漆黒の夜に君と。U[BL]
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#780 [ちか]
「ここで降ろしてくださいッ!!!!」


力任せに叫んだ後、
止まった車のドアを乱暴に開けた。


「ちょっ…、冥、僕は…ッ、」


まだ車内に余っていた左手を咄嗟に掴まれた。

その力は強い。

⏰:11/06/15 00:51 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#781 [ちか]
しかしそんなことは知ったものか。

俺もその手を力ずくで振り払う。

「冥…ッ、」


名前を呼ばれて
くるりと恭弥の方に向き直った。

涙が出そうになるのを必死に押さえながら。

「あのさぁ!!!!
この際だから言っとくけど、」

⏰:11/06/15 00:55 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#782 [ちか]
「僕は、とか、そうやってなんでもかんでも自分の気持ちばっかり押し付けてくるのうんざりなんだよ!!アレはダメ、コレはダメって…っ!!!!」


募っていた言葉が
滝のように溢れ出してくる。

止めようにも止まらない。

道端で朝から叫び倒すこの姿は他人の目にどう映るのだろうか。

幸い、降りた場所はまだ学校から遠く、うちの学校の生徒は前後に見当たらなかった。

⏰:11/06/15 01:00 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#783 [ちか]
一度遮断するものが無くなると、
歯止めが効かなくなるのは俺の悪いクセだ。




分かってる。

分かってるけど…っ

⏰:11/06/15 01:03 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#784 [ちか]
「俺はあんたの物じゃない!!
透は俺の親友なんだよっ、口出ししてくるな!!!!

もう…ッ、
もういい加減
迷惑なんだよ!!」


はぁはぁ…ッ

息も吸わずに吐き出したもんだから、言い終わる頃には肩で息をしていた。

⏰:11/06/15 01:05 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#785 [ちか]
ふと見上げると、
その漆黒の目は確かに俺を映していた。


そんな風に見るなよ。

なんでそんな悲しそうな目するんだよ。

酷いのは
どっちだと思って…ッ


もう涙を堪えるのも
限界に達していたその時、


「あれ、冥?」

⏰:11/06/15 01:08 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#786 [ちか]
聞き覚えのあるその声の方に振り返ると、
そこに立っていたのは透だった。


「と……おる‥‥、」



突然のことで混乱した俺の頬をずっと我慢していた涙の一粒が筋を通して伝った。

⏰:11/06/15 01:11 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#787 [ちか]
ぎゅ…っ



それとほぼ同時に
何かに包まれる感覚を感じた。

それは暖かくて強くて、
馴染みのある匂いがした。


透の腕が俺を包み込む。

⏰:11/06/15 01:14 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#788 [ちか]
「…もういい加減にしてくれませんか。」



重みのある、
怒りの混じった声が
頭に響いた。

ちょうど頭一つ分でかい透の声が、
この密着のせいでちょうど俺の頭を通っていくのだ。

⏰:11/06/15 01:16 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#789 [ちか]
「冥、行こう。」



そう言って右手を強く引かれる。

歩いてきたのであろうことはその手の冷たさで分かった。


その力に促されるように、俺の足も同じ方向を向く。

⏰:11/06/15 01:20 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


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