漆黒の夜に君と。U[BL]
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#133 [ちか]
― 恭弥side.―


めぐがココを出ていったのを追いかけて引き留めるワケでもなく、僕はあの後まず元の部屋に戻った。


が、すでに冥の姿も凌の姿もそこには無く、メイド達が食べ終えた食器類を片付けている最中だった。


そして今僕は部屋で冥の帰りを待っている。

⏰:09/05/16 23:05 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#134 [ちか]
部屋数は相当なもので、一人一部屋にすることも出来たけどそうはしなかった。
(だって旅行だし。)


ソファに腰かけてドアを見ていると、暫くしてドアノブがぐるりと回った。


「おかえり。」


そんな出迎えの声に冥は肩をビクンと震わせた。

あからさまな動揺。

⏰:09/05/16 23:08 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#135 [ちか]
じっと見てみると、何故か片手でずっと右頬に触れているのに気づいた。

何か気にしているような素振り。


「どこ行ってたの?」


これから尋問TIMEになりそうだ。

⏰:09/05/16 23:18 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#136 [ちか]
「え‥っと、ちょっと外に…」

視点の定まらないまま泳ぐ瞳が可愛いくてたまらない。

「‥ふぅん。凌は夕食の後どこに行ったの?」


僕はこの時、冥の肩が微かに揺れたのを見逃さなかった。


凌と何かあったんだ、と言うのが分かると僕はニヤリと口角を上げた。

⏰:09/05/16 23:22 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#137 [ちか]
ソファから腰をあげると、そのままドアの前で固まっている冥に詰めるように迫ってみる。


「さっきから頬(ココ)ばっかり触ってるけど‥どうかした?」

冥が自分の頬に触れている手を僕はゆっくり撫でた。
段々と顔が赤くなっていく冥。


「ななな、なんでもない!!離せよっ!!///」

あっけなく払われる僕の手。

⏰:09/05/16 23:28 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#138 [ちか]
しかしそんな事で僕が狼狽えるワケもなく、それどころか更に詰め寄ってみた。


顔と顔との間に隙間は少ししかあらず、息遣いを感じるほど。


「何を隠してるの…?」


わざと耳元で囁く。


「まさか…凌にキスされた?」

⏰:09/05/17 08:15 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#139 [ちか]
その時冥の身体がビクンと跳ねた。


相変わらず分かりやすい。
しかし冥はあくまで白を切るつもりらしい。

「んなワケないだろ!!//
何も隠してないってば!!」

そこで僕は止め(トドメ)の一言を刺す。

「僕見てたんだよ?」


もちろん嘘だけど。

⏰:09/05/17 08:21 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#140 [ちか]
チラリと冥を見ると、冥は大きな瞳に水分を含んでいた。


「‥‥‥‥ごめん…、でも…っホントにいきなりで俺‥‥―――っ」

まるでそれは子犬に弱々しかった。


あまりにも可愛い(可哀想?)から、そろそろ尋問はやめて種明かしでもしてあげようか。

僕はゆっくりと口を開いた

「凌には気に入ったモノにキスをする癖があるんだ。」

⏰:09/05/17 08:28 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#141 [ちか]
「へ…?」

今にも泣き出しそうだった瞳が僕を見上げた。

「凌のバイオリンの先生が外国の人で、凌が良い演奏をしたりするとハグしたりキスする人なんだよ。
たぶんそれが移ったんだと思う。」

そう言って笑ってみせるけど、冥は固まったままだった。


暫くして糸が切れたように冥はその場に座り込んだ。

⏰:09/05/17 09:16 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


#142 [ちか]
「なにそれ‥‥‥。良かったぁ〜…(泣)」

瞳から涙が一粒ポロリと落ちた。


余程安心したのだろう。




でも、
本当の本番はこれから。

⏰:09/05/17 09:19 📱:P906i 🆔:vhZETnFE


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