漆黒の夜に君と。U[BL]
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#722 [ちか]
「あ、もう教室戻らないと。すいません、時間取らせてしまって。じゃあまた。」


そう言ってお決まりの笑顔と礼儀正しい素振りで、彼は去っていった。


冥のところに戻るのだろう。

⏰:11/05/30 01:07 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#723 [ちか]
『冥のこと傷つけたら…
   ぶっ殺しますよ。』


いつだったか
保健室で言われたあの言葉を思い出した。

口は笑ってるけど目は真剣で、言葉の一つ一つに重々しさを感じたのを覚えている。

彼は
いつから冥のことを
好きだったんだろう。…―

⏰:11/05/30 01:08 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#724 [ちか]
去っていく背中はとうに消えたというのに、僕はその場から動けないでいた。


いつか、
彼に冥を取られてしまうんじゃないか。

僕から離れていくんじゃないか。


そんなことが頭を過る。

⏰:11/05/30 01:10 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#725 [ちか]
『ガキの頃からの幼なじみですから』

『誰よりも知ってるつもりですよ。』


誰よりも。

ガキの頃から。


僕の知らない冥を
彼は知っている。

⏰:11/05/30 01:12 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#726 [ちか]
それはつまり、

僕の知らない冥を
彼はたくさん知っているわけで。


冥も僕に見せない顔や感情を彼には見せる…――。

と言うことなのだろうか。

⏰:11/05/30 01:14 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#727 [ちか]
「馬鹿馬鹿しい。」



こんなのは邪念だ、
と、頭の中を支配する彼の発言を消し去るようにそう呟いて、やっとの思いでその場を後にした。


─────────‥‥
──────‥‥
───‥‥

⏰:11/05/30 01:16 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#728 [ちか]
― 透 side.―


ずっと、

ずっと冥の隣は

俺のだと思っていた。




―‥高校に入るまでは。

⏰:11/05/30 11:27 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#729 [ちか]
冥とはウチが隣同士で、
お互い生まれた時から一緒に居たようなもんだった。


幼稚園も。
小学校も。
中学も高校も。


…まだ小学生だった頃、冥の両親が事故で亡くなってからはウチに一緒に住むようになって、
尚更一緒に居る時間が増えて、それが当たり前になっていた。

⏰:11/05/30 11:33 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#730 [ちか]
だけど、
中学を卒業すると同時に
一人暮らしする
って言い出してウチを出ていってしまった。


アイツのことだから
ずっと遠慮していたんだろう。

未だに両親の事故も自分のせいだ、って一人で抱え込んで。

口には絶対に出したことは無かったけど、昔から一緒に居るおかげがそこらへんの奴より冥の気持ちは分かっているし、分かってあげたかった。

⏰:11/05/30 11:37 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#731 [ちか]
もういつからアイツを好きだったのかなんて覚えてない。

気づけばもう手遅れだった。


アイツは俺を
ただの幼なじみだと思ってる。


だから俺も
それに答えなくちゃいけない。
ただの幼なじみを演じていなければいけない。

⏰:11/05/30 11:38 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


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