漆黒の夜に君と。U[BL]
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#884 [ちか]
「まじかよー…」
俺はその場にへたりこんだ。
恭弥との約束が。
もうきっと6時を回っている。
「どうしたらいいんだよ…」
そう呟いて俺は項垂れるしかなかった。
:11/10/01 23:05 :Android :g.cKTL3o
#885 [ちか]
― 透side.―
「いやー、雨降るとか聞いてねえよなー!」
そう話しかけてきたのは、同じサッカー部の同期だった。
「そうだなー」
「うわ、パンツまでびっしょびしょだし。」
「うんー」
ちょうど部活もラストスパートのとき、急に降りだした雨のせいで早めに部活が終わった俺たちは更衣室で着替えたり、くだらない話をしていた。
「お前、今日集中力無さすぎだろー」
「ん、ごめん」
確かにそうだ。
冥の大事な用事とやらが気になって、気が気じゃなかった。
:11/10/02 00:48 :Android :LOoeYdJY
#886 [ちか]
「いや、いんじゃね?お前にしては珍しいっつーか。」
そんな風に言いながらそいつは鼻歌混じりに着替えをロッカーから探していた。
珍しい、か。
珍しくなんかないんだけどな。
俺はいつだって冥(アイツ)のこととなると、いっぱいいっぱいになる。
:11/10/02 01:10 :Android :LOoeYdJY
#887 [ちか]
「普段完璧なお前がぼーっとしてんの見るとさ、なんかホッとするし!」
「なんだよ、それー。誉め言葉?」
誉め言葉、誉め言葉、と言いながら漸く着替えを見つけたようだ。
普段完璧とは、俺も外面が良くなったもんだな。
なんて他人事のように解釈しながら、濡れた髪をタオルで雑に拭く。
「 ? 」
とその時、鞄からタオルを取った拍子に、その下にあった携帯が点滅していることに気づいた。
:11/10/02 01:16 :Android :LOoeYdJY
#888 [ちか]
着信?
誰からだろうか。
そう思い、おもむろに不在着信の画面を表示する。
「冥?」
そこに表示されていたのは
冥の名前だった。
用事が無くなったのか?
一緒に帰る連絡かなにかだと思い、そのままリダイアルを押す。
しかし何回か呼び出しのコールがなったあとその電話に出たのは、
『お掛けになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…』
と、機械的な女の声だった。
:11/10/02 01:23 :Android :LOoeYdJY
#889 [ちか]
とは言え、大した用事でもないか。
もしかしたら教室で待ってるかも知れないと思い、着替えたあと、そっちを覗いたが冥の姿は無かった。
「やっぱ帰ったか?」
なんだか良くない予感が頭を過ったが、気のせいだろうとそのまま玄関口まで降りた。
外は大雨だ。
「傘、ねえよ。」
こんな時に隣に冥が居れば、
嫌いな雨も好きになれるのに。
なんて、
思ってる俺は欲が出すぎてるのだろうか。
虚無感に思わず失笑した時、
携帯のバイブが鳴った。
「もしもし?」
『あ、蓮見ー?』
電話の主は同じクラスの武内だった。
冥と仲が良いから自然と俺も仲良くなった、そんな流れの付き合いだ。
電話なんてよっぽど用がない限りしない。
:11/10/02 01:35 :Android :LOoeYdJY
#890 [ちか]
「なに、どうしたー?」
当たり障りなく返事を返す。
その際に聞こえてくる騒がしさからゲーセンかカラオケに居ることは察しがついた。
自ずと聞こえやすくなるように、大きめの声量で話す。
向こうも素直に聞き取れたようで、スムーズな会話が期待できた。
その時。
『いやー、なんかさっき日下から電話あったんだけどさ、急に切れちゃって。かけ直したけど出ねーし。』
ああ、
武内にもかけてたのか。
そんな小さな嫉妬は心の隅に追いやって口や顔には出さない。
俺は至って冷静に相槌を打った。
:11/10/02 01:42 :Android :LOoeYdJY
#891 [ちか]
『でさ、なんか学校、学校言っててな、なんかすげー焦ってたみたいだから、蓮見ならなんか分かるかなーって。』
学校?
焦ってる?
嫌な予感がしなくもない。
まさか。
俺は咄嗟に下駄箱に戻った。
冥の靴は……
まだある。
:11/10/02 01:47 :Android :LOoeYdJY
#892 [ちか]
『ってあれ?蓮見?聞いてる?』
受話器の向こう側からそんな声がして咄嗟に言葉を返す。
「あ、聞いてる聞いてる。冥まだ学校みたいだから探すわ。連絡さんきゅ。」
そう言って一方的に通話を切った。
もう既に冷静を保ててはいない。
:11/10/02 01:50 :Android :LOoeYdJY
#893 [ちか]
「どこ行ったんだよ、あのバカ…っ」
焦ってる。
その言葉が妙に引っ掛かる。
校舎内に居るのは確かだ。
教室には居なかった。
この雨じゃ中庭や屋上でもないはず。
そしたらアイツの居そうな場所は……、
「………備品室…っ」
そう呟いたと同時に、
俺の足は既に走り出していた。
:11/10/02 01:56 :Android :LOoeYdJY
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