漆黒の夜に君と。U[BL]
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#451 [ちか]
**


>>443-450みなさま
あげてくださって
ありがとうございます;_;


亀でごめんなさいm(__)m
少し余裕が出来たので
更新したいと思います*

⏰:10/02/18 14:21 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#452 [ちか]
>>441続き


俺は自分のリアルすぎる想像に身震いしながら、再び求人雑誌を眺めはじめた。


しかし自分の求める条件を満たすような店はこの薄っぺらい紙のどこにもない。


「やっぱあそこしかないかなあ…」

そう呟いて携帯の電話帳から一人の番号を検索した

⏰:10/02/18 14:27 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#453 [ちか]
「‥‥‥あ、もしもし俺です、日下です
はい、ご無沙汰してます
あの、ちょっとお願いが
あるんですけど…──」




思い起こせばこの一本の電話から俺たちはズレていったんだ。‥‥────

⏰:10/02/18 14:36 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#454 [ちか]
───────‥‥
───‥

放課後、俺は久しぶりに電車に乗った。

恭弥の車を断って乗り込んだ電車が行くのは、懐かしくて歩き慣れた街の駅。



カラン、コロン


久しぶりに押した扉は案外軽く開いた。

⏰:10/02/18 14:42 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#455 [ちか]
「おー久しぶり!」


相変わらずの明るさがさらに懐かしさを醸し出した。

店の匂いも流れる音楽の雰囲気も何一つ変わってない


「お久しぶりです、店長。」

懐かしいなあ

⏰:10/02/18 14:45 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#456 [ちか]
「急に電話してくるから、なんかあったのかと思ったわ。」

「すいません…。でも俺が言うのもなんですけど、本当に良いんですか?」


店長はグラスを磨きながら穏やかに笑う。


「もちろん。」


今の俺にはこの笑顔が身に染みるようにありがたい。

「ありがとうございます!」


よし!
恭弥のためだし
頑張って稼ぐぞ!

⏰:10/02/18 21:58 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#457 [ちか]
― 恭弥 side.―


最近冥がおかしい。




どう考えても何か
隠してるようにしか見えないんだけど。


だいたい…


「今何時だと思ってるの?」

深夜3時帰宅って
どう言うこと?

⏰:10/02/18 22:17 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#458 [ちか]
「ご、ごめん…なさい(汗)」

「答えになってない。」



なんで目をそらすんだ。



壁に両手をついて
冥を挟むような体勢をとる

⏰:10/02/18 22:25 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#459 [ちか]
「ちゃんと答えなきゃこのまま襲う。」


もちろん答えたとしても
そうするけど。


冥は一向にこっちを見ようとしない。

「ど…どいてよ」

「やだ。」


なんなのこの感覚。
変な胸騒ぎ。

⏰:10/02/18 22:28 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#460 [ちか]
こうなったら無理にでも吐かせてあげる。


冥の顎を強く上げ、無理矢理に唇を重ねた。


「ん…ぅ‥ふ…っ」

苦しそうに僕の服を握る冥

「んん…っ!!や…だって…ば!!!!」


ドン.

⏰:10/02/18 22:31 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#461 [ちか]
「と、とにかく今日はいやなんだよ!
おやすみ!!!!」


バタンッ.


ドアが強く閉まる音が響いて暫くして僕はズルズルと廊下に座りこんだ。



なに?
どういうこと?

「‥‥‥拒否された‥?」

⏰:10/02/18 22:38 📱:P906i 🆔:uFkBQKYM


#462 [ちか]
― 冥side.―


次の朝、目が覚めると恭弥の姿は無かった。


いつもなら寝込み襲ってくるはずの恭弥が居ないことに違和感を感じて部屋を見渡すと、

小さなテーブルの上に一枚髪が置かれていた。

⏰:10/02/26 21:19 📱:P906i 🆔:jxIPLLps


#463 [ちか]
【 冥へ

 急な仕事が入って家には
 土曜まで帰れそうにない
 学校も行けない。
 僕が居ない間、色々
 気をつけてね。

       恭弥 】


淡白な文章だった。

昨日のこと怒ってるのかな…?

⏰:10/02/26 21:25 📱:P906i 🆔:jxIPLLps


#464 [ちか]
でも着替る時、鏡越しで首筋に薄い紅色の斑点を見つけて、

少しだけ安心した。



恭弥の誕生日はちょうど日曜日だし、バイトするにはある意味好都合だ。



気分を切り替えて俺は支度を済ました。

⏰:10/02/26 21:29 📱:P906i 🆔:jxIPLLps


#465 [ちか]
その日から俺は毎日深夜までバイトに明け暮れた。


恭弥が外出中なのを良いことに朝方まで働くこともしょっちゅうだったし、

久しぶりに店長やバイト仲間と話したりしてその時間が全く苦じゃなかった。


そんな風にして日は過ぎてゆき、恭弥の帰宅一日前、誕生日の二日前という日が訪れた。

⏰:10/02/27 21:23 📱:P906i 🆔:P6Gu94Xo


#466 [ちか]
学校が終わって、早速店に向かう。


バイトも今日で終わりだ。

また会えなくなるのは寂しいけど、恭弥へのプレゼントが買えると思うと気合いは充分に入った。


「冥、ちょっとこっち来い」

突然店長に手招きをされて、俺は言われるがまま店の奥に入った。

俺、なんかミスしたかな?

ビクビクしながらスタッフルームに入った。

⏰:10/02/27 21:34 📱:P906i 🆔:P6Gu94Xo


#467 [ちか]
「ほら、これ。」


そんな短い言葉と共に渡されたのは、茶色い封筒だった。


「え、でもまだ
仕事終わってな…」

「いいからいいから。
ずっと朝方まで働いてもらったから充分だよ。
今日はこれ持って早く帰って寝ろ。」


店長はそう言って優しい笑みを向ける。


「店゙長゙〜〜っ!!(泣)」


優しさに半泣き状態になった俺は衝動的に抱きついた。

⏰:10/02/27 21:44 📱:P906i 🆔:P6Gu94Xo


#468 [ちか]
「はいはい、はいはい。笑
分かったから!
じゃ、気をつけて帰れよ。」


そう言って店長は出ていった。

封筒の厚みからしても
やっぱり店長は優しい。


しかし
またお世話になったな…
いつかちゃんと恩返ししたいな。


そんなことを考えながら着替えを済ませ、裏口から店を後にした。

⏰:10/02/28 00:11 📱:P906i 🆔:QS.lHBaQ


#469 [ちか]
―― PM 23:58



この街が賑わい始める時間、俺は一人駅までの道を歩いていた。


やがて小さな曲がり角に突き当たり、路地裏に入っていく。

駅までの近道だから。


真っ直ぐそこを進むとまた角があり、そこを曲がろうとしたその時。

⏰:10/02/28 15:38 📱:P906i 🆔:QS.lHBaQ


#470 [ちか]
全身に電気が走ったみたいだった。


金縛りみたいに
動けなくなって
俺は声にならない声を
短く上げた。



だって

そこには

知らない女の人とキスしてる恭弥が居たから。

⏰:10/03/01 00:22 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#471 [ちか]
固まった俺は

何度も瞬きをして

ソレが恭弥じゃないことを祈った。



だけど、何度見ても
恭弥に変わりはなくて。

それは紛れもない真実で。

⏰:10/03/01 00:39 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#472 [ちか]
なんでなんでなんで

恭弥、
仕事なんじゃなかった?


なんでそんな人と
キスしてるの?

なんでそんな人の肩なんて抱いてるの?


「な ん … で 」

気づけば俺は逆方向へ
走り出していた。

⏰:10/03/01 00:43 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#473 [ちか]
その日は

そこからもう記憶が曖昧。


どうやって帰ったか

何時に帰ったか

何も憶えてない。


だけど生々しいくらい
恭弥があの時何をしてたかだけは憶えてて
夢じゃなかったんだって実感するしかなかった。


気がつけば俺はベッドに寄りかかった状態で朝を迎えていた。

⏰:10/03/01 08:08 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#474 [ちか]
涙のあとがくっきりと残っている。


「恭弥‥‥」


ダメだ。

名前一つ口にしただけで
苦しくなる。

もうすぐそこまで来ている涙を溢さないようにするので必死。

頭の中で何度も鮮明に
あの光景が流れた。

⏰:10/03/01 16:31 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#475 [ちか]
恭弥が帰ってくるのは今日


まともに顔を見れる自信は無い。

それどころか、
泣いてしまうかもしれない


だけど、昨日のことを問い詰める勇気なんて俺には無かった。

⏰:10/03/01 16:34 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#476 [ちか]
だって
もし問い詰めて
認められたら?


そうだよ、もうお前なんて好きじゃない


なんて言われちゃったら
俺はどうしたらいい…?


.

⏰:10/03/01 16:45 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#477 [ちか]
「情けない…」



強がっても、
口に出さなくても、

俺はいつの間にか、そこまで恭弥に依存してたんだ。

問い詰めて離れてしまうなら、何も言わずにいつもみたいに笑って一緒に居れた方がよっぽど幸せ。

そう思ってしまうくらい、もう気持ちは傾いていたんだ。

⏰:10/03/01 16:48 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#478 [ちか]
普通にしてれば
大丈夫。

いつも通り名前
呼んでくれるはず。

“要らない”なんて
言われるはずない。


黙ってよう。

黙ってれば幸せで
居られるんだから…

⏰:10/03/01 16:58 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#479 [ちか]
学校では割りと平然を
装えた。

透には目腫れてるって
言われたけど…
なんとか誤魔化しきれた、と思う。


あとは帰って
普通に喋って笑って
寝るだけ。

…それだけって思ってた。

⏰:10/03/01 17:00 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#480 [ちか]
「 冥。 」


ふい打ちだった。

だって帰ったら玄関で恭弥が待ってたんだから。



「お、おかえり…」

咄嗟に出たのはそんな言葉だった。
動揺して声が震えてるのが自分でも分かった。

⏰:10/03/01 17:06 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#481 [ちか]
まだ心の準備も出来てないのに…


手足が震えて、恭弥の顔をまともに見れない。


でも分かってる。
それだけが理由じゃないことぐらい。


本当の理由は、

⏰:10/03/01 17:20 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#482 [ちか]
「…話がある。来て。」








恭弥の目が真剣で、
いつもと違うから。

⏰:10/03/01 17:22 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#483 [ちか]
俺は小さく頷いて




先を歩く恭弥に




付いていくことしか
出来なかった。…―――

⏰:10/03/01 17:26 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#484 [ちか]
― 恭弥side.―


急な仕事入って暫く家に帰ってなかったけど、

正直頭の中は冥のことしか無かった。



あの夜拒否されて、
それからすぐ仕事でまともに話も出来ないままで、
仕事が手につくわけなかった。

⏰:10/03/01 17:35 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#485 [ちか]
だから、調べさせたんだ。

松山に。


あの夜、冥がなんで遅かったのか。



すぐに理由は分かった。

またバイト始めたらしい、と。

僕が留守の間もずっと。

⏰:10/03/01 17:37 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#486 [ちか]
なんでバイトなんかする必要がある?


金が足りないなら
いくらでもあげるのに


なんで僕を拒んだ?



考えた結果、
ある結論にたどり着いた。

⏰:10/03/01 17:39 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#487 [ちか]
“冥はココを出ていこうとしている。”



それなら合点がいく。


合点はいくけど、
納得はいかない。


手放したくなかった。

意地でも繋ぎ止める。


その為にこうして早く仕事も片付けて、話す時間作ったんだから。

⏰:10/03/01 17:47 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#488 [ちか]
今僕は、
いや正確に言うと僕達は
廊下を歩いてる。



冥、なんでそんなに震えるの。

そんなに僕がキライ?


もう終わりなの?


ため息さえ溢れた。

⏰:10/03/01 18:04 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#489 [ちか]
やがて突き当たりの僕の部屋に着いた。

「入って。」


ドアをゆっくり開けると
冥を中に入れてから
僕も入り、またゆっくりと閉めた。



回りくどいことは嫌いだから単刀直入に言おうと思う。

結果がどうなろうと、離す気なんて無いんだから…

⏰:10/03/01 22:36 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#490 [ちか]
― 冥side.―


これから何を言われても
絶対泣かないようにしよう


これが最後になっても…



そう決めて無理矢理顔を上げると、無表情の恭弥が目に入った。



沈黙を破ったのは
やっぱり恭弥の方だった。

⏰:10/03/01 22:46 📱:P906i 🆔:k.iFxsI2


#491 [ちか]
「バイトしてるんだって?」

「え‥‥」


なんで知って…


そんな風に恭弥を見上げると恭弥はため息をついた。

「不自由させてるつもりは無かったんだけど、違った?」

⏰:10/03/02 00:23 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#492 [ちか]
「違っ…、これは…っ」

違う
違うそんな顔させたかったワケじゃない

「コレは?」

「‥‥‥‥。」


ただ喜んでほしくて…


だけどプライドが邪魔して「恭弥のプレゼントのため」とは言えなかった。

⏰:10/03/02 07:46 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#493 [ちか]
「言えない理由でもあるんだ?」

「‥‥‥。」


張り詰めた空気に沈黙が流れる。


やがて、恭弥が一層深いため息を吐いて口を開いた。


「…もういいよ。
そんなに僕のこと嫌いなら早く出ていきなよ。
その為の金なんでしょ?」


‥‥は?

⏰:10/03/02 07:50 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#494 [ちか]
「――‥‥に、それ……」


何かの糸が切れたみたいだった。

抑制していたソレはどこかに消えて、俺は吐き出すように叫んだ。


「何だよ、それ……っ
俺のこと要らないなら、そう言えばいいじゃん!!!!!

人がどんな気持ちで貯めた金かも知らないで…っ

⏰:10/03/02 08:00 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#495 [ちか]
分かったよ、言われなくても出てってやるよ!!
そんであの昨日の女の人と暮らせばいいじゃん!!!!」


ポタポタと溢れだした涙は止まる気配など全くない。

目の前で恭弥は驚いた顔のまま俺を見つめている。

「なに、昨日の女の人って…」


口を開いたかと思えば、シラを切るつもりのような台詞。

⏰:10/03/02 08:07 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#496 [ちか]
もう、うんざりだ。

こんな奴に振り回されるのはやめよう。

もうこれで終わりにする。
何もかも、全部。


「俺だってもう要らない!!!
お前なんか…っ
お前なんか…―――っ!!」

⏰:10/03/02 08:12 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#497 [ちか]





「世界で一番
  大嫌いだ……っ!!!!」



⏰:10/03/02 08:12 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#498 [我輩は匿名である]
この小説だいすきです(*^^*)
更新楽しみにしてます
ちかさんのペースで頑張ってください

⏰:10/03/02 18:43 📱:P02A 🆔:Nm5C0NI.


#499 [ちか]
>>498
→匿名さま!

あ、あ、あ、ありがとうございます〜っ(´;ω;`)

そうやって言ってもらえてわたしも小説も幸せ者です!!
これからもよろしくお願いします★

⏰:10/03/02 21:52 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


#500 [ちか]
>>497続.



俺はそんな言葉と、
ずっと握りしめていた小さな箱を投げつけて部屋を飛び出した。


二度とここには帰らない。

もう俺には要らないんだから。…―――

⏰:10/03/02 21:56 📱:P906i 🆔:GuhYBDKw


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