漆黒の夜に君と。U[BL]
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#201 [ちか]
ちゅ。
軽く唇を乗せると、柔らかい感触を感じた。
高鳴る鼓動と、きつく瞑る瞳。
全身が熱くなるのが分かった。
その時。
「んふ…ぁ?!!///」
突然忍びこんできた舌。
「んんっ…//‥‥―!!!」
余韻を残して離された唇を辿ると、まだ少し微睡んだ漆黒の瞳があった。
「寝込み襲うなんて悪趣味だね。」
:09/07/14 21:32 :P906i :uUIWmaXs
#202 [ちか]
そう言われて俺の顔は一気に熱が込み上げる。
「や…っ、ちがっ!!!///
これはその…っ、つまり//」
「《つまり》、なに?」
上半身を起こしてて、
ぐいぐいと迫ってくる恭弥
「えっと…その、うわあっ!!?」
ドンッ
「いったぁ〜…(涙)」
迫ってくる恭弥から逃げるように後ろへ後ろへと退いていると、いつの間にかベッドの範囲を越えてしまったようだ。
音を立てて俺は床に叩きつけられた。
:09/07/14 21:44 :P906i :uUIWmaXs
#203 [ちか]
「…何してんの、全く。」
恭弥があんな顔して
近づいてくるからだろ?!//
心の中でそう叫びながらも口に出すことは出来ず、俺は起き上がろうと腰をあげた。
が。
:09/07/14 21:47 :P906i :uUIWmaXs
#204 [ちか]
「いっってぇーッ!!!(泣)」
腰に激痛が走る。
ジンジンとしみるように痛さが伝わってきた。
「腰痛いの?」
ベッドの上から見下ろすように俺を覗く恭弥に、俺は顔を大きく縦に振った。
「情けないなぁ。《アレ》くらいで。クス‥」
《アレくらい》じゃなくて《アレだけすれば》だっつーのっ!!!!!!!(泣)
:09/07/14 21:52 :P906i :uUIWmaXs
#205 [ちか]
ベッドから落ちた衝撃でさらに腰の痛みは悪化したようで、俺はその場を動けずに居た。
が、
「仕方ないなぁ。」
と気だるそうに呟くと、恭弥は軽々と俺を抱き上げた。
いつものお姫様抱っこで。
暴れたくても暴れられない俺は、ただ顔が赤くなっていくのを感じるしかなかった。
:09/07/16 17:36 :P906i :cLbwCS8g
#206 [ちか]
ゆっくりとベッドに降ろされた俺。
俺を気遣ってくれてるのかいつもより丁寧だ。
「…あ、ありがと..」
目も合わせないままそう言うと、恭弥は俺の頭を軽く撫でた。
「どういたしまして。」
その笑顔はすごく優しくて。愛しくて。
いつの間にか俺達の唇は重なろうとしていた。…――
:09/07/16 17:39 :P906i :cLbwCS8g
#207 [ちか]
バァンッ!!!!
「朝やで〜っ!!起きい〜♪」
残り数mmといったところで、愛しかった雰囲気はいとも簡単に掻き消された。
固まる俺と恭弥。
徐々に恭弥の怒りが辺り一帯に広がっていく。
そんなこともお構い無しに相変わらず暢気な声をあげるめぐさん。
「あ、ごめんごめん!!もしかして俺、邪魔してもた?!」
:09/07/16 17:50 :P906i :cLbwCS8g
#208 [ちか]
「もしかしてじゃなくて、邪魔なんだよ、ねぇ?分かってる?」
めぐさんの居る方へ振り返った恭弥の背中からは殺気が漂っていた。
「ごめんて!!そんな怖い顔せんとってや〜(汗)」
苦笑いを浮かべ両手を合わせるめぐさん。
そんな姿に恭弥はあからさまな溜め息を吐いた。
「で、なんの用?」
:09/07/17 13:16 :P906i :kBnPgbV.
#209 [ちか]
「ん?あ〜!!!そうそう!!」
恭弥の問いかけにめぐさんは大きく手を叩いた。
「海!!!海行こーや!!」
満面の笑み。
口元からは八重歯がチラリと見えた。
しかし、今のこの状況。
‥‥‥行けるはずない。
:09/07/17 22:25 :P906i :kBnPgbV.
#210 [ちか]
「悪いけど、冥体調良くないから今日は無理。」
「えっ?!なんで?!どーしたん冥ちゃん!!」
大袈裟なリアクションが独特だ。
「とにかく今日は無理。」
鬱陶しそうにめぐさんに返す恭弥の声を聞きながら、俺は俯いた。
行きたかったなぁ…海。
:09/07/17 23:13 :P906i :kBnPgbV.
#211 [ちか]
「ん〜…じゃあバーベキューしよ、バーベキュー!!」
大きくて通る声が雰囲気をパッと明るくした。
「だから体調が…、」
俺は恭弥の言葉を遮るように服の裾を引っ張った。
「…バーベキューしたい。」
小さく呟いたその声に恭弥は少し戸惑う。
「でも…「大丈夫だよ、さすがに今すぐは無理だけど..」
そう言って少し引きつるように笑った。
そうすると恭弥はいつもみたいに優しく俺の頭を撫でた。
「分かった。」
優しい微笑み。
:09/07/18 09:10 :P906i :ohQY5GhA
#212 [ちか]
「よし!じゃあ決まりやな★恭!!朝飯食ったら買い出し行くで!」
「買い出し?」
「おう!」
きょとんとした顔を向ける恭弥。
そして一言。
「バーベキューの準備って僕達でするの?」
あぁ…この人って、こう言う人だったよな‥
:09/07/18 09:14 :P906i :ohQY5GhA
#213 [ちか]
「当たり前やろ!!お前、ほんま相変わらずやなぁ」
ケラケラと笑うめぐさんにつられて俺も少し笑う。
本人はなんで笑われてるのか分かってない様子。
「ところで今何時か分かる?」
恭弥にそう聞かれ、めぐさんは自分の腕時計に目をやった。
「え〜っと、12時半過ぎやな!!」
「「‥‥‥‥。」」
あぁ…この人もこう言う人だったよな…。
:09/07/18 09:19 :P906i :ohQY5GhA
#214 [ちか]
その後、3人で朝御飯と言うには遅すぎる食事をとった。
「そう言えば凌は?」
「さぁ。どっかでヴァイオリンでも弾いてるんちゃう。」
めぐさんは凌さんの事となると、途端に機嫌を悪くする。
「ふぅん。」
「「「‥‥‥‥‥。」」」
なんだ、この空気!!
この雰囲気を変えるために俺はやたら饒舌(ジョウゼツ)になった。
そんな風に食事を終えた俺達は、暫くしてバーベキューの準備に取り掛かることにした。
:09/07/18 10:20 :P906i :ohQY5GhA
#215 [ちか]
「じゃあ俺と恭は買い出し行ってくるから、冥ちゃんは留守番しときぃ。」
「僕も留守番が‥「んじゃあ、行ってきまーす♪」
そうして玄関の扉はバタンと音をたてた。
「恭弥もめぐさんも居ないし暇だなぁ。」
そう思いながらまだ痛む腰を少しさすった。
:09/07/18 10:25 :P906i :ohQY5GhA
#216 [ちか]
だだっ広いリビング。
さすがに一人で居るには寂しい。
「…凌さんどこかな?」
そう呟いて俺の足は自然と昨日の庭へ向かっていた。
――――――――――――――――――――――――
:09/07/18 15:09 :P906i :ohQY5GhA
#217 [ちか]
― めぐるside.―
「「「 あ。 」」」
玄関を出てすぐ俺達はバッタリ出会ってしまった。
(コイツ、あからさまに嫌な顔しやがって‥‥)
俺は思いっきり凌を睨んだ
その碧色の瞳に俺の姿なんて映ってないと言うのに。
「どこ行くの?」
「ん?ちょっと買い出しにね。」
:09/07/18 20:00 :P906i :ohQY5GhA
#218 [ちか]
「買い出し?」
首をかしげながら凌はそう言った。
「バーベキューすんねん!!!バーベキュー!!お前はココで留守番しとけ。」
自分で言うのもなんやけど、かなりの憎たらしい口調。
案の定、凌はムッとした顔を家の中へ入っていった。
:09/07/18 21:01 :P906i :ohQY5GhA
#219 [ちか]
「なんやねん、あの目!!
ほんっっまムカつくわ!!!」
吐き捨てるようにそう言って俺はスタスタと歩いていく。
「ちょっ、車は?!?!」
後ろからそう叫ぶ恭の声がする。
あ゙ーっ!!!!
イライラする!!!!
「買い出しっちゅーもんはなぁ!!!歩いてするもんなんじゃ!!!」
※完璧な八つ当たり(笑)
:09/07/18 21:44 :P906i :ohQY5GhA
#220 [ちか]
恭弥もこれには呆れた様子で、でも隣に並んできた。
やけど、なんせこの雰囲気の悪さ。
いや、俺が悪くしたんやけど!!
俺は自業自得のこの沈黙を破れずにいた。
照りつける真夏の太陽が、俺の額を湿らせる。
(この空気どないしよ‥)
考えれば考えるほど解決案が見つからず、汗がタラリと首筋を伝った。その時。
「あのさ、」
沈黙を破る乾いた声。
:09/07/19 08:46 :P906i :4c/3kdjU
#221 [ちか]
声のする方へ顔を向けると、夏とは無関係のような真っ白な肌が目に映った。
「なに。」
応答は自分でも驚くほど静かで短いものやった。
セミの声が辺り一面を五月蝿くするが、俺達の間だけはやけに静かな気がする。
「めぐ、凌のこと
好きでしょ?」
:09/07/19 08:56 :P906i :4c/3kdjU
#222 [ちか]
一瞬、この世の何もかもが止まった気がした。
それくらい衝撃的だった。
「…は、はぁ?!何言ってんねん!!お前俺のどこ見てそんなん言って‥‥、」
何故か心臓が早く脈を打った。
何故自分が焦っているのか分からない。
解らない…。
:09/07/19 09:04 :P906i :4c/3kdjU
#223 [ちか]
「どこを見てって言うか‥‥、なんとなくだけど。」
「は…はは、なんやそれ。変なこと言うなよ。」
なんで俺、こんなひきつってるんや?
こんなんいつもの俺やったら、笑い飛ばすなりキレるなりするはずやのに‥‥
でも、今俺の中はどっちでもない。
なんなんやろ、この感覚…
:09/07/19 14:11 :P906i :4c/3kdjU
#224 [ちか]
「じゃあ、めぐは凌の何が嫌いなの?」
その問いかけの口調は、嫌味や悪気などは全くなくただ素朴だった。
「そ、そりゃ…俺を馬鹿にしてるようなあの目とか‥」
「凌の目付きはもともと悪いよ?」
「あの憎たらしい口調とか…」
「いつも先に喧嘩吹っ掛けるのはめぐでしょ。」
「俺を見下ろす態度‥、」
「めぐの方が身長低いんだから仕方ないよ。」
「‥‥‥‥‥‥。」
:09/07/19 14:29 :P906i :4c/3kdjU
#225 [ちか]
ことごとく覆された俺は黙り込んだ。
それに追い討ちをかけるようにして恭弥は言う。
「そもそも、何がキッカケであんな仲悪くなったっけ?」
「それは…っ‥‥‥」
「それは?」
「いや、なんでもない。そんなん忘れたわ。」
「?変なの。」
そう言って恭弥は歩いていく。でも俺は立ち止まってしまった。
『忘れる』わけないから
:09/07/19 16:49 :P906i :4c/3kdjU
#226 [ちか]
でも、それは仲が悪くなったキッカケじゃない。
俺が、俺一人がアイツを拒んだ理由‥‥―――
―――――――――――
まだ8つか9つの頃だった。
たまたまパーティーで顔を合わせた俺とアイツ。
親同士の思いつきで急遽皆の前で、俺はピアノ、アイツはヴァイオリンで一つの曲を一緒に演奏することになった。
:09/07/19 17:04 :P906i :4c/3kdjU
#227 [ちか]
だけど、演奏中。
俺の親は仕事でパーティーを抜けた。
演奏が終わった後、舞台を降りるとアイツは両親に抱き締められていた。
何度も何度も頭を撫でられて誉められていた。
でも俺は‥‥―――
隣に世話係りが居るだけ。
「なんで俺だけ‥‥っ
なんで‥‥‥っ
俺は一人やねん…!!!!」
そう言って世話係りの服の裾を千切れるくらい強く握った。
嫉妬した。妬んだ。
そんなキッカケで俺はアイツを遠ざけるようになった。
:09/07/19 17:16 :P906i :4c/3kdjU
#228 [ちか]
「アホやな…俺。」
そう呟いてまた恭の隣に並んだ。
でもきっと俺はもうアイツとは並んで歩けない。
俺がそうしたから‥――
恭弥はチラリとこっちに目を向けたがすぐにまたそらした。
「また女抱いたんだね。」
―――‥‥え?
:09/07/19 17:36 :P906i :4c/3kdjU
#229 [ちか]
「女物の香水の匂いする。」
顔をしかめる恭弥。
「…ふ、はは。昨日俺が出ていく時から分かってたくせにいちいち言うんや?
性悪やな恭も。」
「お前には言われたくない」
お前には、か。
――――――――――――
――――――――――――
:09/07/19 17:47 :P906i :4c/3kdjU
#230 [ちか]
:09/07/19 17:53 :P906i :4c/3kdjU
#231 [りえ]
:09/07/19 20:11 :SH905i :kuBLqg1c
#232 [ウ]
この小説大好きですイ
毎回楽しみにしてます~。
:09/07/19 22:31 :W53T :1nzXVRTU
#233 [ちか]
>>331└→りえ
さま
ずっとですか!!><
大好きなんて言ってもらえて嬉しすぎます(;д;`)
これからも頑張ります!
>>3感想板にもぜひお越しください♪
ありがとうございましたっ
:09/07/20 01:22 :P906i :8LQ1D/eo
#234 [ちか]
>>233さま
私の携帯がドコモのせいで、名前が分からずすいません(;_;`)
嬉しいお言葉ありがとうございます!!
私にはもったいないくらいです(T_T*)
これからも楽しんでもらえるように頑張ります★
>>3感想板にもぜひ♪
ありがとうございましたっ
:09/07/20 01:23 :P906i :8LQ1D/eo
#235 [ちか]
― 冥side.―
「い…いた‥‥!!」
方向音痴の俺が、
わりと簡単にココまで来れたのは、やっぱり
♪―‥♪〜‥
この音のおかげかな?
:09/07/20 09:40 :P906i :8LQ1D/eo
#236 [ちか]
だけど今回は、
「また来たの。」
「あ…ごめんなさい。」
すぐバレちゃった。
:09/07/20 12:35 :P906i :8LQ1D/eo
#237 [ちか]
凌さんと俺の間には
中途半端な距離。
凌さんの眼がそうさせる。
近寄れないオーラみたいな
だけど、
嫌な感じじゃないんだよな
「そんなトコ居ないでこっち来れば。」
ほら。
:09/07/20 12:49 :P906i :8LQ1D/eo
#238 [ちか]
凌さんの隣に小さくなって座ってみる。
「なんで体育座り…。」
「え?あ‥や、癖って言うか…あは、あはは‥」
何緊張してんだ俺!!!!//
少し左上を見上げると、ブロンドの髪を靡かせる色白な顔が見える。
つくづく綺麗だよなぁ…
:09/07/20 13:21 :P906i :8LQ1D/eo
#239 [ちか]
って!!!!!///
俺なに考えてんのっ!!!
相手はあくまでオ・ト・コ!!
これじゃあホモ道まっしぐらじゃんかあああ!!
「はぁ…。」
俺が好きなのはあくまで
恭弥なワケで
「どうかした?」
男ではない。絶対…。
「なんでもないです‥」
:09/07/20 13:26 :P906i :8LQ1D/eo
#240 [ちか]
「あ、そう。」
「はい…。」
「‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥。」
「「‥‥‥‥‥‥‥‥。」」
気まずっ!!!!(汗)
どうすりゃいいんだよ…
なんか話題話題話題‥
「あ、あの…っ」
「何?」
「凌さんは、めぐさんの事、きっ‥嫌いですか?」
:09/07/20 13:44 :P906i :8LQ1D/eo
#241 [ちか]
「え‥‥‥、」
目を丸くする凌さん。
「あ‥‥‥っと…」
俺の馬鹿ぁぁっ!!!!(泣)
なに聞いてんだよ!!!
よりによって、めぐさんのこと‥‥っ
「ご、ごごめんなさい!!!
別に悪い意味とかじゃなくて!!その…「嫌い。」
「嫌いだよ、アイツのこと」
「え…あ、そう‥ですか…」
なんでかな。
分かってたハズなのに、なんか悲しい…。
:09/07/20 13:51 :P906i :8LQ1D/eo
#242 [ちか]
「でも…昔はもっと嫌いだった。」
「え?」
俯いていた顔をあげて左を見ると、至って無表情な凌さんが目に映る。
が、その碧眼は何かを物語っていた。
「昨日言っただろ?
俺が虐待を受けて施設に入れられて。今の両親が本当の両親じゃないこと。」
俺は力なく頷いた。
:09/07/20 14:48 :P906i :8LQ1D/eo
#243 [ちか]
「だから昔っから嫌いだったんだ。我が儘言いたい放題のアイツが。」
いつの間にか俺達を照りつけていた太陽は沈む準備を始めていた。
「俺は言えなかった。
欲しい物とかしたい事とか、我が儘言ったらまた捨てられるんじゃないか、って思うと恐くて言えなかった。」
「凌さん‥‥。」
…そんな哀しい顔しないで
:09/07/20 14:57 :P906i :8LQ1D/eo
#244 [ちか]
「でも今思えば、羨ましかったんだよ、アイツが。
俺は嫉妬してたんだ。」
凌さんはそう言って無理な笑顔を作った。
「でも今は違う意味で嫌い」
「違う意味?」
「うん。」
小さく頷いて、凌さんはヴァイオリンを撫でた。
:09/07/20 15:03 :P906i :8LQ1D/eo
#245 [ちか]
「アイツ昨日の夜出ていっただろ?あの後、きっと女と寝てた。」
「えっ?!」
初耳な事と衝撃的な事で、俺は思わず声を大きくした。
そして慌てて口元を手で覆う。
凌さんはそんな俺をチラリと横目で見て、話を続けた。
「いつからだかは分かんないけど、アイツそうやって何かから逃げてんの。」
そう言って表情を曇らせた。
「《何か》って…?」
:09/07/20 15:11 :P906i :8LQ1D/eo
#246 [ちか]
そう問いかけると、凌さんは静かに顔を横を振った。
「それは分からない。
でもああやって逃げるのは違うと思う。ムカつくし、なんて言うか‥‥
見てて痛い。」
俺はそう言い終えた凌さんに、なかなか声をかけられなかった。
だって…、俺思うんだ。
:09/07/20 15:17 :P906i :8LQ1D/eo
#247 [ちか]
きっと凌さんは
めぐさんの事嫌いじゃない
嫌いだったら、もっと拒絶してるよ。
見ないようにするはずだよ。
でも凌さんは違う。
多分、解りたいんだ。
凌さんはめぐさんのこと。
もっと近づきたいんだよ…
:09/07/20 15:21 :P906i :8LQ1D/eo
#248 [ちか]
「仲良くなれたら…良いですね。」
気づけば無意識に
そんなことを呟いていた。
「?べ、別に俺は‥‥っ」
凌さんは何かを言いかけたが、それが最後まで言い終わる前に、
『ただいまぁーっ!!!』
と買い出しから帰ってきためぐさんの声が響いた。
「あ、おかえりなさーい。」
振り返ると、たんまり食料を買い込んだ2人が見えた。
:09/07/20 15:28 :P906i :8LQ1D/eo
#249 [ちか]
「冥ちゃーん!!準備するでー♪」
少し遠くからめぐさんの明るい声が届く。
俺もそんな明るさにつられて「はーい!」と返事を返し、腰を上げた。
いつの間にか、だいぶ痛みは無くなっていた。
「あ、」
凌さんは動かず座りこんだまま。
「ほら、凌さんも行くんですよっ!!」
俺がそう言って手を差し出すと、
凌さんは少し戸惑いの表情を見せた後、
その手を掴んだ。
――――――――――――
――――――――――――
:09/07/20 15:47 :P906i :8LQ1D/eo
#250 [ちか]
― 凌side.―
『仲良くなれたら
良いですね』
まさかそんな風に言われるなんて、思ってもみなかった。
アイツと仲良く
なんて考えてもみなかった
だけど、何だろう?
嫌(イヤ)じゃないこの感覚。
嫌い(キライ)なはずなのに。
─────‥‥
───────────
:09/07/20 16:08 :P906i :8LQ1D/eo
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