漆黒の夜に君と。U[BL]
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#134 [ちか]
部屋数は相当なもので、一人一部屋にすることも出来たけどそうはしなかった。
(だって旅行だし。)
ソファに腰かけてドアを見ていると、暫くしてドアノブがぐるりと回った。
「おかえり。」
そんな出迎えの声に冥は肩をビクンと震わせた。
あからさまな動揺。
:09/05/16 23:08 :P906i :VYdIZ03.
#135 [ちか]
じっと見てみると、何故か片手でずっと右頬に触れているのに気づいた。
何か気にしているような素振り。
「どこ行ってたの?」
これから尋問TIMEになりそうだ。
:09/05/16 23:18 :P906i :VYdIZ03.
#136 [ちか]
「え‥っと、ちょっと外に…」
視点の定まらないまま泳ぐ瞳が可愛いくてたまらない。
「‥ふぅん。凌は夕食の後どこに行ったの?」
僕はこの時、冥の肩が微かに揺れたのを見逃さなかった。
凌と何かあったんだ、と言うのが分かると僕はニヤリと口角を上げた。
:09/05/16 23:22 :P906i :VYdIZ03.
#137 [ちか]
ソファから腰をあげると、そのままドアの前で固まっている冥に詰めるように迫ってみる。
「さっきから頬(ココ)ばっかり触ってるけど‥どうかした?」
冥が自分の頬に触れている手を僕はゆっくり撫でた。
段々と顔が赤くなっていく冥。
「ななな、なんでもない!!離せよっ!!///」
あっけなく払われる僕の手。
:09/05/16 23:28 :P906i :VYdIZ03.
#138 [ちか]
しかしそんな事で僕が狼狽えるワケもなく、それどころか更に詰め寄ってみた。
顔と顔との間に隙間は少ししかあらず、息遣いを感じるほど。
「何を隠してるの…?」
わざと耳元で囁く。
「まさか…凌にキスされた?」
:09/05/17 08:15 :P906i :vhZETnFE
#139 [ちか]
その時冥の身体がビクンと跳ねた。
相変わらず分かりやすい。
しかし冥はあくまで白を切るつもりらしい。
「んなワケないだろ!!//
何も隠してないってば!!」
そこで僕は止め(トドメ)の一言を刺す。
「僕見てたんだよ?」
もちろん嘘だけど。
:09/05/17 08:21 :P906i :vhZETnFE
#140 [ちか]
チラリと冥を見ると、冥は大きな瞳に水分を含んでいた。
「‥‥‥‥ごめん…、でも…っホントにいきなりで俺‥‥―――っ」
まるでそれは子犬に弱々しかった。
あまりにも可愛い(可哀想?)から、そろそろ尋問はやめて種明かしでもしてあげようか。
僕はゆっくりと口を開いた
「凌には気に入ったモノにキスをする癖があるんだ。」
:09/05/17 08:28 :P906i :vhZETnFE
#141 [ちか]
「へ…?」
今にも泣き出しそうだった瞳が僕を見上げた。
「凌のバイオリンの先生が外国の人で、凌が良い演奏をしたりするとハグしたりキスする人なんだよ。
たぶんそれが移ったんだと思う。」
そう言って笑ってみせるけど、冥は固まったままだった。
暫くして糸が切れたように冥はその場に座り込んだ。
:09/05/17 09:16 :P906i :vhZETnFE
#142 [ちか]
「なにそれ‥‥‥。良かったぁ〜…(泣)」
瞳から涙が一粒ポロリと落ちた。
余程安心したのだろう。
でも、
本当の本番はこれから。
:09/05/17 09:19 :P906i :vhZETnFE
#143 [ちか]
「でも、」
僕がそう呟くと冥は「?」と僕の顔を見つめた。
「僕に嘘つこうとするなんて、お仕置きだね。」
:09/05/17 09:28 :P906i :vhZETnFE
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