漆黒の夜に君と。U[BL]
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#19 [ちか]
「ねぇ、冥。」
そう呼ばれ、微睡んでいた目で頭上に居る恭弥を見ながら短く返事をした
すると、
「明日から旅行でも行こっか。」
そう、さらりと言葉を放つ恭弥。
「‥‥‥‥‥‥‥‥、えぇえぇ?!??!」
「反応おそ。」
俺はあまりにあっさりとした口調だったからか、暫く反応を返せなかった。
:09/04/05 23:17 :P906i :EVOvgo76
#20 [ちか]
「りょっ旅行?!!?」
俺は目を丸々とさせながら聞き返す。
「うん。暇だし、どっか行こうよ。」
そう言って俺の髪を優しく撫でた。
暇だしって…
この人、相変わらずマイペースなことを…
「で、でも明日からって!!さすがに飛行機のチケットとかいろいろ無理があるんじゃ…」
「ん?ウチのを使うから心配ないよ?」
ま、まさかの自家用ジェットですか…
さすが大金持ち…
:09/04/06 13:26 :P906i :hLECz3SE
#21 [ちか]
いろんな事に驚いてしまって声も出ない俺を見て、恭弥はにっこりと微笑んだ。
「どこ行きたい?」
そう問われた俺は暫く黙り込む。
「冥?」
「‥‥‥‥‥。」
口をもごもごとさせながら、俺はシーツをぎゅっと握る。
そして小さく呟いた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥海。」
:09/04/06 14:03 :P906i :hLECz3SE
#22 [ちか]
「海?」
「うん‥‥‥だめ?」
定番すぎかな?
笑われてしまいそうで俺は恥ずかしくなり顔を赤くした。
そんな俺を撫でる優しい手。
「いいよ。でも海って言ってもいろいろあるよ?
定番にハワイとかグアムにでも行く?
そう言えば、その近くにウチの島が‥‥、」
「お、沖縄がいい!!//」
恭弥の声を遮って俺は声を張り上げた。
:09/04/06 14:17 :P906i :hLECz3SE
#23 [ちか]
勢いよく振り向いた俺に、恭弥は少し驚いた様子
「いいけど、なんで沖縄なの?もっと綺麗な海たくさん…、」
そんな問いかけに、俺は勢いをなくした声でぼそりと呟いた。
「昔…家族で行った時綺麗だったから……」
父さんと母さんがまだ生きてた頃の話だけど‥。
思い出すと悲しくなってきて俺は俯いた。
:09/04/06 15:33 :P906i :hLECz3SE
#24 [ちか]
グイッ
「分かった。行こ、沖縄。」
不意に引き寄せられて俺の頭は恭弥の胸の中。
俺を慰めるかのように優しい手つきが俺の心を温かくした。
「うん‥‥ありがと。」
俺はそれだけ呟いて、眠りに落ちた。
:09/04/06 15:45 :P906i :hLECz3SE
#25 [ちか]
翌日。
目覚めた時の俺は、旅行の話なんて夢だったんじゃないかと、半信半疑だった。
が、それはやっぱり夢じゃなかったんだ。
「む、む、無理!!!!落ちる!!!!早く降ろせーっ!!!」
「うるさいなぁ。
落ちるわけないでしょ?」
俺は今、飛行機に乗ってます…。
:09/04/06 18:21 :P906i :hLECz3SE
#26 [ちか]
「自分が高所恐怖症だったなんて知らなかった…。」
飛行機なんか乗ったの、ホントに小っちゃな頃に一回きりだったから、飛行機の感覚を忘れてたみたいだ…
げっそりとした顔でそう呟くと恭弥はクスクスと笑った。
「仕方ないね。」
ぎゅっ
「これで大丈夫でしょ?」
「‥‥‥っ!///」
手を強く握られて、鼓動がドクドクと早くなる。
結局俺は飛行機が怖くて、到着するまで恭弥に手を握られたまま震えていた。
:09/04/06 18:33 :P906i :hLECz3SE
#27 [ちか]
漸く目的地に着いた俺達の目の前に広がったのは、青い空と青い海。
「すっげー!!!
見て恭弥、超キレイ!!」
俺はまるで子供に戻ったかのように目をキラキラさせながら、海を指差した。
「見てる見てる。
綺麗だね。
て言うか、ちゃんと前見て歩かないと転ぶよ?」
「大丈夫、大丈夫!
俺そんなガキじゃな…っほわ!?!!」
まだガキだったみたい…
:09/04/06 21:08 :P906i :hLECz3SE
#28 [ちか]
「ほらー。だから言ったのに。」
そう言って恭弥は俺に片手を差し出した。
「いてて‥だってさぁ、早く海行きたいんだもん。」
恭弥の手を借りて立ち上がると俺は口を尖らせる
「海は逃げないから、大丈夫だってば。」
そんな俺に呆れ口調でそう言う恭弥。
そうして少しじゃれあった後、俺達は別荘へ向かって車に乗り込んだ。
:09/04/06 22:20 :P906i :hLECz3SE
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