漆黒の夜に君と。U[BL]
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#772 [ちか]
見据えられた目の冷ややかさに思わず唾を飲んだ。
ピンと張る空気。
鋭い視線。
それはやがて斜め下へと流され、代わりに閉じていた口が開かれた。
:11/06/14 20:11 :P906i :VFPspA9I
#773 [ちか]
「家(ウチ)を出ていってく
れないかな」
一瞬、
世界が止まったと思った。
:11/06/14 20:12 :P906i :VFPspA9I
#774 [ちか]
「は‥‥?」
なんの冗談‥‥、
そう思って恭弥の顔を見たけれどそこに冗談を言ったような顔は無かった。
「なに言って…、」
なんで目すら合わせてくれないんだよ。
なんで俺を見てくれないんだよ。
募る感情が言葉を詰まらせる。
:11/06/14 22:01 :P906i :VFPspA9I
#775 [ちか]
刺さる視線が痛い。
それでも窓の外は確実に景色を変えていく。
「なんで急にそんな‥‥」
鼓動は着実に早くなっていくのに感情は遅れていくばかり。
「…………僕なりに考えたんだ。」
ドクンと胸が跳ねる。
:11/06/14 22:36 :P906i :VFPspA9I
#776 [ちか]
「なんだよ僕なりって…、お、俺の意見とか無視なのかよ…っ」
膝の上で強く拳を握った。
なんとも言えない感情が俺の体を震わせる。
上手く呂律が回らなく、挙動不審と思われてもおかしくないだろう。
だけど、
:11/06/14 22:43 :P906i :VFPspA9I
#777 [ちか]
「これは冥のためを思って…、」
そう言われた瞬間、
何かが切れた。
:11/06/14 22:44 :P906i :VFPspA9I
#778 [ちか]
「分かったよ!!!!ていうか、かえって清々するし!?言われなくても出ていってやる!!!」
急に立ち上がってもぐらつかない車内は、いかにその機能が高性能かを物語っていた。
拳は体の横で強く握ったまま、これでもかと言わんばかりに目の前の人間を睨み付ける。
今にも泣き出しそうな目で。
:11/06/14 23:20 :P906i :VFPspA9I
#779 [ちか]
なにを言ってもビクともしないこの人間に痺れを切らして、さらに言葉を走らせた。
「今日から、いや、今からでも出ていってやるよ…!!もとから荷物だってないんだしっ…!!
そうだ、透の家にでも居候させてもら……、」
そこで初めて目があった。
「それはダメ。」
頭に上った血は最高潮に達した。
:11/06/14 23:27 :P906i :VFPspA9I
#780 [ちか]
「ここで降ろしてくださいッ!!!!」
力任せに叫んだ後、
止まった車のドアを乱暴に開けた。
「ちょっ…、冥、僕は…ッ、」
まだ車内に余っていた左手を咄嗟に掴まれた。
その力は強い。
:11/06/15 00:51 :P906i :YxB7aKMQ
#781 [ちか]
しかしそんなことは知ったものか。
俺もその手を力ずくで振り払う。
「冥…ッ、」
名前を呼ばれて
くるりと恭弥の方に向き直った。
涙が出そうになるのを必死に押さえながら。
「あのさぁ!!!!
この際だから言っとくけど、」
:11/06/15 00:55 :P906i :YxB7aKMQ
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