漆黒の夜に君と。U[BL]
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#245 [ちか]
「アイツ昨日の夜出ていっただろ?あの後、きっと女と寝てた。」
「えっ?!」
初耳な事と衝撃的な事で、俺は思わず声を大きくした。
そして慌てて口元を手で覆う。
凌さんはそんな俺をチラリと横目で見て、話を続けた。
「いつからだかは分かんないけど、アイツそうやって何かから逃げてんの。」
そう言って表情を曇らせた。
「《何か》って…?」
:09/07/20 15:11 :P906i :8LQ1D/eo
#246 [ちか]
そう問いかけると、凌さんは静かに顔を横を振った。
「それは分からない。
でもああやって逃げるのは違うと思う。ムカつくし、なんて言うか‥‥
見てて痛い。」
俺はそう言い終えた凌さんに、なかなか声をかけられなかった。
だって…、俺思うんだ。
:09/07/20 15:17 :P906i :8LQ1D/eo
#247 [ちか]
きっと凌さんは
めぐさんの事嫌いじゃない
嫌いだったら、もっと拒絶してるよ。
見ないようにするはずだよ。
でも凌さんは違う。
多分、解りたいんだ。
凌さんはめぐさんのこと。
もっと近づきたいんだよ…
:09/07/20 15:21 :P906i :8LQ1D/eo
#248 [ちか]
「仲良くなれたら…良いですね。」
気づけば無意識に
そんなことを呟いていた。
「?べ、別に俺は‥‥っ」
凌さんは何かを言いかけたが、それが最後まで言い終わる前に、
『ただいまぁーっ!!!』
と買い出しから帰ってきためぐさんの声が響いた。
「あ、おかえりなさーい。」
振り返ると、たんまり食料を買い込んだ2人が見えた。
:09/07/20 15:28 :P906i :8LQ1D/eo
#249 [ちか]
「冥ちゃーん!!準備するでー♪」
少し遠くからめぐさんの明るい声が届く。
俺もそんな明るさにつられて「はーい!」と返事を返し、腰を上げた。
いつの間にか、だいぶ痛みは無くなっていた。
「あ、」
凌さんは動かず座りこんだまま。
「ほら、凌さんも行くんですよっ!!」
俺がそう言って手を差し出すと、
凌さんは少し戸惑いの表情を見せた後、
その手を掴んだ。
――――――――――――
――――――――――――
:09/07/20 15:47 :P906i :8LQ1D/eo
#250 [ちか]
― 凌side.―
『仲良くなれたら
良いですね』
まさかそんな風に言われるなんて、思ってもみなかった。
アイツと仲良く
なんて考えてもみなかった
だけど、何だろう?
嫌(イヤ)じゃないこの感覚。
嫌い(キライ)なはずなのに。
─────‥‥
───────────
:09/07/20 16:08 :P906i :8LQ1D/eo
#251 [ちか]
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― 冥side.―
「あ〜!!!食った食った♪
もう食われへんわあ!」
太陽はすっかり沈み、無数の星が瞬く下で俺達はバーベキューの終盤を迎えた。
「俺ももう限界‥。」
無理やりと言っていいほどめぐさんに食べさせられた俺は、椅子に座りこみすっかりダウン。
恭弥も凌さんも最初は乗り気じゃなかったけど、なんやかんやで楽しんでたみたい。
:09/07/20 16:11 :P906i :8LQ1D/eo
#252 [ちか]
恭弥は少し眠そうに肩肘をついて椅子に座っているし、凌さんは相変わらずの無表情を貫いていた。
「ほな、俺ちょっと散歩でもしてくるわ〜♪」
言い放った口調の軽さに対し、俺達3人の反応は重く、そして敏感なものだった。
それを知ってか知らずか、めぐさんは足早に玄関へと向かっていく。
:09/07/20 16:42 :P906i :8LQ1D/eo
#253 [ちか]
そうと決まったワケじゃないのに、さっきあんな事を聞かされたせいか、めぐさんの目的が散歩とは思えなかった。
嫌な予感がする‥‥
きっと誰もがそう感じていたはずだ。
「し、凌さん‥‥っ
追いかけなくて良いんですか?!」
:09/07/20 16:49 :P906i :8LQ1D/eo
#254 [ちか]
「俺には関係無い。」
「関係無いって……
でもっ‥‥「うるさい。」
「‥‥‥ッ!!」
凌さんはこれまでにないくらいキツい眼で俺を睨んだあと、立ち上がった。
俺は遠退いていく背中に必死で叫ぶ。
「でもッ…、めぐさんを助けてあげられるのは凌さんだけなんですよ‥‥っ!!!!」
しかし凌さんはなんの反応を示すこともなく、屋内に消えていった‥‥───
:09/07/20 16:55 :P906i :8LQ1D/eo
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