漆黒の夜に君と。U[BL]
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#120 [ちか]
「確かに好きは好きだけど、そう言う意味で好きだったのはだいぶ昔のことだよ。」


そう言って凌さんはおかしそうに笑う。

だけど俺は全く笑えない


だってさぁ!!!!

たとえ昔だったとしても、こんっっっな綺麗な人が恭弥のこと好きだったとか…

さすがに負い目感じずにはいられない。
俺の心はショックと不安の渦にぐるぐると掻き乱された。

⏰:09/05/12 23:48 📱:P906i 🆔:A7YkuQuc


#121 [ちか]
そんな俺を見て、凌さんは話を続ける。

「今はなんて言うか…好きだけどそう言う対象の好きじゃないから、そんな顔しなくていいって。」

「は、はい…」

そうは言われても‥‥

返事をしても、顔は半泣き状態の俺。

凌さんは一度大きなため息をつくと、追い討ちをかける一言を呟いた。


「まぁ確かに、しょーもない奴だったら別れさせるつもりだったけど…」

⏰:09/05/12 23:55 📱:P906i 🆔:A7YkuQuc


#122 [ちか]
真顔で言われると余計に怖いって!!!(泣)

もはやショックすぎて言葉も出ない俺はただ固まるだけ。


「……まぁ、でもその心配は無さそうだから。」

「へ…??」


聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声を聞き返すと、凌さんは空を見上げながら言った。

「恭にあんな顔が出来ると思わなかった。」

⏰:09/05/13 19:03 📱:P906i 🆔:twm7d2MU


#123 [ちか]
「恭が、あんな風に笑うなんて想像も出来なかった。
あんなに誰かを愛しそうな目で見るのも…
君のおかげで恭は変わったんだと思う。」


凌さんはそう呟いて碧眼に星を映してた。


俺は、恭弥の俺にしか見せない一面があることを喜んだけど、そのすぐ後にめぐさんの言葉を思い出した。

⏰:09/05/13 22:08 📱:P906i 🆔:twm7d2MU


#124 [ちか]
『アイツに誰かを好きになる日が来ること自体、信じられへんかってん。』



二人の言葉は確かに似ていた。

それを言う時の表情(カオ)も。



まるで恭弥の何かを知っているかのようだ。

⏰:09/05/13 22:13 📱:P906i 🆔:twm7d2MU


#125 [ちか]
「恭は俺の恩人なんだ。」


真っ暗な空にその声はよく響いた。


思わず「恩人?」と聞き返す俺。
凌さんはそれにコクンと頷いて話し出した。



「俺子供の頃喋れなかったんだ。」

⏰:09/05/15 20:40 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#126 [ちか]
そんな言葉が耳に届き、俺は咄嗟に落としていた目線を凌さんに向けた。


「俺さぁ、子供の頃、親に結構酷い虐待受けてて捨てられたんだ。
で、施設に入れられて出会ったのが今の両親。」

そう話す凌さんの横顔が心なしか悲しげに見えた。


「でもその時にはもう喋れなくなってた。
今思えば心の病ってやつだったのかもな。
でも、今俺はこうやって普通喋れてる。」

⏰:09/05/15 20:57 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#127 [ちか]
「そのキッカケが恭弥‥ってことですか?」

そう聞くと凌さんはまた静かに頷いた。


「あの時恭が居なかったら今の俺は絶対居ない。
だから俺にとって恭は昔っから特別。」


凌さんの言う『特別』には確かに特別な何かが籠っていた。


俺はそれの嫉妬に似たものを感じた。

⏰:09/05/15 21:24 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#128 [ちか]
「でも今の恭はあの頃と…」

「はい?」


凌さんの細い声は聞き取りづらかった。


「…いや、なんでもない。」


聞き返すと凌さんがそう言ったから俺はその話をあっさりと流した。

⏰:09/05/16 18:08 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#129 [ちか]
どうして俺はこの時




その言葉の続きを、

凌さんの表情の変化を、




気づけなかったんだろう

⏰:09/05/16 18:09 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


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