漆黒の夜に君と。U[BL]
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#880 [ちか]
「………………行ってみるか。」
ずっと待つ、
なんて言うから、行ってすぐに帰れと告げるだけだ。
そんな風に自分を納得させて、学校を後にした。
迎えの車を断って。
:11/10/01 19:05 :Android :g.cKTL3o
#881 [ちか]
ファミレスの前に着いたのは5時きっかりだった。
「なに一時間前から来てるんだか。。」
呆れて自分に嘆く。
仕方なく、なんてそんなのは建前で本当は会いたくてしかたないと気づくと、気恥ずかしさでマフラーに顔を埋めた。
冬の5時はすっかり影を落として光るネオンを見ながらぼんやりと俯いた。
「寒いな。」
そんな呟きは白い息と一緒に、行き交う人々の中へと溶けていった。
……―――――
…――――
:11/10/01 19:14 :Android :g.cKTL3o
#882 [ちか]
― 冥side.―
慌てて透に電話をかける。
「…あっ、もしもし透?!」
しかし、安心したのもつかの間、
《こちらは留守番電話サービスです…,》
機械的な音声に項垂れて電話を切る。
他に連絡の取れる奴…
思い付くままに電話をかけてみる。
数人にかけていくうちに、一人と電話が繋がった。
:11/10/01 22:44 :Android :g.cKTL3o
#883 [ちか]
『おー、どしたん日下ー』
『あのさ、今どこ居る?!』
『えー?今?学校の近くのゲーセン〜』
俺はその返事に思わずガッツポーズを取った。
近くなら頼めば来てくれる、はず!
俺が安堵の息をついている間に
電話の向こうでは
誰?、日下、なんで?、と言った風な会話がなされている。
数人で遊んでるみたいだ。
俺は噛みつくように携帯に話しかけた。
『あ、あのさ、今から学校に、』
『え?ごめん、なんて?』
オメーらうっせーって、と叫ぶ友人の声が聞こえる。
ゲーセンという場所柄、騒々しくてきこえづらいのだろう。
『ごめんごめん、え、なに学校?学校がなんて?』
『あの、俺今、』ップ…ツーツーツー
「えぇ?!もしもし?!あれ?!は?!」
暫く応答のない電話に話しかけたあと、ディスプレイに目を落として漸く分かった。
携帯の寿命切れ。
:11/10/01 23:00 :Android :g.cKTL3o
#884 [ちか]
「まじかよー…」
俺はその場にへたりこんだ。
恭弥との約束が。
もうきっと6時を回っている。
「どうしたらいいんだよ…」
そう呟いて俺は項垂れるしかなかった。
:11/10/01 23:05 :Android :g.cKTL3o
#885 [ちか]
― 透side.―
「いやー、雨降るとか聞いてねえよなー!」
そう話しかけてきたのは、同じサッカー部の同期だった。
「そうだなー」
「うわ、パンツまでびっしょびしょだし。」
「うんー」
ちょうど部活もラストスパートのとき、急に降りだした雨のせいで早めに部活が終わった俺たちは更衣室で着替えたり、くだらない話をしていた。
「お前、今日集中力無さすぎだろー」
「ん、ごめん」
確かにそうだ。
冥の大事な用事とやらが気になって、気が気じゃなかった。
:11/10/02 00:48 :Android :LOoeYdJY
#886 [ちか]
「いや、いんじゃね?お前にしては珍しいっつーか。」
そんな風に言いながらそいつは鼻歌混じりに着替えをロッカーから探していた。
珍しい、か。
珍しくなんかないんだけどな。
俺はいつだって冥(アイツ)のこととなると、いっぱいいっぱいになる。
:11/10/02 01:10 :Android :LOoeYdJY
#887 [ちか]
「普段完璧なお前がぼーっとしてんの見るとさ、なんかホッとするし!」
「なんだよ、それー。誉め言葉?」
誉め言葉、誉め言葉、と言いながら漸く着替えを見つけたようだ。
普段完璧とは、俺も外面が良くなったもんだな。
なんて他人事のように解釈しながら、濡れた髪をタオルで雑に拭く。
「 ? 」
とその時、鞄からタオルを取った拍子に、その下にあった携帯が点滅していることに気づいた。
:11/10/02 01:16 :Android :LOoeYdJY
#888 [ちか]
着信?
誰からだろうか。
そう思い、おもむろに不在着信の画面を表示する。
「冥?」
そこに表示されていたのは
冥の名前だった。
用事が無くなったのか?
一緒に帰る連絡かなにかだと思い、そのままリダイアルを押す。
しかし何回か呼び出しのコールがなったあとその電話に出たのは、
『お掛けになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…』
と、機械的な女の声だった。
:11/10/02 01:23 :Android :LOoeYdJY
#889 [ちか]
とは言え、大した用事でもないか。
もしかしたら教室で待ってるかも知れないと思い、着替えたあと、そっちを覗いたが冥の姿は無かった。
「やっぱ帰ったか?」
なんだか良くない予感が頭を過ったが、気のせいだろうとそのまま玄関口まで降りた。
外は大雨だ。
「傘、ねえよ。」
こんな時に隣に冥が居れば、
嫌いな雨も好きになれるのに。
なんて、
思ってる俺は欲が出すぎてるのだろうか。
虚無感に思わず失笑した時、
携帯のバイブが鳴った。
「もしもし?」
『あ、蓮見ー?』
電話の主は同じクラスの武内だった。
冥と仲が良いから自然と俺も仲良くなった、そんな流れの付き合いだ。
電話なんてよっぽど用がない限りしない。
:11/10/02 01:35 :Android :LOoeYdJY
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