漆黒の夜に君と。U[BL]
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#866 [ちか]
そろそろ行かなきゃなー

さっさと片付けてこよ

そんなことを思いながら、結局だらだらと突っ伏したままどれくらい経っただろうか。
透が帰ってきた。

「あ、おかえりー、」

「ん、ただいま」

「なんだったー?」

「告白された」

は?!
そんなあっさりと何を言ってんの、こいつ!!

⏰:11/09/26 22:54 📱:Android 🆔:O9JTdECU


#867 [ちか]
俺のリアクションに比べ、透の顔は至ってクール。

透、オッケーしたのかな。
したらなんか…寂しいかも。

「で、返事は…」

「断った」

そうなんだ、と相槌を打ったあと、心の中でホッとしている自分がいた。

なんだよ、ホッて!ホッてなんだ、俺!

⏰:11/09/26 22:57 📱:Android 🆔:O9JTdECU


#868 [ちか]
内心で自分自身にツッコミを入れ、話を続ける。

「で、でも可愛かったじゃん」

「お前は可愛かったらどんなか知らない女とも付き合うのか?」

「いや…付き合わない…です」

「だろ?」

はい…、と俺は縮こまった返事を返して仏頂面の透をチラリと見る。

幼なじみだからかあまり考えたこともなかったけど、
やっぱり透は端整な顔立ちをしている。
頭も運動神経も良いし、面倒見が良くて、人望があって、みんなにも優しくて。

考えているうちに自分が惨めになりそうなくらいだった。

⏰:11/09/27 18:34 📱:Android 🆔:eqbciHTs


#869 [ちか]
たぶん高校に入ってからも何度か告白をされていた気がする。
むしろ学年の中じゃ人気もある方だ。
その人気は上級生であっても変わらない。

でも、中学の頃に一度彼女が居たことがあったけど、それっきり透に彼女が出来たなんて聞いたことがない。


よくよく考えてみれば不思議だ。

なんでだろうか?

「なに人の顔じっと見てんの。」

「えっ!!あ、いやっ…」

チラリとしか見てなかったつもりが、いつの間にか凝視してしまっていたようだ。

⏰:11/09/27 19:06 📱:Android 🆔:eqbciHTs


#870 [ちか]
「よく考えたら、透、中学ん時以来彼女作らないなーって。なんでかなーって…」

俺は慌ててそらした目をもう一度透に向けて、またそらす。

見上げる姿勢のせいか、
透がいつもよりデカく頼もしい人間に見えた。

「あー、…俺好きな奴居るから。」

間があったのは一瞬。

開いた口が塞がらないとはまさにこの事。

⏰:11/09/28 01:07 📱:Android 🆔:g9cV2g72


#871 [ちか]
「〜〜っ……そんなの初耳なんだけどっ!!」

「だって言ってなかったし」


衝撃のあまりしどろもどろになる俺をよそに、透は飄々と語る。
この差は端から見れば滑稽極まりない。

なんで俺ばっか焦らなきゃなんないんだよ!!

と半ば逆ギレのような感情が芽生え、この際だからいろいろ聞き出してやる、と意気込んで俺は質問を投げた。

⏰:11/09/29 01:18 📱:Android 🆔:/gQR4j4Q


#872 [ちか]
「可愛い?」

「可愛いって言うよりは生意気…かなー」

「いつから好きなの?」

「だいぶ前」

「へえー、俺の知ってる人?」

「…………ひみつ。」

淡々と答えていた透がその時初めて黙った。

俺はそれに調子乗って追い討ちをかける。

「いいじゃん〜!俺も協力するって!
うちの学校?クラスは?なぁなぁ〜、教えろ…っい゛ってぇ゛!!」


どうやら調子に乗りすぎたみたいデス。

⏰:11/09/29 20:38 📱:Android 🆔:/gQR4j4Q


#873 [ちか]
「なにもしばかなくてもいいだろっ?!」

本日二回目の打撃をくらった頭を擦りながら言うと、透はしれっとしながら
「ごめん、つい手が」
と言って、これ見よがしに手をヒラヒラと見せた。

「それよりお前片付け行ってこなくていいのか?」

「あ。」


透の恋愛沙汰に気をとられ、すっかり忘れていた俺は、間抜けな声でそれを思い出した。

「部活終わる頃にはお前も終わってるだろ?今日帰りどうする?」

当然のようにそう訪ねてくる透に、俺は詫びるように片手を胸の前で立てた。

⏰:11/09/30 00:31 📱:Android 🆔:M6gMnZ3I


#874 [ちか]
「ごめん、今日は大事な用事あるから先帰ってて。」

大事な用事、という言葉に透は怪訝な顔をする。
心配性は相変わらずだ。

「心配しなくても遅くならないようにするから大丈夫だって!じゃあ俺、片付け行ってくるな!透も部活頑張れよー!」


半ば強制終了と言った形で会話を切り上げたのは、これ以上話すと透に感づかれそうだったから。

そうして一方的な言葉を投げて、俺はそのまま備品室へと走った。

⏰:11/09/30 00:37 📱:Android 🆔:M6gMnZ3I


#875 [ちか]
備品室は別名、物置小屋。

なんでも分別なく荷物が運ばれるせいで、備品室の片付けというのは気の遠くなる作業を暗に示唆しているようなものだった。


そんなところだから、場所も校舎の一番奥、人気が少なく、ホコリっぽい。

ガラ...ガラ...

立て付けの悪い戸を力ずくで開けると、覚悟していた通りの有り様だった。

「……さっさと終わらせよ…。」


自分に言い聞かせるように呟いて、俺は目の前のゴミに手を伸ばした。

⏰:11/10/01 18:37 📱:Android 🆔:g.cKTL3o


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