漆黒の夜に君と。U[BL]
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#813 [ちか]
― 冥side.―


夢を見ていた。

いつかの夜の、
漆黒のシルエットに
助けられた時の。

それから、

何度も愛された時の、
その顔と言葉も。

「冥、愛してる。」

そう言って、俺の髪に長い指を絡ませて
何度も何度も囁いて。

愛してる、って、
ずっと、って、
そう言ったのに、


恭弥。
恭弥。
恭弥。……――――

⏰:11/09/10 19:22 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#814 [ちか]
……い、


おい、


「…い。めい。起きろ。」


「ん〜…え?あ、…お、おはよっ、透。」


やっべ。

いつの間に寝ちゃってたんだろ、俺。

「おはようの時間はとっくに過ぎてるっつーの。バカ。」

⏰:11/09/10 19:26 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#815 [ちか]
バカ、って言うくせにその笑顔は優しい。


挙げ句、軽く頭をわしゃわしゃと撫でられると、反抗するに出来なくて、なんかもう、自分でもワケわからない感情になった。


そんななされるがままの状態で、おもむろに携帯のディスプレイに目をやると時刻はすでに下校時間を過ぎていた。


「やっべ!!え、うそだろ!?ごめん、もっと早くに起こしてくれてよかったのに!」

⏰:11/09/10 21:38 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#816 [ちか]
焦って、
両手を勢いよく机に付け立ち上がろうとしたが、
長時間枕にしていた左腕は完全に麻痺しているようでだらしなく垂れ下がり、俺は呆気なくバランスを崩した。


「ひっ…?!」

ドサッ、と重みのある音が辺りに響いた。

「「ってー…。」」

え、あれ、
でもなんか痛くな…い?

⏰:11/09/10 21:46 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#817 [ちか]
「お前、軽すぎじゃね?」

な、な、な、

「×%☆₩$◆@●〜っ?!」

なんで
俺、透に覆い被さってんの?!

てか、
それを言うなら、
顔近すぎじゃね?!

⏰:11/09/10 21:52 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#818 [ちか]
「ったく、危なっかしーな、お前は。」

「ご、ごめん…、」


じゃなくて!!
この体勢、端から見れば
俺が透を押し倒してるみたいだ。

俺たち以外に誰もいない教室で、
こんな体勢って、
なんか危険な匂いしかしないんですけど!


「すぐ退(ド)くから…っ」

しかし、
透は退こうとした俺を引き寄せ、
俺は呆気なくその胸に顔を埋めてしまった。

⏰:11/09/10 22:00 📱:Android 🆔:r3.xBClY


#819 [ちか]
「ふぐっ、う…?!」

なになになに。
訳わかんねーって!

この展開なに、
俺たちのこの抱擁なに、
え、もう俺パニックなんですけど。


息をするのも苦しいほど、
きつく締め付けられて
鼓動も上がり、俺の顔は真っ赤になっていた。

透の腕から逃れようと必死にもがき、
漸く埋めていた顔を離すことが出来た。

がしかし、その瞬間目が合うのは必然的なことで。

⏰:11/09/11 02:09 📱:Android 🆔:ljqRaiOw


#820 [ちか]
沈黙に沈黙が重なり、
また沈黙。


真顔で俺を見つめるその瞳に
俺の焦った顔が映って見える。

耐えかねる空気がそこにあって、俺は口をパクパクと動かすだけ。

しかしそれも、
声を出すことは出来ず
空気を吸っては吐く原始的な動作しか出来なかった。


「あ……、あの、とお…、」


「…………プッ、アホ面。」

⏰:11/09/11 12:21 📱:Android 🆔:ljqRaiOw


#821 [ちか]
「なっ、…!!!?」

「あはははは!!ひー、おっかしー!
なに顔真っ赤にしてんだよ、バーカ」

透はさっきまでの真剣な顔が嘘のように目の前で笑い転げている。


俺、こいつと親友のつもりだけど、
ときどき、

「読めねぇときがある…。」

「え、なんか言った?」

「いや…」

なんでもない。

⏰:11/09/11 15:44 📱:Android 🆔:ljqRaiOw


#822 [ちか]
それから俺たちは
宿直の先生に見つからないように夜の校舎から裏門まで走り、こっそり抜け出して透の家に帰った。


こんなことしたの、
いつぶりだっけ。


楽しいなぁ、懐かしくて。
……―――――
…―――
――

⏰:11/09/11 16:10 📱:Android 🆔:ljqRaiOw


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