌さんは俺の言葉に、ただ「そう。」とだけ返事して、俺の隣に腰を下ろした。

目線が同じ位置になったところで、俺は口を開く。


「‥なんて曲なんですか?」

すると凌さんは少し考えるような素振りを見せたあと呟いた。

「まだ決まってない。」

「まだ‥?」


.

⏰:09/05/09 20:34 📱:P906i 🆔:zjxVugOY


#112 [ちか]
「思い浮かんだ音を並べただけだから、まだ曲としては決まってないんだ。」

そう言って凌さんはバイオリンを指でなぞった。

「それってその、つまり凌さんが作ったってことですか?」

「うん。」

その瞬間空気はシンと静かになった。

そして…

⏰:09/05/09 21:00 📱:P906i 🆔:zjxVugOY


#113 [ちか]
「すっげー!!!」

星がキラキラと瞬く夜空に俺の声は響き渡った。

凌さんは驚いたように目を丸くしている。

俺は興奮状態。

「自分で作るとかすごすぎ!!!天才?!」

目を大きくさせてそう言う俺に、凌さんは驚いた顔を見せた後暫くして「ぷっ」と吹き出して笑った。

⏰:09/05/10 07:45 📱:P906i 🆔:5M2wVrvQ


#114 [ちか]
「天才って…ぷっはは、なんか分かる気がするな。」

「だ、だってホントにすごいし!!!///ってか分かるって何がですか?」

笑われたことで恥ずかしさが込み上がってくる。


「ん?恭が君を選んだ理由。」

「あ、そう言う意味ですか〜あははは…、」



って!!!
えぇ?!?!

⏰:09/05/10 20:47 📱:P906i 🆔:5M2wVrvQ


#115 [ちか]
「なな、なんで凌さんまで俺達のこと‥‥っ?!?!?!」


な、なんで知ってんの?!


動揺を隠しきれず、言葉に詰まる俺。

「見てたら分かるって。」

そんな俺を見て凌さんはさらりと言ってのけた。

⏰:09/05/11 18:05 📱:P906i 🆔:1cPCjFDs


#116 [ちか]
「そ、そうなんですか‥;」

そんなに分かりやすかったのかな?俺達って…


そんなことに思考を巡らせていると、隣で凌さんは小さく呟いた。



「俺も恭のこと好きだしな」

⏰:09/05/11 18:09 📱:P906i 🆔:1cPCjFDs


#117 [ちか]
・・・・・。




俺 モ 恭ノ コ ト
       好キ ?


「えぇえぇえッ?!?!!?!?」



「反応おそっ。」

⏰:09/05/11 18:13 📱:P906i 🆔:1cPCjFDs


#118 [ちか]
「%*★¥☆▽〜ッッ?!?!」

「何言ってんのか分かんないんだけど。」


だ、だって!!!

好きって…その‥アレで!!

つまり‥‥‥、


「俺達ライバルってことですか…?」

⏰:09/05/11 18:51 📱:P906i 🆔:1cPCjFDs


#119 [ちか]
恐る恐る聞く俺に対して、凌さんの反応は俺の考えと正反対のものだった


凌さんは笑いをこらえるような素振りを見せ、それでもクスクスと笑い声をもらした。

「ごめん、ちょっと誤解させたかも‥今はそう言う意味の好きじゃないから安心して?」



今は、って‥‥?

⏰:09/05/11 22:35 📱:P906i 🆔:1cPCjFDs


#120 [ちか]
「確かに好きは好きだけど、そう言う意味で好きだったのはだいぶ昔のことだよ。」


そう言って凌さんはおかしそうに笑う。

だけど俺は全く笑えない


だってさぁ!!!!

たとえ昔だったとしても、こんっっっな綺麗な人が恭弥のこと好きだったとか…

さすがに負い目感じずにはいられない。
俺の心はショックと不安の渦にぐるぐると掻き乱された。

⏰:09/05/12 23:48 📱:P906i 🆔:A7YkuQuc


#121 [ちか]
そんな俺を見て、凌さんは話を続ける。

「今はなんて言うか…好きだけどそう言う対象の好きじゃないから、そんな顔しなくていいって。」

「は、はい…」

そうは言われても‥‥

返事をしても、顔は半泣き状態の俺。

凌さんは一度大きなため息をつくと、追い討ちをかける一言を呟いた。


「まぁ確かに、しょーもない奴だったら別れさせるつもりだったけど…」

⏰:09/05/12 23:55 📱:P906i 🆔:A7YkuQuc


#122 [ちか]
真顔で言われると余計に怖いって!!!(泣)

もはやショックすぎて言葉も出ない俺はただ固まるだけ。


「……まぁ、でもその心配は無さそうだから。」

「へ…??」


聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声を聞き返すと、凌さんは空を見上げながら言った。

「恭にあんな顔が出来ると思わなかった。」

⏰:09/05/13 19:03 📱:P906i 🆔:twm7d2MU


#123 [ちか]
「恭が、あんな風に笑うなんて想像も出来なかった。
あんなに誰かを愛しそうな目で見るのも…
君のおかげで恭は変わったんだと思う。」


凌さんはそう呟いて碧眼に星を映してた。


俺は、恭弥の俺にしか見せない一面があることを喜んだけど、そのすぐ後にめぐさんの言葉を思い出した。

⏰:09/05/13 22:08 📱:P906i 🆔:twm7d2MU


#124 [ちか]
『アイツに誰かを好きになる日が来ること自体、信じられへんかってん。』



二人の言葉は確かに似ていた。

それを言う時の表情(カオ)も。



まるで恭弥の何かを知っているかのようだ。

⏰:09/05/13 22:13 📱:P906i 🆔:twm7d2MU


#125 [ちか]
「恭は俺の恩人なんだ。」


真っ暗な空にその声はよく響いた。


思わず「恩人?」と聞き返す俺。
凌さんはそれにコクンと頷いて話し出した。



「俺子供の頃喋れなかったんだ。」

⏰:09/05/15 20:40 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#126 [ちか]
そんな言葉が耳に届き、俺は咄嗟に落としていた目線を凌さんに向けた。


「俺さぁ、子供の頃、親に結構酷い虐待受けてて捨てられたんだ。
で、施設に入れられて出会ったのが今の両親。」

そう話す凌さんの横顔が心なしか悲しげに見えた。


「でもその時にはもう喋れなくなってた。
今思えば心の病ってやつだったのかもな。
でも、今俺はこうやって普通喋れてる。」

⏰:09/05/15 20:57 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#127 [ちか]
「そのキッカケが恭弥‥ってことですか?」

そう聞くと凌さんはまた静かに頷いた。


「あの時恭が居なかったら今の俺は絶対居ない。
だから俺にとって恭は昔っから特別。」


凌さんの言う『特別』には確かに特別な何かが籠っていた。


俺はそれの嫉妬に似たものを感じた。

⏰:09/05/15 21:24 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#128 [ちか]
「でも今の恭はあの頃と…」

「はい?」


凌さんの細い声は聞き取りづらかった。


「…いや、なんでもない。」


聞き返すと凌さんがそう言ったから俺はその話をあっさりと流した。

⏰:09/05/16 18:08 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#129 [ちか]
どうして俺はこの時




その言葉の続きを、

凌さんの表情の変化を、




気づけなかったんだろう

⏰:09/05/16 18:09 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#130 [ちか]
「まぁ、とにかく恭は俺にとって一番大切な人なんだ。
『その大切な人の大切な人』は俺も大切にしたい。
だから俺、君のことも好きだよ。」


凌さんにとって恭はそれほど大切で大好きで守りたいものなんだ‥―――

ぼんやりとそんな事が頭の中で滲んだ。


しかしこう美人な人に意味は違えど『好き』って言われるとさすがに照れ‥‥、


「…――っ?!?!?/////」

⏰:09/05/16 18:21 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#131 [ちか]
一瞬自分に何が起こっているのか解らなかった。


解るのは頬に感じる確かな柔らかい温もりと、

その原因が凌さんであると言うことだけ…



俺の思考はそこで完全にストップした。

⏰:09/05/16 19:27 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#132 [ちか]
「じゃ、俺そろそろ寝るわ。ばいばい。」


そう言い残して凌さんは去っていった。

星空の下に俺を残して。


暫くして漸く状況を把握した俺。





「キ‥‥キスされた‥。」


その声は漆黒の空に溶けた。

⏰:09/05/16 20:21 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#133 [ちか]
― 恭弥side.―


めぐがココを出ていったのを追いかけて引き留めるワケでもなく、僕はあの後まず元の部屋に戻った。


が、すでに冥の姿も凌の姿もそこには無く、メイド達が食べ終えた食器類を片付けている最中だった。


そして今僕は部屋で冥の帰りを待っている。

⏰:09/05/16 23:05 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#134 [ちか]
部屋数は相当なもので、一人一部屋にすることも出来たけどそうはしなかった。
(だって旅行だし。)


ソファに腰かけてドアを見ていると、暫くしてドアノブがぐるりと回った。


「おかえり。」


そんな出迎えの声に冥は肩をビクンと震わせた。

あからさまな動揺。

⏰:09/05/16 23:08 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#135 [ちか]
じっと見てみると、何故か片手でずっと右頬に触れているのに気づいた。

何か気にしているような素振り。


「どこ行ってたの?」


これから尋問TIMEになりそうだ。

⏰:09/05/16 23:18 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#136 [ちか]
「え‥っと、ちょっと外に…」

視点の定まらないまま泳ぐ瞳が可愛いくてたまらない。

「‥ふぅん。凌は夕食の後どこに行ったの?」


僕はこの時、冥の肩が微かに揺れたのを見逃さなかった。


凌と何かあったんだ、と言うのが分かると僕はニヤリと口角を上げた。

⏰:09/05/16 23:22 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#137 [ちか]
ソファから腰をあげると、そのままドアの前で固まっている冥に詰めるように迫ってみる。


「さっきから頬(ココ)ばっかり触ってるけど‥どうかした?」

冥が自分の頬に触れている手を僕はゆっくり撫でた。
段々と顔が赤くなっていく冥。


「ななな、なんでもない!!離せよっ!!///」

あっけなく払われる僕の手。

⏰:09/05/16 23:28 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#138 [ちか]
しかしそんな事で僕が狼狽えるワケもなく、それどころか更に詰め寄ってみた。


顔と顔との間に隙間は少ししかあらず、息遣いを感じるほど。


「何を隠してるの…?」


わざと耳元で囁く。


「まさか…凌にキスされた?」

⏰:09/05/17 08:15 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#139 [ちか]
その時冥の身体がビクンと跳ねた。


相変わらず分かりやすい。
しかし冥はあくまで白を切るつもりらしい。

「んなワケないだろ!!//
何も隠してないってば!!」

そこで僕は止め(トドメ)の一言を刺す。

「僕見てたんだよ?」


もちろん嘘だけど。

⏰:09/05/17 08:21 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#140 [ちか]
チラリと冥を見ると、冥は大きな瞳に水分を含んでいた。


「‥‥‥‥ごめん…、でも…っホントにいきなりで俺‥‥―――っ」

まるでそれは子犬に弱々しかった。


あまりにも可愛い(可哀想?)から、そろそろ尋問はやめて種明かしでもしてあげようか。

僕はゆっくりと口を開いた

「凌には気に入ったモノにキスをする癖があるんだ。」

⏰:09/05/17 08:28 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#141 [ちか]
「へ…?」

今にも泣き出しそうだった瞳が僕を見上げた。

「凌のバイオリンの先生が外国の人で、凌が良い演奏をしたりするとハグしたりキスする人なんだよ。
たぶんそれが移ったんだと思う。」

そう言って笑ってみせるけど、冥は固まったままだった。


暫くして糸が切れたように冥はその場に座り込んだ。

⏰:09/05/17 09:16 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#142 [ちか]
「なにそれ‥‥‥。良かったぁ〜…(泣)」

瞳から涙が一粒ポロリと落ちた。


余程安心したのだろう。




でも、
本当の本番はこれから。

⏰:09/05/17 09:19 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#143 [ちか]
「でも、」


僕がそう呟くと冥は「?」と僕の顔を見つめた。






「僕に嘘つこうとするなんて、お仕置きだね。」

⏰:09/05/17 09:28 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#144 [ちか]
そう呟くと同時に、僕は強引に冥の唇を奪った。

逃げられないように右手は壁に、左は冥の頭をしっかりと押さえながら。


「んふ…っ///んんっ!!」


冥はそれを拒否するように僕の背中を力任せに叩く。


部屋にはクチュクチュと鳴る淫らな音と乱暴な拳の音だけが響いた。

⏰:09/05/17 19:52 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#145 [ちか]
舌絡めれば絡めるほど、
冥は息を荒くする。


唇を離すと銀色の線が糸をひいた。

その先に見えるのは潤む瞳。



全部、全部僕のモノにしてしまいたい。
僕だけのモノに。

⏰:09/05/17 20:14 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#146 [ちか]
こうやって唇を重ねている時だけは、僕が冥の全てを支配している気がした。


冥が僕だけを考えているように思えた。
僕だけを見ているように。



たとえそれが歪んだ愛情だったとしても。
僕はそれ以外の愛の確かめ方なんて知らない。

⏰:09/05/17 23:18 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#147 [ちか]
だけどそれでもいい。



それだけでいい。



冥を想うこの気持ちさえあれば、



それだけで。

⏰:09/05/18 14:15 📱:P906i 🆔:4sI39tHQ


#148 [ちか]
僕は足元に座りこむ冥の身体を無理矢理立たせた。


足にしっかりと力の入らない冥を腕で軽く持ち上げ、顔を首元に埋める。


舌先を使いながら首筋を這っていくと、それに連れて冥は熱っぽい声をあげた。

⏰:09/05/18 14:37 📱:P906i 🆔:4sI39tHQ


#149 [ちか]
「やぁ…ん‥ン///」



耳を甘噛みすると、吐息混じりに鳴く冥。



次はどうしてあげようか




そんな事を考えながら、
冥のベルトに手をかけた

⏰:09/05/18 18:57 📱:P906i 🆔:4sI39tHQ


#150 [ちか]
― 冥side.―


凌さんのキスがそう意味だったと言うことに安堵していたのも束の間、容赦なく恭弥は俺に舌を絡めてくる。


『お仕置き』
の4文字は俺に新たな不安を与えて俺を犯す。


クチュクチュと響く卑猥な音が、俺の身体をより熱くした。

⏰:09/05/18 19:06 📱:P906i 🆔:4sI39tHQ


#151 [ちか]
カチャ..


ぼんやりとした頭を覚ましたのはそんな小さなベルトの音。


「‥‥‥――っ!!!///」



突然全身に走る快感。
下着越しに俺のモノは恭弥の手によって弄られていた。

⏰:09/05/18 20:10 📱:P906i 🆔:4sI39tHQ


#152 [ちか]
「あッ///や‥め…ッふぅ//」

「自分に拒否権あると思ってるの?」

「んあぁ…ッ///ハァハァ‥ッ」


恭弥は聴覚でも俺を犯す

甘く低く囁いて、
ナイフみたいに俺を刺す


その声を、
その快楽を求めて




俺は鳴く。

⏰:09/05/18 23:04 📱:P906i 🆔:4sI39tHQ


#153 [ちか]
恭弥は辛うじて立っている俺の下に膝立ちになった。

そして焦らすようにゆっくりと俺の履き物を剥いでいく。


そして股関からミゾオチまでの間をゆっくりとゆっくりと撫で上げる。


背筋がゾクゾクする。
欲が増えて我慢出来なくなる‥

俺のモノは大きくなるばかり。

⏰:09/05/18 23:25 📱:P906i 🆔:4sI39tHQ


#154 [ちか]
「見て?冥‥‥こんなに大きくなって‥」

「うるさ‥ッいン!!///あ…っ」


恭弥はそう言って俺のモノを円を描きながらなぞる。
快感におかしくなりそうだ。

やがて恭弥はモノから手を離すと、それを口内に運んだ。


クチュ.クチュ..ピチャ


恭弥は器用に先端を吸ったり、舌先で弄ぶ。

「やっ…はぁんッ!!///
ダ…メだって!!でる…ぅッ///」

⏰:09/05/19 01:02 📱:P906i 🆔:3DlGwaqA


#155 [ちか]
そう呟くと同時に頭が真っ白になって、あっけなく俺は果てた。


「ハァハァ‥ッ//ん…ハァ‥//」

白濁色の液体が太股を伝う。
潤む視界から、妖艶な笑みを浮かべる恭弥が見えた。

「あーあ。汚れちゃった。」

そう言って恭弥は口内から溢れた愛液を指で絡めとり舐めた。

艶やかな目付きが俺を縛って動けなくする。

⏰:09/05/19 12:28 📱:P906i 🆔:3DlGwaqA


#156 [ちか]
「ねぇ、どうしてくれるの?」

伝う愛液を絡めとるように恭弥は俺の太股を舐めた。


「ふ…ぁ///ごめ‥んン…なさい…っ」

背筋を走る快感に身悶えしていると恭弥はスッと立ち上がった。


「ヤだよ。」


その声は俺の神経を掴んで離さない、甘い罠。

⏰:09/05/19 17:35 📱:P906i 🆔:3DlGwaqA


#157 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

タイミングが悪くて
すいませんm(__)m

皆さんの意見をぜひ
聞きたいので、感想板↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/262
に一度来て
いただきたいです!><

協力よろしくお願いします

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/05/20 11:23 📱:P906i 🆔:B/cpgI72


#158 [ちか]
>>156
その瞬間、恭弥は俺の身体の向きを無理矢理を変えさせた。

「?!?!…なにす‥っんン!!///」

そして蕾へと滑り込む指。

「一気に2本も入っちゃった。淫乱だね。」


かき混ぜるような指使いと、攻める言葉が俺を狂わせる。

⏰:09/05/20 11:48 📱:P906i 🆔:B/cpgI72


#159 [ちか]
「あっ‥ん///やめ…ッ//そこ…は…ッ!!///」

「なにそれ、誘ってるの?」


そんなワケないじゃん!!(泣)


指を出し入れしながらも左手は俺のモノを弄り続ける。

「も…っ限界‥‥ッ?!?!//」

2度目の頂点を迎えようとしたその時。

⏰:09/05/21 20:56 📱:P906i 🆔:gsQdz226


#160 [ちか]
先端を摘ままれて俺はイキ損ねた。


「きょ…ハァ..おや…??//」

激しく中をかき混ぜていた指はゆっくりと抜かれ、俺は物足りなさを感じていた。

その瞬間。



「言ったよね?
お仕置きだって…クスッ」

⏰:09/05/21 21:32 📱:P906i 🆔:gsQdz226


#161 [ちか]
全身の力が抜けそうになるほどの甘い声で俺は正気に戻る。


そうだ…
恭弥がそんな簡単にイカせてくれるわけない‥


しかしそんな事、今さら気づいてももう遅かった


恭弥はゆっくり俺から離れると、おもむろにベッドの上へと腰を下ろした。

⏰:09/05/21 21:41 📱:P906i 🆔:gsQdz226


#162 [ちか]
それがどういう意味なのか分からず、俺はただ息を整えながらそれを見つめた。


「続き…したい?クスクス」

俺の反応を愉しむようなその顔がむかつく…

だけどそんな事に腹を立てる余裕なんて今の俺には無かった。


俺は小さく頷く。

⏰:09/05/21 21:46 📱:P906i 🆔:gsQdz226


#163 [ちか]
そんな俺の反応を見て、案の定恭弥は満足げに微笑んだ。


「でも、」


その言葉に俺はピクンと身体を揺らす。


「どこに何して欲しいのか、言わなきゃ分かんないでしょ?
『おねだりの仕方』は教えたはずだよ?」

⏰:09/05/21 21:50 📱:P906i 🆔:gsQdz226


#164 [我輩は匿名である]
あげます☆

⏰:09/05/25 20:36 📱:P905i 🆔:7vdmwdmc


#165 [ちか]
>>164
└→我輩は匿名さま*

あげてくれてありがとうございます^^*


>>3 に感想板があるので
匿名さまも他の読者様も
ぜひ遊びに来て下さい♪
コメントがあると、
すごく励まされます><
いつもありがとうございます!

⏰:09/05/26 20:28 📱:P906i 🆔:eV6mQaso


#166 [ちか]
>>163続き

身体中が一気に熱を帯びた。

「そっそんなの出来な…///「なら、やめようか?」

ニヤリと口角をあげて恭弥は意地悪く微笑む。

本当はやめたくなんてない…でも‥///

俺は俯きながら絞りだすように声を出した。

⏰:09/05/26 20:51 📱:P906i 🆔:eV6mQaso


#167 [ちか]
「お、俺のアナルに‥‥挿れてください…っ////」

手を壁につかせ、少し尻を突き出すような体勢をとる。

言葉にするとさらに恥ずかしさが込み上がってきて、身体が熱くなった。


「クスッ‥良くできました。」


顔は見えないけど、その声色から恭弥の機嫌が窺える。

⏰:09/05/26 21:16 📱:P906i 🆔:eV6mQaso


#168 [ちか]
‥‥しかし、いっこうには恭弥が俺の傍に来る気配ない。

静寂が俺の恥ずかしさを余計に駆り立てた。


ま、まさかこれが放置プレイってやつ…?!(泣)

どこまで意地悪なんだよ!!


もはや身体もそして俺自信も限界だった。

その時。

⏰:09/05/27 18:51 📱:P906i 🆔:EChABreI


#169 [ちか]
>>168訂正
いっこうには→×
いっこうに →○

すいませんm(__)m

⏰:09/05/27 18:54 📱:P906i 🆔:EChABreI


#170 [ちか]
>>168続き

「続きしたいなら自分からおいでよ。」

「え…?」

静けさを破ったその声を聞き返すように振り返ると、相変わらずの妖艶な笑みを浮かべた恭弥が視界に入った。


一瞬頭が混乱したが、事態を把握すると一気に顔が赤らんでいくのを感じた。


放置プレイ以上にコイツは意地悪だった‥‥(泣)

⏰:09/05/27 19:09 📱:P906i 🆔:EChABreI


#171 [ちか]
戸惑いを感じられるような足取りで少しずつ少しずつ恭弥の居るベッドに歩みを進める。


目の前まで行くと恭弥の両腕はいとも簡単に俺の体を包み込み、俺はベッドの上に倒れこんだ。


「ほわっ!!!?///ちょ…っ恭‥弥っ///んん…ッ」

⏰:09/05/27 19:16 📱:P906i 🆔:EChABreI


#172 [ちか]
濃厚な甘いキスが俺を支配する。

恭弥はわざと卑猥な音をたてて唇を離すと囁いた


「たっぷり奉仕してもらわなくちゃ。」


そう言って舌で唇をなぞる仕草が色っぽくて、俺の心臓はドクドクと激しく脈を打った。

⏰:09/05/28 19:19 📱:P906i 🆔:obx8kVL2


#173 [高繧ゥ江
あげ
楽しみに待ってます(*^ ^*)y

⏰:09/06/01 01:28 📱:W62SH 🆔:0kyKok.w


#174 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
長い間の放置
本当にすいませんm(__)m

この一週間とちょっとの間、用事がありすぎて更新するどころか、ここに来る時間もありませんでした
でもそれも一段落ついたのでまた今日から更新再開します★∩^ω^∩

どうか最後までこの小説と私を(笑)よろしくお願いします!><

↓感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/06/06 17:17 📱:P906i 🆔:paMdzXBk


#175 [ちか]
>>173
└→ゅかさま*

あげありがとうございます(´;Д;`)
今から更新するので、よかったら続きも読んでくださいね♪(*^^*)

⏰:09/06/06 17:19 📱:P906i 🆔:paMdzXBk


#176 [ちか]
>>172続き

俺は慣れない手つきで恭弥に『奉仕』を始めた。

首筋を舌でなぞると恭弥はくすぐったそうに笑う

「わっ//笑うなっ!!///」

「だって‥‥クスクス」

こっちだって一生懸命やってるんだっつーの!!///
普通笑う?!?!
ほんとむかつくっ!!

⏰:09/06/06 17:31 📱:P906i 🆔:paMdzXBk


#177 [ちか]
くすぐったそうな恭弥を無視して愛撫を続ける。

ついに俺の手は恭弥のベルトへとかかった。


ゆっくりと外し、少し履き物を下ろすと、大きく反り返ったモノが現れた。


鼓動を増す心臓の音がうるさい。

⏰:09/06/06 17:42 📱:P906i 🆔:paMdzXBk


#178 [我輩は匿名である]

>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200

⏰:09/06/07 23:34 📱:W61SH 🆔:KZnGhAVY


#179 [ちか]
>>178
└→我輩は匿名さま*

アンカーありがとうございます(*^^*)
>>3の感想板にもぜひ来て下さいね♪

⏰:09/06/08 22:40 📱:SH01A 🆔:4nVvTb32


#180 [ちか]
>>177続き

未だその大きなモノを、しかも自分から挿れるとなると恥ずかしさと抵抗がある。

「何?どうかした?」

無表情のその問い掛けに
俺は蚊のように小さな声で呟いた。

「や、やっぱ俺、き…騎乗位とかした事ないし‥///」

「じゃあ止める?」

遮るようにまた問い掛けてくる恭弥の目は、すでに俺の答えを悟ってるみたいだった。

⏰:09/06/08 22:59 📱:SH01A 🆔:4nVvTb32


#181 [ちか]
「…やります‥‥‥」

しばらく間を置いてそう呟くと、恭弥は満足げな笑みを浮かべた。


恭弥を跨いで、ソレと垂直の位置に身体を持っていく。

ヌプ..

「んあ…///ん...」

生々しい音と求めていた快感のせいで溢れた熱っぽい声が部屋を包んだ。

⏰:09/06/09 21:17 📱:SH01A 🆔:KSkyVcB6


#182 [のん]
あげ!

⏰:09/06/18 18:58 📱:W56T 🆔:eu0SC58s


#183 [ちか]
>>182
└→のんさま*

あげてくれてありがとうございますm(__)m★
更新頑張りますっ!

⏰:09/06/18 20:52 📱:P906i 🆔:t7j4xlm6


#184 [ちか]
>>181続き

「ん…ハァ///あ‥‥ん//」


上下にゆっくりと身体を動かすと同時に、快楽の波が押し寄せてくる。


もっと…もっと気持ちよくなりたい。


それだけのために、俺はただただ身体を揺らした。


「クス…ヤらしい顔。」

⏰:09/06/18 20:58 📱:P906i 🆔:t7j4xlm6


#185 [み]
あげます

更新楽しみに待ってます

⏰:09/06/21 11:27 📱:W47T 🆔:7sdyb6.I


#186 [のん]
あげ!
頑張ってください!

⏰:09/06/24 09:40 📱:W56T 🆔:JpgZmAo2


#187 [のぉシ]
Fightイ!

⏰:09/06/24 10:28 📱:W61SH 🆔:OhswiwE6


#188 [高繧ゥ江
待ってますネ(*^ ^*)y

⏰:09/07/01 19:16 📱:W62SH 🆔:bAjdKyy2


#189 [ちか]
長い間の放置すいません;;
今日少し更新出来そうなんですが、今月はかなりのスローペースになりそうです(´;ω;`)
ですが!絶対に絶対に完結させるので、どうか暇な時は読んでやってください

>>185みさま
>>186のんさま
>>187のぉさま
>>188ゅかさま
まとめてしまってすいません…応援してくれてありがとうございます(´;ω;`)

⏰:09/07/06 18:15 📱:P906i 🆔:xjEUiyCM


#190 [ちか]
>>184続き

「…っるさい!!///黙っ…」
『黙ってろよ』
そう言おうとしたその一瞬、
視界が急に一回転して
気がつけば立場は逆になっていた。

「ちょ…ッ恭‥や…っ!?//」

「下から見るのも良いけど、やっぱり僕苛める方が好きみたい。」


そう言って笑う黒い瞳は
悪魔のように意地悪だった

⏰:09/07/06 18:26 📱:P906i 🆔:xjEUiyCM


#191 [ちか]
「やぁっ///きょ、恭弥!!だめ…んあっ///」

「ん、締めすぎ…。もっと力抜いて。‥‥そう。」

「だめだって!!!///
出る…!!!あぁっ//」


快楽の波が全身を巡って、俺は欲を吐き捨てた。


「ん…ハァハァ///あ‥ハァ..」

乱れる呼吸が部屋中に響く。

⏰:09/07/06 19:00 📱:P906i 🆔:xjEUiyCM


#192 [ちか]
「クスクス…早かったね。
そんなに気持ち良かった?」

恭弥は俺の太股を伝う白濁色のソレを指で絡めとると、そう言って舐めた。


「ハァハァ..恭弥が強引だからだろ…っ!!///」

力ない声で抵抗する俺を見て恭弥はクスリと微笑む。
そんな表情も愛しく思えてしまう。


二度目の頂点を迎え、余韻に浸りながらぐったりとしている俺の耳元で恭弥は囁いた。


「まだ寝かさないよ?」



窓からは漆黒の夜を照らす真っ白な満月が美しく見えた。

⏰:09/07/09 21:41 📱:P906i 🆔:oVQig.fk


#193 [ちか]
― めぐるside.―

「んあ…///」

ギシギシとベッドが軋む。

「あ‥も…だめッ///イっちゃう!!//」」

首元にかけられた両腕が
鬱陶しいくらい熱い

「めぐる君…ッ///」

呼ぶな

「愛してる///ンあ…ッ//」

嘘を

「…俺も愛してるよ。」


つかないで

⏰:09/07/10 12:46 📱:P906i 🆔:sMvEJb6E


#194 [ちか]
熱っぽく荒い呼吸が室内の温度をあげる。


「めぐる君、上手すぎ…//私シャワー浴びてくるね。」


そう言って足早にベッドを去る後ろ姿を見つめて、俺はまた一つため息を吐(ツ)く。

.

⏰:09/07/10 12:55 📱:P906i 🆔:sMvEJb6E


#195 [ちか]
真夏の熱帯夜とギンギンと冷えた部屋はまさに俺みたいだ。


触れ合えば
身体は熱くなる


だけど、胸の奥の、
一番大切なところは
どこか冷めていて


自分が分からなくなる

⏰:09/07/10 12:58 📱:P906i 🆔:sMvEJb6E


#196 [ちか]
「“愛してる”…とか、簡単に言うなよ。」


この夜だけで終わりの関係に、“愛”なんて
そんなもの無い。


だけど、一瞬でも孤独を
忘れたくて俺は求める。


偽物の愛を。

⏰:09/07/10 13:07 📱:P906i 🆔:sMvEJb6E


#197 [ちか]
差し込む満月の光が眩しくて、

その光に照らされると、自分の陰が浮き出てしまうから、


逃げるように目をそらす



「なんで俺、こんなんしてるんかなぁ…。」

なぁ、教えてや。
誰か…


見上げた満月は、哀しいくらい美しかった。

⏰:09/07/10 13:11 📱:P906i 🆔:sMvEJb6E


#198 [ちか]
──────────
──────‥


 漆黒の夜に
 弦の音色が響く

 それは美しく、
 そして寂しい


 同じ空の下、
 それぞれが感じるのは
 愛なのか孤独なのか


 いつになれば呪縛から
 解放されるのか‥──


    ‥‥──────
  ──────────

⏰:09/07/13 18:37 📱:P906i 🆔:7MvgArVw


#199 [ちか]
― 冥side.―

「ん゙〜〜‥‥」


肌寒さを覚えた俺は、小さく寝惚けた声をあげて目を覚ました。

(今何時だ‥‥?)

と、薄く開いた目であたりを見回すと、途端に俺の頭に昨日の事がフラッシュバックされた。

そう。
視界にどアップで恭弥の寝顔が飛び込んできたからだ。

⏰:09/07/13 21:16 📱:P906i 🆔:7MvgArVw


#200 [ちか]
肌寒さを感じていたはずの身体は一気に熱を帯びて、俺を赤く染める。


「ん、‥ス― ス―‥」

長い睫毛が白い肌に良く栄(ハ)えて、俺を釘付けにした。

そして俺の目線は形の良い薄い唇へと移る。


ゴクン..


緊張からか、一度唾を飲み込みソレに視線を戻した。

(軽く…軽く‥//)

そう心の中で呟いて顔を近づけた。

⏰:09/07/13 21:49 📱:P906i 🆔:7MvgArVw


#201 [ちか]
ちゅ。


軽く唇を乗せると、柔らかい感触を感じた。

高鳴る鼓動と、きつく瞑る瞳。
全身が熱くなるのが分かった。
その時。


「んふ…ぁ?!!///」

突然忍びこんできた舌。

「んんっ…//‥‥―!!!」

余韻を残して離された唇を辿ると、まだ少し微睡んだ漆黒の瞳があった。


「寝込み襲うなんて悪趣味だね。」

⏰:09/07/14 21:32 📱:P906i 🆔:uUIWmaXs


#202 [ちか]
そう言われて俺の顔は一気に熱が込み上げる。

「や…っ、ちがっ!!!///
これはその…っ、つまり//」

「《つまり》、なに?」

上半身を起こしてて、
ぐいぐいと迫ってくる恭弥

「えっと…その、うわあっ!!?」

ドンッ

「いったぁ〜…(涙)」

迫ってくる恭弥から逃げるように後ろへ後ろへと退いていると、いつの間にかベッドの範囲を越えてしまったようだ。
音を立てて俺は床に叩きつけられた。

⏰:09/07/14 21:44 📱:P906i 🆔:uUIWmaXs


#203 [ちか]
「…何してんの、全く。」

恭弥があんな顔して
近づいてくるからだろ?!//

心の中でそう叫びながらも口に出すことは出来ず、俺は起き上がろうと腰をあげた。






が。

⏰:09/07/14 21:47 📱:P906i 🆔:uUIWmaXs


#204 [ちか]
「いっってぇーッ!!!(泣)」


腰に激痛が走る。
ジンジンとしみるように痛さが伝わってきた。


「腰痛いの?」

ベッドの上から見下ろすように俺を覗く恭弥に、俺は顔を大きく縦に振った。


「情けないなぁ。《アレ》くらいで。クス‥」


《アレくらい》じゃなくて《アレだけすれば》だっつーのっ!!!!!!!(泣)

⏰:09/07/14 21:52 📱:P906i 🆔:uUIWmaXs


#205 [ちか]
ベッドから落ちた衝撃でさらに腰の痛みは悪化したようで、俺はその場を動けずに居た。

が、

「仕方ないなぁ。」

と気だるそうに呟くと、恭弥は軽々と俺を抱き上げた。
いつものお姫様抱っこで。

暴れたくても暴れられない俺は、ただ顔が赤くなっていくのを感じるしかなかった。

⏰:09/07/16 17:36 📱:P906i 🆔:cLbwCS8g


#206 [ちか]
ゆっくりとベッドに降ろされた俺。
俺を気遣ってくれてるのかいつもより丁寧だ。

「…あ、ありがと..」

目も合わせないままそう言うと、恭弥は俺の頭を軽く撫でた。

「どういたしまして。」

その笑顔はすごく優しくて。愛しくて。



いつの間にか俺達の唇は重なろうとしていた。…――

⏰:09/07/16 17:39 📱:P906i 🆔:cLbwCS8g


#207 [ちか]
バァンッ!!!!

「朝やで〜っ!!起きい〜♪」


残り数mmといったところで、愛しかった雰囲気はいとも簡単に掻き消された。

固まる俺と恭弥。
徐々に恭弥の怒りが辺り一帯に広がっていく。

そんなこともお構い無しに相変わらず暢気な声をあげるめぐさん。

「あ、ごめんごめん!!もしかして俺、邪魔してもた?!」

⏰:09/07/16 17:50 📱:P906i 🆔:cLbwCS8g


#208 [ちか]
「もしかしてじゃなくて、邪魔なんだよ、ねぇ?分かってる?」

めぐさんの居る方へ振り返った恭弥の背中からは殺気が漂っていた。

「ごめんて!!そんな怖い顔せんとってや〜(汗)」

苦笑いを浮かべ両手を合わせるめぐさん。
そんな姿に恭弥はあからさまな溜め息を吐いた。

「で、なんの用?」

⏰:09/07/17 13:16 📱:P906i 🆔:kBnPgbV.


#209 [ちか]
「ん?あ〜!!!そうそう!!」

恭弥の問いかけにめぐさんは大きく手を叩いた。


「海!!!海行こーや!!」


満面の笑み。
口元からは八重歯がチラリと見えた。

しかし、今のこの状況。


‥‥‥行けるはずない。

⏰:09/07/17 22:25 📱:P906i 🆔:kBnPgbV.


#210 [ちか]
「悪いけど、冥体調良くないから今日は無理。」

「えっ?!なんで?!どーしたん冥ちゃん!!」


大袈裟なリアクションが独特だ。

「とにかく今日は無理。」

鬱陶しそうにめぐさんに返す恭弥の声を聞きながら、俺は俯いた。


行きたかったなぁ…海。

⏰:09/07/17 23:13 📱:P906i 🆔:kBnPgbV.


#211 [ちか]
「ん〜…じゃあバーベキューしよ、バーベキュー!!」

大きくて通る声が雰囲気をパッと明るくした。

「だから体調が…、」

俺は恭弥の言葉を遮るように服の裾を引っ張った。

「…バーベキューしたい。」

小さく呟いたその声に恭弥は少し戸惑う。

「でも…「大丈夫だよ、さすがに今すぐは無理だけど..」

そう言って少し引きつるように笑った。
そうすると恭弥はいつもみたいに優しく俺の頭を撫でた。

「分かった。」

優しい微笑み。

⏰:09/07/18 09:10 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#212 [ちか]
「よし!じゃあ決まりやな★恭!!朝飯食ったら買い出し行くで!」

「買い出し?」

「おう!」

きょとんとした顔を向ける恭弥。


そして一言。

「バーベキューの準備って僕達でするの?」


あぁ…この人って、こう言う人だったよな‥

⏰:09/07/18 09:14 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#213 [ちか]
「当たり前やろ!!お前、ほんま相変わらずやなぁ」

ケラケラと笑うめぐさんにつられて俺も少し笑う。
本人はなんで笑われてるのか分かってない様子。


「ところで今何時か分かる?」

恭弥にそう聞かれ、めぐさんは自分の腕時計に目をやった。

「え〜っと、12時半過ぎやな!!」

「「‥‥‥‥。」」


あぁ…この人もこう言う人だったよな…。

⏰:09/07/18 09:19 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#214 [ちか]
その後、3人で朝御飯と言うには遅すぎる食事をとった。

「そう言えば凌は?」

「さぁ。どっかでヴァイオリンでも弾いてるんちゃう。」

めぐさんは凌さんの事となると、途端に機嫌を悪くする。

「ふぅん。」

「「「‥‥‥‥‥。」」」

なんだ、この空気!!

この雰囲気を変えるために俺はやたら饒舌(ジョウゼツ)になった。


そんな風に食事を終えた俺達は、暫くしてバーベキューの準備に取り掛かることにした。

⏰:09/07/18 10:20 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#215 [ちか]
「じゃあ俺と恭は買い出し行ってくるから、冥ちゃんは留守番しときぃ。」

「僕も留守番が‥「んじゃあ、行ってきまーす♪」


そうして玄関の扉はバタンと音をたてた。


「恭弥もめぐさんも居ないし暇だなぁ。」

そう思いながらまだ痛む腰を少しさすった。

⏰:09/07/18 10:25 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#216 [ちか]
だだっ広いリビング。

さすがに一人で居るには寂しい。


「…凌さんどこかな?」


そう呟いて俺の足は自然と昨日の庭へ向かっていた。

――――――――――――――――――――――――

⏰:09/07/18 15:09 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#217 [ちか]
― めぐるside.―

「「「 あ。 」」」

玄関を出てすぐ俺達はバッタリ出会ってしまった。


(コイツ、あからさまに嫌な顔しやがって‥‥)

俺は思いっきり凌を睨んだ
その碧色の瞳に俺の姿なんて映ってないと言うのに。

「どこ行くの?」

「ん?ちょっと買い出しにね。」

⏰:09/07/18 20:00 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#218 [ちか]
「買い出し?」

首をかしげながら凌はそう言った。

「バーベキューすんねん!!!バーベキュー!!お前はココで留守番しとけ。」

自分で言うのもなんやけど、かなりの憎たらしい口調。

案の定、凌はムッとした顔を家の中へ入っていった。

⏰:09/07/18 21:01 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#219 [ちか]
「なんやねん、あの目!!
ほんっっまムカつくわ!!!」

吐き捨てるようにそう言って俺はスタスタと歩いていく。

「ちょっ、車は?!?!」

後ろからそう叫ぶ恭の声がする。

あ゙ーっ!!!!
イライラする!!!!


「買い出しっちゅーもんはなぁ!!!歩いてするもんなんじゃ!!!」

※完璧な八つ当たり(笑)

⏰:09/07/18 21:44 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#220 [ちか]
恭弥もこれには呆れた様子で、でも隣に並んできた。

やけど、なんせこの雰囲気の悪さ。
いや、俺が悪くしたんやけど!!
俺は自業自得のこの沈黙を破れずにいた。


照りつける真夏の太陽が、俺の額を湿らせる。

(この空気どないしよ‥)

考えれば考えるほど解決案が見つからず、汗がタラリと首筋を伝った。その時。

「あのさ、」

沈黙を破る乾いた声。

⏰:09/07/19 08:46 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#221 [ちか]
声のする方へ顔を向けると、夏とは無関係のような真っ白な肌が目に映った。


「なに。」

応答は自分でも驚くほど静かで短いものやった。

セミの声が辺り一面を五月蝿くするが、俺達の間だけはやけに静かな気がする。


「めぐ、凌のこと
     好きでしょ?」

⏰:09/07/19 08:56 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#222 [ちか]
一瞬、この世の何もかもが止まった気がした。

それくらい衝撃的だった。


「…は、はぁ?!何言ってんねん!!お前俺のどこ見てそんなん言って‥‥、」


何故か心臓が早く脈を打った。
何故自分が焦っているのか分からない。
解らない…。

⏰:09/07/19 09:04 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#223 [ちか]
「どこを見てって言うか‥‥、なんとなくだけど。」

「は…はは、なんやそれ。変なこと言うなよ。」

なんで俺、こんなひきつってるんや?
こんなんいつもの俺やったら、笑い飛ばすなりキレるなりするはずやのに‥‥


でも、今俺の中はどっちでもない。
なんなんやろ、この感覚…

⏰:09/07/19 14:11 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#224 [ちか]
「じゃあ、めぐは凌の何が嫌いなの?」

その問いかけの口調は、嫌味や悪気などは全くなくただ素朴だった。

「そ、そりゃ…俺を馬鹿にしてるようなあの目とか‥」

「凌の目付きはもともと悪いよ?」

「あの憎たらしい口調とか…」

「いつも先に喧嘩吹っ掛けるのはめぐでしょ。」

「俺を見下ろす態度‥、」

「めぐの方が身長低いんだから仕方ないよ。」

「‥‥‥‥‥‥。」

⏰:09/07/19 14:29 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#225 [ちか]
ことごとく覆された俺は黙り込んだ。
それに追い討ちをかけるようにして恭弥は言う。

「そもそも、何がキッカケであんな仲悪くなったっけ?」

「それは…っ‥‥‥」

「それは?」

「いや、なんでもない。そんなん忘れたわ。」

「?変なの。」

そう言って恭弥は歩いていく。でも俺は立ち止まってしまった。

『忘れる』わけないから

⏰:09/07/19 16:49 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#226 [ちか]
でも、それは仲が悪くなったキッカケじゃない。

俺が、俺一人がアイツを拒んだ理由‥‥―――
―――――――――――

まだ8つか9つの頃だった。
たまたまパーティーで顔を合わせた俺とアイツ。
親同士の思いつきで急遽皆の前で、俺はピアノ、アイツはヴァイオリンで一つの曲を一緒に演奏することになった。

⏰:09/07/19 17:04 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#227 [ちか]
だけど、演奏中。

俺の親は仕事でパーティーを抜けた。

演奏が終わった後、舞台を降りるとアイツは両親に抱き締められていた。
何度も何度も頭を撫でられて誉められていた。

でも俺は‥‥―――
隣に世話係りが居るだけ。

「なんで俺だけ‥‥っ
なんで‥‥‥っ
俺は一人やねん…!!!!」

そう言って世話係りの服の裾を千切れるくらい強く握った。

嫉妬した。妬んだ。

そんなキッカケで俺はアイツを遠ざけるようになった。

⏰:09/07/19 17:16 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#228 [ちか]
「アホやな…俺。」


そう呟いてまた恭の隣に並んだ。
でもきっと俺はもうアイツとは並んで歩けない。

俺がそうしたから‥――


恭弥はチラリとこっちに目を向けたがすぐにまたそらした。



「また女抱いたんだね。」

―――‥‥え?

⏰:09/07/19 17:36 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#229 [ちか]
「女物の香水の匂いする。」

顔をしかめる恭弥。

「…ふ、はは。昨日俺が出ていく時から分かってたくせにいちいち言うんや?
性悪やな恭も。」

「お前には言われたくない」


お前には、か。


――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/19 17:47 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#230 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

更新ストップします(´`)
誰か読んでくれてる方
いますか?(;_;`)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/07/19 17:53 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#231 [りえ]
読んでます
ずっと見てます
大好きです

⏰:09/07/19 20:11 📱:SH905i 🆔:kuBLqg1c


#232 [ウ]
この小説大好きですイ
毎回楽しみにしてます~。

⏰:09/07/19 22:31 📱:W53T 🆔:1nzXVRTU


#233 [ちか]
>>331
└→りえさま

ずっとですか!!><
大好きなんて言ってもらえて嬉しすぎます(;д;`)
これからも頑張ります!
>>3感想板にもぜひお越しください♪
ありがとうございましたっ

⏰:09/07/20 01:22 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#234 [ちか]
>>233さま

私の携帯がドコモのせいで、名前が分からずすいません(;_;`)
嬉しいお言葉ありがとうございます!!
私にはもったいないくらいです(T_T*)
これからも楽しんでもらえるように頑張ります★
>>3感想板にもぜひ♪
ありがとうございましたっ

⏰:09/07/20 01:23 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#235 [ちか]
― 冥side.―

「い…いた‥‥!!」

方向音痴の俺が、
わりと簡単にココまで来れたのは、やっぱり


♪―‥♪〜‥


この音のおかげかな?

⏰:09/07/20 09:40 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#236 [ちか]
だけど今回は、


「また来たの。」





「あ…ごめんなさい。」


すぐバレちゃった。

⏰:09/07/20 12:35 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#237 [ちか]
凌さんと俺の間には
中途半端な距離。


凌さんの眼がそうさせる。
近寄れないオーラみたいな


だけど、
嫌な感じじゃないんだよな

「そんなトコ居ないでこっち来れば。」

ほら。

⏰:09/07/20 12:49 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#238 [ちか]
凌さんの隣に小さくなって座ってみる。

「なんで体育座り…。」

「え?あ‥や、癖って言うか…あは、あはは‥」

何緊張してんだ俺!!!!//


少し左上を見上げると、ブロンドの髪を靡かせる色白な顔が見える。


つくづく綺麗だよなぁ…

⏰:09/07/20 13:21 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#239 [ちか]
って!!!!!///
俺なに考えてんのっ!!!

相手はあくまでオ・ト・コ!!
これじゃあホモ道まっしぐらじゃんかあああ!!


「はぁ…。」

俺が好きなのはあくまで
恭弥なワケで

「どうかした?」

男ではない。絶対…。

「なんでもないです‥」

⏰:09/07/20 13:26 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#240 [ちか]
「あ、そう。」

「はい…。」

「‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥。」

「「‥‥‥‥‥‥‥‥。」」

気まずっ!!!!(汗)
どうすりゃいいんだよ…
なんか話題話題話題‥


「あ、あの…っ」

「何?」

「凌さんは、めぐさんの事、きっ‥嫌いですか?」

⏰:09/07/20 13:44 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#241 [ちか]
「え‥‥‥、」

目を丸くする凌さん。

「あ‥‥‥っと…」

俺の馬鹿ぁぁっ!!!!(泣)
なに聞いてんだよ!!!
よりによって、めぐさんのこと‥‥っ

「ご、ごごめんなさい!!!
別に悪い意味とかじゃなくて!!その…「嫌い。」

「嫌いだよ、アイツのこと」

「え…あ、そう‥ですか…」

なんでかな。
分かってたハズなのに、なんか悲しい…。

⏰:09/07/20 13:51 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#242 [ちか]
「でも…昔はもっと嫌いだった。」

「え?」

俯いていた顔をあげて左を見ると、至って無表情な凌さんが目に映る。

が、その碧眼は何かを物語っていた。

「昨日言っただろ?
俺が虐待を受けて施設に入れられて。今の両親が本当の両親じゃないこと。」

俺は力なく頷いた。

⏰:09/07/20 14:48 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#243 [ちか]
「だから昔っから嫌いだったんだ。我が儘言いたい放題のアイツが。」

いつの間にか俺達を照りつけていた太陽は沈む準備を始めていた。

「俺は言えなかった。
欲しい物とかしたい事とか、我が儘言ったらまた捨てられるんじゃないか、って思うと恐くて言えなかった。」

「凌さん‥‥。」

…そんな哀しい顔しないで

⏰:09/07/20 14:57 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#244 [ちか]
「でも今思えば、羨ましかったんだよ、アイツが。
俺は嫉妬してたんだ。」

凌さんはそう言って無理な笑顔を作った。

「でも今は違う意味で嫌い」

「違う意味?」

「うん。」

小さく頷いて、凌さんはヴァイオリンを撫でた。

⏰:09/07/20 15:03 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#245 [ちか]
「アイツ昨日の夜出ていっただろ?あの後、きっと女と寝てた。」

「えっ?!」

初耳な事と衝撃的な事で、俺は思わず声を大きくした。
そして慌てて口元を手で覆う。
凌さんはそんな俺をチラリと横目で見て、話を続けた。

「いつからだかは分かんないけど、アイツそうやって何かから逃げてんの。」

そう言って表情を曇らせた。

「《何か》って…?」

⏰:09/07/20 15:11 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#246 [ちか]
そう問いかけると、凌さんは静かに顔を横を振った。


「それは分からない。
でもああやって逃げるのは違うと思う。ムカつくし、なんて言うか‥‥
見てて痛い。」

俺はそう言い終えた凌さんに、なかなか声をかけられなかった。


だって…、俺思うんだ。

⏰:09/07/20 15:17 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#247 [ちか]
きっと凌さんは
めぐさんの事嫌いじゃない


嫌いだったら、もっと拒絶してるよ。
見ないようにするはずだよ。

でも凌さんは違う。

多分、解りたいんだ。
凌さんはめぐさんのこと。

もっと近づきたいんだよ…

⏰:09/07/20 15:21 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#248 [ちか]
「仲良くなれたら…良いですね。」


気づけば無意識に
そんなことを呟いていた。

「?べ、別に俺は‥‥っ」

凌さんは何かを言いかけたが、それが最後まで言い終わる前に、

『ただいまぁーっ!!!』

と買い出しから帰ってきためぐさんの声が響いた。

「あ、おかえりなさーい。」

振り返ると、たんまり食料を買い込んだ2人が見えた。

⏰:09/07/20 15:28 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#249 [ちか]
「冥ちゃーん!!準備するでー♪」

少し遠くからめぐさんの明るい声が届く。
俺もそんな明るさにつられて「はーい!」と返事を返し、腰を上げた。
いつの間にか、だいぶ痛みは無くなっていた。

「あ、」

凌さんは動かず座りこんだまま。

「ほら、凌さんも行くんですよっ!!」

俺がそう言って手を差し出すと、
凌さんは少し戸惑いの表情を見せた後、

その手を掴んだ。
――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/20 15:47 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#250 [ちか]
― 凌side.―

『仲良くなれたら
     良いですね』


まさかそんな風に言われるなんて、思ってもみなかった。


アイツと仲良く
なんて考えてもみなかった


だけど、何だろう?
嫌(イヤ)じゃないこの感覚。

嫌い(キライ)なはずなのに。
─────‥‥
───────────

⏰:09/07/20 16:08 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#251 [ちか]
――――――――――――
――――――――――――
― 冥side.―

「あ〜!!!食った食った♪
もう食われへんわあ!」

太陽はすっかり沈み、無数の星が瞬く下で俺達はバーベキューの終盤を迎えた。

「俺ももう限界‥。」

無理やりと言っていいほどめぐさんに食べさせられた俺は、椅子に座りこみすっかりダウン。


恭弥も凌さんも最初は乗り気じゃなかったけど、なんやかんやで楽しんでたみたい。

⏰:09/07/20 16:11 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#252 [ちか]
恭弥は少し眠そうに肩肘をついて椅子に座っているし、凌さんは相変わらずの無表情を貫いていた。


「ほな、俺ちょっと散歩でもしてくるわ〜♪」


言い放った口調の軽さに対し、俺達3人の反応は重く、そして敏感なものだった。


それを知ってか知らずか、めぐさんは足早に玄関へと向かっていく。

⏰:09/07/20 16:42 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#253 [ちか]
そうと決まったワケじゃないのに、さっきあんな事を聞かされたせいか、めぐさんの目的が散歩とは思えなかった。


嫌な予感がする‥‥


きっと誰もがそう感じていたはずだ。


「し、凌さん‥‥っ
追いかけなくて良いんですか?!」

⏰:09/07/20 16:49 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#254 [ちか]
「俺には関係無い。」

「関係無いって……
でもっ‥‥「うるさい。」

「‥‥‥ッ!!」

凌さんはこれまでにないくらいキツい眼で俺を睨んだあと、立ち上がった。

俺は遠退いていく背中に必死で叫ぶ。

「でもッ…、めぐさんを助けてあげられるのは凌さんだけなんですよ‥‥っ!!!!」

しかし凌さんはなんの反応を示すこともなく、屋内に消えていった‥‥───

⏰:09/07/20 16:55 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#255 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
更新ストップします^p^
もし読んでくれている方
いましたら、ぜひ感想等
聞かせてください★

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/07/20 16:58 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#256 [ちか]
― 凌side.―

───‥‥
『めぐさんを助けられるのは凌さんだけなんですよ』
      ‥‥────


部屋に戻ってからも
頭に残るのはその言葉ばっかりだ。

⏰:09/07/20 20:40 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#257 [ちか]
助ける?

俺がアイツを?


そんな事出来るわけ‥──


だけど何故だろう

アイツの去っていく背中が
目に焼き付いて離れない。

⏰:09/07/20 20:52 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#258 [ちか]
俺には関係ない
俺には…


何度もそう言い聞かせた


だいたい俺が行ったところで何になる?


きっと払いのけられて終わる。きっと。

⏰:09/07/20 21:12 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#259 [ちか]
だけど‥‥───

もしかしたら、
なんて思ってしまう自分がいる。


俺達が感じてるモノは
同じなんじゃないかって


逃げたいモノは
同じなんじゃないかって

⏰:09/07/20 21:18 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#260 [ちか]
コンコン.


ドアをノックする軽い音


出てみるとそこには

「恭‥‥」

恭の姿があった。

「なんか用?」

「いや、用ってほどじゃないんだけどね。」

⏰:09/07/20 21:25 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#261 [ちか]
「ふーん。」


恭は大切な人。
だから訪ねにきてくれるのはすごい嬉しい。

でも時々、なんか掴めなくて解らなくなる。

今のこの表情も何考えてんのか解らない。


「凌はさ、突然施設に入れられてどう思った?」

⏰:09/07/20 21:36 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#262 [ちか]
突然の質問に少し困惑する俺。

「なんだよ、いきなり。」

「いや、純粋にどんな気持ちだったのかなって。」

そう言って怪しげに微笑む恭弥。
やっぱり掴めない。


「それは‥‥───」

言いかけて言葉に詰まった。

⏰:09/07/20 21:43 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#263 [ちか]
『居場所』
なんてもの無かった。


周りの人間なんて
所詮は他人事で、

可哀想だの、なんだのって同情はする癖に実際は偽善者の塊だった。


いつも独りで孤独で、


寂しかった‥‥───

⏰:09/07/20 21:47 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#264 [ちか]
俯いていっこうに話そうとしない俺に話を続ける恭弥。




「じゃあめぐはどうだったのかな?」





アイツ‥‥‥?

⏰:09/07/20 22:35 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#265 [ちか]
「大病院の院長を父親に持って、昼も夜も、誕生日も傍に居なくてさ。
代わりに世話係り達とプレゼントばっかり用意されて。
それって、
それってどれだけ寂しかったのかな?」


そこまで言われてハッとした。


『どれだけ寂しかったのかな』……───

⏰:09/07/20 22:42 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#266 [ちか]
「恭‥‥‥」

「ん?」

「ありがとう。」




そう呟くと同時に俺は走り出していた。

⏰:09/07/20 22:45 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#267 [ちか]
あの子の言葉の意味を、
恭の言葉の意味を、


今やっと解った気がした。


行き先なんて分からない。
会えるかどうかなんて
分からない。


だけど、

俺には今、行かなきゃいけないトコロがある───‥‥

⏰:09/07/20 22:53 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#268 [ちか]
`




アイツの居るトコロに。




.

⏰:09/07/20 22:56 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#269 [ちか]
`







「全く世話が焼けるよねぇ」

そんな恭弥の呟きが、ひっそりとした廊下に溶けた。
――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/21 16:05 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#270 [ちか]
― めぐるside.―

散歩とは言ってみたものの、ここらの道には詳しくなく、

「あれここさっきも通ったような‥‥?」




この有り様や。

⏰:09/07/21 16:14 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#271 [ちか]
バーベキューはめっちゃ楽しかった。

冥ちゃんに食わしすぎたか?
なんてちょっと思うけど。

とにかく楽しい時間やった


けど、やっぱり何処か
孤独で仕方なかった。

だから抜け出してしまった

⏰:09/07/21 16:29 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#272 [ちか]
そしてまた無意識に探してる。


一瞬だとしても
その場しのぎだとしても



孤独を忘れさせてくれる奴を。

⏰:09/07/21 16:35 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#273 [ちか]
昨日も、その辺を歩いてたら声をかけられた。

──────‥‥
呼び止められて、

「君、ココらの人?」

「や、大阪から。」

「そうなんだぁ!!私も旅行で来てね〜、でも今彼氏と喧嘩中でさぁ。良かったら遊ばない?」

「‥‥‥ええよ。」
     ‥‥‥────

そんなやり取りをした後の結果は、きっと言わなくても分かるやろ。

⏰:09/07/21 16:44 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#274 [ちか]
「今日はどないしょーかな」

そんなことを呟いてフラフラしていると、


「そこのお前。」



低く聞き取りにくい声で呼び止められた。

⏰:09/07/21 18:54 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#275 [ちか]
「?‥なんですか…ぐふ…ッ!!!」


振り向くと同時に、頬に焼けるような痛みが走った。

そのまま道端に倒れ込む俺。


「い゙…ったぁ〜‥」

見上げると大柄で色黒の男とその後ろに見覚えのある女が立っていた。

⏰:09/07/21 19:05 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#276 [ちか]
「ちょっ…!!待って、話聞いてよ!!!」

「お前は黙ってろ!!!!」

怒りで興奮状態の男と、それに慌てる昨日の女。

(そう言うことね〜‥)

殴られて赤くなっているであろう頬を撫でながら、俺はそんな2人をまるで他人事のように見ていた。

「てめぇ、人の女に手出しやがってッッ!!!!ぶっ殺してやる!!!!」

そう言って男は座りこんでいた俺の胸ぐらを掴み、拳を高くあげた。

(これ喰らったら、さすがに痛いやろなぁ‥)

なんて暢気な事を考える俺

⏰:09/07/22 18:05 📱:P906i 🆔:GJUAHk0k


#277 [ちか]
どうせなら、いっそのことこのまま‥‥───

そんな考えが頭に過った

「……まで………れよ。」

「あ゙?!」

「気が済むまで殴れよ。あんたの好きなだけ。」

気が付けばそんな事を口にしていた。
男はその言葉に更に逆上し今にも拳を降ろそうとしている。


そうや。
いっそこのまま、俺を殺してくれたら‥‥───
そしたら、孤独からも解放されるかな?

最早俺の目は現実を見ていなかった。

⏰:09/07/22 18:12 📱:P906i 🆔:GJUAHk0k


#278 [ちか]
固く突き上げられた拳が、一気に俺目掛けて勢いよく降りてきた。
俺は固く目を瞑る。
──…これで俺も楽に‥

そう思ったその時。

バキッ..

鈍く生々しい音が鳴った。
しかし俺の頬はいっこうに痛くならない。
ゆっくりと目開けてみると俺に馬乗りになっていたハズの男がすぐ傍に倒れ、唸っていた。

何事か分からず上を見上げるとそこには…──

「し……のぐ‥‥?」

息を切らせる凌の姿があった。

⏰:09/07/22 18:27 📱:P906i 🆔:GJUAHk0k


#279 [ちか]
走ってきたのか、肩で息をする凌。
そんな凌を見てただ呆然とする俺。


「なんで…お前が……、」

『此処にいるのか』と言い終わる前に、手首を掴まれた。

「えっ…ちょ‥‥え?!!?」

状況を把握出来ずパニック状態のまま、俺は凌に引っ張られる形で走り出す。

後ろを見ると、踞(ウズクマ)っている男が遠くなっていくのが見えた。‥‥───

⏰:09/07/23 19:02 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#280 [ちか]
ハァ‥‥ッ‥ハァ‥ハァ‥──

「ちょ、どこまで行くねん!?」

どれくらい走っただろうか
息が上がり、体力にも限界が近づいてきた頃、漸く凌は足を止めた。

凌は俺に背中を向けたまま返事をしない。

「ハァッハァ‥おい、なんとか言え‥や‥──い゙っ!!?」


パン!!!

と斬れの良い音が辺りに響き渡り、俺の頬は滲むように痛みだした。

⏰:09/07/23 19:36 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#281 [ちか]
「何してんだよ!!!!
なんで逃げないわけ?!!
馬鹿か?!!」

振り向いた凌は、今まで見たことがないくらい怒りの表情を露(アラワ)にした。

凌の平手打ちを受け混乱するが、じんじんとする痛みで我に戻る。

「…っな、お前には関係無いやろ!!!!」

お前に‥‥──
お前なんかに‥‥───

「お前なんかに俺の何が分かんねん……っ!!!!」

気が付けばそう叫んでいた

⏰:09/07/23 19:56 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#282 [ちか]
シンと静まりかえる辺り。
しかし凌に驚いたような素振りはない。
それどころか、

「あぁ、分かんないよ。」

そう言って俺を怒りのこもった目で睨み付ける。
俺もその表情に一瞬怯んだが、言い返そうと口を開く。

「それやったら、もう…「分かんないから、分かろうとしてんだよ。」

その声は『怒り』とはまた違う、何とも言えない静けさがあった。

⏰:09/07/23 23:12 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#283 [ちか]
「…う、嘘や!!嘘つくな!!
分かろうとなんか‥─ッ」

分かろうとなんか、
今まで誰一人かてしてくれへんかったやんか。

嘘なんかいらんねん…っ
嘘なんか‥──

込み上がってくる何かが、俺の感情をコントロール出来なくする。

震える身体。
怯えるように耳を塞ぐ俺はまるで子供のようで。
冷めきった心が全てを拒絶する。

しかし突然、身体に温かさを感じた。

⏰:09/07/23 23:20 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#284 [ちか]
「大丈夫。大丈夫だから。」

耳元で鳴るその声と苦しいほどの締め付けは不思議なほど俺を落ち着かせていく。

けど、心の何処かで
まだソレを信じられない俺が居る。

「は、離せや…っ!!!」

みんないつかは離れていく
俺から遠くなっていく

それなら最初から、そんなモノ要らん‥


「もう一人で抱え込むなよ」

⏰:09/07/23 23:31 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#285 [ちか]
「お前が辛い時は、その辛さ俺も半分背負うから。
だから逃げたりすんなよ。
目そらすなよ‥──
一緒に受け止めてやるから。」


そう言って凌はさらに締め付けを強くした。

───‥『一緒に』…


ポタ‥─ッ

凌の肩に小さな円が滲む。
それは連続的に。
そして零れ落ちるように。

何かの歯止めが取れたかのように俺の瞳(メ)からは大粒の涙が溢れ出した。

⏰:09/07/24 22:52 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#286 [ちか]
そうか。

「お…俺は‥──っ」

俺は、

「ずっと…」

孤独を忘れさせてくれる人じゃなくて、

「ずっと独りで‥──ッ」

一緒に受け止めてくれる人を探してた‥──
       ずっと。

⏰:09/07/24 23:05 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#287 [ちか]
「大丈夫。大丈夫だから。
もう独りじゃないから。」

「うっ…グス‥‥うぅ…っ」


俺をあやすようなその手つきが優しかったから、
余計に涙が止まらなくなって

俺はまるで子供のように泣いた。
声が枯れるまで。


月明かりに照らされて
涙はキラリと光った。

――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/24 23:10 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#288 [ちか]
― 冥side.―

「あーっ!!!!!
ちょ、恭弥ぁっ!!!!(怒)」

「ん?」

俺は朝から鏡を通して、後ろでコーヒーの入ったティーカップをすする恭弥を睨む。

そんな俺に暢気な返事を返す恭弥。

「見えるトコにはつけんなってあれだけ言ったのに!!//
どーしてくれんの、コレ!!」

"コレ"の正体、それは

「僕のモノって印だもん。
見えるトコじゃないと分かんないでしょ?」

赤い小さな痕。

⏰:09/07/24 23:18 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#289 [ちか]
「あ〜もうっ…〜。」

そう呟いて、消えるわけないと分かっているのにそこを擦る。

暫くそんなやり取りをした後、俺達はリビングへやって来た。


ついに今日は海へ。
テンションもだんだんと上がってくる。

リビングに着くと、既にめぐさんの姿があった。

「めぐさん早いですね〜っ!って、…えぇ?!!;」

俺はめぐさんの顔を見て思わず驚きの声をあげる。

⏰:09/07/25 17:32 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#290 [ちか]
「どっどーしたんですか、その目っ!!!」

「ん?あ〜これなぁ〜‥、えっと‥」

泣き腫らしたようにパンパンなめぐさんの目。

「なんて言うか〜…」

なかなか真相話そうとしないめぐさんに俺はさらに心配になる。

そんな俺達を見てクスクスと笑う恭弥。
コイツ絶対何か知ってる…
けど、意地悪なコイツがタダで教えてくれるはずない

昨日散歩に行くと言って出ていったきり会ってなかった俺は、良からぬ事ばかり考えて一人焦っていた。

そんな時、突然後ろから聞き覚えのある声がした


「ひっどい顔。」

⏰:09/07/25 17:42 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#291 [ちか]
振り返ると、意地悪そうに笑う凌さんが居た。

「はぁ?!うるさいわっ!!」

あ〜また始まったよ…

「めぐの方が十分うるさい」

あれ‥??

「俺のどこがうるさいねんっ!!」

今凌さん、『めぐ』って呼んだ‥‥?!

⏰:09/07/25 18:32 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#292 [ちか]
「きょ、恭弥、恭弥!!///」

「ん?」

肩を叩き、耳元でコソコソと名前を呼ぶと、短い返事を返した恭弥の恭弥の顔も心なしか綻んで見えた。

「なんか、めぐさんと凌さん仲良くなってない??」

チラリと二人に目をやると、昨日まではあり得なかったような、表情が優しいって言うか、あったかいって言うか‥‥
空気が柔らかい気がする。

「何かあったみたいだね。」

そう言って恭弥はふふっと笑った。

⏰:09/07/25 19:09 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#293 [ちか]
「そう言う馬鹿なトコ。」

「アホはええけど馬鹿はむかつく!!!」


喧嘩してるけど、時々笑った表情が見える。

二人の間に何があったのかは分かんないけど、
確かに二人の溝は無くなっていた。


だって、ホラ。


隣に並んで歩いてる。

⏰:09/07/25 21:56 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#294 [ちか]
「し、凌さん!!!//
めぐさんの事どう思いますか‥?!//」

無意識に俺はそんな問いかけをしていた。
喧嘩中だった二人は同時に俺の方を向く。

「っな!!///いきなり何聞いて…」

大きな瞳をさらに大きくさせてめぐさんは言う。
が、俺の耳には届かない。
俺の耳が求めてるのは、ただ一つ、凌さんの答え。

⏰:09/07/25 22:04 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#295 [ちか]
「…………嫌い、じゃない。」


わざと視線をそらしたまま、凌さんはそう不器用に呟いた。

その瞬間、俺の表情はパッと明るくなった。

嫌いじゃない
って、それって…──
それってさ…──!!

「なにニヤニヤしてんの。」

「ほぇっ?!!//」

凌さんは呆れた風に笑った

⏰:09/07/25 22:12 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#296 [ちか]
恭弥もゆっくりとめぐさんの隣に歩いていくと、ポンと肩を叩いた。

「良かったね、めぐ。」

「っな!!!!俺は別に…っ//」

「クスッ顔真っ赤だよ?」

「〜…っっ!!///うるさいわ!!//」




  嫌い嫌いも好きのうち      ってね。

⏰:09/07/25 22:19 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#297 [ちか]
――――――――――――――――――――――――
寂しさを
忘れることは出来ないかも知れない。

孤独から
逃げることは出来ないかも知れない。

だけど、

キミが傍に居てくれるなら

受け止めることは

出来る気がするよ。

ありがとう。───‥‥


  ― 第五話 e n d ― 

⏰:09/07/25 22:28 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#298 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
第五話 不器用なココロ
>>7-297

長くなりましたが、第五話ついに完結しましたっ><
なんか、ぐだぐだですいません(´;ω;`)笑

めぐ×凌編はこれからも時々書く予定です*^^

今回の冥、恭弥、めぐ、凌はどうでしたか?
感想・ご意見などよろしくお願いします∩^ω^∩

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/07/25 22:34 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#299 [ちか]



第六話
鬼と悪魔と時々×××?!


⏰:09/07/26 23:20 📱:P906i 🆔:fOT1gjcc


#300 [ちか]
──‥楽しかった夏休みも終わりを告げ、季節は紅葉が頬を染める秋となった。


そして、今日は
我が高校の文化祭なのです


「なぁ、頼むよ〜」
「日下〜」
「日下くん〜」


そんでもって俺は今、

⏰:09/07/26 23:33 📱:P906i 🆔:fOT1gjcc


#301 [ちか]



「絶ッッッ対ぇ、い・や・だ!!!!」






人生最大の大ピンチ。

⏰:09/07/26 23:35 📱:P906i 🆔:fOT1gjcc


#302 [ちか]
「今日1日コレ着て立ってりゃ良いんだぜ?」

「ちょっと着るだけだし★」

「楽な仕事だろ?」


四方八方から飛び交う言葉達。

待て待て。
お前ら、何か大事な事忘れてないか?


「…なんで男の俺がメイド服なんだよ!!!!!!!」

⏰:09/07/27 08:08 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#303 [ちか]
俺は怒りからその声を荒げる。


「男は執事なんだろ?!?!
なんで俺だけっ!!!」



そうなのです。
俺のクラス1―Cの出し物、それは、

【メイド&執事カフェ】
なのです。

⏰:09/07/27 19:05 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#304 [ちか]
俺は教室の外に大きく掲げられた看板を指さす。


「細かい事言うなって〜♪」

「日下くんは絶対メイドの方が似合うよ!!」

「名前も冥(メイ)だし‥‥、」


──‥プチン.


「絶対絶対絶―ッッッ対、
着ねぇからなっ!!!!(怒)」

⏰:09/07/27 19:09 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#305 [ちか]
どいつもこいつも好き勝手言いやがって!!

名前?!?!
100%関係ないだろ!!!

断固として拒否を続ける俺に半ば諦めモードのクラスメイト達。
が、しかし未だかすかな希望を抱いて詰め寄って来る。
そんな時、急に教室の戸が開いた。

ガラガラッ

「そっちは進んでるー?」

この声は…──っ!!

⏰:09/07/27 19:16 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#306 [ちか]
「あれ、なんかお取り込み中だった?;(笑)」


それは紛れもない俺の親友、蓮見透。

俺は助けを求めて、涙ぐんだ瞳を透に向けた。

「透〜っ!!!聞いてよ、コイツらさ、男の俺にメイド服なんか着ろって言うんだ!!お前からもなんか言ってやってよ〜(泣)」

俺一人に対してほぼ全員(?)が群がるこの状況を把握した透は、爽やかに口を開いた。

⏰:09/07/27 19:41 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#307 [ちか]
「あー!それ俺が出したアイデア♪」

透の白い歯がキラリと光る。





そして俺は再び絶望の淵に立たされる。

⏰:09/07/27 19:49 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#308 [ちか]
「だから、いーやーだってえー!!!(汗)」


透に加勢(本人はそのつもり無しかも?)されたクラスメイトはさっきの勢いを取り戻し、俺にぐいぐいと迫ってくる。

「だだだ、だいたい、なんで俺なんだよ!!?」

そう叫ぶと衣装班の奴らが口を揃えて言った。

「「身長170cm以下の執事服作ってなかったからサイズ合わないんだよね〜」」


そ、そんな‥‥。

このクラスで170cm以下の男なんて、俺以外居ないじゃん‥‥。

⏰:09/07/27 20:45 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#309 [ちか]
ついに俺は逃げ場の無い壁に追い込まれた。

「仕方ないな‥‥。」

そう言って悔しげな表情を浮かべるクラスメイト達。
少々罪悪感もあったが、内心ホッとしていた。

けど、そんな安心もそう長くは続かなかった。


衣装班の一人が言った。

「仕方ない、作戦Bだ。」

「へ??…ほわ!!??」

《作戦B》と呟いた瞬間、女子は一気に外へ出て行った。
それと同時に残りの男子達が俺をがっしりと掴む。

⏰:09/07/27 20:57 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#310 [ちか]
なぜか透の手にはメイド服が握られている。

「ちょ…透?」

「すぐに終わるから♪」

「なっ…ちょ!!//どこ触って…!!!///」




い゙……、

「いやあああああ!!!!(泣)」

⏰:09/07/27 21:05 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#311 [ちか]
―15分後‥

「で、出来た…!!」

クラスメイト達はやりきったような達成感溢れる声をあげた。



父さん、母さん
ごめんなさい…

男、日下冥は



初めてスカートを(強制的に)履きました…。

⏰:09/07/27 21:36 📱:P906i 🆔:1t8lFZ9.


#312 [ちか]
「いい加減離せよっ!!!」

俺はそう言って両側で腕を拘束するクラスメイトを振り払う。


押さえつけられていたせいで髪は乱れ、
必死の抵抗によって顔は赤みを増し、
乱暴に着せられ、胸元ははだけたまま。


見上げるとクラスメイト達は目を丸くしていた。

「「やべ、想像以上なんですけど…!!///」」


最早クラスメイトの目に恐怖を覚えずにはいられなかった。

⏰:09/07/28 23:51 📱:P906i 🆔:z.CRNudE


#313 [ちか]
大分暴れたせいで俺はぐったりしていた。

そんな時急に頭上で透の声がした。

「冥、冥!」

「ん?」

カシャッ。

……油断していた俺は透に与えてしまったのだ。


シャッターチャンスを…

⏰:09/07/29 23:17 📱:P906i 🆔:VT88ciVA


#314 [ちか]
「な、なに撮ってんだよ!!!!///(怒)」

赤い顔をさらに赤くして俺が怒りを露にしても透は、「あはは」と笑うだけ。


もう頭きたっ!!!

「俺絶対ぇやらねぇから!!」

そう叫び、頭に付けられたレースのカチューシャらしきものを外そうと強く掴んだ。

が、その時。

「いいのかなぁ、そんな事して。」

妖艶な笑みを浮かべる透。

⏰:09/07/29 23:26 📱:P906i 🆔:VT88ciVA


#315 [ちか]
「ど…どうゆー意味だよ??」

何か企んでいるようなその顔に嫌な予感を覚えた。


透は四角い塊を俺に見せつけた。

「何かパーツ一つでも取ったら…これ大量に焼き増しして売るから♪」

そう。
透が俺に見せたもの…

それは、今さっき俺を取ったデジカメだったのだ。

⏰:09/07/30 21:11 📱:P906i 🆔:8d0K66.I


#316 [ちか]
「ぜぜ絶対だめ!!!!!!
それはダメ!!!!!」


一瞬で血の気が引いた。



だってそんな事されたら…




絶対恭弥の目に入るかも
知れないじゃん!!!!!!!

⏰:09/07/30 21:17 📱:P906i 🆔:8d0K66.I


#317 [ちか]
こんな格好、恭弥に知られたら‥‥‥



駄目だ、絶対馬鹿にされる!!!!
笑われる…

想像するだけでもゾッとした。


「分かった…。分かったからそれだけはやめて??」

仕方なく俺はそう呟いた。

⏰:09/07/30 21:31 📱:P906i 🆔:8d0K66.I


#318 [ちか]
そんな俺に透を含めクラスメイト全員がガッツポーズを決めた。

「さんきゅー日下!!
これでウチの売り上げ学年1も夢じゃねーよ★」

「日下くんのおかげでお客さん増えるよ〜」

口々に呟くクラスメイト達


俺のメイド姿って一体…


苦笑いを浮かべていると透が肩にぽんと肘を乗せてきた。

「ま、みんな売り上げ一位の商品狙ってんだ。悪いけどウチの売り上げに協力してくれな。」

そう言われると頷くしかないよなぁ…。

まぁ立ってるだけで良いらしいし、それなら…ね。

そう思って俺は小さく頷いた。

⏰:09/07/30 21:50 📱:P906i 🆔:8d0K66.I


#319 [ちか]
――――――――――――
――――――――――――

「いらっしゃいませぇ…。」

『キャー//日下君可愛い!!』

『写真撮ってください!!』

『キャー//』『キャー//』



‥‥‥‥。
誰だよ、立ってるだけとか言った奴!!!!

⏰:09/07/30 23:40 📱:P906i 🆔:8d0K66.I


#320 [ちか]
知らない人に名前呼ばれるわ、写真撮られるわ、触られるわ‥‥


立ってるだけで十分苦痛だっつーの!!!!!

おまけに飲み物食べ物運ばなきゃなんないし…


「日下、笑顔!!!!」

「はいはい…。(ニコ」


‥‥‥笑顔作んなきゃいけないし…。

⏰:09/07/31 19:40 📱:P906i 🆔:KvvW1Ut6


#321 [ちか]
「ハァ…やらなきゃ良かった…。」

そう呟いてまたため息を吐いた。
すると、
「何を?」
と後ろから低い声が鳴った

「うぉわ?!!」

「うるさいなぁ。」

背後に居たのは男子用に作られた執事風の服を纏った透だった。

「ご、ごめん…。」

慌ててそう謝ると透はクスクスと笑う。

「それよりさ、ちょっと休憩取れたんだ。どっか回ろーぜ!」

⏰:09/07/31 22:47 📱:P906i 🆔:KvvW1Ut6


#322 [ちか]
屈託の無い笑顔を向ける透。

「行く!!!行く行く行く!!!」

やった!!
休憩!!解放!!最高!!


俺のテンションは急上昇。

「んじゃ、行きますかっ♪」

そう言って透はギュッと俺の手を握った。

ドキ..

俺達は足早に教室を後にした。

⏰:09/07/31 22:56 📱:P906i 🆔:KvvW1Ut6


#323 [ちか]
「ちょ、透!!手…っ//」

何故か体が熱くなっていく
人混みだから‥?

透は俺の声に耳を貸そうとしない。

「透ってば!!!!//…ぶはっ」

力いっぱい名前呼ぶと、急に透は足を止めた。
しかし余りにも急すぎて俺は自分にブレーキをかけられず、そのまま背中に顔面をぶつけた。

「いったぁ〜…、ったく、急に止まんなよ‥「なぁ、冥」

振り返った透の顔は満面の笑みだった。

⏰:09/08/01 22:03 📱:P906i 🆔:adrzqYeA


#324 [ちか]
「こんな格好してるとさ、なんかカップル見たいだと思わねー?」

透は笑顔でそうサラリと言ってのける。


‥‥‥‥な、

「なな、な何言ってんの!!!///からかうのもいい加減にっ……?!!」

顔を真っ赤にして怒る俺に透は顔を目の前まで近づけた。

真剣な眼差し、真剣な顔で。


「からかってるように見える?」

⏰:09/08/01 23:41 📱:P906i 🆔:adrzqYeA


#325 [ちか]
「え?……「なーんてな!!!
冗談だっつーの!(笑)騙されんなよな〜。」


真剣な顔からいつもの透の笑顔に変わる。
だけど俺は切り替えられずに居た。

だって、あんな透の表情(カオ)初めてで…


でも、な!
「別に騙されてないし!!//
てか友達騙すとかサイテーだろっ!//」

そんなわけないよな。

⏰:09/08/02 07:32 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#326 [ちか]
「騙すって自分で言ってるし(笑)」

「あっ!!!;」


うん、やっぱりいつもの透だよな‥‥────
────────────

それから俺達は校内、グラウンドと出し物をいろいろ回った。

⏰:09/08/02 10:07 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#327 [ちか]
たこ焼きを頬張りながらグラウンドを歩く。

「冥、鼻にソースついてる。」

「えぇっ!!;;」

そんな他愛もない会話をしながらグラウンドを歩いていると、舞台の上で威勢の良い女の人の声がした。


「さぁ!!開始まで残り3分、3分です!!皆さん、準備は良いですかぁ?!」

舞台の上には司会らしき女の人と他3人が箱を抱えて立っている。

⏰:09/08/02 10:23 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#328 [ちか]
「透、透!あれなんだろ??」

「え?ごめん見えない。」

「近くまで行ってみよ!!」


そうして俺達はステージのすぐ傍までやってきた。


傍まで来ると大きな看板が目に入った。

「…3、2、1…0!!
長らくお待たせ致しましたぁ!!
では只今より、2―B主催校内大鬼ごっこを始めたいと思いますっ!!」

⏰:09/08/02 10:38 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#329 [ちか]
鬼ごっこ???

俺が呆気に取られていると透が、あぁ!と短く声をあげた。

「思い出した。なんか参加者からちょっとずつ資金集めて賞金やら賞品出すとか聞いたけどこれだったんだ。」

「へぇー!」


周りを見回すとかなりの量の参加者が窺えた。


「いくつかルールを説明したいと思います!」

⏰:09/08/02 10:46 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#330 [ちか]
「ルールは簡単!
まず、先ほど皆さんから集めさせていただいた参加費から、豪華な賞品、賞金を準備しております!
一生懸命頑張ってください☆

そして最後に、
この鬼ごっこはスタンダードな鬼ごっことは違います!
普通は皆さんが1人の鬼から捕まらないように逃げますが、このゲームはその反対☆

つまり、皆さんに“鬼”を捕まえていただきます!
一番最初に鬼を捕まえた方が優勝者です!
よろしいですか〜?!」


参加者はみんなノリノリのご様子。

⏰:09/08/02 11:02 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#331 [ちか]
「なんか面白そー!」

「そうかぁ?」

目をキラキラさせる俺に、冷めた表情を向ける透。

ステージでは引き続き司会者が場を盛り上げている。

「でもまぁ、俺達は参加費払ってないし無縁だなー。」

そう言ってその場を離れようとした時。



「では、注目の鬼は…──
そこのメイドさん!!」

⏰:09/08/02 18:03 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#332 [ちか]
司会者が指差したのは、


「…お、俺っ?!?!」


まさに俺。


周りもだんだんざわつき始める。

「さぁ、どうぞステージへ!!」


マイクを通してそう叫ばれると、俺の目の前に花道が出来る。

「で、でも俺参加者じゃな…「良いじゃん、行ってこいよ♪」

透の顔は明らかにニヤついていた。

コイツ絶対面白がってる!!

⏰:09/08/02 18:43 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#333 [ちか]
「いってらっしゃーい♪」

そう言って透に背中を押され後に引けなくなった俺は仕方なくステージの上まであがった。


とは言えこの格好。

改めて人前に立つと恥ずかしさを感じずにはいられない。

「学年とお名前は??」

「1年の日下‥冥です…//」

「可愛いらしい名前ですねぇ!!ちなみに彼氏なんかは???」


‥‥‥はい?

⏰:09/08/02 18:49 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#334 [ちか]
「え?」

「とぼけないでくださいよぉ〜♪」

司会者さんはやけにノリノリ。


この人、絶対勘違いしてる!!!!
俺のこと女だと思ってる!!

「あの…っ「で、ズバリ答えは?!?!」


カッチーン。


「居ません!!!!」


俺は男だっつーの!!!!!!

⏰:09/08/02 19:34 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#335 [ちか]
「そうなんですかぁ〜☆
ではでは、本題に入りましょう!
今から5分間待つので、逃げてください♪
一時間逃げ切れば鬼の勝ちですので頑張ってください!」


そう言って目印と思われるタスキをかけられた。


「ではカウントダウン始めます!!
良いですか?ではスタート!」



そう言って俺は本日二回目の背中を押され、ステージから飛び降りた。…───

⏰:09/08/02 20:12 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#336 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
更新中断します*
誰か読んでくれてますかね(´`;)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/08/02 22:19 📱:P906i 🆔:9UYLjR.A


#337 [おかゆ]
大好きだぁ
何回読んでも飽きないよ

頑張ってね
応援してるよ

⏰:09/08/02 23:55 📱:SH905i 🆔:JJWSE95s


#338 [ゆず]
一話の時からずっと見てます

てかブックマークしてます
毎日更新されてないかチェックしてます

本当に楽しみにしてますのでお体に差し障りない程度に早く続きお願いしマス

⏰:09/08/03 00:04 📱:D705i 🆔:8SkUrNVc


#339 [ちか]
>>337
└→おかゆさま*

大好きなんて感激です!
(´;ω;`)
そう言ってもらえてほんまにほんまに嬉しいです><
応援に応えられるようにこれからも更新頑張ります!
ありがとうございましたっ

⏰:09/08/03 17:52 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#340 [ちか]
>>338
└→ゆずさま*

そんな前からですかっ!!!
うわー(´;ω;`)
嬉しくて涙がっ!←
ブックマークまでありがとうございます★
更新精一杯頑張るのでこれからも読んでもらえたら嬉しいです♪
ありがとうございました*

⏰:09/08/03 17:52 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#341 [ちか]
>>335の続き.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
― 恭弥side.―


見渡す限りの、人人人。
鬱陶しいほどに。
それもそのはず。
今日は我が校の文化祭だからね。


生徒会長ってこう言う時、面倒だよね。まったく。


ん?うち(クラス)の出し物?

それは…、


『日下…冥です…///』


マイクを通した機械的な音がハッキリと僕の耳を突いた。

⏰:09/08/03 19:09 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#342 [ちか]
グラウンドの真ん中に設けられたステージを見てみると、確かに冥の姿があった。

「なんであそこに冥が??」





‥‥‥しかも、なんでメイド服なんだろう?


僕はマイクの音に耳を傾けた。

『ちなみに彼氏なんかは??』

ピク.


《彼氏》?

⏰:09/08/03 19:17 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#343 [ちか]
明らかに戸惑った表情を見せる冥。

そんな姿につい口元を緩ませてしまう僕がいる。

早く言えばいいのに。
彼氏は黒羽恭弥だって。

そう思いながら冥を見つめていた。


が、次の冥の発言で僕の心はどん底へと落とされる。


『居ません!!!!』

⏰:09/08/03 21:55 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#344 [ちか]
なに…?
聞き間違え?
…じゃないよね。



帰ったらお仕置きしなきゃ。


僕の心はにわかに怒り(焼きもち?)で揺れていた。


「あ、日下君だぁ。」

すれ違った女がふと冥を指差しながら呟いた。

⏰:09/08/03 22:00 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#345 [ちか]
「ホントだ〜、メイド服可愛いねー。」

「ねー。鬼ごっこの鬼役だってさ〜。
私も参加しちゃおっかなぁ♪優勝賞品が日下君頑張るのに!(笑)」

「あはは、ホントそれ〜!!」




これは早く冥捕まえなきゃ。
冥は僕のモノなんだから。
‥‥─────
‥‥‥────────

⏰:09/08/03 22:09 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#346 [ちか]
― 冥side.―


皆さん。

俺はつい最近、
分かった事が一つあります


それは、


「待ってー!!!!!!!」

「捕まえろーっ!!!!!!!」



5分て意外と早い、
と言うことです。

⏰:09/08/03 23:20 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#347 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
更新休憩します(´`)*
感想板で軽いアンケート
してるので良かったら、
協力お願いします^^
感想随時受付中◆

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/08/03 23:36 📱:P906i 🆔:F0Z6DvV2


#348 [ゅう]
アンケートに答えます
わたしは黒君がいいです

⏰:09/08/04 07:15 📱:F703i 🆔:hDcbXXwE


#349 [ちか]
>>348
└→ゅぅさま*

アンケート協力ありがとうございます★∩^ω^∩
黒君人気ですねーっ◆

⏰:09/08/05 17:53 📱:P906i 🆔:8WCfbZZU


#350 [ちか]
>>346続き.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
只今、廊下を爆走中です。

(人多すぎだろーっ!!!泣;)

背後に迫りくる恐怖から俺は必死に逃げる。
が、どこから現れるか分からない予測不可能のこの現状に俺はすでにギリギリの状態だった。


「ハァッハァッハァ‥!!も…無理‥」


足が縺れ(モツレ)、もえダメだと思ったその時。


グイッ!!

「…っ!!?!?」

⏰:09/08/05 18:45 📱:P906i 🆔:8WCfbZZU


#351 [ちか]
急にドアの隙間から手首を掴まれ、俺は引っ張られるがまま倒れこんだ。


パニック状態の俺。


「なな、何っ?!誰?!!」

「うるさい。」

へ?!
この声‥‥──

「恭弥?!!?」

⏰:09/08/05 22:47 📱:P906i 🆔:8WCfbZZU


#352 [ちか]
見上げると、
腕組みをして俺を見下ろしている恭弥がいた。


「あんまり大声出すと、見つかるよ?"鬼さん"。クスクス」


そう言って怪しげな笑みを浮かべる恭弥。

⏰:09/08/05 22:53 📱:P906i 🆔:8WCfbZZU


#353 [ちか]
「なんで知って…─ッ!!//」

「さて、何ででしょう?」


突然目の前まで顔を近づけられ、俺は言葉を失くした。

不気味なくらいニッコリと笑う恭弥。

その裏になにか隠されてる…。


そんな気がしてならなかった。

⏰:09/08/06 16:35 📱:P906i 🆔:qD2ec7Oo


#354 [ちか]
「な…なんで恭弥が…?」

「さて、何ででしょう?」

「ここ、どこ…?」

「さて、何処でしょう?」


質問しても返ってくるのは質問だけ。
ピクリとも動かないその表情が怖くて俺は泣きそうになった。


「…そう言えば、」

そんな半泣き状態の俺に恭弥はこっちを向いた。

「彼氏、居ないんだってね?冥には。」

とびっきりの黒スマイル。

⏰:09/08/06 17:21 📱:P906i 🆔:qD2ec7Oo


#355 [我輩は匿名である]
>>250-350

⏰:09/08/06 17:53 📱:W61T 🆔:Uykd8IfM


#356 [ちか]
>>355
└→我輩は匿名さま*

アンカーありがとうございます!∩^ω^∩
おかげで見やすくなりました♪

⏰:09/08/06 19:14 📱:P906i 🆔:qD2ec7Oo


#357 [ちか]
>>354続き.

その瞬間やっと全てを把握した。

「ち、ちがっ…!!!アレは…っ「アレは?なに?」


この人完全に怒ってる…
ちゃんと誤解とかなきゃ!!

「アレは女と間違われたのがムカついて…それで勢いって言うか…、そんなつもりで言ったんじゃなくて!!」

俺は必死に身振り手振りを添えて弁解した。

しかし、

⏰:09/08/06 19:22 📱:P906i 🆔:qD2ec7Oo


#358 [ちか]
「ふーん。それで?」

時に恭弥は無情なほどに冷たい表情(カオ)を見せる。
鋭い目付きも口調も俺の心を揺らす。

“どうしよう”
今の俺の頭にはそれ以外の言葉は無かった。

恭弥はふいに俺の顎に触れ顔を引き寄せた。



「じゃあ、証拠見せてよ。」

…証拠?

⏰:09/08/06 23:02 📱:P906i 🆔:qD2ec7Oo


#359 [ちか]
「証拠って何したら…」

「さぁ?自分で考えなよ。」

突き放すような口調で毒づいて恭弥は近くにあったソファーに腰かけた。


俺は依然床に座り込んだまま。


証拠ってどうしたら良いんだよ〜…


ない頭を必死に使って証拠になりそうなものを探すけどいっこうに見つからない‥‥。

⏰:09/08/06 23:22 📱:P906i 🆔:qD2ec7Oo


#360 [ちか]
― 恭弥side.―

今僕の目の前には半泣きの冥が居る。

なんでかって?
それは‥‥──────
───────‥‥

人混みを避け逃げようとすると自然に『この部屋』の前を通ると言うことは予想がついていた。

だからただ僕はそこで冥が来るのを待ってるだけ。


その部屋とは、生徒会室。
またの名を生徒会『長』室と言う。

⏰:09/08/07 19:59 📱:P906i 🆔:1malDpRs


#361 [ちか]
まぁ、つまり簡単に言えば僕専用の部屋ってこと。
(地位と権力と改造によって作られた部屋…。)


「しかしこの服動きにくいなぁ。」


袖をピンと引っ張って呟いてみる。

あ、そう言えばさっきウチの出し物の話途中で終わっちゃったよね?

⏰:09/08/07 20:06 📱:P906i 🆔:1malDpRs


#362 [ちか]
うち、お化け屋敷なんだよね。

で、宣伝用にこれ着てって渡されたのが今僕が着てる浴衣なんだけど…。


着にくいよね。
歩きにくいし、下駄とか…


神楽っていっつもこんなの着て疲れないのかな…?

⏰:09/08/07 20:12 📱:P906i 🆔:1malDpRs


#363 [ちか]
そんな事を考えながら待っていると、案の定冥が来て部屋に引っ張り込んだってわけ。


それにしても可愛いなぁ。


目の前に座りこみ困った顔を見せる冥が愛しくて仕方ない。

⏰:09/08/08 20:09 📱:P906i 🆔:AXBSdKuA


#364 [ちか]
部屋の外からは、冥を探す大勢の足音が止まずに賑やかだ。


だけど今目の前に居るこの子は僕のモノ。

誰にもあげない。


誰にも…───

「きょっ恭弥…!!」


ふいに名前を呼ばれ、僕は冥の方に顔を向けようとした。

⏰:09/08/08 21:12 📱:P906i 🆔:AXBSdKuA


#365 [ちか]
ちゅう。


一瞬空気が静まり返った。


「…ご、ごめん!!//やっぱりこれしか思いつか‥なくて…//」

顔を真っ赤にする冥。



…いっつも思うけどさ、


冥って僕の理性切らすの上手だよね。

⏰:09/08/09 21:07 📱:P906i 🆔:UX9egE3A


#366 [ちか]
― 冥side.―

いくら考えても証拠ってこれしか思いつかなくて…


キ、キスしてみたんだけど‥‥。




恭弥何も反応してくれない!!(泣)

⏰:09/08/09 21:30 📱:P906i 🆔:UX9egE3A


#367 [ちか]
いっこうに表情を変えない恭弥を見つめながら俺はさらに焦っていた。


だから気づかなかったんだ


その一瞬、恭弥がニヤリと笑ったのを。


「なに、これが冥の言う“証拠”なの?」


冷めた瞳が俺を捕らえて離さない。

⏰:09/08/09 21:40 📱:P906i 🆔:UX9egE3A


#368 [ちか]
「えっ…あ、その‥‥ご、ごめ…「全然分かんないんだけど。」


後ろに退こうと身を引いた時、急に手首を引っ張られて俺の上半身は傾いた。


「分かんないから、今から確かめる。」

「…?!?!///ん…ふッあ‥っ」

口内に滑り込む甘い罠。

⏰:09/08/09 21:48 📱:P906i 🆔:UX9egE3A


#369 [ちか]
強引で。

艶やかで。

甘くて。



そんな恭弥の舌使いに、俺の身体は抵抗も虚しく溶かされていく。


ドサッ..

そのまま俺の身体はベッドに押し倒された。

⏰:09/08/10 18:55 📱:P906i 🆔:6/aJQR6Q


#370 [ちか]
>>369訂正!

ベッド  →×
ソファー →○

すいません´`;
どっからベッドが出てきたんですかね…;(笑)

⏰:09/08/10 18:58 📱:P906i 🆔:6/aJQR6Q


#371 [ちか]
「ちょ…!!//待っ‥て…ッんぁッッ///」

「静かにしなよ。外に聞こえるってば。…それとも何、わざと?クスッ」

「ち、違っ…ぁ!!!//」


耳を甘噛みされ、その声に犯される俺。
押し殺そうとしても漏れる声。


「ヤらしい格好。」

めくれ上がったスカートとはだけた胸元はまさしくソレだった。

⏰:09/08/12 21:05 📱:P906i 🆔:axinEkgk


#372 [ちか]
「メイド服ってなかなか面白いね。今度、家(ウチ)でも着てよ。クスクス」

「んッ…だ、誰が…着るかぁっ!!///」


反抗している間にも俺の身体は恭弥に弄ばれていく。

恭弥は中途半端に脱がした服の隙間から、舌や指を使って器用に俺を攻める。


「クスッ‥もう勃ってる。」

「う‥るさぃ…!!ハァ///」

⏰:09/08/13 15:47 📱:P906i 🆔:sNlEsBhs


#373 [ちか]
下着を一気に剥ぎ取られた俺は外の空気に触れて形を造った。


グチュ グチャ..

「も…やだぁ‥っ///」

その舌に自身を弄られて俺はその快感に身悶えする。

「嘘ツキ。あ、そうだ。良いもの持ってきてあげる。」

そう言って恭弥は妖艶な笑みを浮かべ俺から離れた。

⏰:09/08/13 20:23 📱:P906i 🆔:sNlEsBhs


#374 [ちか]
「ハァ…ハァハァ‥‥?//」

離れていく恭弥を目で追いかけると、恭弥が大きな箱を取り出しているのが見えた。

「この前ね、ある部活から没収したんだけどさ。面白いからとっといたんだ。」

そう言って音を立てながら恭弥が俺に見せたのは、無数のバイブやローターだった。

「楽しませてね?」


恐いほどにとびきりの笑顔。

⏰:09/08/13 20:52 📱:P906i 🆔:sNlEsBhs


#375 [ちか]
「や、やだって!!///無理っ!!」

俺は必死に抵抗する。

「大人しくしてよ。」

どこから出して来たのか、恭弥は俺の両手首を紐で拘束した。

機械的な音を立てるその玩具で胸の突起を弄られると、今までとは違う快感が全身を走る。

「ああッ‥んはぁ…ッあ///」

馬乗りされて身動きが取れず、その感覚から逃げようとしても逃げられない。

⏰:09/08/14 13:57 📱:P906i 🆔:En.Uko6U


#376 [ちか]
逃げようともがけばもがくほど、紐と服が身体にまとわりつく。


「あぁッ…ハァ‥お…願い‥も…やめ‥‥んン//」

涙で視界が滲み、恭弥の顔もしっかりと分からない。

だけどその声さえ聞けば、表情は手にとるように分かった。


「メイドのくせに、ご主人様にそんな事言うんだ?」


愉しんでいるその表情(カオ)を‥‥。

⏰:09/08/14 17:45 📱:P906i 🆔:En.Uko6U


#377 [我輩は匿名である]
今、Tからここまで
読み終わりました(^ω^)


更新まってます!

⏰:09/08/14 22:55 📱:F906i 🆔:6rAhzJOI


#378 [ちか]
>>377
└→我輩は匿名さま*

わー*゚゚まじですかっ
嬉しいです
ありがとうございます★
更新頑張りますね!!
>>3に感想板があるので
良かったら来てください♪

⏰:09/08/16 18:42 📱:P906i 🆔:monm.7eA


#379 [ちか]
>>376続き

「…んんっ!!///あぁッあ!!」


そう呟かれると同時に、別のバイブを下に擦り付けられた。

「きょ…やぁッ//だめ…っだってば‥ッッふぁ!!」

強弱をつけながら振動を加えられ、俺の身体はビクビクと跳ねる。

その刺激に耐えられくて、俺は思わず両腕を恭弥の首に回ししがみつく体勢をとった。

⏰:09/08/16 18:51 📱:P906i 🆔:monm.7eA


#380 [ちか]
「あッんン!!///だめ…っ、
で‥‥る…っ!!うぁぁッ//」

ドピュ…ッ──ドピュ‥

絞り出すような声をあげて、俺は白濁を吐き出した。

荒くなった呼吸が辺りに大きく響く。


「クスッ…早かったね。」

意地悪いその声に、カッと身体が熱くなるのが分かった。

「だま…れ‥っ///ハァ..ハァ」

恥ずかしさから両手で顔を覆い、小さく反抗する。

⏰:09/08/16 19:59 📱:P906i 🆔:monm.7eA


#381 [ちか]
「クスクス‥手どけて?」

「やだ…っ!!」

手首をきゅっと掴まれて、体温を感じた。
溶けそうに熱い…。

力が抜けたのか、それとも恭弥の力が強いのか、俺の顔を覆っていた両手はスルリと下ろされた。

露にされた顔に恭弥は微笑んでキスを落とす。
その唇は徐々に下へ下へと下りていった。

「ん…ッ//あ///」

焦(ジ)らすような唇に俺は吐息混じりの声で鳴く

⏰:09/08/17 17:14 📱:P906i 🆔:wXeJRh/Y


#382 [ちか]
暫くして恭弥は唇を離した。

「‥‥冥、脚(アシ)広げて。」


静かな部屋の中でその声は響く。


俺は小刻みに顔を横に振った。

⏰:09/08/17 17:22 📱:P906i 🆔:wXeJRh/Y


#383 [ちか]
「冥。」

名前を呼ばれて俺はまた首を振る。

「ご主人様の言うこと聞けないの?」

その手つきも

「…僕のこと嫌いなの?」

甘い声も

「なら出来るよね?」


全部…全部欲しい…。

⏰:09/08/17 22:01 📱:P906i 🆔:wXeJRh/Y


#384 [ちか]
俺は恐る恐ると脚を広げた。


だって欲しかったから。

その指を

その声を

恭弥を


欲しかったから‥‥

⏰:09/08/21 10:25 📱:P906i 🆔:ooeyP5ic


#385 [みぃ]
あげ☆

⏰:09/08/25 15:39 📱:P905i 🆔:d6Fgu9Ww


#386 [高繧ゥ江
待ってます(*^ ^*)y

⏰:09/08/26 03:20 📱:W62SH 🆔:3mVONi2A


#387 [みぃ]
何度もすいません^^*
あげます☆

⏰:09/09/01 00:13 📱:P905i 🆔:eFGXn/do


#388 [なな]
あげ

⏰:09/09/03 17:22 📱:D905i 🆔:YqLGE2OI


#389 [我輩は匿名である]
書かないの?

⏰:09/09/04 14:10 📱:SH001 🆔:j0IjVIYg


#390 [みぃ]
多分お仕事が忙しいのでは…?
だからもう少し待ちましょう(*^^*)

と言いつつ自分もちゃっかりあげちゃってますね^^;
すいませんorz

⏰:09/09/04 19:12 📱:P905i 🆔:QS0K9PH.


#391 [ゆかちゃん]
あげ∩^ω^∩
応援してますっ

⏰:09/09/24 16:39 📱:P02A 🆔:FaWx61vY


#392 [ルル]
あげ

⏰:09/11/07 08:26 📱:F703i 🆔:RB6n9qNg


#393 [ちか]
*
お久しぶりです。
今日までの間この小説をあげてくださった、

みぃさま/ゅかさま/ななさま/我輩は匿名さま/ゆかちゃんさま/ルルさま

本当にありがとうございます。
そしてすいませんでした

詳しくは、こちら↓を
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
見ていただければ嬉しいです。

これから少しずつ更新再開していくので、よろしくお願いいたしますm(__)m
*

⏰:09/11/30 10:51 📱:P906i 🆔:KzMJeDok


#394 [ちか]
*


>>384の続きから


*

⏰:09/11/30 12:23 📱:P906i 🆔:KzMJeDok


#395 [ちか]
「良い子だね。」

そう言って恭弥は柔らかな感触を与えた。

歯列をなぞるその感触に自然と力が抜けていく…


「んん…っ///ぁっ//」

その瞬間(トキ)を待っていたかのように伸びた手が俺のモノを扱き始めた。

⏰:09/11/30 12:46 📱:P906i 🆔:KzMJeDok


#396 [ちか]
「さっきイったばっかりなのにもうこんなだよ?クス」

五本の指を器用に使って、恭弥は容赦なく俺を攻めた

「こんなものまで垂らして」

「ひゃ…っ、あ‥ッ//」


滑らかに走る感覚。

恭弥の舌が円を描くように俺の先を舐めあげる。


息も荒らさを増し、
俺は早く欲望を吐きたくて焦らすその仕草に疼いていた。

⏰:09/11/30 13:40 📱:P906i 🆔:KzMJeDok


#397 [ちか]
「なに?その目。
…クスッ、そろそろ限界?」


俺は小さく頷き、恭弥の袖を握った。

そんなギリギリの状態の俺を見て妖艶に微笑むと、耳元で呟いた。



「じゃあ、言わなきゃ。
メイドらしく、ね?」

⏰:09/11/30 13:55 📱:P906i 🆔:KzMJeDok


#398 [ちか]
「‥‥ッ!!///」


俺が困った顔をすると、それが恭弥を喜ばせる。

本当、この人意地悪…


熱くなった欲望に理性が麻痺している俺はそう思いながらも小さく口を開いた。

「い…入れてくださ…い//」


あー、恥ずかしくて死にそう‥

⏰:09/11/30 17:04 📱:P906i 🆔:KzMJeDok


#399 [ちか]
「メイドらしく、でしょ?」


‥‥‥コイツ、本気でこの遊び(プレイ)楽しんでやがる…


「‥‥‥ご…主人…さま」


言い切ると同時に恭弥は俺をぎゅっと抱き締め、髪を撫でた。

⏰:09/11/30 23:28 📱:P906i 🆔:KzMJeDok


#400 [ちか]
「クス、良くできました。
ご褒美あげるね。」

そう言って俺のおでこに軽く口づけをすると、また愛撫が始まった。

細くて長い指が卑猥な音をたてながら侵入してくる。

俺はその痛みと快感の境目でただ鳴くだけ。


ただ恭弥を愛しいと感じるだけ。

⏰:09/12/01 13:30 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#401 [ちか]
やがて慣らされた穴には大きなモノが宛がわれた。

俺は恭弥の抱きつき、それに耐える。

「ん‥‥っ、きょ…や…ッ」


軋むソファー

響く声

伝わる体温


その全てが俺を欲情させて快感へ誘う。

⏰:09/12/01 13:48 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#402 [ちか]
徐々に恭弥は激しさを増していく。

「腰、浮いてるけど?」


ニヤリと笑う恭弥。
だけど余裕はない。
きっと俺と同じギリギリの状態。


「うるさ…い…っ///
も‥‥んあッ//限界なんだ…よ…!!」

⏰:09/12/01 14:18 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#403 [ちか]
「じゃあ一緒にイこうよ。」








低くて艶やか声が響くと同時に、その波は俺の頭を真っ白にした。

⏰:09/12/01 21:50 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#404 [ちか]
>>403訂正

艶やか声 ×

艶やかな声 ○


すいません(;o;)

⏰:09/12/01 21:52 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#405 [ちか]
>>403続き


「ハァハァ…ッ///ん…ハァ‥ッ//」


白い欲望を吐き捨てた俺はぐったりとソファーに身体を預けた。


「冥‥‥」


少し掠れた優しい声。
恭弥はまた俺のおでこに唇を落とした。

⏰:09/12/01 21:59 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#406 [ちか]
「‥‥‥?」


いつもと同じはずなのに

何かが違う気がした。


愛しくて悲しい目…


時間が止まったような空気の中で見つめていると、恭弥は薄い唇を開いた。

⏰:09/12/01 22:21 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#407 [ちか]
「冥は……、《残り5分を切りましたよーっ!!!!》


恭弥の言葉を遮って、外の中央ステージから勢い良く発せられた甲高い声。


俺を鬼に決めたあの女の人の声。



そうだ、忘れてた・・
まだ鬼ごっこの途中だったんだ。

⏰:09/12/01 22:28 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#408 [ちか]
「やだな〜…」

俺は床に捨てられた「あのタスキ」に目線を落とす。

とりあえずアレ返しに行かなきゃ…

そう思って重い身体を起こそうとしたその時。


「あぁ、まだゲームの途中だったね。」


ニヤリと恭弥は口角を上げて呟いた。
そして‥‥‥、

⏰:09/12/01 22:35 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#409 [ちか]
「ふぉわ‥っ?!??!」


「この服抱きにくい…。」


気がつけば俺は恭弥に抱き上げられていた。

そのまま恭弥はドアノブに手をかける。

⏰:09/12/01 23:08 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#410 [ちか]
「ちょ‥っ、恭弥!!!///」



ドアがギィ..と軋む音と共にゆっくりと開いた。






「後始末はちゃんとしなきゃ、ね。」

⏰:09/12/01 23:20 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#411 [ちか]
毅然としてグランドの真ん中をズンズンと進んでいく恭弥。


それに目を丸くする人人人


視線が刺さるように集まるのにも恭弥は表情一つ変えない。


変わるのはお姫様抱っこされてる俺の方。

⏰:09/12/01 23:37 📱:P906i 🆔:u/A4Ehps


#412 [ちか]
*


感想・質問・指摘など
もし良ければ遊びにきて
ください*

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/


*

⏰:09/12/02 08:13 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#413 [ちか]
《果たしてこの賞金は誰の手に?!
それとも鬼は逃げ切れるのでしょうかーっ?!》


ステージの周りは最高潮。

《残り10秒!!
10…9…、 》


甲高い声で始まったカウントダウン。

《8‥‥、おーっと?!》


司会者とばっちり目が合ってしまった。

⏰:09/12/02 12:57 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#414 [ちか]
《あれは鬼のメイドさんなんじゃないですかーっ?!
お姫様抱っこしてるあの人は一体?!》


降り注ぐ視線。
変わらない恭弥の顔。
刻まれるカウントダウン。


《7…6…5…4、》


縮まっていくステージとの距離。

《ん?あれは‥‥――っ!!》

⏰:09/12/02 13:05 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#415 [ちか]
《3…! 2…!
―‥‥1!ゼ… 》

「どうも。生徒会長の黒羽です。」


0“ゼロ”を言いきる前に恭弥はマイクを奪い取った。



今俺達はステージのど真ん中に立ってる。

⏰:09/12/02 13:10 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#416 [ちか]
静まり返る空気。


恭弥には何かそうさせるオーラがあるから。


《…え、えーっと、生徒会長も参加されてましたっけ…??》

戸惑う主催側。
そりゃそうだ。
こんな展開誰も想像するはずない。

《いや。》


淡白な返答。


《ですよねぇ〜…。》

みんなの気持ちを代弁する司会者。

⏰:09/12/02 13:40 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#417 [ちか]
《じゃあこの賞金はどうしたら〜…》


ステージの周りは参加者達で賑わっている。
その視線は俺達と賞金の入った袋を行き来する。


少し間があって、恭弥はその口を開いた。



「そんな賞金要らない。」

⏰:09/12/02 17:53 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#418 [ちか]
《そんなって…(汗)》


そうだよ!!
なにがなんでも皆が払ったお金を「そんな金」呼ばわりは…


そんな俺達一般庶民の気持ちが恭弥に届くはずもなく、恭弥はシラッとマイクを握り直した。


「その代わり、」

⏰:09/12/02 19:03 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#419 [ちか]
マイクに拾われた恭弥の声がグラウンド中に響き渡った。



全ての視線が恭弥へと集まる。


一体何を言うつもりなのか


そんな顔で恭弥を見つめた。


「その代わり、さっきの言葉は訂正する。」

⏰:09/12/02 19:07 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#420 [ちか]






「冥の彼氏は僕だから。」





⏰:09/12/02 19:43 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#421 [ちか]
「それだけ。」


時が止まったように静まりきった辺りをよそに、ゴトンと機械混じりの音をたててマイクを床に落とすと、そのまま恭弥はステージを降りてしまった。


きっと恭弥に抱かれている俺の顔は、自分でも分かるほど真っ赤。




だってあんなの、
反則だろ‥‥!!////

⏰:09/12/02 20:21 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#422 [みぃ]
おかえりなさい!!(涙)

無理なさらずにね!!

⏰:09/12/02 20:28 📱:P905i 🆔:8poSzoyM


#423 [ちか]
>>422
→みぃさま*

ただいまです(´;ω;`)泣
待っていてくださって本当にありがとうございます!!
また感想板の方にも遊びにきてくださいねっ**

⏰:09/12/02 22:47 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#424 [ちか]
>>421続き


恭弥は相変わらずで俺を抱えたままグラウンドを歩いていく。

聞こえてしまいそうで心配なくらい胸がうるさかった


チラリと目線を上げると目があった。

最高の笑顔で微笑む恭弥。

また高鳴る胸。


…やっぱり俺はこの人が好きなんだ。

⏰:09/12/02 23:38 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#425 [ちか]
「ん?冥、顔赤いよ?」

「??!?////‥だ、誰のせいだと思って‥「え、何が?」

「〜…ッッ!!
なんでもないっ!!!///」



こうして、悪魔で天然?な生徒会長恭弥様にどうしようもなくハマっていく俺なのでした。


  ― 第六話 e n d ― 

⏰:09/12/02 23:39 📱:P906i 🆔:zgLxVd6g


#426 [ちか]
*

第六話
鬼と悪魔と時々×××?!
>>299-425

▼感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

お待たせしましが第六話も無事完結しました(^q^)

感想などいただければ
嬉しくて泣いちゃいます
(´;ω;`)←

たくさんの応援
ありがとうございました!

*

⏰:09/12/03 08:10 📱:P906i 🆔:dNqAg2aU


#427 [ちか]



第七話 特別な日


⏰:09/12/05 20:19 📱:P906i 🆔:HPkBCQww


#428 [ちか]





「世界で一番
  大嫌いだ……っ!!!!」




⏰:09/12/05 20:26 📱:P906i 🆔:HPkBCQww


#429 [ちか]


まさか

俺達に

こんな日が来るなんて


…本当に

思ってもみなかったんだ。

⏰:09/12/05 21:08 📱:P906i 🆔:HPkBCQww


#430 [ちか]
――――――――――――
――――――――――――

「ふ…っくしゅん!!」


冬の雨は寒い。

と思う12月の今日この頃


「はい、ティッシュ。」

「はりあと(アリガト)、透。」

俺はティッシュ片手に寒さと戦ってます。

⏰:09/12/05 23:41 📱:P906i 🆔:HPkBCQww


#431 [ちか]
外は霧みたいな雨。
真っ白にぼやけてる。

俺は机の上に広げた薄っぺらい本とにらめっこ。

「なにその本?」

「え?!あ、いやっ…なんでもない、なんでもない!!」

透が本に手を伸ばそうとするのを素早くかわして本をしまった。

⏰:09/12/06 12:37 📱:P906i 🆔:gXcDofCM


#432 [ちか]
「なに、その態度。
見るくらい良いじゃん。」

透はそう言って口を尖らした。
と、思うとタイミングを見計らってまたその長い手を伸ばそうとする。

すかさずその手をはらう俺

「なんでもないんだって!!
あ、そうだ文化祭の時の写真もらったけど見る?!」

⏰:09/12/06 15:14 📱:P906i 🆔:gXcDofCM


#433 [ちか]
そう言って、友達からもらった写真を出そうとした時

「見たくない。」


ものすっごく機嫌の悪い声を出す透。


文化祭の“あの件”の後から、文化祭の話をするとずっとこうなんだ。

⏰:09/12/06 20:27 📱:P906i 🆔:gXcDofCM


#434 [ちか]
あんな格好させなきゃ良かった、とか
あんなゲーム(鬼ごっこ)くだらない、とか。


なんでそんな怒ってるのか知らないけど…


あ、恭弥のあの発言はどうなるかと思ったけど、結局あの後《生徒会長なりのユーモア》《盛り上げるため(?)》《ブラックジョーク》と言う形で片付けられた

俺達の関係はバレなかったってわけ。

⏰:09/12/06 20:37 📱:P906i 🆔:gXcDofCM


#435 [ちか]
まぁ、そんな話は置いといて。

再び透の手に目を戻す。

「…あ、担任に呼ばれてるんだった。」

透は不機嫌さが残る声でふいに呟いた。

「ごめん、ちょっと行ってくる。」

俺はそう言って教室を出ていったそれを見送ると、
「はぁ〜」
と大きくため息をついた。

⏰:09/12/06 21:26 📱:P906i 🆔:gXcDofCM


#436 [ちか]
そして左手から再び薄っぺらい紙の集まりを机に戻す。


「短期間にもっと稼げるトコ無いかなあ〜…」



そう呟いてまた一枚めくるのは、駅や街の至るところにあるなんの変哲もないバイト情報雑誌。

⏰:09/12/11 19:17 📱:P906i 🆔:oxtrnT9k


#437 [ちか]
普通の高校生なら、それ片手にあれやこれや悩むのなんて良くある光景。






そう、
“普通”の高校生なら。

⏰:09/12/11 19:22 📱:P906i 🆔:oxtrnT9k


#438 [ちか]
だけど、俺は


「まぁ、とにかくアイツらだけには、バレないようにしないとな…」



残念ながら普通という世界から一歩踏み出してしまった高校生だったりする。

⏰:09/12/11 19:31 📱:P906i 🆔:oxtrnT9k


#439 [ちか]
え?


なんでそんな俺がバイトなんか探してるかって?




そんなの……
今月が恭弥(アイツ)の誕生日だからに決まってるだろ…///

⏰:09/12/11 20:42 📱:P906i 🆔:oxtrnT9k


#440 [ちか]
プレゼントの一つぐらいやるべきだろ?


今の俺はアイツの家に世話になってるし、プレゼントくらい自分の稼いだ金で買いたいし!



つーわけで只今バイト探しに奮闘中なわけです。

⏰:09/12/11 23:28 📱:P906i 🆔:oxtrnT9k


#441 [ちか]
でもこれは絶対秘密。


だって透にバレたら
絶対ついてくるもん。

「お前だけじゃ心配だから」

とか言ってさ。

いつまで経ってもガキ扱いの保護者気取りなんだよって感じだよな…


そんでもって質問攻めされて俺と恭弥の関係がバレる‥‥

リアルすぎて笑えない・・

⏰:09/12/12 20:21 📱:P906i 🆔:BtPnIceY


#442 [ちか]
**

少ない更新ですが、
休憩します´`
勉強しないとやばいので…笑


感想 コメント などあれば
本当に嬉しいです*^^*

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

**

⏰:09/12/12 21:23 📱:P906i 🆔:BtPnIceY


#443 [ちぇりー]
あげておきます\(^O^)/

⏰:09/12/26 08:07 📱:N04A 🆔:KIUycl9U


#444 []ゅか]]
お待ちしております(*^ ^*)y

⏰:10/01/10 03:45 📱:W62SH 🆔:3WfIjWJo


#445 [鮎]
いちからノンストップで
読みいってしまいました
面白いです(*´□`)
無料せず頑張ってくださいね
応援してます。

⏰:10/01/12 15:27 📱:F03B 🆔:9CSl6Tj2


#446 [我輩は匿名である]
↑無料じゃなくて無理ね

主さん頑張って

⏰:10/01/12 18:42 📱:SH905i 🆔:UOH2XDgs


#447 [ちぇりー]
あげます\(^O^)/

⏰:10/01/28 23:50 📱:N04A 🆔:Z3lYi90E


#448 [おっぱいぷるるん]
喘ぎます\(^o^)/

⏰:10/02/02 13:57 📱:PC 🆔:jqUfTtYo


#449 [。]
あげますっ\(^o^)/

⏰:10/02/08 16:46 📱:F03B 🆔:z4s3EbyY


#450 [あい]


あげます。

⏰:10/02/16 12:18 📱:F03B 🆔:MZZzkYFU


#451 [ちか]
**


>>443-450みなさま
あげてくださって
ありがとうございます;_;


亀でごめんなさいm(__)m
少し余裕が出来たので
更新したいと思います*

⏰:10/02/18 14:21 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#452 [ちか]
>>441続き


俺は自分のリアルすぎる想像に身震いしながら、再び求人雑誌を眺めはじめた。


しかし自分の求める条件を満たすような店はこの薄っぺらい紙のどこにもない。


「やっぱあそこしかないかなあ…」

そう呟いて携帯の電話帳から一人の番号を検索した

⏰:10/02/18 14:27 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#453 [ちか]
「‥‥‥あ、もしもし俺です、日下です
はい、ご無沙汰してます
あの、ちょっとお願いが
あるんですけど…──」




思い起こせばこの一本の電話から俺たちはズレていったんだ。‥‥────

⏰:10/02/18 14:36 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#454 [ちか]
───────‥‥
───‥

放課後、俺は久しぶりに電車に乗った。

恭弥の車を断って乗り込んだ電車が行くのは、懐かしくて歩き慣れた街の駅。



カラン、コロン


久しぶりに押した扉は案外軽く開いた。

⏰:10/02/18 14:42 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#455 [ちか]
「おー久しぶり!」


相変わらずの明るさがさらに懐かしさを醸し出した。

店の匂いも流れる音楽の雰囲気も何一つ変わってない


「お久しぶりです、店長。」

懐かしいなあ

⏰:10/02/18 14:45 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#456 [ちか]
「急に電話してくるから、なんかあったのかと思ったわ。」

「すいません…。でも俺が言うのもなんですけど、本当に良いんですか?」


店長はグラスを磨きながら穏やかに笑う。


「もちろん。」


今の俺にはこの笑顔が身に染みるようにありがたい。

「ありがとうございます!」


よし!
恭弥のためだし
頑張って稼ぐぞ!

⏰:10/02/18 21:58 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#457 [ちか]
― 恭弥 side.―


最近冥がおかしい。




どう考えても何か
隠してるようにしか見えないんだけど。


だいたい…


「今何時だと思ってるの?」

深夜3時帰宅って
どう言うこと?

⏰:10/02/18 22:17 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#458 [ちか]
「ご、ごめん…なさい(汗)」

「答えになってない。」



なんで目をそらすんだ。



壁に両手をついて
冥を挟むような体勢をとる

⏰:10/02/18 22:25 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#459 [ちか]
「ちゃんと答えなきゃこのまま襲う。」


もちろん答えたとしても
そうするけど。


冥は一向にこっちを見ようとしない。

「ど…どいてよ」

「やだ。」


なんなのこの感覚。
変な胸騒ぎ。

⏰:10/02/18 22:28 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#460 [ちか]
こうなったら無理にでも吐かせてあげる。


冥の顎を強く上げ、無理矢理に唇を重ねた。


「ん…ぅ‥ふ…っ」

苦しそうに僕の服を握る冥

「んん…っ!!や…だって…ば!!!!」


ドン.

⏰:10/02/18 22:31 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#461 [ちか]
「と、とにかく今日はいやなんだよ!
おやすみ!!!!」


バタンッ.


ドアが強く閉まる音が響いて暫くして僕はズルズルと廊下に座りこんだ。



なに?
どういうこと?

「‥‥‥拒否された‥?」

⏰:10/02/18 22:38 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#462 [ちか]
― 冥side.―


次の朝、目が覚めると恭弥の姿は無かった。


いつもなら寝込み襲ってくるはずの恭弥が居ないことに違和感を感じて部屋を見渡すと、

小さなテーブルの上に一枚髪が置かれていた。

⏰:10/02/26 21:19 📱:P906i 🆔:jxIPLLps


#463 [ちか]
【 冥へ

 急な仕事が入って家には
 土曜まで帰れそうにない
 学校も行けない。
 僕が居ない間、色々
 気をつけてね。

       恭弥 】


淡白な文章だった。

昨日のこと怒ってるのかな…?

⏰:10/02/26 21:25 📱:P906i 🆔:jxIPLLps


#464 [ちか]
でも着替る時、鏡越しで首筋に薄い紅色の斑点を見つけて、

少しだけ安心した。



恭弥の誕生日はちょうど日曜日だし、バイトするにはある意味好都合だ。



気分を切り替えて俺は支度を済ました。

⏰:10/02/26 21:29 📱:P906i 🆔:jxIPLLps


#465 [ちか]
その日から俺は毎日深夜までバイトに明け暮れた。


恭弥が外出中なのを良いことに朝方まで働くこともしょっちゅうだったし、

久しぶりに店長やバイト仲間と話したりしてその時間が全く苦じゃなかった。


そんな風にして日は過ぎてゆき、恭弥の帰宅一日前、誕生日の二日前という日が訪れた。

⏰:10/02/27 21:23 📱:P906i 🆔:P6Gu94Xo


#466 [ちか]
学校が終わって、早速店に向かう。


バイトも今日で終わりだ。

また会えなくなるのは寂しいけど、恭弥へのプレゼントが買えると思うと気合いは充分に入った。


「冥、ちょっとこっち来い」

突然店長に手招きをされて、俺は言われるがまま店の奥に入った。

俺、なんかミスしたかな?

ビクビクしながらスタッフルームに入った。

⏰:10/02/27 21:34 📱:P906i 🆔:P6Gu94Xo


#467 [ちか]
「ほら、これ。」


そんな短い言葉と共に渡されたのは、茶色い封筒だった。


「え、でもまだ
仕事終わってな…」

「いいからいいから。
ずっと朝方まで働いてもらったから充分だよ。
今日はこれ持って早く帰って寝ろ。」


店長はそう言って優しい笑みを向ける。


「店゙長゙〜〜っ!!(泣)」


優しさに半泣き状態になった俺は衝動的に抱きついた。

⏰:10/02/27 21:44 📱:P906i 🆔:P6Gu94Xo


#468 [ちか]
「はいはい、はいはい。笑
分かったから!
じゃ、気をつけて帰れよ。」


そう言って店長は出ていった。

封筒の厚みからしても
やっぱり店長は優しい。


しかし
またお世話になったな…
いつかちゃんと恩返ししたいな。


そんなことを考えながら着替えを済ませ、裏口から店を後にした。

⏰:10/02/28 00:11 📱:P906i 🆔:QS.lHBaQ


#469 [ちか]
―― PM 23:58



この街が賑わい始める時間、俺は一人駅までの道を歩いていた。


やがて小さな曲がり角に突き当たり、路地裏に入っていく。

駅までの近道だから。


真っ直ぐそこを進むとまた角があり、そこを曲がろうとしたその時。

⏰:10/02/28 15:38 📱:P906i 🆔:QS.lHBaQ


#470 [ちか]
全身に電気が走ったみたいだった。


金縛りみたいに
動けなくなって
俺は声にならない声を
短く上げた。



だって

そこには

知らない女の人とキスしてる恭弥が居たから。

⏰:10/03/01 00:22 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#471 [ちか]
固まった俺は

何度も瞬きをして

ソレが恭弥じゃないことを祈った。



だけど、何度見ても
恭弥に変わりはなくて。

それは紛れもない真実で。

⏰:10/03/01 00:39 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#472 [ちか]
なんでなんでなんで

恭弥、
仕事なんじゃなかった?


なんでそんな人と
キスしてるの?

なんでそんな人の肩なんて抱いてるの?


「な ん … で 」

気づけば俺は逆方向へ
走り出していた。

⏰:10/03/01 00:43 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#473 [ちか]
その日は

そこからもう記憶が曖昧。


どうやって帰ったか

何時に帰ったか

何も憶えてない。


だけど生々しいくらい
恭弥があの時何をしてたかだけは憶えてて
夢じゃなかったんだって実感するしかなかった。


気がつけば俺はベッドに寄りかかった状態で朝を迎えていた。

⏰:10/03/01 08:08 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#474 [ちか]
涙のあとがくっきりと残っている。


「恭弥‥‥」


ダメだ。

名前一つ口にしただけで
苦しくなる。

もうすぐそこまで来ている涙を溢さないようにするので必死。

頭の中で何度も鮮明に
あの光景が流れた。

⏰:10/03/01 16:31 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#475 [ちか]
恭弥が帰ってくるのは今日


まともに顔を見れる自信は無い。

それどころか、
泣いてしまうかもしれない


だけど、昨日のことを問い詰める勇気なんて俺には無かった。

⏰:10/03/01 16:34 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#476 [ちか]
だって
もし問い詰めて
認められたら?


そうだよ、もうお前なんて好きじゃない


なんて言われちゃったら
俺はどうしたらいい…?


.

⏰:10/03/01 16:45 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#477 [ちか]
「情けない…」



強がっても、
口に出さなくても、

俺はいつの間にか、そこまで恭弥に依存してたんだ。

問い詰めて離れてしまうなら、何も言わずにいつもみたいに笑って一緒に居れた方がよっぽど幸せ。

そう思ってしまうくらい、もう気持ちは傾いていたんだ。

⏰:10/03/01 16:48 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#478 [ちか]
普通にしてれば
大丈夫。

いつも通り名前
呼んでくれるはず。

“要らない”なんて
言われるはずない。


黙ってよう。

黙ってれば幸せで
居られるんだから…

⏰:10/03/01 16:58 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#479 [ちか]
学校では割りと平然を
装えた。

透には目腫れてるって
言われたけど…
なんとか誤魔化しきれた、と思う。


あとは帰って
普通に喋って笑って
寝るだけ。

…それだけって思ってた。

⏰:10/03/01 17:00 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#480 [ちか]
「 冥。 」


ふい打ちだった。

だって帰ったら玄関で恭弥が待ってたんだから。



「お、おかえり…」

咄嗟に出たのはそんな言葉だった。
動揺して声が震えてるのが自分でも分かった。

⏰:10/03/01 17:06 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#481 [ちか]
まだ心の準備も出来てないのに…


手足が震えて、恭弥の顔をまともに見れない。


でも分かってる。
それだけが理由じゃないことぐらい。


本当の理由は、

⏰:10/03/01 17:20 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#482 [ちか]
「…話がある。来て。」








恭弥の目が真剣で、
いつもと違うから。

⏰:10/03/01 17:22 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#483 [ちか]
俺は小さく頷いて




先を歩く恭弥に




付いていくことしか
出来なかった。…―――

⏰:10/03/01 17:26 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#484 [ちか]
― 恭弥side.―


急な仕事入って暫く家に帰ってなかったけど、

正直頭の中は冥のことしか無かった。



あの夜拒否されて、
それからすぐ仕事でまともに話も出来ないままで、
仕事が手につくわけなかった。

⏰:10/03/01 17:35 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#485 [ちか]
だから、調べさせたんだ。

松山に。


あの夜、冥がなんで遅かったのか。



すぐに理由は分かった。

またバイト始めたらしい、と。

僕が留守の間もずっと。

⏰:10/03/01 17:37 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#486 [ちか]
なんでバイトなんかする必要がある?


金が足りないなら
いくらでもあげるのに


なんで僕を拒んだ?



考えた結果、
ある結論にたどり着いた。

⏰:10/03/01 17:39 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#487 [ちか]
“冥はココを出ていこうとしている。”



それなら合点がいく。


合点はいくけど、
納得はいかない。


手放したくなかった。

意地でも繋ぎ止める。


その為にこうして早く仕事も片付けて、話す時間作ったんだから。

⏰:10/03/01 17:47 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#488 [ちか]
今僕は、
いや正確に言うと僕達は
廊下を歩いてる。



冥、なんでそんなに震えるの。

そんなに僕がキライ?


もう終わりなの?


ため息さえ溢れた。

⏰:10/03/01 18:04 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#489 [ちか]
やがて突き当たりの僕の部屋に着いた。

「入って。」


ドアをゆっくり開けると
冥を中に入れてから
僕も入り、またゆっくりと閉めた。



回りくどいことは嫌いだから単刀直入に言おうと思う。

結果がどうなろうと、離す気なんて無いんだから…

⏰:10/03/01 22:36 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#490 [ちか]
― 冥side.―


これから何を言われても
絶対泣かないようにしよう


これが最後になっても…



そう決めて無理矢理顔を上げると、無表情の恭弥が目に入った。



沈黙を破ったのは
やっぱり恭弥の方だった。

⏰:10/03/01 22:46 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#491 [ちか]
「バイトしてるんだって?」

「え‥‥」


なんで知って…


そんな風に恭弥を見上げると恭弥はため息をついた。

「不自由させてるつもりは無かったんだけど、違った?」

⏰:10/03/02 00:23 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#492 [ちか]
「違っ…、これは…っ」

違う
違うそんな顔させたかったワケじゃない

「コレは?」

「‥‥‥‥。」


ただ喜んでほしくて…


だけどプライドが邪魔して「恭弥のプレゼントのため」とは言えなかった。

⏰:10/03/02 07:46 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#493 [ちか]
「言えない理由でもあるんだ?」

「‥‥‥。」


張り詰めた空気に沈黙が流れる。


やがて、恭弥が一層深いため息を吐いて口を開いた。


「…もういいよ。
そんなに僕のこと嫌いなら早く出ていきなよ。
その為の金なんでしょ?」


‥‥は?

⏰:10/03/02 07:50 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#494 [ちか]
「――‥‥に、それ……」


何かの糸が切れたみたいだった。

抑制していたソレはどこかに消えて、俺は吐き出すように叫んだ。


「何だよ、それ……っ
俺のこと要らないなら、そう言えばいいじゃん!!!!!

人がどんな気持ちで貯めた金かも知らないで…っ

⏰:10/03/02 08:00 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#495 [ちか]
分かったよ、言われなくても出てってやるよ!!
そんであの昨日の女の人と暮らせばいいじゃん!!!!」


ポタポタと溢れだした涙は止まる気配など全くない。

目の前で恭弥は驚いた顔のまま俺を見つめている。

「なに、昨日の女の人って…」


口を開いたかと思えば、シラを切るつもりのような台詞。

⏰:10/03/02 08:07 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#496 [ちか]
もう、うんざりだ。

こんな奴に振り回されるのはやめよう。

もうこれで終わりにする。
何もかも、全部。


「俺だってもう要らない!!!
お前なんか…っ
お前なんか…―――っ!!」

⏰:10/03/02 08:12 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#497 [ちか]





「世界で一番
  大嫌いだ……っ!!!!」



⏰:10/03/02 08:12 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#498 [我輩は匿名である]
この小説だいすきです(*^^*)
更新楽しみにしてます
ちかさんのペースで頑張ってください

⏰:10/03/02 18:43 📱:P02A 🆔:Nm5C0NI.


#499 [ちか]
>>498
→匿名さま!

あ、あ、あ、ありがとうございます〜っ(´;ω;`)

そうやって言ってもらえてわたしも小説も幸せ者です!!
これからもよろしくお願いします★

⏰:10/03/02 21:52 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#500 [ちか]
>>497続.



俺はそんな言葉と、
ずっと握りしめていた小さな箱を投げつけて部屋を飛び出した。


二度とここには帰らない。

もう俺には要らないんだから。…―――

⏰:10/03/02 21:56 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#501 [ちか]
― 恭弥side.―


「世界で一番
 大嫌いだ………っ!!!!」


頭の中で何度もその言葉と冥の泣き顔が浮かんだ。

離さないって決めたのに


返事を聞くのが怖くて
傷つきたくなくて

僕は突き放した。

もう同じ過ちはしないって決めたのに…

⏰:10/03/02 21:59 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#502 [ちか]
暫く動けなくて、そのまま突っ立っていた。


足元に目をやると、
投げつけられた見覚えのない箱が転がっている。


ふいにそれを拾い上げ、開けてみて、

僕は絶句した。

⏰:10/03/02 22:06 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#503 [ちか]
箱の包みを開けてみると、中にはシルバーのネックレスと一枚のカード。



【 誕生日おめでとう 】



カードにはそう書かれていた。

「こんな‥‥なんで…っ」


そこまで言って全てを悟った。

⏰:10/03/03 20:56 📱:P906i 🆔:iyYuMZCE


#504 [ちか]
冥はもしかして、コレのためにバイトしてたんじゃ…


「そんな…」



まただ。
また僕は信じることが出来なかった。
アイツの時みたいに…


追いかけなきゃ。
もうあの時みたいな後悔は二度としたくない。

シルバーのネックレスを握りしめて僕は部屋を飛び出した。

⏰:10/03/03 21:02 📱:P906i 🆔:iyYuMZCE


#505 [ちか]
― 冥side.―

「はぁ…っはぁっ…――」


どのくらい
どこまで

あれから走ってきたのかなんて全然分からなかった。

無我夢中に走って、
限界が来て、

俺は行き倒れるように道の端に踞(ウズクマ)った。

⏰:10/03/04 08:13 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#506 [ちか]
人の目なんて気にならなかった。

むしろ気にするほどの余裕がなかったと言うほうが正しいのかも知れない。


いろんな感情が溢れて、
溢れすぎて壊れそうだ。


これからどうなるんだろう

帰る場所も何も
残ってない俺に価値なんてあるんだろうか…

⏰:10/03/04 08:24 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#507 [ちか]
いっそこのまま
消えられたら‥‥


そう思った時


目の前で白い車が静かに停まった。
中から人が降りてくる。



「‥‥‥し‥のぐさん…?」

そこで俺の意識は途絶えた

⏰:10/03/04 13:04 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#508 [ちか]
気がつくとそこはベッドの上だった。


頭が痛い。
泣きすぎたのかな…


「あ、気がついた?」


ふと声のする方を見ると、凌さんが立っていた。

⏰:10/03/04 13:08 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#509 [ちか]
「夢じゃなかったんだ…」


正直切羽詰まりすぎて、あの車も凌さんも夢だったんじゃないかって思っていた


「人を夢扱いするのやめてくれる?」

そう言ってクスリと笑う凌は相変わらず綺麗だった。

少し髪を切ったみたい。

⏰:10/03/04 13:10 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#510 [ちか]
「なんであんなトコに?」


碧眼が俺を映す。


「‥‥や、…その‥‥ちょっと喧嘩したって言うか…はは」


誤魔化しきれずに俺は無理矢理笑顔を作った。

⏰:10/03/04 13:14 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#511 [ちか]
そんな俺に大した反応を見せることなく、凌さんは


「ふーん。
まぁ、お茶入れてくる。
ミルクでいい?」


それだけ聞いて、俺が頷くと部屋を出ていった。


今は深入りされるより、それくらいが心地よかった。

⏰:10/03/04 13:16 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#512 [ちか]
「お待たせ。」


暫くしてマグカップを2つ持った凌が現れた。

「はい。」

そう言って出されたマグカップを受け取り、一口啜る


「美味しい…」

そう言いながら俺は数回に分けてソレを飲み干した。

その中に何が入っていたのかも知らずに。

⏰:10/03/04 15:38 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#513 []ゅか]]
うあ〜!
気になりますねy

⏰:10/03/04 21:56 📱:W62SH 🆔:Zp9vuvwE


#514 [ちか]
>>513
→ゅかさま!

ありがとうございます^^*
今からまた更新しますっ

⏰:10/03/04 22:06 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#515 [ちか]
「この後どうするの?」

痛いところを突かれた。
この後どうするかが俺の今一番の悩みだ。

運良く凌さんに会えたから良かったけど、長居するわけにもいかない。

黙って眉間に皺を寄せていると、頭上で小さく笑う声がした。

「まぁ、居たいだけ居ればいいよ。俺もまだココに居るし。もう夜遅いし、今日は寝てけば。」

そう言ってまた凌さんは出ていってしまった。

⏰:10/03/04 22:15 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#516 [ちか]
いいのかな…


今日1日…
一晩だけ泊めてもらおう


今日だけ…


そう言い聞かせて
再びベッドに入った。

⏰:10/03/04 22:16 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#517 [ちか]
―――――――――――
―――――――……



「あ、もしもし恭?
どうしたの、そんな息切らして。
…冥ちゃんなら家に居るよ。
うん、道でたまたま拾った。
クスッ…あのさ、
冥ちゃんに【面白いモノ】飲ませちゃった。じゃあね」


――――――――‥‥
――――――――――――

⏰:10/03/04 22:21 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#518 [ちか]
―――――――――――
――――――‥‥


「ハァ…ハァ…ん///」


さっきからなんかおかしい

身体が熱くて

なんか物足りなくなってきて…

どうしちゃったんだ俺…

⏰:10/03/04 23:30 📱:P906i 🆔:KHidM2Gc


#519 [ちか]
「そろそろ効いてきたみたいだね。」


頭上から凌さんの声がする
いつの間に?

「え‥‥‥?いつから居…、んッ//」


ふいに、服の上から胸の飾りに触れられて情けない声をあげた。
なんで、これくらいでこんな…
俺どうかしてる…っ

「ちょ、凌さん俺‥‥「何も言わなくて良いから。
黙ってて。」

碧眼が俺を縛ったみたいだった。

⏰:10/03/05 23:18 📱:P906i 🆔:SOrelNeA


#520 [ちか]
「もう恭なんかやめとけば。俺が全部忘れさせてあげる。」


身体が熱くて頭が上手く回らない。
なに、どう言うこと…?


何も抵抗も出来ない俺を凌さんは軽く押さえながら耳元で囁いた。


「大丈夫。全部忘れさせてあげるから。」

⏰:10/03/05 23:25 📱:P906i 🆔:SOrelNeA


#521 [ちか]





「忘れられてたまるか。」




⏰:10/03/05 23:26 📱:P906i 🆔:SOrelNeA


#522 [ちか]
俺バカだ。


こんな時でもアイツのことなんか思って、
空耳まで聞こえちゃって…



「居るわけないのに…「誰が居ないの?」

⏰:10/03/06 17:01 📱:P906i 🆔:8UtCtsLw


#523 [ちか]
「恭‥‥弥‥‥‥?」


目の前に居るのは
紛れもなく恭弥だった。

でもなんで‥‥


熱を帯びて荒い呼吸のせいでまともに話すことが出来ず、ただ俺はそれを見つめるしかなかった。


「凌、お前何したんだよ!!」

恭弥は今までに見たことないくらい取り乱し、怒っていた。

⏰:10/03/06 17:09 📱:P906i 🆔:8UtCtsLw


#524 [ちか]
こんな恭弥見たことない。
恐怖感を感じずにはいられない。


「何ってちょっと薬飲ませただけ、「お前……!!!!」


恭弥の右手が勢いよく凌さんへ伸びる。

けど、寸前のところで凌さんはそれを受け止めた。

⏰:10/03/06 17:14 📱:P906i 🆔:8UtCtsLw


#525 [ちか]
「お前、自分がした事、分かってるのか??!!」

我を忘れたように怒声をあげる恭弥。

「それはこっちのセリフだよ!!!!」


冷静だったはずの凌さんが突然大声をあげた。
思わず恭弥もその場で怯む

凌さんは深くため息をついて再び口を開いた。

⏰:10/03/06 17:22 📱:P906i 🆔:8UtCtsLw


#526 [ちか]
「離さなかったり、突き放したり‥‥。
ちょっとは冥ちゃんの気持ちも考えれば?
中途半端に繋ぎ止めるのが一番最低だと思うんだけど。
アイツの時と同じような思いさせるつもりなら、構わない方が良い。」


凌さんの口調はとても鋭くて刺々しかった。

最後の決断を今ここで、と言わんばかりの圧があった

しかし、恭弥は凌さんをしっかりと見据えて言い放った。

⏰:10/03/06 19:09 📱:P906i 🆔:8UtCtsLw


#527 [ちか]
「冥は僕のモノだから。
誰にも渡すつもりはない。」


それだけ言い放って、
恭弥は俺を抱き上げた。


「ほぅわ…っ!?!!///」


「じゃ、それだけ。」


そのまま俺は恭弥に抱き抱えられて、凌さんのマンションをあとにした。

⏰:10/03/06 19:15 📱:P906i 🆔:8UtCtsLw


#528 [ちか]
「ちょ、降ろして…「まともに歩けもしないくせに。」


確かにそうだけど。
そうだけど俺にだって
プライドってものがあった

だから反抗せずにはいられなかった。


「恭弥はずるい……。」

⏰:10/03/08 16:38 📱:P906i 🆔:BEsUDJzQ


#529 [ちか]
火照る体と溢れ出した感情のせいで、俺は勢いに任せて叫んだ。

その声は深夜の街角に良く響いた。


「凌さんの言う通りだよ…ッ!!…俺って恭弥のなんなんだよ!?!!
本当は昨日恭弥が女の人とキスしてるとこ見た事も黙ってようって思ってた…っ!!
でも、これじゃ俺ばっかり…俺ばっかり恭弥の事好きみたいで‥‥‥っ!!!!」


そこまで言って唇を塞がれた。

⏰:10/03/08 19:10 📱:P906i 🆔:BEsUDJzQ


#530 []ゅか]]
わくわく(*^ ^*)y

いつも応援してます空~

⏰:10/03/11 05:29 📱:W62SH 🆔:Jg2DGEFo


#531 [ちぇりー]
あげます(・_・|

⏰:10/03/18 23:41 📱:N09A3 🆔:bkciFpq.


#532 [ちか]
>>530
→ゅかさま!

あげてくださってありがとうございます(;o;)

⏰:10/03/20 14:23 📱:P906i 🆔:N.2M7x4w


#533 [ちか]
>>531
→ちぇりーさま!

こっちもTもあげてくださってありがとうございます(T-T)*

⏰:10/03/20 14:24 📱:P906i 🆔:N.2M7x4w


#534 [白蓮]
がんばってください!
応援しています!

⏰:10/03/21 05:01 📱:P703i 🆔:LMsNdRyo


#535 [ちか]
>>534
→白蓮さま!

ありがとうございます!!(´;ω;`)
頑張りますっ★
今から少し更新しますね*

⏰:10/03/21 23:21 📱:P906i 🆔:inC7S8nM


#536 [ちか]
強引に絡みつく舌。


それに欲情してしまう、
俺の身体(カラダ)。


「んん…ッふ…あ…っん!!」

反応してしまう自分が
悔しい。

だって、あれだけ忘れようとしたって、ほんの一回こんな事されただけで、どうしようもなく愛しく思ってしまうから。

やがてその唇は
熱を残して離された。

⏰:10/03/21 23:25 📱:P906i 🆔:inC7S8nM


#537 [ちか]
いつの間にか俺の顔は
濡れていた。


だけどそれは俺の涙とは
別の。

「恭‥‥弥‥‥‥‥?」


涙に濡れた恭弥の顔が、
通りすぎて行った車のライトに照らされて闇に浮かび上がった。

⏰:10/03/21 23:28 📱:P906i 🆔:inC7S8nM


#538 [ちか]
「・・・・ッ・・・ハァッ・・・くそッ!!!!」

恭弥は唇を離すと、俺を自分とで挟んでいた壁を強く殴った。

こんなに感情を露わにしている恭弥を、俺は初めて見た。

怖くて身体が震えるのを必死に隠す。



しかし、それも見破られていたかのようにきつく抱き締められた。

⏰:10/03/25 00:20 📱:P906i 🆔:2VuzFUIs


#539 [ちか]
そして思わぬ言葉が耳元で鳴る。

「……ごめん。」


それは小さくて細かった。


「冥が離れていくのが怖かった。だから、出ていけなんて言って…――
でもそんなの全部ウソだから。
僕はどんなに嫌われても、冥のこと離すつもり無いから。」

そう言って恭弥はまたきつく抱き締めた。

⏰:10/03/25 00:29 📱:P906i 🆔:2VuzFUIs


#540 [我輩は匿名である]
>>1-200
>>201-400
>>401-600

⏰:10/03/27 13:00 📱:N01A 🆔:nwtN8v2.


#541 [なな]
書いてほしい

⏰:10/03/31 07:01 📱:SH905i 🆔:HOpcF/NA


#542 [ちか]
>>540
→匿名さま
アンカーありがとうございます(;_;)

>>541
→ななさま
更新不定期ですいません…
ありがとうございます;_;

⏰:10/04/03 16:47 📱:P906i 🆔:EZVk7fQI


#543 [ちか]
俺はそんな恭弥の腕に包まれて、暫くの間話すことが出来なかった。


何から言えば良い?

嬉しい
俺を求めてくれりこと
離さないでいてくれること

確かに嬉しかったけど
脳裏にはやっぱり女とキスをしていた恭弥が焼き付いて離れない。

さらに熱くなる身体に悶えながら、俺は漸く口を開いた。

⏰:10/04/03 17:01 📱:P906i 🆔:EZVk7fQI


#544 [ちか]
「もう不安にさせないで…」



ふいに出たのは自分でも驚くほど、子供みたいな言葉だった。

だけどそれが本心だった。


「俺、もうやだよ…。
頭ん中恭弥のせいで不安だらけになるのも、
泣きそうになるのも…
‥‥‥‥‥好きだから…」

⏰:10/04/03 17:35 📱:P906i 🆔:EZVk7fQI


#545 [ちか]
口にした瞬間、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。

でもいいんだ。
言いたいことちゃんと…
ちゃんと言えたから。

…頭上でため息がして、正直後悔もしたけど。

「はぁ‥‥‥。
ごめん、可愛すぎ…。」

そう言って恭弥は今までにないくらい強くその腕を絡めた。

「ん゙!!!?!く、苦゙しい!!!
恭弥苦しいって!!!!
腕!腕痛いっ!!!(泣)」

「うるさい。」

⏰:10/04/03 17:46 📱:P906i 🆔:EZVk7fQI


#546 [ちか]
ふいに目と目が合う。


「 冥‥‥ 」

甘くて低い声で名前を呼ばれると無償に鼓動が早くなった。


そのまま形の綺麗な薄い唇が俺に重なろうとした、その時。


「ちょ、ちょっと待った!!!」

まだ話は終わってない。

⏰:10/04/04 01:51 📱:P906i 🆔:v5AWOOLw


#547 [ちか]
恭弥は不服そうな顔で俺を見下ろす。

「や、やっぱり昨日の女の人とキスしてた事はっきりさせたいんだけど…っ」

まともに恭弥の顔も見れずに俺は聞いた。

「‥‥‥‥そのことなんだけどさ。
あれ、実は男なんだよね」



へ?

⏰:10/04/04 01:55 📱:P906i 🆔:v5AWOOLw


#548 [ちか]
「取り引き先の人が女装癖のある人でさ。
キスしてくれたら取り引きの条件のんであげるって言って、いきなりされたんだよね‥‥。
力は男だし、割りと強くて逃げようにも逃げれなくて。
女女って言うから一瞬解んなかったんだけど、たぶんその事だと思う…。」


不味そうに恭弥はそう説明した。

頭が真っ白だ。

まさか…よりによって
男なんて…。

⏰:10/04/04 01:59 📱:P906i 🆔:v5AWOOLw


#549 [ちか]
口をポカンと開けて唖然している俺を見て、
恭弥も申し訳無さそうな顔をする。


しばらくして、
俺はキッと恭弥を睨む

「め、冥?、……っ!!?!」


大胆にも自分からキスした
ムカつくから…!///


「しょ、消毒っ!!!!///」

短い口づけのあとにそんな台詞を吐いて照れ隠しする

⏰:10/04/04 02:05 📱:P906i 🆔:v5AWOOLw


#550 [ちか]
伏せていた目をちらりと恭弥に向けるとバッチリ目が合った。


「…冥が悪いんだからね。」

「え、なっ!!!どこ触って…あっ!!///」

やばい!!!
恭弥の理性を飛ばしてしまったみたい。


場所が!!
こんな所はやばいって!!///

⏰:10/04/04 02:09 📱:P906i 🆔:v5AWOOLw


#551 [ちか]
「ん…あっ///きょ‥おやっ!!///ちょ…っ///」

「黙って。」

俺は何度も何度も首筋に吸い付かれ、紅い斑点をつけられていった。

独占欲の強い恭弥らしくも強引なその行為に、熱を帯びた身体が敏感に反応する


俺は快感に溢れ出しそうな声を必死に我慢しながら、吐息混じりで言った。


「あぁ…っ、恭弥‥ん///
こ、ここじゃ、や…だ…//」

その瞬間、恭弥がニヤリと笑う。

⏰:10/04/04 21:21 📱:P906i 🆔:v5AWOOLw


#552 [ちか]
「へえ…別の場所なら良いんだ?クスッ」

「………っ!!!!///」


恥ずかしさからか熱が急上昇して顔が真っ赤になった

「クスッ…可愛い」

妖艶に微笑む恭弥。

「からかうなっ!!!!///」

俺は必死にこの体制から逃れようともがいた。
しかしいとも簡単に捕まえられて動けなくされる。

⏰:10/04/04 23:30 📱:P906i 🆔:v5AWOOLw


#553 [ちか]
「僕はいつだって本気だよ」

耳元でそう囁かれたら、
もう拒否なんて出来なかった。


熱を帯びた体を抱き抱えられてタクシーに乗った。

着いたのは、都内でも名高い高級ホテル。

しかも、

「これがスイートルーム…」

顔パスで…
コイツの権力ってどんだけすごいんだよ!!?

⏰:10/04/04 23:35 📱:P906i 🆔:v5AWOOLw


#554 [ちか]
なんて驚いている間も無く、いきなりベッドに押し倒された。


ドサッ


広く静かな部屋に、
2人が倒れこむ音が響いた


「冥、好きだよ。」

「あ…っん///
きょう‥やぁっ///ふあ//」

「もっと舌絡めて…」

久しぶりの恭弥の感覚は、刺激が強かった。

耳元には甘い声。
唇を攻められながら、
片手は胸の飾りへ。

⏰:10/04/05 13:02 📱:P906i 🆔:wP0AcITQ


#555 [ちか]
「愛してる。」

「あぁッ…んっ///い‥やぁ」

「クスッ…愛してるよ」

何度も甘い言葉を囁かれる

「んあっ!!///‥な…ん回も…ッ//はぁッ//言う…なッ!!///」

「可愛い。愛してる。」

「だ…からッ!!///
ん///や…め‥あぁっ///」

もう
愛撫だけでイキそうだった

⏰:10/04/05 13:10 📱:P906i 🆔:wP0AcITQ


#556 [ちか]
「もう此処がこんなになってるよ?クスッ」

「ひぁ…ッ!!///」


半勃ちになってる自身を急に触られて俺は情けない声あげた。

そのまま恭弥は俺のベルトを外して、下着ごと脱がせてしまった。

俺のは急に空気に触れ、
さらに硬さを増す。

⏰:10/04/06 00:17 📱:P906i 🆔:19oBw0IY


#557 [ちか]
「こんなモノまで垂らして」

そう言って恭弥は裏筋を指で際どくなぞる。

「あッ…あッ…あぁっ///」

やっぱり今日の俺おかしい!!///

いつもより身体が敏感に反応してしまう…
声が我慢出来ないし…

それだけじゃない。
いつもより…その、すぐ…欲しくなって…っ///

⏰:10/04/06 12:38 📱:P906i 🆔:19oBw0IY


#558 [ちか]
「媚薬のせいだね。
クスッ…いつもより感じてるんでしょ?」

恭弥は片手で器用に俺の自身をしごく。

何も言わなくてもバレてる…
それが余計に恥ずかしかった。

しかし恭弥はそんなのお構い無しに強弱をつけて弄ってくる。

「あ…だ…めっ!!///
恭‥弥イっちゃ…!!///
はぁっ///あ‥っあ…」

先端を軽く引っ掻かれて、俺はあっけなくイってしまった。

⏰:10/04/06 12:51 📱:P906i 🆔:19oBw0IY


#559 [◆S2mRWfM3VE]
>>195-800

⏰:10/04/06 18:22 📱:SH705i 🆔:qU0NBFgU


#560 [◆S2mRWfM3VE]
>>500-600

⏰:10/04/06 19:03 📱:SH705i 🆔:qU0NBFgU


#561 [ちか]
>>559-560
→匿名さま

安価ありがとうございます(*^^*)

⏰:10/04/06 22:56 📱:P906i 🆔:19oBw0IY


#562 [ちか]
>>558続き

満足げな笑顔を浮かべて恭弥は俺に聞く。

「久しぶりの気分はどう?」

「はぁ…ッはぁ‥ッ///
うるさ‥‥っんあ!!///」


恭弥は艶やかな笑みを見せて、俺の太股を伝って落ちる白濁を見せつけるように舐めあげた。


「もっと気持ちよくしてあげる。」

そう言うと恭弥は俺の両足を持ち上げ、今まで隠れていた秘部が見えるようにした。

⏰:10/04/08 15:42 📱:P906i 🆔:24oEhHFQ


#563 [ちか]
「ちょ…っ!!!!///
恭弥っ!!///やめ‥‥っ、
電気くらい消せよ!!!!//」


部屋の灯りはついたまま。
明るい照明の下、俺の目は恥ずかしさのあまり涙が滲んだ。

それさえもキラリと照らす照明が憎い。

俺は両手で顔を覆った。

⏰:10/04/08 15:49 📱:P906i 🆔:24oEhHFQ


#564 [ちか]
「消したら冥の顔、
見えないでしょ?」

そう言って俺の手首を掴む。

「見えなくていいじゃん!!///やだって…触る…なっ、ふ…ぅん///」

無理矢理に手をどかされて唇を奪われた。

「僕は冥をもっと知りたい」

真っ直ぐに見つめられると、身体の力が抜けていくみたいだった。

⏰:10/04/08 18:31 📱:P906i 🆔:24oEhHFQ


#565 [ちか]
ピチャ..ピチャ..


「ん…///」


厭らしい音でさらに興奮している自分の自身。

舌で器用に出し入れされた蕾はだんだんと慣らされていった。

身体はもう恭弥を欲しがっていた。

⏰:10/04/08 18:41 📱:P906i 🆔:24oEhHFQ


#566 [ちか]
「ん…///きょ‥や…//」

「ん?」

恭弥の吐息がかかって
熱い。

「も‥良いから…///
その…欲し‥‥い…//」


自分からこんなこと、
いつもなら言えないのに
何故だろう
今日は恥ずかしいけど
ちゃんと言える。

恭弥は自分でベルトを外し、自身を俺の秘部にあてがった。

⏰:10/04/09 00:31 📱:P906i 🆔:MqvkVGh.


#567 [ちか]
ヌプ..

「あ…っあ‥//あっ…///」


だんだんと奥に入ってくる恭弥に自然と声が漏れる。

「冥、ちょっとキツいかも…もっと力抜いて。
そう‥‥ゆっくりで良いから。」


優しく髪を何度も撫でられた。
慣らされたとは言え、
恭弥の自身は大きくて、どうしても力んでしまう。


漸く根元まで入ると、
恭弥はゆっくり動き始めた

⏰:10/04/09 00:38 📱:P906i 🆔:MqvkVGh.


#568 [ちか]
恭弥の動きに合わせて
自分も自然と動いてしまう

自分の淫乱さを自覚したみたいで恥ずかしかった。


クチャ..グチュ..


最初はゆっくりだった恭弥もどんどんとその動きを激しくしていく。

お互いの荒い息の音が溶け合う。

「あぁ…っ///や‥、ん///
あッあッあッ!!!///
んっ、だ…めぇ‥ッ
きょ…うや、出る…っ//」

二度目の波が来て
俺はまた欲を吐き出した。

恭弥も俺の締め付けで達したようで、お腹がじんわりと温かくなった。

⏰:10/04/09 00:46 📱:P906i 🆔:MqvkVGh.


#569 [ちぇりー]
あげます\(^O^)/
お忙しいとは思いますが
ここの小説の中で一番
これがすきなんで
頑張ってほしいです!

⏰:10/04/17 21:10 📱:N04A 🆔:bt1ecYiY


#570 [りん]
Tから全部読みました(^∀^)
めちゃくちゃいいですっ!
応援してんで頑張ってください
続き楽しみにしてます♪♪

⏰:10/04/18 12:34 📱:F02B 🆔:S7ghvNnI


#571 [.]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600

⏰:10/04/19 21:02 📱:W64S 🆔:HmPMnnzA


#572 [華]
もう書かないんですか?

⏰:10/04/30 13:55 📱:P03A 🆔:sdSeGPRw


#573 [sak.]
>>569 ちぇりーさん

いつもいつも嬉しいお言葉をありがとうございます泣
報告無しに更新ストップしてすいません(;_;)
GW入ったんで更新頑張ります!
ありがとうございます;-;

>>570 りんさん

わーほんまに嬉しいです!(;_;)
頑張ります><!
良かったら続きも見てください^^

⏰:10/05/01 22:47 📱:P906i 🆔:RGaMdmDo


#574 [ちか]
↑すいません名前おかしかったです(;_;)
ちかなので気にしないでくださいorz

>>571 匿名さん
アンカーありがとうございます!おかげで見やすくなりました><

>>572 華さん
不定期ですいません(;_;)
完結するまで必ず書きます!

⏰:10/05/01 22:49 📱:P906i 🆔:RGaMdmDo


#575 [ちか]
>>568続き.


「ハァ‥‥ハァ‥ッ……ん///」


二度も達したせいか疲れはてた俺は力無く四つん這いの形を崩し倒れた。

そんな俺の達したばかりで熱の残る体を恭弥は後ろからそっと抱き締めた。


暖かくて心地良い。

⏰:10/05/01 22:55 📱:P906i 🆔:RGaMdmDo


#576 [ちか]
「冥‥‥‥‥ごめん。」


切なさと甘さが混ざったような声だった。

何に対してのごめんとして取れば良いのか分からず、俺は背中を向けたまま。


「もう不安にさせないから。離さないから、絶対。
冥が僕のこと、どんなに嫌いになっても‥‥」


ズキン


胸の奥が痛くなった。
自分が勢いで言ったことで恭弥を傷つけてしまった。

俺は後ろから回されている手をそっと握った。

⏰:10/05/02 00:09 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#577 [ちか]
「そ、その‥‥あれは勢いで言っただけで‥‥気にしないでいいって言うか…。」

上手くまとまらない言葉で伝えようとする。

「冥?」

恭弥のきょとんとした顔が目に浮かんだ。

あんまり下手すぎて自分で自分に苛立つ。


「あ゙ー!!もうっ!
だから…っ、嫌いとか嘘!
‥‥‥‥‥好きだから…」


やっとの思いで言えた言葉だった。
耳元でクスリと笑う声がする。

⏰:10/05/02 12:39 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#578 [ちか]
「ねえ、一つ聞いていい?」


妙に甘い吐息のせいで
耳元が熱い。

「‥‥‥なに?」



「それってどれくらい?」




コイツ‥‥‥。
そこまで言わせる気かよ!!

⏰:10/05/02 21:49 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#579 [ちか]
「……で…………ん。」



「え?ごめん聞こえない。」


あ゙ーー!!!!!
ほんとにむかつく!!!!///


分かってるくせに。



「 世界で一番!!!! 」

.

⏰:10/05/02 21:54 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#580 [ちか]
暖かい温もりがさらに俺を包み込んだ。




「もう一つお願いがあるんだけど。」

「まだなんかあんの…。」


でかいベッドなのに、
こんなにも密着されたらもう心臓がまともなわけない。

「冥が僕に投げた箱にさ、ネックレス入ってたけどあれって誕生日プレゼントだと思って良いの?」


俺は無言でコクリと頷く。

⏰:10/05/02 22:12 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#581 [ちか]
「ありがとう。
すごい嬉しい。
けど、もっと欲しいのがあるんだ。」


髪に恭弥の指が絡まっていく。

「‥‥‥なんだよ。」



「冥。」

「は?」

「冥が欲しい。」

⏰:10/05/02 22:18 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#582 [ちか]
コイツは‥‥!!!///
人の心拍数上げる天才だろ…




「僕だけの冥になって。」



ったく、どこまでもわがままなんだから…


「‥‥‥‥‥‥‥良いけど」

必死に平静を装う。
また耳元でクスリと笑う声がした。

⏰:10/05/02 22:30 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#583 [ちか]
'

「世界で一番愛してる。」





その日、心臓がうるさくて寝たフリをするのが精一杯だったって、コイツは知らずにこんなこと言うんだから。

ズルいよな、俺の世界で一番好きな人。



  ― 第七話 e n d ― 

⏰:10/05/02 22:32 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#584 [ちか]
*

第七話 特別な日
>>427-583

▼感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

不定期更新でしたが、第七話も無事完結しました(^q^)

感想などいただければ
嬉しくて泣いちゃいます
(´;ω;`)←

たくさんの応援
ありがとうございました!
みなさまのおかげです><

*

⏰:10/05/02 22:36 📱:P906i 🆔:QuRPyR0k


#585 [ちか]



第八話 寂しがりの誘惑


⏰:10/05/03 16:12 📱:P906i 🆔:V0wmcMEs


#586 [ちか]
from:凌
No title
━━━━━━━━━━━
死にそう。
助けろ。
  - end -







突然届いたメール。
なんやねん、これ。

⏰:10/05/03 16:22 📱:P906i 🆔:V0wmcMEs


#587 [ちか]
しかも‥‥‥






思わず大阪から飛んできてしまった俺。

なにしてんねん、俺…。

⏰:10/05/03 16:29 📱:P906i 🆔:V0wmcMEs


#588 [ちか]
怪文書のようなメールのあとに住所らしきメールがさらに届き、


なぜかその通りに来てみたらアイツが所有してるマンションの下に着いてしまった。



「なんでやねん!」


思わず自問自答する始末。

⏰:10/05/03 19:04 📱:P906i 🆔:V0wmcMEs


#589 [あーちむ]
この小説大好き(。・ω・。)~

冥くん可愛いっTイ
恭弥くんかっこよすっx
めっちゃいいお話ですねケシ
更新大変だと思うけど、
主さんのペースで
頑張って下さいね竅

結構前から読んでたんですが
なかなかコメント出来なくて...ずっとファンですよっ☆

もう常連さんなっちゃっていいですか(#'ω')?って感じデスっoホ

⏰:10/05/03 22:07 📱:K002 🆔:VJeQfkT6


#590 [ちか]
>>589 あーちむさま

嬉しいお言葉ありがとうございます(;_;)
もうほんまにどんだけ励まされるか…
ほんまに泣きそうです(;_;)
いつでもコメントしてくださいね♪
良ければ感想板に遊びにきてください(*^^*)

常連さん嬉しすぎます!

⏰:10/05/03 23:12 📱:P906i 🆔:V0wmcMEs


#591 [ちか]
>>588続き


あ、申し遅れました!


毎度お馴染みの、
椿めぐるやで!
めぐって呼んでな〜★

え、まだ一回しか登場してへんのにお馴染みはちゃうって?

ええやん、ええやーん♪


と、まぁ自己紹介はここらへんにして。



「なんで俺、来てもうたんやろ…。」

⏰:10/05/03 23:20 📱:P906i 🆔:V0wmcMEs


#592 [ちか]
まぁ、でもあんなメール来たら心配なるやろ、普通!


あー俺優しいわ〜!!!



と自分に言い聞かせて、
今の状況を合理化しようとする俺。


そのまま突っ立っててもしょうがないから、中に入って呼び出してみる。

⏰:10/05/03 23:24 📱:P906i 🆔:V0wmcMEs


#593 [ちか]
なんの応答も無く、
ロックが解除される音だけが聞こえた。


「無用心すぎるやろ…」


そう呟きながらエレベーターに乗り込んだ。


そして今、部屋の前。

⏰:10/05/04 00:55 📱:P906i 🆔:cAKvf2..


#594 [ちか]
恐る恐るインターホンを押してみる。


‥‥‥応答は無い。




ドアノブを軽く捻ってみる。


ガチャ..


‥‥‥‥開いてたりする。

⏰:10/05/05 15:01 📱:P906i 🆔:f71n6quY


#595 [ちか]
「は、入るで〜‥?」


殺風景すぎる空間は、
まるで誰も住んでないかのような静けさ。


キッチンやリビングを過ぎていくと、薄く開いたドアの隙間から光が漏れているのに気がついた。


「凌〜‥?居るんやったら返事くらいし‥‥、いっ?!」

⏰:10/05/05 15:08 📱:P906i 🆔:f71n6quY


#596 [ちか]
俺は思わず奇声をあげてしまった。


だってそこには、この世の者とは思えないほどダークなオーラに包まれた凌がベッドに横たわっていたから。


「ちょ…っ、お前どうしたん?!‥しかもお前…っ、めっちゃ熱あるやん!!!」

もともと白かったソレは、もはや青に近かった。

薄く目を開き、目が合った。


「めぐ‥‥‥る?あぁ、来てくれたんだ……ゴホッ」

⏰:10/05/05 16:42 📱:P906i 🆔:f71n6quY


#597 [ちか]
「起きんでええから!!
寝とけって!;;」

上体を起こそうとする凌を無理矢理ベッドに押し付けた。

熱を持った身体は力なくまたその場に倒れる。


「なんでこんななるまで、ほっといてん!!」

「ゴホッ…いつの間にかなって…ゴホッ‥た。」


そんなわけあるかいっ!!

⏰:10/05/08 19:34 📱:P906i 🆔:pkOJK3.2


#598 [ちか]
「……だいたいなんで連絡したんが俺やねん‥。ここやったら恭弥の方が断然近いやろ…!」


その瞬間、凌は不愉快そうに顔をしかめた。


「………今、恭弥と喧嘩中。」


「え、お前らが?珍し!
なにがあったん?」


俺がそう聞くと、凌は暫く間を空けてから再び話始めた。

⏰:10/05/08 20:03 📱:P906i 🆔:pkOJK3.2


#599 [ちか]
「‥‥‥って言う感じで、」


一通り凌が話終わった頃には、俺は絶句していた。


漸く出た一言は怒声混じりに放ってしまった。


「お前、アホちゃうか!!
そら恭弥も怒るわ!!
よりによってなんで冥ちゃんやねん…、薬飲ますとかお前……っ」


興奮気味の俺を碧眼は真っ直ぐに見つめていた。
汗ばんだ額に前髪がくっついて、鬱陶しそうだった。

⏰:10/05/08 22:16 📱:P906i 🆔:pkOJK3.2


#600 [MゅかM]
待ってますイ*'u`)b

⏰:10/05/27 02:37 📱:T002 🆔:dRCb63gc


#601 [ちか]
>>600 ゅかさま*

ありがとうございます><
不定期ですいません(泣)
今から少し更新します!

⏰:10/05/28 17:37 📱:P906i 🆔:r2c5aQB2


#602 [ちか]
>>599続き.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

― 凌 side.―



この前の一件を説明し終わったころには、アイツの血色のよかった顔色もすっかり青くなっていた。


動揺を隠しきれない声で叫ばれると、頭痛はさらに酷くなりそうだった。


「なんで冥ちゃんやねん…」


その言葉が頭の中で何度も何度も響く。


「あの子だから、だよ。」

⏰:10/05/28 17:41 📱:P906i 🆔:r2c5aQB2


#603 [ちか]
「もう、あの時みたいな恭弥もアイツ意外の犠牲者も俺は見たくない‥‥」

「凌‥‥――」



脳裏に浮かぶのは少し古ぼけた、しかし意識のはっきりしたあの頃の記憶。

きっとコイツも同じことを思い出したはずだ。


「あの子、道端に倒れこんでたんだ。どれだけ泣いたのか知らないけど目も真っ赤でくっきり涙の痕がついてた。
うちに運んで寝かせてたら、寝言で恭弥の名前ばっかり呼ぶし。」

熱のせいか言わなくて良いことまでつい口走ってしまう。

⏰:10/05/28 17:54 📱:P906i 🆔:r2c5aQB2


#604 [ちか]
「本人はちょっと喧嘩したって言ったけど、ちょっとじゃないだろ。
俺は自分のしたことが間違ってたなんて思ってない。
端から襲う気も無いし。
ああでもしなきゃ、恭弥はあの子をもっと傷つけてた。
恭弥の気持ちはっきりさせてやりたかったんだよ。」


言い終わって、漸く自分の饒舌さに気づいた。

馬鹿だ。
何もこんなことまで言わなくたって良かったのに。


言ったところで‥‥――。

⏰:10/05/28 18:00 📱:P906i 🆔:r2c5aQB2


#605 [ちか]
「お前はアホか!!!!」



ほら。
余計にコイツの神経逆撫でするだけ‥‥、


「お前ばっかり悪者(ワルモン)なる必要無いやろ!!!」



は?

⏰:10/05/28 18:04 📱:P906i 🆔:r2c5aQB2


#606 [ちか]
「なんで最初からそうやって説明せんかってん?!
誤解するとこやったやろ!!」


なんだ。
なんでコイツ涙目なってんの。
わけわかんね…


予想外のめぐるの言葉に驚いて目をキョロキョロさせていると、奴は俺の頭に手を置いた。

「一人で罪被ろうとすんなよなぁ。独りちゃうねんからさ。」

それは少し呆れたような笑みと口調だった。

⏰:10/05/28 18:09 📱:P906i 🆔:r2c5aQB2


#607 [ちか]
悔しかった。


いつからこんなこと
出来るようになったんだ、コイツ。


いつからこの手が心地良くなったんだ、俺…


「…………ありがとう。」


素直に言えた自分が、少しおかしかった。

⏰:10/05/28 23:07 📱:P906i 🆔:r2c5aQB2


#608 [ちか]
「おし!昼飯作ったるからそこで寝とき!」


そう言ってめぐるは急に腰をあげた。

「え、ちょ…!!ゴホッ
お前料理なんか出来…、ゴホゴホッ」


大きな声を出すとすぐに咳払いしてしまう。
わりと風邪は重症らしい。

「出来るわそれくらい!
お前は大人しく寝てたらええねん!!」

母親のようなその叱り口調に不安を覚えながらも、相当身体は疲れきっていたからその言葉に甘えることにした。

⏰:10/05/28 23:20 📱:P906i 🆔:r2c5aQB2


#609 [ちか]
― めぐる side.―


凌がぐっすり眠ったのを確認して、ため息をついた。


「無理ばっかするから、体壊すんやろ…。
恭弥と喧嘩って慣れへんことするから、………、」


そこで口は止まった。
単なる喧嘩とはちょっと違うと思ったから。


「‥‥‥大切やから、か。」

零れた単語と凌を見合せて、いつからそんな強くなったんやろって少し羨ましくなった。

⏰:10/05/29 10:33 📱:P906i 🆔:.rkY4LLw


#610 [ちか]
キッチンでお粥を作りながら、辺りを見回す。

高層マンションなだけに景色のいいその部屋は殺風景にもほどがあった。

必要最低限の物しか置いていない、そんな感じや。


なんとか飯が出来たところで、不本意ながらも凌を揺する。


寝ぼけたままのソイツに向けて大袈裟にお粥を突き出してみせた。

⏰:10/05/30 00:43 📱:P906i 🆔:99cLzqjg


#611 [ちか]
「………………うま。」


一口食べてからそんな言葉が聞こえた。

お互いそんな言葉が出るなんて思ってなかったから、間抜けな顔を合わせるハメになった。


「…あ、当たり前やろ!
俺様が作ったんやから美味いに決まってるやろ!!」


慌てていつもの調子に戻してみせた。
今日のコイツと居ると、さっきから調子狂わされっぱなしや。

⏰:10/05/30 16:54 📱:P906i 🆔:99cLzqjg


#612 [ちぇりー]
お忙しいとは
思いますが
更新頑張ってください
\(^O^)/

毎日毎日楽しみに
してます

⏰:10/06/01 20:58 📱:N04A 🆔:G12ijp02


#613 [ちぇりー]
下がってきたので
あげ\(^O^)/

⏰:10/06/11 22:22 📱:N04A 🆔:mAFDyCKA


#614 [めお]
あげ

ちかさんのペースでいいので頑張って下さい♪

⏰:10/07/02 02:20 📱:SA001 🆔:7B9czQzc


#615 [なー]
あげます!\(^O^)/

Tから一気に読みました。
この小説大好きです!(●´ω`)

ちかさんのペースでこれからも頑張ってください(^ω^)

⏰:10/07/11 21:49 📱:SH905i 🆔:hNPDhhmY


#616 [ちぇりー]
あげます(^^)

⏰:10/07/20 13:57 📱:N04A 🆔:tITTDnoE


#617 [ちか]
>>612
>>613
>>616  ちぇりーさま
>>614  めおさま
>>615 なーさま

ありがとうございます!!
不定期で本当に申し訳ないです…
もっと更新出来るように頑張ります(´;ω;`)
地道に更新していくので、これからもよろしくお願いしますm(__)m

⏰:10/08/15 00:46 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#618 [ちか]
凌が食べ終わるのを見届けてから、心の中で安堵の息をついた。


食器を片付けにキッチンまで戻ろうと立ち上がると、

グイ…ッ


手首を掴まれ、その先の碧眼に映る自分が見えた。

⏰:10/08/15 00:50 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#619 [ちか]
「そんなの後で良いだろ。」

まだ声は熱っぽさが残っている。

俺はそんな凌を見下ろしながら、片手で食器の乗ったお盆を持ち上げた。

「あほか。料理は片付けまでちゃんとしてこそ、料理って言うんや…「行かなくていいって言ってんの。」

あれ?

なんやコイツ。

⏰:10/08/15 00:56 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#620 [ちか]
伏し目がちで、凌は目も合わせようとせーへん。

ただ強く手首を掴むだけやった。


観念した俺は再びさっきまで座っていた椅子に腰をおろす。

「はいはい、分かりました分かりました。今日は最後までワガママに付き合ったるわ〜。」

そう言っても凌はその手を離そうとはしなかった。

⏰:10/08/15 01:01 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#621 [ちか]
暫くして眠りに落ちた凌を眺めながら俺は考えた。


なんで俺は嫌いやったはずのコイツにここまでするんやろう。

この手が嫌じゃないんやろう。


…って。

⏰:10/08/15 01:03 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#622 [ちか]
自然と心臓は脈を上げた。

顔だけじゃなく、全身が赤くなっていくようやった。



「好き…やから?」


そう気づいてしまったから

⏰:10/08/15 01:06 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#623 [ちか]
思わず口に手を当てた。

「き、聞こえてへんよな…。はは」

半ば自分に言い聞かせるような形でそう呟く。


俺が凌を“好き”


まさか…と思ったけど、あまりにも自分の行動との辻褄が合いすぎて認めざるをえなかった。

⏰:10/08/15 01:41 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#624 [ちか]
今までは、適当にそこらへんの女と心の無い関係ばかりしてきた。

交わって、
また別の奴と交わって。
その次の日にはまた別の奴と。


そうやって、手頃な相手を見つけては寂しさを紛らわして満足していた。


せやけど、最近それも意味を持たなくなった。

⏰:10/08/15 01:46 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#625 [ちか]
いくら交わっても、
いくら気持ち良くても、
満たされることがなかった

誰か、別の奴が頭から離れなくて、ただ虚しさしか残らなかった。



その“別の奴”こそが
凌(コイツ)なんや。

⏰:10/08/15 01:48 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#626 [ちか]
今日コイツに会って、
漸くこの気持ちに確信した

出来れば気づきたくなかったけどな…


「叶わへんもんなぁ。」


溜め息混じりに呟いた。

凌が好きなのは今も昔も恭やから。

⏰:10/08/15 01:54 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#627 [ちか]
特別な存在。


恭にしか見せへん顔。


俺にはしない表情。

声、態度、笑顔…


解ってるからこそ苦しくて

⏰:10/08/15 01:57 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#628 [ちか]
「俺の気持ちも知らんと、ようこんなん出来るわ…」


そう言って目線を繋がれた手に落とした。
確かな温もりを感じるその白くて細い手や指。

「残酷やわぁ。ははは…」


寂しい独り言は部屋の中で静かに消えるだけだった。

⏰:10/08/15 02:00 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#629 [ちか]
「ん‥‥―――」


時々苦しそうな声で唸る凌を見ていて、居たたまれなくなった俺はゆっくりとその手をほどき、風邪薬を探した。


ただでさえ殺風景な部屋。
薬を見つけるのに、そう時間はかからなかった。

⏰:10/08/15 02:04 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#630 [ちか]
おでこに手を当ててみると、やっぱり熱い。



「これ飲んで、はよ元気なれよな。」


そう言って、俺は水と薬を口に流し込む。



そして凌にキスをした。

⏰:10/08/15 02:07 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#631 [ちか]
しっかり薬を飲み込んだのを見て、また溜め息をつく。


最初で最後のキス。




そう思うと、切なさで胸は締め付けられた。

⏰:10/08/15 02:10 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#632 [ちか]
― 凌 side.―

グイッ



呆然とするめぐるを見上げながら、それ以上に呆然とする俺。


なんで俺、こいつの手掴んでるんだろうか?

⏰:10/08/15 13:07 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#633 [ちか]
理屈じゃない。

衝動的だった。


“行かないで”
ただそれだけ。


しかしさすがにそうは言えず、

「そんなの後で良いだろ。」

適当な言葉で繋ぎ止めようとする。

⏰:10/08/15 13:09 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#634 [ちか]
でもめぐるはそんな気持ちを察するほど勘が良い奴じゃない。

そんなのは分かってる。


「あほか。料理は片付けまでちゃんとしてこそ、」

ほら、何も気づいてない。

「料理って言うんや…「行かなくていいって言ってんの。」

上手く言えない自分にさえ、苛立って仕方ない。

⏰:10/08/15 13:14 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#635 [ちか]
暫く沈黙が続いた後、
めぐるは"観念しました"、といった顔で再び腰をおろした。

「はいはい、分かりました分かりました。今日は最後までワガママ付き合ったるわ〜。」

そう言われても、なぜか手を離す気にはなれなかった。


返事をしようにも何を言って良いか分からず、目を閉じて寝たフリをした。

⏰:10/08/15 20:59 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#636 [ちか]
目を閉じて考えた。




恭弥が言った、




あの言葉を。

⏰:10/08/15 21:49 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#637 [ちか]
実は"あの事件"の後、
俺と恭弥は会っていた。



その時にあの子を襲うフリをした理由も全部話したし、向こうもそれには気づいていた。

つまり和解してたってわけ。

⏰:10/08/15 21:54 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#638 [ちか]
もっとも、あの取り乱しようから見て、きっと気づいたのはその後だと思うけど。


まぁ、和解も出来たし良かったと思っていた。

急に呼び出されたから、正直殴られる覚悟したくらいだし。


けど話はそれだけじゃなかった。

⏰:10/08/16 00:45 📱:P906i 🆔:Jx75qT2o


#639 [ちか]
「凌、変わったよね。」



淡白な一言だった。


「…は?」

ワケの分からないまま間抜けな顔で見つめる俺に、恭弥はクスクスと笑いながら言った。

「やっぱり僕は凌の特別じゃなかったんだなと思って。」

⏰:10/08/16 00:53 📱:P906i 🆔:Jx75qT2o


#640 [ちか]
そうやって笑う恭弥をよそに俺は腹立ちと混乱の混ざったような感覚になった。

「なんだよ、それ…。
今も昔も、俺の特別は恭弥で…っ「そう思いたいだけなんじゃないかな?」

どう言う意味か全然理解できなかった。

「僕と凌はちょっと似てるから。だから一緒に居て楽なんだよ、きっと。
でもそれは"特別"なんかじゃないよ。
本当は別に"特別な奴"が居るんじゃない?」

⏰:10/08/16 01:02 📱:P906i 🆔:Jx75qT2o


#641 [ちか]
本当に特別な奴……


この数日間、
そのことばっかり考えていた。


そしたらこのザマだ。
風邪まで引いて馬鹿みたいだ。


けど、なぜかこういう時、会いたくなったのがめぐる(コイツ)だった。

⏰:10/08/16 01:08 📱:P906i 🆔:Jx75qT2o


#642 [ちか]
自分でも分からない。


なんで恭弥じゃなくて
めぐるだったのか。


ただ衝動的だった。
頭から離れなかったのがコイツだった。


そんなことを考えていた頃、

「好き…やから?」

そんな声がした。

⏰:10/08/16 01:11 📱:P906i 🆔:Jx75qT2o


#643 [ちか]
めぐるの声…か?


いや、夢…?


熱のせいか意識も薄れてゆき、もう現実かどうかも分からずそこから記憶は無くなった。


"好きだから"
と言う言葉を残したまま。

⏰:10/08/16 21:48 📱:P906i 🆔:Jx75qT2o


#644 [ちか]
目を醒ますとそこにめぐるの姿は無かった。


「帰ったのか…?」


周りを見渡しても人気はしない。

柄にもなくなぜか寂しかった。


その時、
ガチャッ
玄関の開く音がした。

⏰:10/08/17 00:59 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#645 [ちか]
「あ、起きてたん?」


めぐるの声。

なぜか無性に安心した自分が居る。

めぐるはコンビニのレジ袋を提げて、こっちへ歩いてくる。

(そう言えば…)

『好き…やから』あの言葉は本当に夢だったんだろうか。

⏰:10/08/17 01:03 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#646 [ちか]
「冷えピタ買いに行っててん!」

ニコニコと笑うめぐるを見ながら、あの言葉が頭から離れない。

もし、めぐるが言ったんなら。
それは、どう言う意味なのか。

「貼ったるわ!冷たくて気持ちええで〜♪」

そう言って至近距離まで来たとき、思い切りめぐるの手を引き寄せた。

俺は賭けに出たんだ。

⏰:10/08/17 01:10 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#647 [ちか]
― めぐるside.―

「うわっ…?!」

凌に冷えピタ(冷却シート)を貼ろうと前のめりになった瞬間、俺はそのまま倒れ込んだ。

こけたんじゃない。
凌に引っ張られて。

「ちょ、なにすんねん!!
ふざけんのもええ加減に…」

上半身を起こそうとしたが力は思ったより強く、その腕から逃れることができない。

いつもと何が違う。
そう思った瞬間、凌が耳元で言った。

「お前、俺のこと好きだろ」

⏰:10/08/17 01:16 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#648 [ちか]
全身がカッと熱くなるのが分かった。

俺は大袈裟に後ろに退く。

「ななな、なに言ってんねん、いきなり!!」


やばい…っ
こんなあからさまに動揺したら本間にバレてまう…っ

分かってるのに、平然を装えへん。

⏰:10/08/17 22:07 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#649 [ちか]
ベッドから出てきた凌はゆっくりと俺の前まで歩いてくる。


「俺さぁ、さっき寝たフリしてただけで起きてたんだけど。」


そう言って俺の目線に合わせるようにしゃがみこんだ。

⏰:10/08/17 22:15 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#650 [ちか]
寝たフリ………?



う、嘘やん…?!??!
じゃあ、あの独り言も全部聞こえてたってこと?!


いや、それ以上にマズイのは‥‥‥キスしてしまったこと。

「なっ、えっ…あ、えっと!!」

混乱して言葉も出ない。

⏰:10/08/17 22:25 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#651 [ちか]
「どうなんだよ?」


下から覗き込むようにして俺を見上げる凌。


もう後には引けない。

そう思った俺は、何かの糸が切れたように喋った。


「‥‥‥そうやで。」

⏰:10/08/17 22:39 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#652 [ちか]
「お前のこと好きなってもうたわ…。ははは
おかしいよな、あんだけ嫌いやったのに。自分でも思うわ。」

凌の顔なんてまともに見れなかった。
ずっと俯いたまま俺は話し続けた。


「でもちゃんと分かってるから!
お前の特別は恭だけやろ?分かってる分かってる…。
ちゃんと分かってるから…。やから今のこと忘れて良いから‥っ?!」

その瞬間頭が真っ白になった。

⏰:10/08/17 22:54 📱:P906i 🆔:ub5vwO4U


#653 [ちか]
クチュ..
という音と共に重なった感覚を残し、それは離れた。

「し…のぐ………?」


気が動転して何が起こったのか分からなかった。


「あ、ごめん。なんか可愛かったから。」

至って平然の凌。

⏰:10/08/18 00:26 📱:P906i 🆔:VIwejcJ2


#654 [ちぇりー]
更新嬉しい(^O^)

あげます(^O^)

⏰:10/08/27 20:46 📱:N04A 🆔:0uO2jY5Y


#655 [みぃ]
久しぶりにコメします(^^)


応援してます(´`*)

⏰:10/08/27 21:36 📱:P905i 🆔:LEPoqcQw


#656 [りん]
 更新頑張って下さい^^
 楽しみにしてます♪

⏰:10/09/01 22:16 📱:F02B 🆔:aDR2HeZc


#657 [みぃ]
あげる。(*・д・)ノ

⏰:10/09/04 00:35 📱:P905i 🆔:jPyq0brE


#658 [りん]
あげえ(´゚3゚`)

⏰:10/09/04 17:41 📱:F02B 🆔:Skx0tFHk


#659 [ちか]
>>654
ちぇりーさま
>>655
>>657
みぃさま
>>656
>>658
りんさま

あげてくれてありがとうございますm(__)m
更新遅れてすいません´`

⏰:10/09/23 22:35 📱:P906i 🆔:nkA5QIjc


#660 [ちか]
>>653続き


全身が熱くなった
頭にきた


俺はこれでも真面目に悩んでたのに、それをコイツは……


「…ふざけんな!!!」



ムカつく
のに、なんで俺は
泣きそうな顔をしてるんや

⏰:10/09/23 22:40 📱:P906i 🆔:nkA5QIjc


#661 [ちか]
勢いで立ち上がっていた俺は少し下にしゃがみこんでいる凌を見ながら言葉を続ける。

「意味分からん…。
人のことからかうのもいい加減にしろや!!
俺はこれでも真剣に…っ」


「真剣に?」


俺は見上げながら
真顔で聞き返す凌。


「‥‥‥‥‥真剣に、
  好きやのに……。」

その目で見られるのが
今は苦しい。

⏰:10/09/23 22:49 📱:P906i 🆔:nkA5QIjc


#662 [ちぇりー]
みてますよー(^O^)/

あげます(゚_゚)(。_。)

⏰:10/09/29 16:23 📱:N04A 🆔:skJr8xu2


#663 [さやか]
あげます(^ω^)

⏰:10/12/12 02:16 📱:F905i 🆔:yGishNtA


#664 [我輩は匿名である]
続き読みたいです(´・ω・`)

⏰:11/02/21 00:49 📱:SH004 🆔:wSRjfND.


#665 [しずく]
楽しみ!
がんば^_^

⏰:11/03/06 21:51 📱:PC 🆔:mzwUoJUg


#666 [我輩は匿名である]
あげます!

⏰:11/03/10 22:44 📱:SH004 🆔:1tv2YE4E


#667 [ちか]



長い間放置すいません。
また少しずつ更新していきます。
何かと忙しく、中途半端な更新をしてしまい、すいませんでしたm(__)m

読んでくれてる方々、
ありがとうございます。

⏰:11/05/21 22:14 📱:P906i 🆔:9eYr1Rng


#668 [ちか]
>>661続き.


部屋中に沈黙が流れた。



時計の針が小刻みに部屋を駆ける音がして、焦燥感を煽る。



ポタ..


頬を一筋の水滴がなぞった。

⏰:11/05/21 22:19 📱:P906i 🆔:9eYr1Rng


#669 [ちか]
それが涙やと気づくのに
そう時間はかからなかった


止めたいのに
一度溢れだしたら
ソレは止まることを知らない。



「…な、なんで泣いてるんかな?目に何か入って…、」


無理矢理何か言い訳を作って言葉を走らせていると、何か暖かいものが俺を包み込んだ。

⏰:11/05/21 22:52 📱:P906i 🆔:9eYr1Rng


#670 [ちか]
それは熱を帯びた凌だった。


「ちょ…ッ、離せや…!!!離せ…っ、「黙って聞け。」



妙に落ち着きのある低い声が耳元でそう囁く。

⏰:11/05/21 23:02 📱:P906i 🆔:9eYr1Rng


#671 [ちぇりー]
待ってました(^^)
更新楽しみにしてます◎

⏰:11/05/23 00:43 📱:N04A 🆔:tktxA5dg


#672 [ちか]
>>671ちぇりーさま

いつもありがとうございます(*^^*)
がんばります!

⏰:11/05/23 21:57 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#673 [ちか]
>>670続き


「俺にとって特別なのは
恭弥だけだった。」


俺より頭一個分身長の高い男はそう話を続ける。


身長差のせいで、俺の顔は凌の胸に埋もれたまま。

そんな状態で
好きな男から聞きたくもない話を始められもう俺は気が気でない。

もうこれ以上、
聞くのはごめんやった。

これ以上話されたら
せっかくびっくりした拍子に止まった涙がまた零れてしまいそうやったから。


「恭弥が特別なことぐらい分かって…「特別だったんだよ。今までは。」

⏰:11/05/23 22:14 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#674 [ちか]
「…黙って聞けって言ってるだろ。」

少し溜め息混じりにそう言われても、黙っている方が無理やろ…。

そう言いたいところやったが反抗する気にもなれず、俺は黙ってその胸に埋もれた。


「前に会ったとき、恭弥に言われたんだ。
お前の特別は僕じゃない。思い込んでるだけだ。本当は別に"特別"が居るんだろ?って。
それからずっとその"別の特別"を考えてた。」


静かで無機質な部屋の中で俺に聞こえるのは、
凌の声と定期的に刻まれる心臓の音。
それ以外何も耳に入らなかった。

⏰:11/05/23 22:36 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#675 [ちか]
「それで…、
考えてたらこのザマだ。
風邪引いて、自分じゃどうしようもない状態になるまで気づかなかった。
誰か傍に居てほしくて、
自然と思い浮かんだ"誰か"がお前だった。
なんでかは自分でも良くわからない。」


「なんやねん、それ……。」

俺は世話係ちゃうっちゅうねん。
こいつ、何が言いたいんや。

もう俺は、半ば話に耳を傾けることにすら疲れはじめていた。

お互い表情が見えないせいか、凌はそんなことにも気づかずに喋り続ける。

⏰:11/05/23 22:46 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#676 [ちか]
「でもこうやって
傍に居てもらって分かったことがある。あんなに喧嘩ばっかりだったのに、なんでか、今傍に居ることがすごく落ち着くんだ。
帰ってほしくなくて、咄嗟に手を掴んだり。

今、こうやって
泣いてるお前を抱き締めてる。
抱き締めたいって思った自分が居る。」


心なしかその言葉のあと、抱き締めてる腕の力は一層強くなった。

⏰:11/05/23 22:52 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#677 [ちか]
心臓がドキドキする。

どっちの音なのか分からんけど、自分の体が熱いのは十分に分かっていた。


抱き締められているその腕の中で俺は、ぎゅっと目を瞑った。
その声と胸の音だけが聞こえるように。



「やっと分かった。
俺の特別はお前だったんだって。」


その瞬間、
俺は瞑っていた瞳(メ)からずっと我慢していた涙を溢した。

⏰:11/05/23 22:58 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#678 [ちか]
「めぐる、好き。」



奇跡が起こったと思った。

ああ、俺は
どれだけその言葉を
待っていたんだろう。


どれだけこうなることを
望んでいたんだろう。



生きてきて初めだった。
こんなに幸福感で心が満たされたのは。

⏰:11/05/24 00:13 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


#679 [ちか]
そして凌はゆっくりと
俺から腕を離した。


そしてその色白の大きな手は俺の両肩へと伸ばされ、しっかりと見つめられる。


綺麗な碧色の瞳に見つめられると、吸い込まれてしまいそうだった。

⏰:11/05/24 00:17 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


#680 [ちか]
「好きだよ。」


凌は真剣な目でそう言った後、照れるようにして
目線をそらした。


胸がぎゅっと鳴った。


もう視界は
涙でぼんやりとしている。

⏰:11/05/24 00:20 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


#681 [ちか]
「俺も‥‥大好き‥。」


やっと言えた一言だった。


涙に混ざって
ちゃんと届くような声で
言えたかは分からない。


だけど、
目の前で凌は
顔を赤くしてはにかんでいた。


そして言う。少し意地悪な笑顔を浮かべて。

「知ってる。」


と。

⏰:11/05/24 00:23 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


#682 [ちか]
俺たちは
何度も確かめあうように
キスをした。


身長差のせいか
俺は少し背伸び気味で、
凌の首に腕を回す。

そんな俺を凌はぎゅっと抱き締めてくれた。


二度と離れたくない
と思うような、
そんな優しいキスを
何度も何度も
凌は俺に落としていった。

⏰:11/05/24 00:27 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


#683 [我輩は匿名である]
更新ずっと楽しみにしていました(*´∀`*)完結までゆっくり頑張ってください!いつも見ています♪

⏰:11/05/24 19:41 📱:SH004 🆔:BdCMATJA


#684 [ちか]
>>683匿名さま
待っていてくださり、ありがとうございます(;_;)
更新がんばるので、またよろしくお願いします*

⏰:11/05/25 00:20 📱:P906i 🆔:FOgfge82


#685 [ちか]
>>682続き


閉じていた目を開くと
すぐ目の前に大好きな奴の顔がある。

涙で濡れた俺の頬を
優しく拭ってくれる。


「……一つだけ聞きたいことあるんだけど‥‥。」


拭ってくれた優しい手つきとは裏腹に、凌は不安げな目で俺を見た。

⏰:11/05/25 00:26 📱:P906i 🆔:FOgfge82


#686 [ちか]
「なに?」


曇る瞳を覗き込むように
問い返した。


「その……、
まだ適当な女(ヒト)と寝たりしてる‥‥?」


ずっと聞くのを我慢していたかのような、か細い声だった。

俺は必死に顔を横に振る。

⏰:11/05/25 00:40 📱:P906i 🆔:FOgfge82


#687 [ちか]
「ほんとに?」


どうやらこいつは
相当疑り深いようだ。

……まぁ、自業自得か。


真っ直ぐに碧眼を見つめながら、嘘じゃないことを伝えるために必死で言葉をを紡いだ。


「ほんまになんもしてへん。ていうか、なんでかそういう気になられへんかってん。お前を好きなんやって気づいてからずっと…。」

やっと信じてくれたのか
その目は少し細くなり、
「良かった。」と呟く。

⏰:11/05/25 15:07 📱:P906i 🆔:FOgfge82


#688 [ちか]
「もうそういうことするなよ。」


そう言ってもう一度、
強く抱き寄せられた。

その温度が心地良い。


互いに高鳴る鼓動すら
愛しく思えた。


「これからお前に触れていいのは、俺だけ。」

⏰:11/05/26 01:15 📱:P906i 🆔:uHqg6e/Y


#689 [ちか]
「凌が俺にそんなん言うの、なんか変な感じ‥‥。」

「そう?」

「なんか、こう、まだ実感無いって言うか…。」

胸に顔を埋めると
凌の匂いがする。

この匂いも
この感触も
この温度も
全部俺の、なんて
やっぱりまだ夢みたいで。

「じゃあ、実感してみる?
その身体(カラダ)で。」

⏰:11/05/26 01:38 📱:P906i 🆔:uHqg6e/Y


#690 [ちか]
「なっ……に言って…ッ、ん」

動揺した隙に
つけこむように
意地悪いキスをされ、

その唇は
首筋へ落ちていく。

「あ‥‥や、しの…ぐっ、「なーんちゃって。」



は‥‥?

⏰:11/05/27 00:14 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#691 [ちか]
「風邪うつったら大変だから続きは今度…な。
なに、それともしたかった?つ・づ・き。クスッ」

「な………っ、///」


意地悪な笑顔を
俺に向けて決めこむその余裕さが気にくわない。


「ンなわけあるかっ!!!!////
あほ!!ぼけ!!どっか行け!!////」

動揺してしまってる自分も恥ずかしい。

⏰:11/05/27 00:18 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#692 [ちか]
「あははっ、痛いって。
でも、ちゃんと印はつけといたよ?ほら。」


もうすっかり日が暮れて
鏡のようになった窓を指差して凌は言う。

そこにはうっすらと見える紅い斑点。


「〜…っ!!!///」

「クスッ、顔真っ赤。(笑)」

「うるさいっ!!!!!/////」

⏰:11/05/27 00:24 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#693 [ちか]
今までは
鬱陶しいとしか思わなかったキスマークも、
好きな人からのだとこんなにも嬉しいのかと
初めて知った。


───────‥‥‥
───……

「は…ふあっくしゅんっ」



次の日、
俺は案の定風邪を引いた。

⏰:11/05/27 00:27 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#694 [ちか]
「まさか本当にうつるとは(笑)ま、舌入れてたし、仕方ないか。クスクス」


「笑い事ちゃうわ。あほ。」


昨日と
立場は逆転したようだ。


「お前はなんでそんな元気やねん…。っくしゅん。」

⏰:11/05/27 00:31 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#695 [ちか]
「うつすと治るっていうし、そういうことじゃない?」


ケロッとした顔で言うから余計むかつく。


……まぁ、でも、
おかげでもう少しこっち(東京)でこいつと居られそうなので、良しとしようか。

⏰:11/05/27 00:34 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#696 [ちか]
*
出来れば、
風邪が長引きますように。



「優しく看病しろよな…。」


「クスッ、もちろん。」




なーんちゃって。

  ― 第八話 e n d ―

⏰:11/05/27 00:39 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#697 [ちか]
*

第八話 寂しがりの誘惑
>>585-696

▼感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

すごく不定期更新でしたが、第八話無事完結しました*
長い間お待たせしてしまいすいませんでした。

待っていてくださった方達のためにも、今のペース、今以上のペースで更新していけたらなと思っています

たくさんの応援
ありがとうございました!
みなさまのおかげです><
良ければ、
感想などよろしくお願いします。(*^^*)
*

⏰:11/05/27 00:44 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#698 [ちか]



第九話 隣のあの子

⏰:11/05/27 16:29 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#699 [ちか]
最近、気になる子が居る。



いや、ずっと前から
気になっていたのかも知れない。



隣のあの子のことを。

⏰:11/05/27 16:32 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#700 [ちか]
悴む寒さにも慣れてきた12月下旬。


ただ今会議室にて
生徒会役員会議中。


冷えしきる窓の外と
暖房の音がうるさい此処はまるで別世界。

⏰:11/05/27 17:00 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#701 [ちか]
もうじき僕がこの会議に参加することも無くなるのかと思うと、少し寂しい気もする。

しかしもうそういう時期なのだ、と改めて月日の早さを実感したりもした。


暖房器具のうめき声に霞んで聞こえづらい会議の内容を軽く耳に入れつつ、
ちょうど真向かいに向かう"その子"に目を向ける。

⏰:11/05/27 17:13 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#702 [ちか]
この子と出会ったのも
ちょうどこの教室だった。





もう一年以上前のことになる。

⏰:11/05/27 17:23 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#703 [ちか]
綺麗な顔の子だな。



それが最初の印象だった。


背も高くスラッとして
清潔感のある人だと思った。

どことなくクールそうな、そんな印象だった。

⏰:11/05/27 17:27 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#704 [ちか]
直接話すことはあまり無かったものの、
その容姿に劣らずの成績優秀さと運動能力で日頃から噂は聞いていたし、自然とすぐに名前も覚えた。



話してみたいとは
思っていたが
生徒会長というのは意外に忙しく、
ましてや下級生と接することなんて無いに等しかった

⏰:11/05/27 17:35 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#705 [ちか]
そんな風にして
時が過ぎていく中で、
意外な共通点があることに気づいた。






それは───‥‥

⏰:11/05/27 22:25 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#706 [ちか]
― 冥 side.―


「とおるっ」


マフラーに顔を埋めながら歩くネコ毛の茶色い髪はすぐに透だと分かった。


毎年見てる後ろ姿だから。

「あ、冥。おはよ。」

少し気だるそうな挨拶も
冬になると毎朝の恒例みたいになっていた。

⏰:11/05/27 22:28 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#707 [ちか]
「おはよ!相変わらず朝弱いなー(笑)」

「…冬は特にな。ベッドから出れねぇ。」


透は極度の寒がりに加えて低血圧だから、冬は毎朝大変なんだ。

普段完璧な透だから、
そういうところが微笑ましかったりする。

⏰:11/05/27 22:36 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#708 [ちか]
「今日は二度寝しなかったんだ?」

「いや、したよー。けっこうギリギリまで寝てて焦った。」


あはは、と笑うと
透も眠そうな目を細めて笑う。
こういう他愛もない会話でこんな風に笑えるのは、昔から何一つ変わらない唯一の形。


「昔みたいに冥が起こしに来てくれたら俺も頑張って起きるのになー。」

廊下から差し込む朝日が透を照らして、なんだか俺からはその時の透の表情(カオ)が良く見えなかった。

⏰:11/05/28 11:33 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#709 [ちか]
昼休み、
いつもなら透と食べているのだが、残念ながら今日は一人。


なんでも昼休み返上で会議があるらしい。

生徒会役員って忙しいんだな、と常々思う。


教室のガヤガヤした雰囲気の中一人で食べるのは少し気分が滅入った。

⏰:11/05/28 13:47 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#710 [ちか]
昼飯を食い終わった俺は喉の乾きを覚え、ジュースでも買おうと教室を出た。


自販機から一番近い階段を使って一階に降りようと廊下を歩いていると、廊下と中庭を挟んだ向かいの窓から恭弥を見つけた。


相変わらず学校では無表情なんだな。
クールと言えばそれまでだけどさ。

⏰:11/05/28 19:43 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#711 [ちか]
そんなことを思いながら角を曲がろうとしたとき、恭弥の隣にもう一人居ることに気づいた。



透だった。


(会議の関係…かな?)

なんでか胸が少し痛くなった。

きっと、一瞬二人が楽しそうに笑っていたから。

⏰:11/05/28 20:05 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#712 [ちか]
(笑うくらい別に普通のことなのに変なの…。)





胸に引っ掛かったものを振り払うように、俺は足早に階段を降りていった。
─────────‥‥
─────‥‥
───‥

⏰:11/05/28 20:23 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#713 [ちか]
― 恭弥side.―

その共通点というのは
意外なものだった。


「へぇ、やっぱり黒羽先輩は昔から優秀だったんですね。」

「君も十分優秀だったと周り聞いてるよ。」

「そんな。俺なんて全然対したこと無いですよ。」

午後の役員会議のあと、そんな他愛もない話をする。

⏰:11/05/29 11:34 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#714 [ちか]
各教室を支配する生温い風が廊下に漏れだし、僕たちの間をすり抜ける。


「いやいや、蓮見くんの優秀さは先生からよく聞かされてるよ。なんでも先生達は2年生の次期会長より君に会長を任せたいとか。」


「あはは、まさか。大袈裟ですよ。こんなの冥が聞いたらなんて言うか。」



“冥”

それが僕たちの共通点だった。

⏰:11/05/29 12:38 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#715 [ちか]
「…本当に冥と仲良いんだね。」

「まぁ、そうですね。ガキの頃からの幼なじみなんで。冥のことなら誰よりも知ってるつもりですよ。」


そう言って微笑むその顔は天使か悪魔か。


(全く、作り笑いの上手い人間だな。)

まぁ、
僕も人のこと言えないけど。

⏰:11/05/29 12:43 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#716 [我輩は匿名である]
ずっと前から待ってました!
あんまりBLは好きではないんですがやっぱりこれは格別です!キュンキュンしながら、たまには泣きながら読ませていただいていました
ゆっくりでいいので完結お願いします(できればずっと続いてほしい) 感想板に書かせていただきます

⏰:11/05/29 13:51 📱:F703i 🆔:qzSbahxA


#717 [ちか]
>>716匿名さま

待っていてくださって
ありがとうございます*

最高の誉め言葉です(T_T)
格別だなんて!
私もBLが得意じゃなかったんですが、ある人のお話を読んで好きになったので、読者様にとってこの小説がそんな存在になっていれば、本当に嬉しいし幸せです。
本当にありがとうございます(*^^*)

もう書きはじめて2、3年になりますが完結まで一生懸命書いていきますので、楽しみにしていてください**
私も終わらせたくないです(*^^*)(笑)

⏰:11/05/29 21:25 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#718 [ちか]
>>715続き

誰よりも…ねぇ。

こんな単語を使うのはわざとだと分かっている。
煽っているのだ。

僕が冥に好意を抱いているのをきっと知っているから。

そんなのは分かってる。
分かってるんだけど、…―

⏰:11/05/30 00:49 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#719 [ちか]
「先輩こそ冥とずいぶん仲良いじゃないですか。さ・い・き・ん(最近)。」


やっぱりむかつく。


この作り笑顔どうにかしてくれ。
ぶん殴りたくなる。

⏰:11/05/30 00:52 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#720 [ちか]
もともと冥と仲が良いことも知っていた。

しかし計算違いだったのは、“仲が良いだけ”だと思っていたこと。


冥と関わりはじめてやっと分かったんだ。


このクールな秀才くんが、冥に対して僕と同じ感情を抱いているということを。

⏰:11/05/30 00:54 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#721 [ちか]
「まぁね。少し縁があって。」

「へぇ、冥みたいな普通の生徒と優秀な先輩にどんな縁が?」

いちいち気に障る言い方をする奴だ。
初めて会った頃と今じゃ、印象は180゚違う。


「それは…――、」

いっそのこと僕たちの関係をバラしてしまおうか。

そう思って口を開いた時、午後の授業が近いことを知らせる予鈴が鳴った。

⏰:11/05/30 01:05 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#722 [ちか]
「あ、もう教室戻らないと。すいません、時間取らせてしまって。じゃあまた。」


そう言ってお決まりの笑顔と礼儀正しい素振りで、彼は去っていった。


冥のところに戻るのだろう。

⏰:11/05/30 01:07 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#723 [ちか]
『冥のこと傷つけたら…
   ぶっ殺しますよ。』


いつだったか
保健室で言われたあの言葉を思い出した。

口は笑ってるけど目は真剣で、言葉の一つ一つに重々しさを感じたのを覚えている。

彼は
いつから冥のことを
好きだったんだろう。…―

⏰:11/05/30 01:08 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#724 [ちか]
去っていく背中はとうに消えたというのに、僕はその場から動けないでいた。


いつか、
彼に冥を取られてしまうんじゃないか。

僕から離れていくんじゃないか。


そんなことが頭を過る。

⏰:11/05/30 01:10 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#725 [ちか]
『ガキの頃からの幼なじみですから』

『誰よりも知ってるつもりですよ。』


誰よりも。

ガキの頃から。


僕の知らない冥を
彼は知っている。

⏰:11/05/30 01:12 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#726 [ちか]
それはつまり、

僕の知らない冥を
彼はたくさん知っているわけで。


冥も僕に見せない顔や感情を彼には見せる…――。

と言うことなのだろうか。

⏰:11/05/30 01:14 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#727 [ちか]
「馬鹿馬鹿しい。」



こんなのは邪念だ、
と、頭の中を支配する彼の発言を消し去るようにそう呟いて、やっとの思いでその場を後にした。


─────────‥‥
──────‥‥
───‥‥

⏰:11/05/30 01:16 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#728 [ちか]
― 透 side.―


ずっと、

ずっと冥の隣は

俺のだと思っていた。




―‥高校に入るまでは。

⏰:11/05/30 11:27 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#729 [ちか]
冥とはウチが隣同士で、
お互い生まれた時から一緒に居たようなもんだった。


幼稚園も。
小学校も。
中学も高校も。


…まだ小学生だった頃、冥の両親が事故で亡くなってからはウチに一緒に住むようになって、
尚更一緒に居る時間が増えて、それが当たり前になっていた。

⏰:11/05/30 11:33 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#730 [ちか]
だけど、
中学を卒業すると同時に
一人暮らしする
って言い出してウチを出ていってしまった。


アイツのことだから
ずっと遠慮していたんだろう。

未だに両親の事故も自分のせいだ、って一人で抱え込んで。

口には絶対に出したことは無かったけど、昔から一緒に居るおかげがそこらへんの奴より冥の気持ちは分かっているし、分かってあげたかった。

⏰:11/05/30 11:37 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#731 [ちか]
もういつからアイツを好きだったのかなんて覚えてない。

気づけばもう手遅れだった。


アイツは俺を
ただの幼なじみだと思ってる。


だから俺も
それに答えなくちゃいけない。
ただの幼なじみを演じていなければいけない。

⏰:11/05/30 11:38 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#732 [ちか]
それ自体は苦じゃなかった。
アイツをすぐ隣で見ていられるのには変わりないし、アイツが喜んでくれればそれで良かったんだ。
それで。‥‥――――


一人暮らしも反対したけど、アイツがそうしたいならそれを応援してあげるのが俺の役目だと思って渋々ながら納得した。

それに一緒に住まなくなってもアイツは毎朝俺を起こしに来てくれた。

結局、アイツの隣は俺だったんだ。
俺だった、…はずなのに。

⏰:11/05/30 11:43 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#733 [ちか]
高校に入って暫くして、
アイツとの登下校はあっさり別の奴に奪われた。


アイツの隣、
俺の特別席は、

急に現れた黒羽恭弥に



奪われてしまった。

⏰:11/05/30 11:45 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#734 [ちか]
一言で言えば
ムカついた。


俺が必死で隠して
大切に作り上げて来た場所を、こうも簡単に崩されてしまったことを‥‥―――



「とおる?」

⏰:11/05/30 14:43 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#735 [ちか]
「眉間にすんごいシワ!なんかあった?」


ハッとした。

いつの間に教室まで
戻ってきてたんだろう。

目の前には
そう、俺の宝物が居る。


「いや、何でもない。会議のこと考えてた。」

笑顔を向けて淀んだ空気を取り繕ってみる。

⏰:11/05/30 14:47 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#736 [ちか]
「ふーん。大変だな!ま、おかえり!」


ああ、
どうしてコイツは
気づかないんだろう。


俺が
この屈託の無い笑顔に
どれだけ救われてきたことに。


「ただいま。」

コイツと居ると自然に笑える。
コイツの存在は俺の全てなんだ。‥‥――――

⏰:11/05/30 14:51 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#737 [ちか]
― 冥side.―


「「‥‥‥‥‥。」」




本日、
恭弥生徒会長様は
ご機嫌ナナメなようです。

⏰:11/05/30 15:09 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#738 [ちか]
学校終わって久しぶりに一緒に帰れたって言うのに、なんでか分かんないけどずっと仏頂面。


車の中は
いつに無く静まり返って
なんだか落ち着かない。



これは何があったか
聞いた方が良いのだろうか‥‥。

⏰:11/05/30 15:12 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#739 [ちか]
「きょ、恭弥?‥‥なんかあった?」


恐る恐る顔色を窺いながら問いかける。
下手に刺激したら、八つ当たりされるのは俺だし。

それなのに、意を決して聞いたわりに帰ってきた返事は

「え?」


コレ+きょとんとした顔。

当の本人はもしかして、

「自覚無し?」

⏰:11/05/30 15:58 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#740 [ちか]
「あ‥‥うん、全然気づかなかった。」


恭弥はそう言って少し困った顔をする。

なんだ。
普通じゃないか。
俺の考えすぎ?

今日の透と言い、恭弥と言い、全部俺の勘違いか。

「なーんだ!!心配して損したっ。」

「心配?」

なぜか恭弥は少し間合いを狭めた。

⏰:11/05/30 16:17 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#741 [ちか]
「心配してくれたんだ?」


あらま。
さすが気分屋恭弥様。

もうニコニコしちゃってるよ。

「わ、わりぃかよ…。」


急にニコニコしながら詰め寄ってこられると、それはそれで困るって言うか、照れるって言うか…。

⏰:11/05/30 16:22 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#742 [ちか]
「嬉しい。ありがとう。」


ちゅ。



腕を引き寄せられてから
頬を触られ、
その唇が重ねられるまで、

それは一瞬の出来事だった。

⏰:11/05/30 16:25 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#743 [ちか]
「☆@%$◆℃▽〜ッ!!///」


「え、なに?足りない?」


余裕を含んだ笑顔で
そう問いかけてくる姿は
悪魔にしか見えない。


「ちっがーう!!!!///」


俺の声は車中に響いて、
それでも俺の耳を
一番支配していたのは
恥ずかしくなるくらいうるさい自分の心臓の音だった。

⏰:11/05/30 16:30 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#744 [ちか]

*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

これから用事があるので
また夜に更新します(*^^*)

よかったら
感想、アドバイス等
お願いします!
元気が出ます\(^o^)/
帰ったら感想板へのレスも返していきます*

誤字脱字の訂正をしたいのですが、話の間に入れたくなくて訂正出来ずにいます;
気になられたらすいませんm(__)m

ではまたあとで*

⏰:11/05/30 19:16 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#745 [ちか]
>>743続き
― 恭弥 side.―

家に着いてから
部屋に戻りベッドに仰向けに倒れこんだ。


無造作に伸ばした手が
宙をかく。

「まさか顔に出てるなんて。」

宙をかいたその手の後に、冥の心配そうな顔が浮かんだ。

⏰:11/05/31 00:01 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#746 [ちか]
冥はああ見えて
自分以外の人間に対して
すごく敏感なところがある


良く言えば
人の気持ちを察してあげる優しさがある。


…悪く言えば
顔色を常に窺ってる
ような気がしないでもない。

⏰:11/05/31 18:36 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#747 [ちか]
‥‥‥‥、僕がそうさせているいるのだろうか。



「はぁ…。」


深くため息をついたのは
このモヤモヤした何かを振り払うためか。


それとも
僕のせいじゃない、
と言い聞かせているのか。

⏰:11/05/31 18:41 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#748 [ちか]
どちらにせよ気分の良いものではなかった。
今どんな顔をしているのか、鏡を見なくても分かる気がした。


「あの子なら、冥にこんな思いさせないんだろうな。」

自ずと独り言が口から出る。

そしてどうしても引き合いに出してしまうのは、やっぱり彼で。
らしくない、と自分でも思う。

⏰:11/05/31 18:48 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#749 [ちか]
しかし、
冥のこととなると
“自分らしさ”を保つのは難しかった。


もうそれだけ冥にハマっているんだと痛いほどに思い知る。


平常心、平常心、と
自分に言い聞かせることしか出来なかった。

⏰:11/05/31 23:14 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#750 [ちか]
― 冥 side.―


やっぱりおかしい気がする。

今日の夕食は恭弥の好きな物ばっかりなのにちっとも美味しそうに食べてない。

いや、もともとそういうことを顔に出す人じゃないんだけど。この人は。

でもやっぱり、
なんか変な気がして俺まで食欲が無くなった。

⏰:11/05/31 23:18 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#751 [ちか]
「‥‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥‥。」


フォークとナイフが黙々と動き、時間が過ぎる。



痺れを切らして
口を開いたのはやっぱり俺の方だった。

⏰:11/05/31 23:23 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#752 [ちか]
「おおお、美味しいね!今日のこれ!あ、いや、いっつも美味しいんだけど!!あの、えっと…、」


なにやってんだ俺!(泣)

カミカミじゃねーか!
こういうの本当に俺下手くそだぁ〜…。


張り詰めた空気にトドメをさすような自分の失態に思わず泣きそうになった。

⏰:11/05/31 23:27 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#753 [ちか]
チラリと向かい側に視線をやると、呆れられているような、なんだか上手く読み取れない表情を向けられてるのが見て取れた。


「あ、あの、だから…「冥ってさ。」


必死に間を取り持とうとした矢先、会話を遮られ俺はパチパチと瞬きを繰り返す。

「な、なに?」

⏰:11/05/31 23:35 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#754 [ちか]
「……いや、やっぱり良い。」

「なんだよそれ!言いかけたなら最後まで言えよー!気になるじゃんか。」


そんなやり取りをして
恭弥はバツが悪そうな顔で再び話始めた。


「冥はいつから蓮見くんと仲良かったの?」

⏰:11/05/31 23:40 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#755 [ちか]
意表をつかれた質問に一瞬黙る俺。

なんでそんなこと聞くんだろう?


「いつ…っていうか、生まれる前から親同士が大学からの友達かなんかで仲良かったから、生まれたときから‥‥かな?」


疑問に思いながらも、
不確かな記憶を辿りつつ、それでも一番正しそうな答えを返してみせた。

⏰:11/05/31 23:43 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#756 [ちか]
しかし恭弥は「ふうん。」と気のない返事しかしない。

なんだよ、真面目に答えてやってんのにさ。


相変わらずの無表情で
さらなる質問が飛んでくる

「じゃあ何でも話せたりする?」

相変わらず変な質問。

⏰:11/05/31 23:47 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#757 [ちか]
「まぁ、…そうだなー。
ガキの頃からずっと一緒だったから今さら秘密とか無いし…。」


そこまで言って
自分が嘘をついていることに気づいた。

だって透には、恭弥と暮らしてることも関係があることも秘密にしている。

なんだか少し罪悪感にかられ、俺は饒舌になった。

⏰:11/05/31 23:51 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#758 [ちか]
「と、とにかく一緒に居て落ち着くっていうか、癒しっていうか!あー俺のことよく分かってくれてるなーって思うよ!うん、そう!言わばパートナー?!みたいな!あは、あははは…」

我ながらこういうときの饒舌さはすごいと思う。
動揺丸出しのしゃべり方とか…。


無駄に疲れたような気がしてすっかり項垂れていると、向かいから席を立つ音がした。

⏰:11/05/31 23:57 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#759 [ちか]
「あ、そう。」



スッと立ち上がりそう呟いた恭弥は俯いているせいで前髪が顔にかかり俺からは表情がよく見えない。

そしてそのまま自分の部屋がある方へスタスタと帰って行ってしまった。


変なやつ。
せっかく答えたのにさ。
なんなんだよ、全く。


俺は余っていたステーキの一切れをパクリと口に放り込んだ。

⏰:11/06/01 00:01 📱:P906i 🆔:.456fBjw


#760 [ちか]

*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

一区切り着いたところで
今日の更新はココまでです(*^^*)

読んでいてくださる方なんて居るのでしょうか…
なんだか不安で仕方ないです(;_;)

⏰:11/06/01 00:14 📱:P906i 🆔:.456fBjw


#761 [まあ]
読んでますよ頑張って下さい

⏰:11/06/01 22:59 📱:N906imyu 🆔:nVjMsqi2


#762 [ちか]
>>761まあさま

ありがとうございます(*^^*)
がんばります

⏰:11/06/07 21:53 📱:P906i 🆔:Y1A3UEmw


#763 [ちか]
>>759続き

翌朝になっても
恭弥の異様なよそよそしさは変わらないようだった。


それは、寝入ってる俺を襲うように起こしにきている毎朝の恒例でも感じることができた。


「‥‥‥‥ん、恭弥‥?」

額に冷たい手の感覚を感じて目が覚めた。

⏰:11/06/07 22:03 📱:P906i 🆔:Y1A3UEmw


#764 [ちか]
「おはよう。」


心なしか微笑む恭弥の顔は悲しそうだ。


「お、おはよ!なんだよ、たまには普通に起こせるんじゃん!なんか調子狂うっつーのっ」


憎たらしい言葉でしか表現出来ない自分に、苛立ちすら感じる。

こんな風に言いたいワケじゃないのに…。

⏰:11/06/07 22:07 📱:P906i 🆔:Y1A3UEmw


#765 [ちか]
「いつもみたいにキスしてほしかった?」


そう言って恭弥は俺の嫌みに気づいていてか気づかずにか、いつものように妖艶な笑みを浮かべ、間合いを詰める。


その瞬間、
一気に身体が熱くなるのが分かった。


「なな、んなわけねーだろっ!!!///
ていうか恭弥が勝手にしてくるだけで俺は別に…っ!!」

⏰:11/06/10 23:01 📱:P906i 🆔:TrDYP092


#766 [ちか]
“別にしてほしくなんかない”

そう言いかけて
思わず口ごもった。

一瞬恭弥が悲しそうな表情をしたように見えたから。


沈黙を挟んで
気まずさが増す。


「冥、僕は、」


そこまで言って
再び目をそらした恭弥がそれ以上言葉を続けることはなかった。

⏰:11/06/10 23:09 📱:P906i 🆔:TrDYP092


#767 [ちか]
「いや、なんでもない。」


そんな言葉とバタンという音を残して部屋を出ていく背中を見つめ、呼び止めようともしなかった。



ただ最近の恭弥は
やっぱりおかしいなとか
そんな風にしか
思わなかったんだ。

⏰:11/06/10 23:11 📱:P906i 🆔:TrDYP092


#768 [ちか]
結局恭弥は朝食を取らなかった。

こんなことは俺がココに来てから初めてのことで、朝とは思えないほどの豪華な朝食を1人で食べるとなんだかすごく味気ない。


空いた空席を目の前にため息をこぼす。


(俺があんなこと言ったから悲しそうな顔したのかな。)

⏰:11/06/14 19:52 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#769 [ちか]
いやいやいや!!


そもそも本当に悲しい顔したか分かんないし!

俺の勘違いかもしれねーし!


自分の考えを打ち消すようにブンブンと頭を横に振った。

なんか俺も変だ。

なんて思いながら、
松山さんに促されて車に乗り込んだ。

⏰:11/06/14 19:55 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#770 [ちか]
中には既に恭弥が居た。


静かに走り出したことは、窓からの景色が動き出してようやく気づいた。



車内は外の寒さを忘れるような暖かさで、
自然と目が微睡んでくる。

⏰:11/06/14 19:58 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#771 [ちか]
「冥、」



車が動き出してどれくらい経ったのだろうか。

急に名前を呼ばれてやっと、自分がうっかり船を漕いでいたことに気づく。


寝ぼけ眼のまま、
かすれた声で返事をする。

「ん…?なに?」

ぼんやりと見えた恭弥は悲しみと虚無を感じさせる複雑な表情をしていた。

⏰:11/06/14 20:03 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#772 [ちか]
見据えられた目の冷ややかさに思わず唾を飲んだ。



ピンと張る空気。


鋭い視線。



それはやがて斜め下へと流され、代わりに閉じていた口が開かれた。

⏰:11/06/14 20:11 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#773 [ちか]
「家(ウチ)を出ていってく
 れないかな」








一瞬、
世界が止まったと思った。

⏰:11/06/14 20:12 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#774 [ちか]
「は‥‥?」


なんの冗談‥‥、
そう思って恭弥の顔を見たけれどそこに冗談を言ったような顔は無かった。


「なに言って…、」


なんで目すら合わせてくれないんだよ。

なんで俺を見てくれないんだよ。


募る感情が言葉を詰まらせる。

⏰:11/06/14 22:01 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#775 [ちか]
刺さる視線が痛い。
それでも窓の外は確実に景色を変えていく。



「なんで急にそんな‥‥」

鼓動は着実に早くなっていくのに感情は遅れていくばかり。


「…………僕なりに考えたんだ。」


ドクンと胸が跳ねる。

⏰:11/06/14 22:36 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#776 [ちか]
「なんだよ僕なりって…、お、俺の意見とか無視なのかよ…っ」


膝の上で強く拳を握った。

なんとも言えない感情が俺の体を震わせる。

上手く呂律が回らなく、挙動不審と思われてもおかしくないだろう。




だけど、

⏰:11/06/14 22:43 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#777 [ちか]
「これは冥のためを思って…、」




そう言われた瞬間、



何かが切れた。

⏰:11/06/14 22:44 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#778 [ちか]
「分かったよ!!!!ていうか、かえって清々するし!?言われなくても出ていってやる!!!」


急に立ち上がってもぐらつかない車内は、いかにその機能が高性能かを物語っていた。


拳は体の横で強く握ったまま、これでもかと言わんばかりに目の前の人間を睨み付ける。


今にも泣き出しそうな目で。

⏰:11/06/14 23:20 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#779 [ちか]
なにを言ってもビクともしないこの人間に痺れを切らして、さらに言葉を走らせた。


「今日から、いや、今からでも出ていってやるよ…!!もとから荷物だってないんだしっ…!!
そうだ、透の家にでも居候させてもら……、」

そこで初めて目があった。


「それはダメ。」


頭に上った血は最高潮に達した。

⏰:11/06/14 23:27 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#780 [ちか]
「ここで降ろしてくださいッ!!!!」


力任せに叫んだ後、
止まった車のドアを乱暴に開けた。


「ちょっ…、冥、僕は…ッ、」


まだ車内に余っていた左手を咄嗟に掴まれた。

その力は強い。

⏰:11/06/15 00:51 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#781 [ちか]
しかしそんなことは知ったものか。

俺もその手を力ずくで振り払う。

「冥…ッ、」


名前を呼ばれて
くるりと恭弥の方に向き直った。

涙が出そうになるのを必死に押さえながら。

「あのさぁ!!!!
この際だから言っとくけど、」

⏰:11/06/15 00:55 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#782 [ちか]
「僕は、とか、そうやってなんでもかんでも自分の気持ちばっかり押し付けてくるのうんざりなんだよ!!アレはダメ、コレはダメって…っ!!!!」


募っていた言葉が
滝のように溢れ出してくる。

止めようにも止まらない。

道端で朝から叫び倒すこの姿は他人の目にどう映るのだろうか。

幸い、降りた場所はまだ学校から遠く、うちの学校の生徒は前後に見当たらなかった。

⏰:11/06/15 01:00 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#783 [ちか]
一度遮断するものが無くなると、
歯止めが効かなくなるのは俺の悪いクセだ。




分かってる。

分かってるけど…っ

⏰:11/06/15 01:03 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#784 [ちか]
「俺はあんたの物じゃない!!
透は俺の親友なんだよっ、口出ししてくるな!!!!

もう…ッ、
もういい加減
迷惑なんだよ!!」


はぁはぁ…ッ

息も吸わずに吐き出したもんだから、言い終わる頃には肩で息をしていた。

⏰:11/06/15 01:05 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#785 [ちか]
ふと見上げると、
その漆黒の目は確かに俺を映していた。


そんな風に見るなよ。

なんでそんな悲しそうな目するんだよ。

酷いのは
どっちだと思って…ッ


もう涙を堪えるのも
限界に達していたその時、


「あれ、冥?」

⏰:11/06/15 01:08 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#786 [ちか]
聞き覚えのあるその声の方に振り返ると、
そこに立っていたのは透だった。


「と……おる‥‥、」



突然のことで混乱した俺の頬をずっと我慢していた涙の一粒が筋を通して伝った。

⏰:11/06/15 01:11 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#787 [ちか]
ぎゅ…っ



それとほぼ同時に
何かに包まれる感覚を感じた。

それは暖かくて強くて、
馴染みのある匂いがした。


透の腕が俺を包み込む。

⏰:11/06/15 01:14 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#788 [ちか]
「…もういい加減にしてくれませんか。」



重みのある、
怒りの混じった声が
頭に響いた。

ちょうど頭一つ分でかい透の声が、
この密着のせいでちょうど俺の頭を通っていくのだ。

⏰:11/06/15 01:16 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#789 [ちか]
「冥、行こう。」



そう言って右手を強く引かれる。

歩いてきたのであろうことはその手の冷たさで分かった。


その力に促されるように、俺の足も同じ方向を向く。

⏰:11/06/15 01:20 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#790 [ちか]
「冥‥‥‥‥ッ、」






そう呼ばれ、
思わず振り返って見た、

アイツの悲しそうな表情(カオ)を残して。‥‥────

⏰:11/06/15 01:22 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#791 [ちか]

*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

一区切り着いたので
今日の更新終わります^^

感想、アドバイス、雑談など、
何かしらコメント頂けると励みになります(*^^*)!
よろしくお願いします**

⏰:11/06/15 01:25 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#792 [ちか]
強く握られた手が痛い。


まるで怒りが伝わってくるみたいだ。

いたたまれなくなって俺は思わずその手を解いた。


「あ、ごめん。」

力んでることに初めて気づいたのか振り向いて謝られたけど、まだ自分の目が潤んでいるのを見られたくなくて視線を外した。

⏰:11/06/15 19:02 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#793 [ちか]
まだ体には抱き締められたときの感触が残っている。


知らず知らずのうちに俺は右腕を擦っていた。

まるでその感触を確かめるように。


「急に抱き締めたりなんかしてごめんな。」

「え?…あ、いや、別に…」


変な空気が俺たちを取り巻いて、気まずさは増すばかり。

⏰:11/06/16 00:30 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


#794 [ちか]
「あの人になんかされた?」


透が言うあの人とは、きっと恭弥のことだろう。


「あ、いや別に何も…、」

話したくても話せない。
事情が複雑過ぎる。

必死に回答をそらそうとするが、それに伴うように体は緊張で熱くなる。


「何も無くて泣いたりしないだろ、お前。」

こういうとき、
透は核心を衝いた質問しかしてこないから余計に。

⏰:11/06/16 00:35 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


#795 [ちか]
取り繕う言葉を頭の中のボキャブラリーという棚から片っ端に探し回っても、適当な言葉は見つからず、ただただ口がもごつくだけ。


「…ま、無理して聞きはしないから。元気だせよ。」


ふわりと大きな手が俺の頭を優しく撫でた。

そうだった。
透は俺が落ち込んだとき、いつもこうやって慰めてくれていた。

俺はそれに幾度となく救われてきたし、それが好きだった。

⏰:11/06/16 00:39 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


#796 [ちか]
撫でた頭にほのかな暖かみを残して、その手は俺の前で揺れている。

その少し後ろをとぼとぼ歩く。

心配してくれてるのに、
事情も説明出来ないのは
理不尽すぎないかな。

そんなことを考えながら、
数歩前を歩く自分より広く頼もしい背中を眺めた。

⏰:11/07/06 15:41 📱:Android 🆔:W50FArGo


#797 [ちか]
「あの、透…、」

「ん?」

呼び掛けられて振り向いた透をまだまっすぐには見れない。

「いや…、なんでもない。」

喉まで来ていた言葉を
寸前で飲み込む。

やっぱり自分と恭弥の関係を思いきって言う気にはなれない。

普通ではないことは自分が一番よく分かっているから。
それをあえて第三者から指摘されるのは、やっぱりツラい。
それが透だとなおさら。

⏰:11/07/06 15:50 📱:Android 🆔:W50FArGo


#798 [ちか]
もう半ば呆れられているのか透は苦笑とも言える精一杯の優しい表情(カオ)で笑うだけだった。

「後ろじゃなくてこっち来いよ。」

それでも透はやさしいのだ、と
こんなときに思い知らされる。
そして、それに比べて俺は、と言う皮肉が必ずついてくる。

俯いたまま、返事をすることもなく小走りで駆け寄り横に並んだ。

「…寒いな。」

頭一つ分高い透の顔は、
もうマフラーが半分程覆ってよく見えなかった。

⏰:11/07/06 16:08 📱:Android 🆔:W50FArGo


#799 [ちか]
勢いで出ていくとは言ったものの、
心にはぽっかり穴が空いてるみたいだった。


何かしたんだろうか。

…飽きられたんだろうか。


考えてみれば、
ふと頭を過ったのは昨日と今朝の恭弥の様子。

明らかにいつもとは違った。

⏰:11/07/08 01:13 📱:Android 🆔:oC0bKfsc


#800 [ちか]
そういえば、
やたら透のことを気にかけていた。


「もしかして、」

思わず口から出た言葉の続きを慌てて飲み込んだ。


もしかして、
恭弥は透のことが好きなんじゃ…

そんな想像が脳裏を過る。

⏰:11/07/08 01:21 📱:Android 🆔:oC0bKfsc


#801 [ちか]
だってそれなら辻褄が合う。

昨日、廊下で楽しそうに話してたことも、夕食のときやたら透のこと聞いてきたことも、今朝透の家に泊まるって言ったらダメだって突っ掛かってきたことも。…


ポタ…ポタ…

気づけば頬を伝って
幾つもの水滴が溢れだしていた。


午後の授業の真っ最中、
もうすでに教師の張り上げる声など耳に入れる余裕は無い。


必死に擦ってもなかなかその涙は止まらない。


俺は机に上半身を突っ伏して、バレないようにするのに必死だった。

⏰:11/07/08 23:07 📱:Android 🆔:oC0bKfsc


#802 [ちか]
なんとかそれで授業はやり過ごせたものの、

「目、赤いぞ。」


一番気づかれたくない人に、誤魔化しは効かなかった。


HRを終えて放課後の教室はもう俺達以外に人は無く、厚い冬の雲からの夕日が射し込めるだけのガラリとした雰囲気になっていた。

「あ、さっきまで寝てたから…」


もう俺が絶対事情を説明しないことを分かっているのか、あえて透はそれ以上深入りしようとはしない。


「あの、今日、透の家行っていい…?」

甘えていることは分かってる。
事情も説明せずにこんな風に頼むのは無私の良い話だと言うことも。

それでも、やっぱりこんなときに頼れるのは透しか居ないんだ。

「今から生徒会の会議あるからちょっと待たせると思うけど、それでも良いなら良いよ。」

その返事に俺は無言で頷いた。

⏰:11/07/09 00:56 📱:Android 🆔:5xLSuFVA


#803 [ちか]
「じゃあ行ってくるな。」

そう言って教室を出ていった背中を見送ったあと、今度こそ俺は溺れるように深い眠りに落ちた。


──────────────────………
─────────────────────……

⏰:11/07/09 01:02 📱:Android 🆔:5xLSuFVA


#804 [ちか]
― 透 side.―


会議があるというのは
ウソ。


でも用事を済ますことに変わりはなかった。

やらなきゃいけないことがあるから。



生徒会室はもうすでに鍵が空いていて、
開けると静けさの中で立て付けの悪い戸の音が廊下に響いた。

⏰:11/07/09 01:09 📱:Android 🆔:5xLSuFVA


#805 [KAZUHA]
Tから見てます!!!!
続きが気になります///

⏰:11/08/27 02:35 📱:F904i 🆔:pBsYaRfw


#806 [ちか]
>>806 KAZUHAさま

ありがとうございます(*^^*)
不定期極まりなくてすいません

⏰:11/09/10 14:10 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#807 [ちか]
「お待たせしました、」


静かな室内に、
その声はよく通った。

窓際で腕組みする姿が夕日に照らされて、シルエットを作っている。

「先輩。」


ギロリと切れ長の瞳が俺を捕らえた。
ああ、ご機嫌ななめですか。


「話って。」

なに?の二文字まで省きたくなるほどの不機嫌らしい。

俺だってこんなやつと長々話すつもりなんか甚だ無いっつーの。

⏰:11/09/10 14:15 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#808 [ちか]
「今朝のアレなんですか。」

余計にこの人の機嫌が悪くなることは重々承知の上で、そんな質問を投げ掛けた。

「君には関係ない。」

「いや、冥は俺の大事なやつなんで。」


関係ない、で片付けられちゃ俺の怒りが収まらないんだよ、生徒会長さん。

言ったよね、俺。

⏰:11/09/10 14:21 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#809 [ちか]
「冥のこと、傷つけたらぶっ殺す。
って、言いましたよね、俺。」

冷ややかな微笑みすら出来ないほど、俺の怒りは自分で気づかないうちに頂点に来ていたようだ。


そして被せるように言い放つ。


「冥は返してもらいますから。」



そう、取り返すんだ。
端からあんたのモノだったわけじゃない。

冷えきった室内はなんとも言えない空気を淀ませ、徐々に影を広げ出していた。

⏰:11/09/10 14:30 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#810 [ちか]
ダメだ、だのなんだの、返事が返ってくると身構えてたのに、それ以上この人は言葉を発することはなかった。


用の無い沈黙なんて要らない。

ただでさえ待たせてるんだから。

早く出ていけ、
そう言わんばかりに影が室内を覆い、この人もそれに紛れて黒い影となっている。

「じゃあ、用はそれだけなんで。」


それだけ呟いて
俺は振り返り、戸に手を掛けた。

その時。

⏰:11/09/10 18:43 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#811 [ちか]
「………冥のこと、よろしく頼む。」


は?

今なんて、

思わず振り返って見たその人はほぼ全てが影になっていたが、なぜかその表情だけは嫌になるほど見て取ることが出来た。

だってそれはいつも俺がアイツに向ける、……―――

切ない表情(カオ)。

⏰:11/09/10 19:00 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#812 [ちか]
開きかけていた戸の隙間から、容赦無く冷たい風が吹き込んできた。

それは俺の動揺を拐うように吹き抜け、後ろから視線を送ってくるソイツにもきっと同じように髪を掠めているのだろう。


俺はその勢いに乗って再び向き直り、足を外に一歩踏み込ませた。

「……言われなくても。」

吐き捨てるようにそう言って
バタン、と大きく音を立てて閉めたのは、苛立ちを隠しきれなかった俺の未熟さ故の行為。

「…さみぃ。」

早く教室に戻ろう。
冥が待ってる。

待ってるんだから。

⏰:11/09/10 19:11 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#813 [ちか]
― 冥side.―


夢を見ていた。

いつかの夜の、
漆黒のシルエットに
助けられた時の。

それから、

何度も愛された時の、
その顔と言葉も。

「冥、愛してる。」

そう言って、俺の髪に長い指を絡ませて
何度も何度も囁いて。

愛してる、って、
ずっと、って、
そう言ったのに、


恭弥。
恭弥。
恭弥。……――――

⏰:11/09/10 19:22 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#814 [ちか]
……い、


おい、


「…い。めい。起きろ。」


「ん〜…え?あ、…お、おはよっ、透。」


やっべ。

いつの間に寝ちゃってたんだろ、俺。

「おはようの時間はとっくに過ぎてるっつーの。バカ。」

⏰:11/09/10 19:26 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#815 [ちか]
バカ、って言うくせにその笑顔は優しい。


挙げ句、軽く頭をわしゃわしゃと撫でられると、反抗するに出来なくて、なんかもう、自分でもワケわからない感情になった。


そんななされるがままの状態で、おもむろに携帯のディスプレイに目をやると時刻はすでに下校時間を過ぎていた。


「やっべ!!え、うそだろ!?ごめん、もっと早くに起こしてくれてよかったのに!」

⏰:11/09/10 21:38 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#816 [ちか]
焦って、
両手を勢いよく机に付け立ち上がろうとしたが、
長時間枕にしていた左腕は完全に麻痺しているようでだらしなく垂れ下がり、俺は呆気なくバランスを崩した。


「ひっ…?!」

ドサッ、と重みのある音が辺りに響いた。

「「ってー…。」」

え、あれ、
でもなんか痛くな…い?

⏰:11/09/10 21:46 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#817 [ちか]
「お前、軽すぎじゃね?」

な、な、な、

「×%☆₩$◆@●〜っ?!」

なんで
俺、透に覆い被さってんの?!

てか、
それを言うなら、
顔近すぎじゃね?!

⏰:11/09/10 21:52 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#818 [ちか]
「ったく、危なっかしーな、お前は。」

「ご、ごめん…、」


じゃなくて!!
この体勢、端から見れば
俺が透を押し倒してるみたいだ。

俺たち以外に誰もいない教室で、
こんな体勢って、
なんか危険な匂いしかしないんですけど!


「すぐ退(ド)くから…っ」

しかし、
透は退こうとした俺を引き寄せ、
俺は呆気なくその胸に顔を埋めてしまった。

⏰:11/09/10 22:00 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#819 [ちか]
「ふぐっ、う…?!」

なになになに。
訳わかんねーって!

この展開なに、
俺たちのこの抱擁なに、
え、もう俺パニックなんですけど。


息をするのも苦しいほど、
きつく締め付けられて
鼓動も上がり、俺の顔は真っ赤になっていた。

透の腕から逃れようと必死にもがき、
漸く埋めていた顔を離すことが出来た。

がしかし、その瞬間目が合うのは必然的なことで。

⏰:11/09/11 02:09 📱:Android 🆔:ljqRaiOw


#820 [ちか]
沈黙に沈黙が重なり、
また沈黙。


真顔で俺を見つめるその瞳に
俺の焦った顔が映って見える。

耐えかねる空気がそこにあって、俺は口をパクパクと動かすだけ。

しかしそれも、
声を出すことは出来ず
空気を吸っては吐く原始的な動作しか出来なかった。


「あ……、あの、とお…、」


「…………プッ、アホ面。」

⏰:11/09/11 12:21 📱:Android 🆔:ljqRaiOw


#821 [ちか]
「なっ、…!!!?」

「あはははは!!ひー、おっかしー!
なに顔真っ赤にしてんだよ、バーカ」

透はさっきまでの真剣な顔が嘘のように目の前で笑い転げている。


俺、こいつと親友のつもりだけど、
ときどき、

「読めねぇときがある…。」

「え、なんか言った?」

「いや…」

なんでもない。

⏰:11/09/11 15:44 📱:Android 🆔:ljqRaiOw


#822 [ちか]
それから俺たちは
宿直の先生に見つからないように夜の校舎から裏門まで走り、こっそり抜け出して透の家に帰った。


こんなことしたの、
いつぶりだっけ。


楽しいなぁ、懐かしくて。
……―――――
…―――
――

⏰:11/09/11 16:10 📱:Android 🆔:ljqRaiOw


#823 [ちか]
― 恭弥side.―

もう、いい加減迷惑なんだよ…っ



最後に交わしたのは
悲しくもあり、
それ以上に僕の決心を固くさせた。


やっぱり
僕は冥から離れた方が良い。

これ以上、冥を苦しめるくらいなら。

⏰:11/09/12 00:38 📱:Android 🆔:8pbz01wM


#824 [ちか]
ここ最近ずっと考えていた。


蓮見透という人間の存在を
頭の片隅で意識しながら。


最初は
冥を誰にもやりたくない、
僕だけのものにしたい、
彼にも譲れない、
そんな風に思っていた。

だけど、

⏰:11/09/12 00:41 📱:Android 🆔:8pbz01wM


#825 [ちか]
徐々にその独占欲は
冥の幸せを優先したいと思う感情に呑まれるようになった。


こんなのは初めてだ。
他人の幸せを一番に考えるなんて。

そして、
その感情が加速するにつれて、
僕はあることに気づいた。

僕では、冥を幸せには出来ないということに。

⏰:11/09/12 00:46 📱:Android 🆔:8pbz01wM


#826 [ちか]
僕は、
どうしても自分の欲で冥を呑み込んでしまう。

僕から離したくなくなって、
でもそれは冥の自由も同時に奪ってしまう。

きっと幸せも。……


それならいっそ、
冥から離れることが
僕が冥に出来る優しさなんじゃないか。

⏰:11/09/12 00:51 📱:Android 🆔:8pbz01wM


#827 [ちか]
案の定、
今朝のようなことになった。


冥は自由を望んでいた。

知らず知らずのうちに僕は僕を押し付けて、苦しめていたんだ。


もうそんなことはしないから、
幸せになってほしい。

そんな思いで、
親友に引っ張られていく冥の後ろ姿を、焼き付けるように見つめた。

柄にもなく、涙が込み上げて
居たたまれなくなって静かに目を閉じた。


さようなら。

⏰:11/09/12 00:57 📱:Android 🆔:8pbz01wM


#828 [ちか]
そんな風に呟くと、


脳裏に焼きついた冥の姿が滲んで


僕はただ、

そこに立ち尽くすことしかできなかった。

………――――
……―――
…――

⏰:11/09/12 13:36 📱:PC/0 🆔:sdX/PGUo


#829 [ちか]


はい、とりあえず
恭弥sideの話もここで区切り、
この話の前編と言える場面まで
終了しました。

ご無沙汰しております。
毎度不定期な更新で申し訳ありません。

スマートフォンから更新していたのですが、不具合で投稿出来ないのでPCから書いています。

治り次第、また携帯からの更新となりますがどちらにせよ私には変わりないのでご安心ください。

ではまた後ほど。

⏰:11/09/12 13:41 📱:PC/0 🆔:sdX/PGUo


#830 [ちか]
― 冥side.―

それから当分一人暮らしの部屋が見つかるまで、俺は透の家にお世話になることになった。


急な頼み事だったにも関わらず透のおじさんもおばさんも、まるで自分ん家(チ)の子供みたいに温かく迎えてくれた。


おばさんの得意料理の煮物が美味しくて、懐かしさと昔への恋しさで気持ちはいっぱいになっていた。


だけど。

⏰:11/09/13 16:29 📱:Android 🆔:tm2WO/gQ


#831 [ちか]
ふと、夜になると


恭弥の顔が浮かんできて

溜め息が漏れる。


今日も。

「はぁ…」


また、こうやって。

⏰:11/09/13 16:31 📱:Android 🆔:tm2WO/gQ


#832 [ちか]
感情に嘘はつけない。

突き放されたって
突き放したって

好きなのには変わりなくて

平気なフリをしても
それは余計に俺の内心を浮き彫りにさせて

あぁ、あいつじゃなきゃダメなんだ。

って改めて自覚することでしかなかった。

⏰:11/09/17 18:29 📱:Android 🆔:xGmkdDcg


#833 [ちか]
「なんだよ、そんな溜め息ばっかついて。」

いきなりの声に
俺は戸惑いを隠し切れず

「えっ?!あ、いや…っ、別に?!」

動揺の隠しきれない裏返った返事をする。


透は特に興味も無さそうに
「ふーん。」と呟くと、
風呂から上がったばかりなのであろう水滴の滴る自分の頭をタオルで乱暴に掻いた。

「…風呂、空いたけど、入んねーの?」

⏰:11/09/17 18:39 📱:Android 🆔:xGmkdDcg


#834 [ちか]
「お、おう、入る!今すぐ入る!!」

愛想笑いを振り撒いてそう言うと
俺は着替えを手に取り、
部屋のドアノブを握った。

「……なぁ、透。」

捻りかけたその手を止めて
後ろにいる透に向かい問いを投げた。


あえて顔を見ない俺は、ズルい。

⏰:11/09/17 21:25 📱:Android 🆔:xGmkdDcg


#835 [ちか]
「ん?」

背後では布が髪を掻く音に紛れて、短い返事が返される。

俺はそのまま持っていた着替えをすがる様に握り直し、言葉を繋げた。

「例えばの話だけどさ、」

「うん」

「もし好きな人に」

「うん」

「急に別れてって言われたら、……透ならどうする?」


我ながら単刀直入な質問だと思い、
そんな風にしか聞けない自分に内心で叱咤する。

⏰:11/09/20 00:17 📱:Android 🆔:B0XKYw7A


#836 [ちか]
「あ…ほら、クラスの奴からそういう相談されてさ!!俺、そういう経験あんまり無いし、透昔からモテてたじゃん?!透なら分かるんじゃないかなーって。はは…は」


沈黙が俺を饒舌にさせる。

苦し紛れの苦笑いが痛々しい。

もういっそのこと、
やっぱ今のナシ、と言って逃げてしまった方がいいんじゃないか。

そんな風にさえ思っていた時、

「俺なら…」


漸く返ってきた答えに
俺は唾を飲んだ。

⏰:11/09/20 11:33 📱:Android 🆔:B0XKYw7A


#837 [ちか]
「本当に大事な相手なら、ちゃんと話し合いたい…って思うかな。」

冗談めかした俺のトーンとは逆に、透の声は真摯だった。


“本当に大事な相手なら”……―――

その言葉の重みに思わず、黙りこんでしまう。

「なに、お前、そんなん事でさっきから溜め息ついてたわけ?相変わらずお人好しだなぁ、お前は〜。さっさと風呂入れ。」

ドアの前で固まっている俺を
透は背中を押すように言葉で促した。


まるで俺の考えていることが全てお見通しかのように。

⏰:11/09/20 11:41 📱:Android 🆔:B0XKYw7A


#838 [ちゅん]
この小説 好きです 頑張って下さい^^

⏰:11/09/21 22:25 📱:F02B 🆔:m3OK/Je.


#839 [ちか]
>>838 ちゅんさま.

嬉しいお言葉ありがとうございます(;o;)
そう言っていただけると幸せです〜*
これからも頑張るので、
また感想くださいねっ
感想板もあるので、よかったらそちらにも来てみてください♪

⏰:11/09/22 16:44 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#840 [ちか]
「だ、だよなっ!なんかすっきりした、さんきゅ!」

俺はそう言って忙しなくバスルームのある一階へと降りていった。


透は

一体、誰を思い浮かべて

“本当に大事な人”と言ったのだろう…――


そんなことを考えながら。

⏰:11/09/22 16:50 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#841 [ちか]
散々、風呂の催促を渋ったためか
湯船は少しぬるくなっていた。

しかしそれが
心地よいとも言える。

「…話し合わなきゃな。」


俺はそんな呟きを空間に溶かして
潜るように顔を水面下に沈めた。

…………―――――――
……―――――

⏰:11/09/22 16:59 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#842 [ちか]
翌朝、
冬の朝がまるで透を叩き起こして参加した朝礼は、いつもの恭弥の場所にいつの間にか新しい生徒会長が立っていた。


気づかないうちにも月日は過ぎて行くのか。

そんなことを今さらのように思い知りながら、同時に思いを固くする。

過ぎていく月日ご早いならなおさら、
風化しないうちにちゃんと自分の気持ちを伝えよう。と。

⏰:11/09/22 17:25 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#843 [ちか]
※訂正※
>>840
一番大事な人→×
一番大事な相手→○

>>842
冬の朝がまるで透を→×
冬の朝がまるで苦手な透を→○

すいません!
その他変換ミスが時々ありますが、言い回しだけ訂正させていただきました。

⏰:11/09/22 17:51 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#844 [ちか]
とは言ったものの、
正直どのタイミングで話し掛ければいいか、分からない。

恭弥の周りはいつも生徒教師関係なく人でいっぱいだったし、
そんな中でいきなりズカズカと会いに来て、
話し合おうなんて、
そんなことは無鉄砲な自分でさえもさすがに躊躇せずにはいられなかった。

さあ、どうしたものか。


話し掛ける術を
ひたすら無い頭で考える授業中。

⏰:11/09/23 00:46 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#845 [ちか]
目の前ではxがどうだ、とか、yがああだ、とかの説明と共に果てしなく続くように思える方程式が教師の持つチョークから黒板に写されていく。


考え事をしていても、
どうしてもその文字式や教師の言葉、チョークの音に気が散って集中することが出来ない。

もっとも、本来集中すべきなのはこの授業なんだけど。

俺は意を決して手を挙げた。

「せんせー、吐き気するんで保健室行っていいですか。」

精一杯の演技をしながら。

このままでは授業も考え事も集中出来ないし、それなら、と考え事を優先させての小芝居だった。

⏰:11/09/23 00:56 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#846 [ちか]
幸い、芝居上手くいったようで怪しまれずに保健室まで行くことが出来た。


「失礼しまーす…」

先客を気にしてゆっくりと開けたが、そこに保険医の姿は無かった。

なんだ、ラッキー。
そんなことを思いながら、ふと並んでいるベッドに目をやると、奥の1つだけカーテンが閉められている。

先客はアリか。

とは言え、仮病でやってきたから保険医に見つかれば厄介だが生徒ともなれば気にする必要もないだろう。

そう思って隣のベッドに腰を下ろした。

⏰:11/09/23 13:35 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#847 [我輩は匿名である]
この小説大好きで何回も読んじゃってます(笑)
最近更新されていて嬉しいです(´ω`*)
主さんのペースで頑張って下さい!

⏰:11/09/23 20:21 📱:F01C 🆔:Y9tIiR5k


#848 [ちか]
>>847 匿名さま.

ほんまですか!(*^^*)
書き手としても小説にとっても本当に嬉しい誉め言葉です。ありがとうございます!
いつも不定期ですいません。。
この一週間は順調に更新できると思います!
感想板にもぜひ遊びに来てください(^^)

⏰:11/09/23 21:58 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#849 [ちか]
>>846続き


ガラガラ…

腰かけたとほぼ同時に戸が開く音がした。

「あら、誰か来てたの?ごめんねー、用事で出てたのよー。」


不味いタイミング。

軽く詫びを入れる保険医に、俺は心の中で呟く。


「あ、いや大丈夫です。ただの風邪だと思うんで、寝てれば治ると思います…」

頼む。
のってくれ。

内心で何度も願うように呟いた。

「…そう?…じゃあ、申し訳ないけどもう少し出てていいかしら?」


その返事待ってました。
と言わんばかりに、俺は保険医の死角側の手でガッツポーズをとった。

⏰:11/09/23 22:07 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#850 [ちか]
「じゃあ、すぐ戻るから寝ててねー。あ、隣に寝てる子も起こさないように!」


保険医はそれだけ言って、疾風のごとく去っていった。

やっと落ち着いて考え事に集中出来る。

安堵の息と共に俺は真後ろに倒れこんだ。
仰向けの体勢で薄汚れた天井を仰ぐ。

どうすればいいんだろうか。
考えても考えても、堂々巡りでまるで答えに辿り着かない。

「参ったなー。」

終いにはため息混じりの声が漏れる次第だ。

⏰:11/09/23 22:13 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#851 [ちか]
暫くして授業の終わりを知らせる鐘が鳴った。

もうそんな時間か。
次の授業どうしようかな。
俺はそんな短絡的なことをぼんやり考えていた。

すると、また戸が開く音がする。

保険医が帰ってきたのか。
そう思ったが、そのわりに足音は配慮が足りない。

何かを患った客でもないだろう。

来客を見ようと、顔を出したそのとき。

⏰:11/09/23 22:18 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#852 [ちか]
「黒羽くん、大丈夫?」


俺が来客を覗き込むより先に、その声が届いた。

そして遅れるようにして顔を見る。

あ、この人、たしか副会長の…

名前こそ思い出せないが、一時期恭弥と噂にもなったあの女子生徒であることは間違いなかった。
正しくは、この人もきっと元副会長、になるんだろうな。

⏰:11/09/24 01:10 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#853 [ちか]
って!!!!!

冷静な分析してる場合じゃない!


この人、今、黒羽くん、って…っ―――




まさかと思いながら隣のベッドにチラリと瞳だけ動かすと、ちょうどカーテンが開いて目があった。

⏰:11/09/24 01:13 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#854 [ちか]
きょう……や――――

思わず口に出してしまいそうになった名前を必死で飲み込む。

一瞬合った瞳は一瞬でそらされ、
代わりに労いの言葉をかけた女子生徒に向けられた。

「大丈夫だよ、ごめん心配かけて。もう行くから先に戻ってて。」

至って普通に、しかし気だるさのある声でそういうと女子生徒も多少の間を空けて、再び教室に戻っていった。


なんだよ、心配してくれる女の子も居るじゃん。
可愛いし。

やっぱり俺なんか居なくても、困らないんだよな、コイツは。

半ばふて腐れてそんなことを思う。

⏰:11/09/24 01:20 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#855 [ちか]
しかし、
自分の意思を伝えることは
それとは関係ない。

俺がちゃんと、言っておきたいだけなんだから。

ふて腐れている場合じゃないんだ。

このタイミングを逃してはならないと、俺は意を決して恭弥の居る方へ体を向けた。

⏰:11/09/24 01:22 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#856 [ちか]
「恭弥、あの、」

そう名前を呼んだとき、
冷たい目が俺を容赦なく刺した。

「…もう話しかけないでほしい」

ズキン

と確かに胸が痛んだ。

すぐ目の前に居るソイツが急に遠くに感じる。
だけど、引いてなどいられないと自分を励まし、言葉を繋げた。

⏰:11/09/24 01:27 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#857 [ちか]
「でも、ちゃんと話したいことがあって…っ」

噛みつくように言うと、
恭弥は一瞬だけ迷ったような顔を見せて立ち上がった。

「………僕には話すことなんて無い。」

「あんたに無くても俺にはあるんだよ!!」

なんで取り合ってくれないんだよ、
取り合ってくれようとさえしてくれないんだよ…―――っ

「恭弥っ……!!」

保健室を出ようとする恭弥の手を俺は咄嗟に掴んだ。
思わず力が入る。

⏰:11/09/24 01:34 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#858 [ちか]
俺たち以外に誰もいないこの空間。
張り詰められた空気はまるで糸のようだ。

掴んだ手は冷たく、
また、その声も冷たかった。

「離して、急いでるんだ。」

「なら、今日6時に学校の近くのファミレスの前で待ってる…っ、だからっ…、」

「離せって言ってるだろ…!!」

遮るようにして、恭弥は俺の手を振りほどいた。

そのまま、その背中は遠くなっていく。

⏰:11/09/24 01:41 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#859 [ちか]
「俺待ってるから!!あんたが来るまでずっと…―――、ずっと待ってるから!」


遠退いていく背中に、
精一杯届くように俺は叫んだ。

周りの目など頭にも入らず、

ただ、必死に、去っていく恭弥に向けて。


途切れそうな糸を繋ぎ止めたい一心で、
そうすることしか俺には出来なかったんだ。

⏰:11/09/24 01:46 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#860 [ちか]
それから授業なんて手につかなかった。
いや、いつものことなんだけど。
その最上級みたいな。

今更ながら、
話して何になるんだ、なんて答えようのない自問自答が頭を巡る。

気づけばホームルームも終わり、窓の外はオレンジに染まっていた。

「日下ー、」

⏰:11/09/25 20:30 📱:Android 🆔:lAqmw6zM


#861 [ちか]
「はい?」

名前を呼んだのは担任の前田だった。

「お前今日残れ。」

「は?!なんで?!」

咄嗟のことに、口調も姿勢も前のめりになると、前田は俺の左足を思いっきり蹴った。

「いってぇ〜!!」

「誰にタメ口きいてんだ、クソガキ。」

生徒をクソガキ呼ばわりかよ!

思わずそう叱咤しそうになったが、痛みのあまり声も出なかった。

前田は続ける。

「お前この前の古文の点数分かってんの?学年最低だぞ。
追試のためにもっかい作るのめんどくせーから、備品室の片付けで免除してやるよ。」

⏰:11/09/25 20:52 📱:Android 🆔:lAqmw6zM


#862 [ちか]
よかったな、俺が寛大で、と付け加えて前田は満足げに笑った。

しかし今日の俺はそんなことしてる暇がない。

「や、今日は大事な用事があって…!」

「用事と成績どっちが大事だ」

「用事です」

「バカたれ」

間髪入れずにテンポの良い押し合いが始まる。

「だから今日だけは無理なんですって!!」

これでもかと言わんばかりに懇願した瞳でそう言うと、前田は「あぁ?んー、」とあからさまに気だるそうに唸った。

⏰:11/09/26 17:10 📱:Android 🆔:O9JTdECU


#863 [ちか]
暫く地響きのような唸り声をあげた後、前田が渋々といった調子で口を開く。

「その用事って何時からよ?」

「6時」

そこで、また俺の頭に鉄拳が降る。
“6時です”だろ、と言う言葉と共に。

「6時れす…」

もはや痛みで呂律すら上手く回らない。
涙目で殴られた箇所を擦っている間に前田はニヤリと微笑みかけた。
背筋がゾクッとした。

「なら問題ないだろ!片付けなんか一時間ありゃ終わるし、まだ4時じゃねーか余裕余裕。」

あー、
なんで正直に時間言っちゃったんだろ…

⏰:11/09/26 17:18 📱:Android 🆔:O9JTdECU


#864 [ちか]
「つーことで、よろしくー♪備品室はもう空けてあっから〜」

ヒラヒラと手を降りながら、そんな言葉を残し前田は去っていった。

「今日の俺ついてねぇ〜。とおる〜(泣)」

嘆くように透の方へ駆け寄ると、めんどくさそうに頭を撫でられた。

「なに、どしたー?」

「さっき前田に備品室の片付け頼まれたー」

「うわー、どんまい。」

どんまい、なんて言葉を選んでおきなかがら微妙に笑って見えるのは気のせいだろうか。

⏰:11/09/26 17:25 📱:Android 🆔:O9JTdECU


#865 [ちか]
面白くない、と俺がふくれていると、廊下の方で透を呼ぶ声がした。

「蓮見ー、」

それを辿るように透がくるりと振り返るとクラスメイトとその隣に女の子。

「なにー?」

俺は呼ばれる方へ駆け寄っていく透の背中が見えなくなった後、さっきまで透が座っていた椅子に腰を下ろし、机に突っ伏した。

⏰:11/09/26 22:48 📱:Android 🆔:O9JTdECU


#866 [ちか]
そろそろ行かなきゃなー

さっさと片付けてこよ

そんなことを思いながら、結局だらだらと突っ伏したままどれくらい経っただろうか。
透が帰ってきた。

「あ、おかえりー、」

「ん、ただいま」

「なんだったー?」

「告白された」

は?!
そんなあっさりと何を言ってんの、こいつ!!

⏰:11/09/26 22:54 📱:Android 🆔:O9JTdECU


#867 [ちか]
俺のリアクションに比べ、透の顔は至ってクール。

透、オッケーしたのかな。
したらなんか…寂しいかも。

「で、返事は…」

「断った」

そうなんだ、と相槌を打ったあと、心の中でホッとしている自分がいた。

なんだよ、ホッて!ホッてなんだ、俺!

⏰:11/09/26 22:57 📱:Android 🆔:O9JTdECU


#868 [ちか]
内心で自分自身にツッコミを入れ、話を続ける。

「で、でも可愛かったじゃん」

「お前は可愛かったらどんなか知らない女とも付き合うのか?」

「いや…付き合わない…です」

「だろ?」

はい…、と俺は縮こまった返事を返して仏頂面の透をチラリと見る。

幼なじみだからかあまり考えたこともなかったけど、
やっぱり透は端整な顔立ちをしている。
頭も運動神経も良いし、面倒見が良くて、人望があって、みんなにも優しくて。

考えているうちに自分が惨めになりそうなくらいだった。

⏰:11/09/27 18:34 📱:Android 🆔:eqbciHTs


#869 [ちか]
たぶん高校に入ってからも何度か告白をされていた気がする。
むしろ学年の中じゃ人気もある方だ。
その人気は上級生であっても変わらない。

でも、中学の頃に一度彼女が居たことがあったけど、それっきり透に彼女が出来たなんて聞いたことがない。


よくよく考えてみれば不思議だ。

なんでだろうか?

「なに人の顔じっと見てんの。」

「えっ!!あ、いやっ…」

チラリとしか見てなかったつもりが、いつの間にか凝視してしまっていたようだ。

⏰:11/09/27 19:06 📱:Android 🆔:eqbciHTs


#870 [ちか]
「よく考えたら、透、中学ん時以来彼女作らないなーって。なんでかなーって…」

俺は慌ててそらした目をもう一度透に向けて、またそらす。

見上げる姿勢のせいか、
透がいつもよりデカく頼もしい人間に見えた。

「あー、…俺好きな奴居るから。」

間があったのは一瞬。

開いた口が塞がらないとはまさにこの事。

⏰:11/09/28 01:07 📱:Android 🆔:g9cV2g72


#871 [ちか]
「〜〜っ……そんなの初耳なんだけどっ!!」

「だって言ってなかったし」


衝撃のあまりしどろもどろになる俺をよそに、透は飄々と語る。
この差は端から見れば滑稽極まりない。

なんで俺ばっか焦らなきゃなんないんだよ!!

と半ば逆ギレのような感情が芽生え、この際だからいろいろ聞き出してやる、と意気込んで俺は質問を投げた。

⏰:11/09/29 01:18 📱:Android 🆔:/gQR4j4Q


#872 [ちか]
「可愛い?」

「可愛いって言うよりは生意気…かなー」

「いつから好きなの?」

「だいぶ前」

「へえー、俺の知ってる人?」

「…………ひみつ。」

淡々と答えていた透がその時初めて黙った。

俺はそれに調子乗って追い討ちをかける。

「いいじゃん〜!俺も協力するって!
うちの学校?クラスは?なぁなぁ〜、教えろ…っい゛ってぇ゛!!」


どうやら調子に乗りすぎたみたいデス。

⏰:11/09/29 20:38 📱:Android 🆔:/gQR4j4Q


#873 [ちか]
「なにもしばかなくてもいいだろっ?!」

本日二回目の打撃をくらった頭を擦りながら言うと、透はしれっとしながら
「ごめん、つい手が」
と言って、これ見よがしに手をヒラヒラと見せた。

「それよりお前片付け行ってこなくていいのか?」

「あ。」


透の恋愛沙汰に気をとられ、すっかり忘れていた俺は、間抜けな声でそれを思い出した。

「部活終わる頃にはお前も終わってるだろ?今日帰りどうする?」

当然のようにそう訪ねてくる透に、俺は詫びるように片手を胸の前で立てた。

⏰:11/09/30 00:31 📱:Android 🆔:M6gMnZ3I


#874 [ちか]
「ごめん、今日は大事な用事あるから先帰ってて。」

大事な用事、という言葉に透は怪訝な顔をする。
心配性は相変わらずだ。

「心配しなくても遅くならないようにするから大丈夫だって!じゃあ俺、片付け行ってくるな!透も部活頑張れよー!」


半ば強制終了と言った形で会話を切り上げたのは、これ以上話すと透に感づかれそうだったから。

そうして一方的な言葉を投げて、俺はそのまま備品室へと走った。

⏰:11/09/30 00:37 📱:Android 🆔:M6gMnZ3I


#875 [ちか]
備品室は別名、物置小屋。

なんでも分別なく荷物が運ばれるせいで、備品室の片付けというのは気の遠くなる作業を暗に示唆しているようなものだった。


そんなところだから、場所も校舎の一番奥、人気が少なく、ホコリっぽい。

ガラ...ガラ...

立て付けの悪い戸を力ずくで開けると、覚悟していた通りの有り様だった。

「……さっさと終わらせよ…。」


自分に言い聞かせるように呟いて、俺は目の前のゴミに手を伸ばした。

⏰:11/10/01 18:37 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#876 [ちか]
一時間はゆうに越えた頃、
ようやく備品室は本来の姿に戻りかけていた。

備品室の間取りは単純だが、小さな収納部屋が中に1つある。

あとはそこさえ終われば終了…と言った感じで、俺は収納部屋に足を踏み入れたのだった。

それが悲劇の引き金と知らずに。

⏰:11/10/01 18:42 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#877 [ちか]
俺が収納部屋に入ってすぐの頃、
前田が備品室を訪ねてきていたことに俺は全く気づかない。

「日下ー?片付け終わったかー?」

そんな呼び掛けも、一枚の戸を隔てた小部屋で片付けに没頭していたため聞き逃してしまい、返事など出来ない。

「おー、キレイになってんじゃん。……6時前だしもう帰ったのか。」

そう納得した前田が備品室の鍵を閉めて職員室に戻っていったことさえ、気づかなかったんだ。……――――

⏰:11/10/01 18:49 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#878 [ちか]
「あれ?」

鍵が閉められてると気づいたのは、それから数分後のことだった。

最初は、立て付けの悪さを疑い力ずくで引いてみたが戸はビクともしない。

「え?!なんで?!うそ、は??!」

パニックになった俺はところ構わず、叫んだ。
誰か気づいてくれ。

そんな期待を抱いて。


しかし、ここ校舎の一番奥。
元々人通りがすくない上に、こんな夕方にわざわざ来る奴なんてまず居ない。

「うそだろ……」


携帯のディスプレイはすでに5時50分を表示していた。
―――――――……………
―――――…………
―――………

⏰:11/10/01 18:56 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#879 [ちか]
― 恭弥side.―


俺、待ってるから
あんたが来るまでずっと、
ずっと待ってるから  ……―――


冥のその言葉が何度も頭の中で繰り返された。
放課後になってもそれは変わらなかった。


今日は柄にもなく本当に熱が出て、保健室で休んでいた。
そんな矢先、まさか冥に会うなんて。
なんてタイミングなんだよ、と、苦笑すら溢れた。

僕は冷静を装えていただろうか。
そんなこと考えるだけ無駄だった。


掴まれた手首を指でなぞる。

⏰:11/10/01 19:02 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#880 [ちか]
「………………行ってみるか。」


ずっと待つ、
なんて言うから、行ってすぐに帰れと告げるだけだ。

そんな風に自分を納得させて、学校を後にした。
迎えの車を断って。

⏰:11/10/01 19:05 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#881 [ちか]
ファミレスの前に着いたのは5時きっかりだった。


「なに一時間前から来てるんだか。。」


呆れて自分に嘆く。


仕方なく、なんてそんなのは建前で本当は会いたくてしかたないと気づくと、気恥ずかしさでマフラーに顔を埋めた。


冬の5時はすっかり影を落として光るネオンを見ながらぼんやりと俯いた。


「寒いな。」

そんな呟きは白い息と一緒に、行き交う人々の中へと溶けていった。

……―――――
…――――

⏰:11/10/01 19:14 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#882 [ちか]
― 冥side.―

慌てて透に電話をかける。

「…あっ、もしもし透?!」

しかし、安心したのもつかの間、
《こちらは留守番電話サービスです…,》

機械的な音声に項垂れて電話を切る。

他に連絡の取れる奴…

思い付くままに電話をかけてみる。
数人にかけていくうちに、一人と電話が繋がった。

⏰:11/10/01 22:44 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#883 [ちか]
『おー、どしたん日下ー』

『あのさ、今どこ居る?!』

『えー?今?学校の近くのゲーセン〜』

俺はその返事に思わずガッツポーズを取った。
近くなら頼めば来てくれる、はず!

俺が安堵の息をついている間に
電話の向こうでは
誰?、日下、なんで?、と言った風な会話がなされている。
数人で遊んでるみたいだ。

俺は噛みつくように携帯に話しかけた。

『あ、あのさ、今から学校に、』

『え?ごめん、なんて?』

オメーらうっせーって、と叫ぶ友人の声が聞こえる。
ゲーセンという場所柄、騒々しくてきこえづらいのだろう。

『ごめんごめん、え、なに学校?学校がなんて?』

『あの、俺今、』ップ…ツーツーツー


「えぇ?!もしもし?!あれ?!は?!」

暫く応答のない電話に話しかけたあと、ディスプレイに目を落として漸く分かった。


携帯の寿命切れ。

⏰:11/10/01 23:00 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#884 [ちか]
「まじかよー…」


俺はその場にへたりこんだ。

恭弥との約束が。

もうきっと6時を回っている。


「どうしたらいいんだよ…」

そう呟いて俺は項垂れるしかなかった。

⏰:11/10/01 23:05 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


#885 [ちか]
― 透side.―

「いやー、雨降るとか聞いてねえよなー!」

そう話しかけてきたのは、同じサッカー部の同期だった。

「そうだなー」

「うわ、パンツまでびっしょびしょだし。」

「うんー」

ちょうど部活もラストスパートのとき、急に降りだした雨のせいで早めに部活が終わった俺たちは更衣室で着替えたり、くだらない話をしていた。

「お前、今日集中力無さすぎだろー」

「ん、ごめん」


確かにそうだ。
冥の大事な用事とやらが気になって、気が気じゃなかった。

⏰:11/10/02 00:48 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#886 [ちか]
「いや、いんじゃね?お前にしては珍しいっつーか。」

そんな風に言いながらそいつは鼻歌混じりに着替えをロッカーから探していた。

珍しい、か。


珍しくなんかないんだけどな。

俺はいつだって冥(アイツ)のこととなると、いっぱいいっぱいになる。

⏰:11/10/02 01:10 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#887 [ちか]
「普段完璧なお前がぼーっとしてんの見るとさ、なんかホッとするし!」

「なんだよ、それー。誉め言葉?」

誉め言葉、誉め言葉、と言いながら漸く着替えを見つけたようだ。

普段完璧とは、俺も外面が良くなったもんだな。
なんて他人事のように解釈しながら、濡れた髪をタオルで雑に拭く。

「 ? 」

とその時、鞄からタオルを取った拍子に、その下にあった携帯が点滅していることに気づいた。

⏰:11/10/02 01:16 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#888 [ちか]
着信?

誰からだろうか。

そう思い、おもむろに不在着信の画面を表示する。


「冥?」

そこに表示されていたのは
冥の名前だった。

用事が無くなったのか?
一緒に帰る連絡かなにかだと思い、そのままリダイアルを押す。

しかし何回か呼び出しのコールがなったあとその電話に出たのは、

『お掛けになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…』

と、機械的な女の声だった。

⏰:11/10/02 01:23 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#889 [ちか]
とは言え、大した用事でもないか。

もしかしたら教室で待ってるかも知れないと思い、着替えたあと、そっちを覗いたが冥の姿は無かった。


「やっぱ帰ったか?」

なんだか良くない予感が頭を過ったが、気のせいだろうとそのまま玄関口まで降りた。

外は大雨だ。

「傘、ねえよ。」

こんな時に隣に冥が居れば、
嫌いな雨も好きになれるのに。

なんて、
思ってる俺は欲が出すぎてるのだろうか。

虚無感に思わず失笑した時、
携帯のバイブが鳴った。

「もしもし?」

『あ、蓮見ー?』

電話の主は同じクラスの武内だった。
冥と仲が良いから自然と俺も仲良くなった、そんな流れの付き合いだ。

電話なんてよっぽど用がない限りしない。

⏰:11/10/02 01:35 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#890 [ちか]
「なに、どうしたー?」

当たり障りなく返事を返す。
その際に聞こえてくる騒がしさからゲーセンかカラオケに居ることは察しがついた。

自ずと聞こえやすくなるように、大きめの声量で話す。

向こうも素直に聞き取れたようで、スムーズな会話が期待できた。
その時。

『いやー、なんかさっき日下から電話あったんだけどさ、急に切れちゃって。かけ直したけど出ねーし。』

ああ、
武内にもかけてたのか。

そんな小さな嫉妬は心の隅に追いやって口や顔には出さない。

俺は至って冷静に相槌を打った。

⏰:11/10/02 01:42 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#891 [ちか]
『でさ、なんか学校、学校言っててな、なんかすげー焦ってたみたいだから、蓮見ならなんか分かるかなーって。』

学校?
焦ってる?

嫌な予感がしなくもない。


まさか。

俺は咄嗟に下駄箱に戻った。

冥の靴は……




まだある。

⏰:11/10/02 01:47 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#892 [ちか]
『ってあれ?蓮見?聞いてる?』


受話器の向こう側からそんな声がして咄嗟に言葉を返す。

「あ、聞いてる聞いてる。冥まだ学校みたいだから探すわ。連絡さんきゅ。」

そう言って一方的に通話を切った。


もう既に冷静を保ててはいない。

⏰:11/10/02 01:50 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#893 [ちか]
「どこ行ったんだよ、あのバカ…っ」


焦ってる。
その言葉が妙に引っ掛かる。

校舎内に居るのは確かだ。
教室には居なかった。

この雨じゃ中庭や屋上でもないはず。
そしたらアイツの居そうな場所は……、

「………備品室…っ」


そう呟いたと同時に、
俺の足は既に走り出していた。

⏰:11/10/02 01:56 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#894 [華子]
1から一気に読みました´ω`
面白いお話をありがとう
どうか2人が別れませんように

⏰:11/10/02 13:05 📱:SH08B 🆔:yVZPv3.k


#895 [ちか]
>>894 華子さま.

わりと長いシリーズなんですが
一気に読んでもらえて嬉しいです(*^^*)
こちらこそありがとうございます!
これから更新するので続きをお楽しみに♪
感想板もあるので遊びに来てくださいねっ

⏰:11/10/02 15:51 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#896 [ちか]
>>893

はぁっはぁっ…

「無駄に広いっつーの、この校舎…っ」

一気に階段をかけあがり、別館の最奥にある備品室に着く頃には既に息が上がっていた。

人気もなく、薄気味悪い。


「冥ー!!」

余っている体力から絞りように声を張り上げた。

すると、
「透?!」

紛れもない冥の声が耳を掠めた。

俺は備品室の戸を雑に叩く。

⏰:11/10/02 15:56 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#897 [ちか]
「冥?!こん中か?!」

問いかけに応えるように、内側でも戸を叩く音がする。

「なんか閉じ込められちゃって…」

いつからこうしていたのか、
すでに冥の声に覇気は無かった。

闇雲に戸を開けようとしてみたが、ビクともしない。

やはり鍵がかかっているようだ。

⏰:11/10/02 16:01 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#898 [ちか]
職員室まで鍵取りに行くか?


………いやもうめんどくさい。

それならいっそのこと、


「冥、そこ退いとけ。」

「へ?」

ガンッ

「透?!」

もう一度、ガンッと音が鳴る。

もう一度。

そして、

⏰:11/10/02 16:08 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#899 [ちか]
その瞬間けたたましい音と共に戸が室内に倒れた。
倒れた拍子に戸に嵌め込まれていたガラスが床に散らばる。

「案外、開くもんだな。」

思いっきり打ち付けた体にじんわりと痛みが滲んだ。


「冥、ケガしてない?」


目の前には涙の溜まった目を丸くした冥が突っ立っている。
俺がそう訪ねると、何度も頷いた。

よかった。無事で。

「お待たせ。」

自然と笑みが溢れる。

⏰:11/10/02 16:12 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#900 [ちか]
「本気で死ぬかと思った〜…」

半泣きのそいつを宥めるように、頭を叩いた。

「ったく、お前はほんとに心配ばっかりかけさせて…」

「ごめんなさい…」

冥は身を縮こめて謝ると、その拍子に無惨に倒れた戸の姿が目に入った。


「あれ、どうしよっか…」

責任を感じるような面持ちでソレを眺める冥。

俺がさせたいのはそんな顔じゃない。

だから、

⏰:11/10/02 20:30 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#901 [ちか]
「あれは俺が何とかしとくから。」

「え、でも、俺のせいだし、」


俺は深くため息をついて冥を見据えた。

「…大事な用事、あるんだろ?」

それでも、冥は
でも、だの、なんだの言って動こうとしない。

「あのなー、」

半乾きの髪を掻いて、冥を睨んだ。

「…どうせなら最後までかっこつけさせてくれる?」

⏰:11/10/02 20:36 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#902 [ちか]
「……ありがとうっ」






ほら、

俺がさせたかったのは

その笑顔。

⏰:11/10/02 20:39 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#903 [ちか]
そのまま走り去った冥の姿が見えなくなったのを確認して、俺は壁を背にそのまま座り込んだ。


倒した拍子で散らばったガラスに
軽く腕を切ったことに気づいた。

触れてみて
いてっ、とつい口から溢れた。

そしてふいに呆れたような笑みが出る。


「…俺のお人好し。」

―――――…………
―――…………
――………

⏰:11/10/02 20:46 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#904 [ちか]
― 恭弥side.―

時計を見る。

とうに約束の時間は過ぎ、7時を回っていた。


苦笑に近い笑いが出る。

降りだした雨が容赦なく体を打ちつけ、自分の愚かさがさらに浮き彫りになったような気分になる。


「バカみたいだ…」

⏰:11/10/02 20:52 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#905 [ちか]
突き放しておきながら、

結局何かに期待していた。


期待していたのは自分だけだったと、
思い知らされた。

一時間前から来て、
約束の時間が来て、
雨が降ってもその場から動く気はしなかった。

正しくは、
傘でも買っているうちに来たらすれ違ってしまうと思うと、動けなかった。

⏰:11/10/02 20:55 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#906 [ちか]
「自業自得かな。」


虚しさが増すだけと分かってはいるが、言葉にすると漸く重い足を動かすことが出来た。


もう冥にそんな気はないんだ。

今さら、なんだ。
僕が自分で決めたこと。

⏰:11/10/02 20:59 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#907 [ちか]
すっかり濡れて重たくなった制服が虚しさを煽り、家に帰ることは憚られた。


自ずと足は自宅と逆の方向に歩き始める。



霞む視界には人混みとネオンの光。

そこに冥の姿はやはり無かった。

⏰:11/10/02 21:05 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#908 [ちか]
― 冥side.―


はぁ…はぁっ……

全速力で走って、
漸く約束の場所に着いた。


が、すでに時計は7時を少し回ったところだった。

「くそっ……」


恭弥の姿は無い。

雨に濡れた髪が鬱陶しいほどまとわりつく。

まるで、自分の気持ちにまさ絡み付くように。



終わっちゃうのかな、俺たち。

⏰:11/10/02 21:09 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#909 [ちか]
「俺のバカっ…」

思わず溢れそうになる涙を必死に止めた。

そんな資格、俺には無い。

それでも、そこから離れたらすべてが終わってしまいそうで、


俺はなかなか動けずに居た。

浅ましい期待が動くことから遠ざけていた。

⏰:11/10/02 21:17 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#910 [ちか]
どれくらいそうしていただろうか。


すっかり雨は体を冷たくしていた。

っくしゅん、
と、くしゃみをして、
冬の雨はこんなに寒かったのかと今さらのように気づく。

虚しくて、

締め付けられるように悲しい。

⏰:11/10/02 21:19 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#911 [ちか]
深くため息をついた時、
ふいに携帯が鳴った。

おもむろに通話ボタンを押す。


「もしもし?」

『あ!!もしもし、冥ちゃん?!』

「めぐさん…?」


慌てたような声が受話器から届く。

なんでこんな時にめぐさんから?

不思議に思い、その声を聞く。

⏰:11/10/02 21:22 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#912 [ちか]
『いや、なんか、今凌の家おるんやけどな、』

間間に、いや、とか、あの、とか、繋げ言葉が混ざる。
せっかちなめぐさんらしい。

おかしくなって、少しだけ笑うことが出来た。
でもなんで凌さんの家に?

疑問を抱きつつ、受話器に耳を傾ける。
そして次の一言で俺の心臓はドクンと跳ねた。


『そしたら、急にキョンが来て…、』

⏰:11/10/02 21:26 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#913 [我輩は匿名である]
冥の携帯は電池切れで電源入ってないのに、携帯が鳴るっておかしくないですか?

⏰:11/10/02 21:30 📱:T001 🆔:cokBRWXE


#914 [ちか]
『なんかめっちゃ濡れてるし、熱やばくて…、っいたっ、ちょ、凌!!結局返せ!』

受話器の向こうでは凌さんの声が混ざる。

『なんでお前はそうせっかちなんだよ!様子見ようって言っただろ、バカ!』

『バカって言った方がバカですーっ!』


そんなコントばりの喧嘩が繰り出されるのはほんの少ししか耳に入らない。

とにかく分かったことただ一つ。

「凌さん家(チ)ですね、すぐ行きます…!」


そこに恭弥が居るってこと。

俺は人混みを掻き分けて走り出した。

⏰:11/10/02 21:32 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#915 [ちか]
>>913 匿名さま.

あ( ;; )。
真剣に忘れてました( ;▽; )
あー、えっと、どうしようかな!(;_;)
ちょっと待ってください!
うわー、完全にミスりました!勢いに乗りすぎた!パニック!

⏰:11/10/02 21:35 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#916 [ちか]
>>914 訂正

結局返せ→×
携帯返せ→○

⏰:11/10/02 21:36 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#917 [ちか]
>>911-914
カットします!
投稿しちゃったのに雰囲気ぶち壊してすいません(TT)
指摘ありがとうございます、助かりました(TT)

>>910の続きから書きます!

⏰:11/10/02 21:38 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#918 [ちか]
>>910続き


深くため息をついた時、

目の前に見覚えのある車が停まった。

窓から顔を出したのは、

「めぐさん…?」

霞んだ視界に顔がはっきり映るには少し時間がかかった。

「ほら、ここやって言ったやろ?!」

「はいはい。」

そのやり取りと声で奥に凌さんが居ることも分かった。

でも、

「あの、なんで…?」

なんで俺の居場所が?
それを聞く前にめぐさんが遮った。

「ええから、はよ乗り!説明は乗ってから!」

そうやって俺は半強制的に車に乗せられた。

⏰:11/10/02 22:00 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#919 [ちか]
「あの、えっと、……」

チラリと凌さんを見た。

「………。」

あからさまに不機嫌なご様子。

それに対して、めぐさんは相変わらず。

「…なんで俺のこと探してたんですか?」

慎重に聞くと、めぐさんが思い出したかのように口を開いた。

「いや、さっき急にキョンが来てな!」

その名前を聞いた瞬間、心臓がドクンと跳ねた。


あ、俺凌ん家(チ)におってー、と付け加えながら、めぐさんはさらに話を繋げる。

⏰:11/10/02 23:21 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#920 [ちか]
「なんかこの雨の中傘も持ってないみたいでびっしょびしょやし、熱も酷くてなー、倒れるみたいに家入ってきて、」


恭弥はそこまでして何をしていたのだろうか。
待っていてくれたんじゃないか。
傘もささずにずっと…

なんて淡い期待が湧く。

でも、そんなわけ…

「そんで、どうしたん、どっから来たんって聞いたら、冥と約束がなんちゃらって、学校、ファミレス、って単語だけ喋ってそんままぶっ倒れんねんもん。
で、とりあえずベッドに寝かして、冥ちゃん探しに来てん。」


最後まで聞き終わる頃には心臓の締め付けがさらに強くなっていた。

本当に来てくれてたんだ…

何か熱いものがじんわり滲んでくるような感覚になった。

⏰:11/10/02 23:30 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#921 [ちか]
「やっぱ俺の勘は正しかったな!」


満足げに笑うめぐさんに容赦なく凌さんの鉄拳が入る。

「たまたまだろ、調子乗るな。」

ふくれためぐさんが凌さんに食って掛かる様子を見ながら、内心二人に感謝していた。

恭弥ごめん。

そう心の中で何度も呟いて。

⏰:11/10/02 23:35 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#922 [ちか]
心なしか車に乗っている時間が長く感じた。

焦りが時間の感覚さえ引き伸ばしている。
実際はそんなに距離もないはずなのに。


漸く着いた凌さんの家に上がり、
部屋に通される。

そこにはこんなにも会いたかった愛しい人。

⏰:11/10/02 23:44 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#923 [ちか]
「タオル。拭きなよ。」

「あ、どうも…」

凌さんに渡されたタオルで全体を軽く拭くと、俺はベッドの傍に駆け寄った。

バタン、という音がして二人が気を利かせてくれたのだと知る。

寝顔を見ながらおでこに手を当てる。
たしかにすごい熱。


「ごめん…」

こぼれるような呟きが漏れる。

⏰:11/10/02 23:49 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#924 [ちか]
「俺のせいで…」

声が揺れる。

感情に容量があるなら、もう決壊は近い。

「でも、俺…恭弥が居ないとやっぱり…」

恭弥が居ないこの期間、
世界がモノクロになったみたいだった。

⏰:11/10/02 23:55 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#925 [ちか]
「恭弥じゃないとダメなんだよ…」

溢れる言葉と共に涙が流れた。

もうダメかも知れない。
何を言ったって、恭弥の気持ちは変わらないかも知れない。

だけど、
それでも好きなんだ。


眠っている恭弥を見ながら、次から次へ言葉が溢れた。

⏰:11/10/03 00:03 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#926 [ちか]
「たしかに強引だし、独占欲強いし、わがままだけど…」

そんな恭弥に俺は
いつの間にか惹かれてて。

「それでも俺、」

そんな恭弥が愛しくて、

「俺…、」

もうずっとあんたしか、

「恭弥のこと…」

見えなくて

⏰:11/10/03 00:09 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#927 [ちか]
好き、


そう言いかける前に
唇が塞がれた。


一瞬のことに驚いて、
また涙が一筋頬を伝う。

目の前には
困ったように、でも優しく微笑む恭弥。

「ごめん、最後まで聞きたかったけど可愛かったから、つい。」

⏰:11/10/03 00:15 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#928 [ちか]
っな、

「なんで?!寝てたんじゃ…っ、///」

俺の動揺に、
恭弥はさらに不味そうな顔をした。

「や、起きてた。」

ごめん、と付け足されると、もはや攻める気にもならない。

焦りと恥ずかしさから言葉な出ずに口がパクパクと意味無く動く。

「でも、安心した。」

そう言って笑う恭弥の顔を見たのはいつぶりだろうか。

⏰:11/10/03 00:20 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#929 [ちか]
「冥のこと誰にもやりたくなくて、でもそしたら冥を幸せに出来ないと思った。だったらいっそ、僕と離れた方が冥のためなんじゃないかって思ってた。」


恭弥がそんなこと考えてたなんて。

胸の奥がじんわりと暖かくなった。

嬉しさにまた涙が出る。


「冥ってこんな泣き虫だっけ」

クスッと笑う恭弥が少し憎らしい。

「泣き虫にさせてんのは誰だと思ってんだよ、バカ」

⏰:11/10/03 00:25 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#930 [ちか]
「ごめん、…でも冥はほんとに僕でいいの?僕、冥のこと独り占めしちゃうよ?」

「…何回も言わ…せんな、っ」

しゃくりあげるのを堪えて、
目の前のソイツを睨んだ。


「…もう、あんたしか見えてねえよ…っ」

バカ。とか付け足したのは照れ隠し。

頬が紅潮していくのが自分でも分かった。

⏰:11/10/03 00:31 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#931 [ちか]
恭弥が俺の頬に触れる。
熱のせいかその手は熱い。

「もう絶対離さない。」

「当たり前だ。」


そして唇が再び重なった。

今度は、
さっきと違って
長く、息も出来ないほどの。


「ん…ふ…ぁ」

恭弥、もっと、

頭ではらしくないと思っても
もう感情がそれを追い抜いていた。

せがむように首に手を回したその時。

⏰:11/10/03 00:38 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#932 [ちか]
ドサッ

「いったー…」

背後から聞き覚えのある声。

「凌、お前のせいやぞっ」

「はあ?!お前が押すから…っ」


っな、

「%☆€◆@$〜っ?!」

全部見られてた?!


恥ずかしさのあまり、
ぐんぐん顔の色は紅くなる。

⏰:11/10/03 00:42 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#933 [ちか]
少し言い合ったあと、
二人は漸くこちらを見た。
バツが悪そうな顔で。


「め、めぐが、」

「凌かて見てたんやから共犯やろ?!」


お互いがお互いを指差しながらまた言い合いが始まる。

そんな中にわって入ったのは

「どうでもいいけど、」

恭弥の声。

⏰:11/10/03 00:46 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#934 [ちか]
「これから良いとこだから邪魔しないでよね。」


ふいに後頭部を強く掴まれ、
強引に唇が触れる。

かぶりつくような、
強引なキス。


「お邪魔しましたっ」

めぐさんがそう言って凌さんを引っ張って出ていった。

今度こそちゃんとドアは閉まったようだ。


「さて、」

⏰:11/10/03 00:51 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#935 [ちか]
「続き、どうする?」


悪戯に妖しく笑う恭弥に
俺の全身はますます熱くなる。


「黙れ、病人!!///」

「うわ、酷い言われよう。」

「うるさいっ////」

⏰:11/10/03 00:56 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#936 [ちか]
まぁ、でも

「冥、」

「なに?!」

心なしか恭弥の笑顔が幸せそうだから、

「愛してる。」

今回だけは

「〜〜……っ、うるさーいっ!!!!!////」


良しとしてやる。

  ― 第九話 e n d ―

⏰:11/10/03 01:06 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#937 [ちか]
*

第九話 隣のあの子
>>698-936

▼感想板
http:// bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

今回も不定期更新でしたが、無事第九話も完結しました*

後半勢いで、充電切れの携帯復活させちゃってすいません(・・;)

後半は順調に更新できてよかったです!
たくさんの応援ありがとうございました!
それもこれもみなさまのおかげです><
良ければ、
感想などよろしくお願いします。(*^^*)
これがUのラストのお話でしたっ。

*

⏰:11/10/03 01:12 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#938 [ちか]
*

第九話 隣のあの子
>>698-936

▼感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

では、おやすみなさい(*^^*)

⏰:11/10/03 01:13 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#939 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
★ Uまとめ

第五話 不器用なココロ
>>7-297

第六話 鬼と悪魔と時々×××?!
>>299-425

第七話 特別な日
>>427-583

第八話 寂しがりの誘惑
>>585-696

第九話 隣のあの子
>>698-936
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:11/10/03 18:36 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#940 [ちか]


*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

漆黒の夜に君と。T[BL]
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9870/

第一話〜第四話のまとめ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9870/906-911

第五話〜第九話 まとめ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/10217/939

⏰:11/10/03 18:40 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#941 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/02 03:07 📱:Android 🆔:Ltpo.xA.


#942 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-40

⏰:22/10/04 23:12 📱:Android 🆔:nH.OoPsQ


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