漆黒の夜に君と。U[BL]
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#634 [ちか]
でもめぐるはそんな気持ちを察するほど勘が良い奴じゃない。
そんなのは分かってる。
「あほか。料理は片付けまでちゃんとしてこそ、」
ほら、何も気づいてない。
「料理って言うんや…「行かなくていいって言ってんの。」
上手く言えない自分にさえ、苛立って仕方ない。
:10/08/15 13:14 :P906i :clmDe0Hc
#635 [ちか]
暫く沈黙が続いた後、
めぐるは"観念しました"、といった顔で再び腰をおろした。
「はいはい、分かりました分かりました。今日は最後までワガママ付き合ったるわ〜。」
そう言われても、なぜか手を離す気にはなれなかった。
返事をしようにも何を言って良いか分からず、目を閉じて寝たフリをした。
:10/08/15 20:59 :P906i :clmDe0Hc
#636 [ちか]
目を閉じて考えた。
恭弥が言った、
あの言葉を。
:10/08/15 21:49 :P906i :clmDe0Hc
#637 [ちか]
実は"あの事件"の後、
俺と恭弥は会っていた。
その時にあの子を襲うフリをした理由も全部話したし、向こうもそれには気づいていた。
つまり和解してたってわけ。
:10/08/15 21:54 :P906i :clmDe0Hc
#638 [ちか]
もっとも、あの取り乱しようから見て、きっと気づいたのはその後だと思うけど。
まぁ、和解も出来たし良かったと思っていた。
急に呼び出されたから、正直殴られる覚悟したくらいだし。
けど話はそれだけじゃなかった。
:10/08/16 00:45 :P906i :Jx75qT2o
#639 [ちか]
「凌、変わったよね。」
淡白な一言だった。
「…は?」
ワケの分からないまま間抜けな顔で見つめる俺に、恭弥はクスクスと笑いながら言った。
「やっぱり僕は凌の特別じゃなかったんだなと思って。」
:10/08/16 00:53 :P906i :Jx75qT2o
#640 [ちか]
そうやって笑う恭弥をよそに俺は腹立ちと混乱の混ざったような感覚になった。
「なんだよ、それ…。
今も昔も、俺の特別は恭弥で…っ「そう思いたいだけなんじゃないかな?」
どう言う意味か全然理解できなかった。
「僕と凌はちょっと似てるから。だから一緒に居て楽なんだよ、きっと。
でもそれは"特別"なんかじゃないよ。
本当は別に"特別な奴"が居るんじゃない?」
:10/08/16 01:02 :P906i :Jx75qT2o
#641 [ちか]
本当に特別な奴……
この数日間、
そのことばっかり考えていた。
そしたらこのザマだ。
風邪まで引いて馬鹿みたいだ。
けど、なぜかこういう時、会いたくなったのがめぐる(コイツ)だった。
:10/08/16 01:08 :P906i :Jx75qT2o
#642 [ちか]
自分でも分からない。
なんで恭弥じゃなくて
めぐるだったのか。
ただ衝動的だった。
頭から離れなかったのがコイツだった。
そんなことを考えていた頃、
「好き…やから?」
そんな声がした。
:10/08/16 01:11 :P906i :Jx75qT2o
#643 [ちか]
めぐるの声…か?
いや、夢…?
熱のせいか意識も薄れてゆき、もう現実かどうかも分からずそこから記憶は無くなった。
"好きだから"
と言う言葉を残したまま。
:10/08/16 21:48 :P906i :Jx75qT2o
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