漆黒の夜に君と。U[BL]
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#21 [ちか]
いろんな事に驚いてしまって声も出ない俺を見て、恭弥はにっこりと微笑んだ。

「どこ行きたい?」

そう問われた俺は暫く黙り込む。

「冥?」

「‥‥‥‥‥。」

口をもごもごとさせながら、俺はシーツをぎゅっと握る。

そして小さく呟いた。

「‥‥‥‥‥‥‥‥海。」

⏰:09/04/06 14:03 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#22 [ちか]
「海?」

「うん‥‥‥だめ?」

定番すぎかな?
笑われてしまいそうで俺は恥ずかしくなり顔を赤くした。

そんな俺を撫でる優しい手。

「いいよ。でも海って言ってもいろいろあるよ?
定番にハワイとかグアムにでも行く?
そう言えば、その近くにウチの島が‥‥、」

「お、沖縄がいい!!//」

恭弥の声を遮って俺は声を張り上げた。

⏰:09/04/06 14:17 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#23 [ちか]
勢いよく振り向いた俺に、恭弥は少し驚いた様子

「いいけど、なんで沖縄なの?もっと綺麗な海たくさん…、」

そんな問いかけに、俺は勢いをなくした声でぼそりと呟いた。

「昔…家族で行った時綺麗だったから……」

父さんと母さんがまだ生きてた頃の話だけど‥。

思い出すと悲しくなってきて俺は俯いた。

⏰:09/04/06 15:33 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#24 [ちか]
グイッ

「分かった。行こ、沖縄。」


不意に引き寄せられて俺の頭は恭弥の胸の中。

俺を慰めるかのように優しい手つきが俺の心を温かくした。

「うん‥‥ありがと。」


俺はそれだけ呟いて、眠りに落ちた。

⏰:09/04/06 15:45 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#25 [ちか]
翌日。


目覚めた時の俺は、旅行の話なんて夢だったんじゃないかと、半信半疑だった。


が、それはやっぱり夢じゃなかったんだ。


「む、む、無理!!!!落ちる!!!!早く降ろせーっ!!!」

「うるさいなぁ。
落ちるわけないでしょ?」

俺は今、飛行機に乗ってます…。

⏰:09/04/06 18:21 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#26 [ちか]
「自分が高所恐怖症だったなんて知らなかった…。」

飛行機なんか乗ったの、ホントに小っちゃな頃に一回きりだったから、飛行機の感覚を忘れてたみたいだ…

げっそりとした顔でそう呟くと恭弥はクスクスと笑った。

「仕方ないね。」

ぎゅっ

「これで大丈夫でしょ?」

「‥‥‥っ!///」

手を強く握られて、鼓動がドクドクと早くなる。


結局俺は飛行機が怖くて、到着するまで恭弥に手を握られたまま震えていた。

⏰:09/04/06 18:33 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#27 [ちか]
漸く目的地に着いた俺達の目の前に広がったのは、青い空と青い海。


「すっげー!!!
見て恭弥、超キレイ!!」

俺はまるで子供に戻ったかのように目をキラキラさせながら、海を指差した。

「見てる見てる。
綺麗だね。
て言うか、ちゃんと前見て歩かないと転ぶよ?」

「大丈夫、大丈夫!
俺そんなガキじゃな…っほわ!?!!」

まだガキだったみたい…

⏰:09/04/06 21:08 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#28 [ちか]
「ほらー。だから言ったのに。」

そう言って恭弥は俺に片手を差し出した。

「いてて‥だってさぁ、早く海行きたいんだもん。」

恭弥の手を借りて立ち上がると俺は口を尖らせる

「海は逃げないから、大丈夫だってば。」

そんな俺に呆れ口調でそう言う恭弥。

そうして少しじゃれあった後、俺達は別荘へ向かって車に乗り込んだ。

⏰:09/04/06 22:20 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#29 [ちか]
数十分と車を走らせると、別荘と呼ぶには大きすぎる屋敷が見えてきた。

「来るの何年ぶりだっけ。
懐かしいなあ。」

そんな呑気なことを呟く恭弥に俺は呆気にとられながら車に揺られること数分。


玄関の前で車は静かに停まった。
 

⏰:09/04/06 22:27 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


#30 [ちか]
松山さんがドアを開けてくれて、俺達は車から降りると扉まで歩いていく。


松山さんが鍵をジャラリと鳴らしながら取りだし、それを鍵穴に差し込もうとしたその時。


バァン!!!!!


「「「‥‥‥‥っ?!?!」」」


大きな音を立てて内側から扉が開いた。

⏰:09/04/06 22:37 📱:P906i 🆔:hLECz3SE


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