漆黒の夜に君と。U[BL]
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#901 [ちか]
「あれは俺が何とかしとくから。」

「え、でも、俺のせいだし、」


俺は深くため息をついて冥を見据えた。

「…大事な用事、あるんだろ?」

それでも、冥は
でも、だの、なんだの言って動こうとしない。

「あのなー、」

半乾きの髪を掻いて、冥を睨んだ。

「…どうせなら最後までかっこつけさせてくれる?」

⏰:11/10/02 20:36 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#902 [ちか]
「……ありがとうっ」






ほら、

俺がさせたかったのは

その笑顔。

⏰:11/10/02 20:39 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#903 [ちか]
そのまま走り去った冥の姿が見えなくなったのを確認して、俺は壁を背にそのまま座り込んだ。


倒した拍子で散らばったガラスに
軽く腕を切ったことに気づいた。

触れてみて
いてっ、とつい口から溢れた。

そしてふいに呆れたような笑みが出る。


「…俺のお人好し。」

―――――…………
―――…………
――………

⏰:11/10/02 20:46 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#904 [ちか]
― 恭弥side.―

時計を見る。

とうに約束の時間は過ぎ、7時を回っていた。


苦笑に近い笑いが出る。

降りだした雨が容赦なく体を打ちつけ、自分の愚かさがさらに浮き彫りになったような気分になる。


「バカみたいだ…」

⏰:11/10/02 20:52 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#905 [ちか]
突き放しておきながら、

結局何かに期待していた。


期待していたのは自分だけだったと、
思い知らされた。

一時間前から来て、
約束の時間が来て、
雨が降ってもその場から動く気はしなかった。

正しくは、
傘でも買っているうちに来たらすれ違ってしまうと思うと、動けなかった。

⏰:11/10/02 20:55 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#906 [ちか]
「自業自得かな。」


虚しさが増すだけと分かってはいるが、言葉にすると漸く重い足を動かすことが出来た。


もう冥にそんな気はないんだ。

今さら、なんだ。
僕が自分で決めたこと。

⏰:11/10/02 20:59 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#907 [ちか]
すっかり濡れて重たくなった制服が虚しさを煽り、家に帰ることは憚られた。


自ずと足は自宅と逆の方向に歩き始める。



霞む視界には人混みとネオンの光。

そこに冥の姿はやはり無かった。

⏰:11/10/02 21:05 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#908 [ちか]
― 冥side.―


はぁ…はぁっ……

全速力で走って、
漸く約束の場所に着いた。


が、すでに時計は7時を少し回ったところだった。

「くそっ……」


恭弥の姿は無い。

雨に濡れた髪が鬱陶しいほどまとわりつく。

まるで、自分の気持ちにまさ絡み付くように。



終わっちゃうのかな、俺たち。

⏰:11/10/02 21:09 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#909 [ちか]
「俺のバカっ…」

思わず溢れそうになる涙を必死に止めた。

そんな資格、俺には無い。

それでも、そこから離れたらすべてが終わってしまいそうで、


俺はなかなか動けずに居た。

浅ましい期待が動くことから遠ざけていた。

⏰:11/10/02 21:17 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#910 [ちか]
どれくらいそうしていただろうか。


すっかり雨は体を冷たくしていた。

っくしゅん、
と、くしゃみをして、
冬の雨はこんなに寒かったのかと今さらのように気づく。

虚しくて、

締め付けられるように悲しい。

⏰:11/10/02 21:19 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#911 [ちか]
深くため息をついた時、
ふいに携帯が鳴った。

おもむろに通話ボタンを押す。


「もしもし?」

『あ!!もしもし、冥ちゃん?!』

「めぐさん…?」


慌てたような声が受話器から届く。

なんでこんな時にめぐさんから?

不思議に思い、その声を聞く。

⏰:11/10/02 21:22 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#912 [ちか]
『いや、なんか、今凌の家おるんやけどな、』

間間に、いや、とか、あの、とか、繋げ言葉が混ざる。
せっかちなめぐさんらしい。

おかしくなって、少しだけ笑うことが出来た。
でもなんで凌さんの家に?

疑問を抱きつつ、受話器に耳を傾ける。
そして次の一言で俺の心臓はドクンと跳ねた。


『そしたら、急にキョンが来て…、』

⏰:11/10/02 21:26 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#913 [我輩は匿名である]
冥の携帯は電池切れで電源入ってないのに、携帯が鳴るっておかしくないですか?

⏰:11/10/02 21:30 📱:T001 🆔:cokBRWXE


#914 [ちか]
『なんかめっちゃ濡れてるし、熱やばくて…、っいたっ、ちょ、凌!!結局返せ!』

受話器の向こうでは凌さんの声が混ざる。

『なんでお前はそうせっかちなんだよ!様子見ようって言っただろ、バカ!』

『バカって言った方がバカですーっ!』


そんなコントばりの喧嘩が繰り出されるのはほんの少ししか耳に入らない。

とにかく分かったことただ一つ。

「凌さん家(チ)ですね、すぐ行きます…!」


そこに恭弥が居るってこと。

俺は人混みを掻き分けて走り出した。

⏰:11/10/02 21:32 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#915 [ちか]
>>913 匿名さま.

あ( ;; )。
真剣に忘れてました( ;▽; )
あー、えっと、どうしようかな!(;_;)
ちょっと待ってください!
うわー、完全にミスりました!勢いに乗りすぎた!パニック!

⏰:11/10/02 21:35 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#916 [ちか]
>>914 訂正

結局返せ→×
携帯返せ→○

⏰:11/10/02 21:36 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#917 [ちか]
>>911-914
カットします!
投稿しちゃったのに雰囲気ぶち壊してすいません(TT)
指摘ありがとうございます、助かりました(TT)

>>910の続きから書きます!

⏰:11/10/02 21:38 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#918 [ちか]
>>910続き


深くため息をついた時、

目の前に見覚えのある車が停まった。

窓から顔を出したのは、

「めぐさん…?」

霞んだ視界に顔がはっきり映るには少し時間がかかった。

「ほら、ここやって言ったやろ?!」

「はいはい。」

そのやり取りと声で奥に凌さんが居ることも分かった。

でも、

「あの、なんで…?」

なんで俺の居場所が?
それを聞く前にめぐさんが遮った。

「ええから、はよ乗り!説明は乗ってから!」

そうやって俺は半強制的に車に乗せられた。

⏰:11/10/02 22:00 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#919 [ちか]
「あの、えっと、……」

チラリと凌さんを見た。

「………。」

あからさまに不機嫌なご様子。

それに対して、めぐさんは相変わらず。

「…なんで俺のこと探してたんですか?」

慎重に聞くと、めぐさんが思い出したかのように口を開いた。

「いや、さっき急にキョンが来てな!」

その名前を聞いた瞬間、心臓がドクンと跳ねた。


あ、俺凌ん家(チ)におってー、と付け加えながら、めぐさんはさらに話を繋げる。

⏰:11/10/02 23:21 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#920 [ちか]
「なんかこの雨の中傘も持ってないみたいでびっしょびしょやし、熱も酷くてなー、倒れるみたいに家入ってきて、」


恭弥はそこまでして何をしていたのだろうか。
待っていてくれたんじゃないか。
傘もささずにずっと…

なんて淡い期待が湧く。

でも、そんなわけ…

「そんで、どうしたん、どっから来たんって聞いたら、冥と約束がなんちゃらって、学校、ファミレス、って単語だけ喋ってそんままぶっ倒れんねんもん。
で、とりあえずベッドに寝かして、冥ちゃん探しに来てん。」


最後まで聞き終わる頃には心臓の締め付けがさらに強くなっていた。

本当に来てくれてたんだ…

何か熱いものがじんわり滲んでくるような感覚になった。

⏰:11/10/02 23:30 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#921 [ちか]
「やっぱ俺の勘は正しかったな!」


満足げに笑うめぐさんに容赦なく凌さんの鉄拳が入る。

「たまたまだろ、調子乗るな。」

ふくれためぐさんが凌さんに食って掛かる様子を見ながら、内心二人に感謝していた。

恭弥ごめん。

そう心の中で何度も呟いて。

⏰:11/10/02 23:35 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#922 [ちか]
心なしか車に乗っている時間が長く感じた。

焦りが時間の感覚さえ引き伸ばしている。
実際はそんなに距離もないはずなのに。


漸く着いた凌さんの家に上がり、
部屋に通される。

そこにはこんなにも会いたかった愛しい人。

⏰:11/10/02 23:44 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#923 [ちか]
「タオル。拭きなよ。」

「あ、どうも…」

凌さんに渡されたタオルで全体を軽く拭くと、俺はベッドの傍に駆け寄った。

バタン、という音がして二人が気を利かせてくれたのだと知る。

寝顔を見ながらおでこに手を当てる。
たしかにすごい熱。


「ごめん…」

こぼれるような呟きが漏れる。

⏰:11/10/02 23:49 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#924 [ちか]
「俺のせいで…」

声が揺れる。

感情に容量があるなら、もう決壊は近い。

「でも、俺…恭弥が居ないとやっぱり…」

恭弥が居ないこの期間、
世界がモノクロになったみたいだった。

⏰:11/10/02 23:55 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#925 [ちか]
「恭弥じゃないとダメなんだよ…」

溢れる言葉と共に涙が流れた。

もうダメかも知れない。
何を言ったって、恭弥の気持ちは変わらないかも知れない。

だけど、
それでも好きなんだ。


眠っている恭弥を見ながら、次から次へ言葉が溢れた。

⏰:11/10/03 00:03 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#926 [ちか]
「たしかに強引だし、独占欲強いし、わがままだけど…」

そんな恭弥に俺は
いつの間にか惹かれてて。

「それでも俺、」

そんな恭弥が愛しくて、

「俺…、」

もうずっとあんたしか、

「恭弥のこと…」

見えなくて

⏰:11/10/03 00:09 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#927 [ちか]
好き、


そう言いかける前に
唇が塞がれた。


一瞬のことに驚いて、
また涙が一筋頬を伝う。

目の前には
困ったように、でも優しく微笑む恭弥。

「ごめん、最後まで聞きたかったけど可愛かったから、つい。」

⏰:11/10/03 00:15 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#928 [ちか]
っな、

「なんで?!寝てたんじゃ…っ、///」

俺の動揺に、
恭弥はさらに不味そうな顔をした。

「や、起きてた。」

ごめん、と付け足されると、もはや攻める気にもならない。

焦りと恥ずかしさから言葉な出ずに口がパクパクと意味無く動く。

「でも、安心した。」

そう言って笑う恭弥の顔を見たのはいつぶりだろうか。

⏰:11/10/03 00:20 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#929 [ちか]
「冥のこと誰にもやりたくなくて、でもそしたら冥を幸せに出来ないと思った。だったらいっそ、僕と離れた方が冥のためなんじゃないかって思ってた。」


恭弥がそんなこと考えてたなんて。

胸の奥がじんわりと暖かくなった。

嬉しさにまた涙が出る。


「冥ってこんな泣き虫だっけ」

クスッと笑う恭弥が少し憎らしい。

「泣き虫にさせてんのは誰だと思ってんだよ、バカ」

⏰:11/10/03 00:25 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#930 [ちか]
「ごめん、…でも冥はほんとに僕でいいの?僕、冥のこと独り占めしちゃうよ?」

「…何回も言わ…せんな、っ」

しゃくりあげるのを堪えて、
目の前のソイツを睨んだ。


「…もう、あんたしか見えてねえよ…っ」

バカ。とか付け足したのは照れ隠し。

頬が紅潮していくのが自分でも分かった。

⏰:11/10/03 00:31 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#931 [ちか]
恭弥が俺の頬に触れる。
熱のせいかその手は熱い。

「もう絶対離さない。」

「当たり前だ。」


そして唇が再び重なった。

今度は、
さっきと違って
長く、息も出来ないほどの。


「ん…ふ…ぁ」

恭弥、もっと、

頭ではらしくないと思っても
もう感情がそれを追い抜いていた。

せがむように首に手を回したその時。

⏰:11/10/03 00:38 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#932 [ちか]
ドサッ

「いったー…」

背後から聞き覚えのある声。

「凌、お前のせいやぞっ」

「はあ?!お前が押すから…っ」


っな、

「%☆€◆@$〜っ?!」

全部見られてた?!


恥ずかしさのあまり、
ぐんぐん顔の色は紅くなる。

⏰:11/10/03 00:42 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#933 [ちか]
少し言い合ったあと、
二人は漸くこちらを見た。
バツが悪そうな顔で。


「め、めぐが、」

「凌かて見てたんやから共犯やろ?!」


お互いがお互いを指差しながらまた言い合いが始まる。

そんな中にわって入ったのは

「どうでもいいけど、」

恭弥の声。

⏰:11/10/03 00:46 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#934 [ちか]
「これから良いとこだから邪魔しないでよね。」


ふいに後頭部を強く掴まれ、
強引に唇が触れる。

かぶりつくような、
強引なキス。


「お邪魔しましたっ」

めぐさんがそう言って凌さんを引っ張って出ていった。

今度こそちゃんとドアは閉まったようだ。


「さて、」

⏰:11/10/03 00:51 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#935 [ちか]
「続き、どうする?」


悪戯に妖しく笑う恭弥に
俺の全身はますます熱くなる。


「黙れ、病人!!///」

「うわ、酷い言われよう。」

「うるさいっ////」

⏰:11/10/03 00:56 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#936 [ちか]
まぁ、でも

「冥、」

「なに?!」

心なしか恭弥の笑顔が幸せそうだから、

「愛してる。」

今回だけは

「〜〜……っ、うるさーいっ!!!!!////」


良しとしてやる。

  ― 第九話 e n d ―

⏰:11/10/03 01:06 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#937 [ちか]
*

第九話 隣のあの子
>>698-936

▼感想板
http:// bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

今回も不定期更新でしたが、無事第九話も完結しました*

後半勢いで、充電切れの携帯復活させちゃってすいません(・・;)

後半は順調に更新できてよかったです!
たくさんの応援ありがとうございました!
それもこれもみなさまのおかげです><
良ければ、
感想などよろしくお願いします。(*^^*)
これがUのラストのお話でしたっ。

*

⏰:11/10/03 01:12 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#938 [ちか]
*

第九話 隣のあの子
>>698-936

▼感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

では、おやすみなさい(*^^*)

⏰:11/10/03 01:13 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#939 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
★ Uまとめ

第五話 不器用なココロ
>>7-297

第六話 鬼と悪魔と時々×××?!
>>299-425

第七話 特別な日
>>427-583

第八話 寂しがりの誘惑
>>585-696

第九話 隣のあの子
>>698-936
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:11/10/03 18:36 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#940 [ちか]


*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

漆黒の夜に君と。T[BL]
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9870/

第一話〜第四話のまとめ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9870/906-911

第五話〜第九話 まとめ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/10217/939

⏰:11/10/03 18:40 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#941 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/02 03:07 📱:Android 🆔:Ltpo.xA.


#942 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-40

⏰:22/10/04 23:12 📱:Android 🆔:nH.OoPsQ


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