漆黒の夜に君と。U[BL]
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#845 [ちか]
目の前ではxがどうだ、とか、yがああだ、とかの説明と共に果てしなく続くように思える方程式が教師の持つチョークから黒板に写されていく。


考え事をしていても、
どうしてもその文字式や教師の言葉、チョークの音に気が散って集中することが出来ない。

もっとも、本来集中すべきなのはこの授業なんだけど。

俺は意を決して手を挙げた。

「せんせー、吐き気するんで保健室行っていいですか。」

精一杯の演技をしながら。

このままでは授業も考え事も集中出来ないし、それなら、と考え事を優先させての小芝居だった。

⏰:11/09/23 00:56 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#846 [ちか]
幸い、芝居上手くいったようで怪しまれずに保健室まで行くことが出来た。


「失礼しまーす…」

先客を気にしてゆっくりと開けたが、そこに保険医の姿は無かった。

なんだ、ラッキー。
そんなことを思いながら、ふと並んでいるベッドに目をやると、奥の1つだけカーテンが閉められている。

先客はアリか。

とは言え、仮病でやってきたから保険医に見つかれば厄介だが生徒ともなれば気にする必要もないだろう。

そう思って隣のベッドに腰を下ろした。

⏰:11/09/23 13:35 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#847 [我輩は匿名である]
この小説大好きで何回も読んじゃってます(笑)
最近更新されていて嬉しいです(´ω`*)
主さんのペースで頑張って下さい!

⏰:11/09/23 20:21 📱:F01C 🆔:Y9tIiR5k


#848 [ちか]
>>847 匿名さま.

ほんまですか!(*^^*)
書き手としても小説にとっても本当に嬉しい誉め言葉です。ありがとうございます!
いつも不定期ですいません。。
この一週間は順調に更新できると思います!
感想板にもぜひ遊びに来てください(^^)

⏰:11/09/23 21:58 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#849 [ちか]
>>846続き


ガラガラ…

腰かけたとほぼ同時に戸が開く音がした。

「あら、誰か来てたの?ごめんねー、用事で出てたのよー。」


不味いタイミング。

軽く詫びを入れる保険医に、俺は心の中で呟く。


「あ、いや大丈夫です。ただの風邪だと思うんで、寝てれば治ると思います…」

頼む。
のってくれ。

内心で何度も願うように呟いた。

「…そう?…じゃあ、申し訳ないけどもう少し出てていいかしら?」


その返事待ってました。
と言わんばかりに、俺は保険医の死角側の手でガッツポーズをとった。

⏰:11/09/23 22:07 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#850 [ちか]
「じゃあ、すぐ戻るから寝ててねー。あ、隣に寝てる子も起こさないように!」


保険医はそれだけ言って、疾風のごとく去っていった。

やっと落ち着いて考え事に集中出来る。

安堵の息と共に俺は真後ろに倒れこんだ。
仰向けの体勢で薄汚れた天井を仰ぐ。

どうすればいいんだろうか。
考えても考えても、堂々巡りでまるで答えに辿り着かない。

「参ったなー。」

終いにはため息混じりの声が漏れる次第だ。

⏰:11/09/23 22:13 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#851 [ちか]
暫くして授業の終わりを知らせる鐘が鳴った。

もうそんな時間か。
次の授業どうしようかな。
俺はそんな短絡的なことをぼんやり考えていた。

すると、また戸が開く音がする。

保険医が帰ってきたのか。
そう思ったが、そのわりに足音は配慮が足りない。

何かを患った客でもないだろう。

来客を見ようと、顔を出したそのとき。

⏰:11/09/23 22:18 📱:Android 🆔:qQuJKEhM


#852 [ちか]
「黒羽くん、大丈夫?」


俺が来客を覗き込むより先に、その声が届いた。

そして遅れるようにして顔を見る。

あ、この人、たしか副会長の…

名前こそ思い出せないが、一時期恭弥と噂にもなったあの女子生徒であることは間違いなかった。
正しくは、この人もきっと元副会長、になるんだろうな。

⏰:11/09/24 01:10 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#853 [ちか]
って!!!!!

冷静な分析してる場合じゃない!


この人、今、黒羽くん、って…っ―――




まさかと思いながら隣のベッドにチラリと瞳だけ動かすと、ちょうどカーテンが開いて目があった。

⏰:11/09/24 01:13 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


#854 [ちか]
きょう……や――――

思わず口に出してしまいそうになった名前を必死で飲み込む。

一瞬合った瞳は一瞬でそらされ、
代わりに労いの言葉をかけた女子生徒に向けられた。

「大丈夫だよ、ごめん心配かけて。もう行くから先に戻ってて。」

至って普通に、しかし気だるさのある声でそういうと女子生徒も多少の間を空けて、再び教室に戻っていった。


なんだよ、心配してくれる女の子も居るじゃん。
可愛いし。

やっぱり俺なんか居なくても、困らないんだよな、コイツは。

半ばふて腐れてそんなことを思う。

⏰:11/09/24 01:20 📱:Android 🆔:MNDcM4s6


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