漆黒の夜に君と。U[BL]
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#887 [ちか]
「普段完璧なお前がぼーっとしてんの見るとさ、なんかホッとするし!」

「なんだよ、それー。誉め言葉?」

誉め言葉、誉め言葉、と言いながら漸く着替えを見つけたようだ。

普段完璧とは、俺も外面が良くなったもんだな。
なんて他人事のように解釈しながら、濡れた髪をタオルで雑に拭く。

「 ? 」

とその時、鞄からタオルを取った拍子に、その下にあった携帯が点滅していることに気づいた。

⏰:11/10/02 01:16 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#888 [ちか]
着信?

誰からだろうか。

そう思い、おもむろに不在着信の画面を表示する。


「冥?」

そこに表示されていたのは
冥の名前だった。

用事が無くなったのか?
一緒に帰る連絡かなにかだと思い、そのままリダイアルを押す。

しかし何回か呼び出しのコールがなったあとその電話に出たのは、

『お掛けになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…』

と、機械的な女の声だった。

⏰:11/10/02 01:23 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#889 [ちか]
とは言え、大した用事でもないか。

もしかしたら教室で待ってるかも知れないと思い、着替えたあと、そっちを覗いたが冥の姿は無かった。


「やっぱ帰ったか?」

なんだか良くない予感が頭を過ったが、気のせいだろうとそのまま玄関口まで降りた。

外は大雨だ。

「傘、ねえよ。」

こんな時に隣に冥が居れば、
嫌いな雨も好きになれるのに。

なんて、
思ってる俺は欲が出すぎてるのだろうか。

虚無感に思わず失笑した時、
携帯のバイブが鳴った。

「もしもし?」

『あ、蓮見ー?』

電話の主は同じクラスの武内だった。
冥と仲が良いから自然と俺も仲良くなった、そんな流れの付き合いだ。

電話なんてよっぽど用がない限りしない。

⏰:11/10/02 01:35 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#890 [ちか]
「なに、どうしたー?」

当たり障りなく返事を返す。
その際に聞こえてくる騒がしさからゲーセンかカラオケに居ることは察しがついた。

自ずと聞こえやすくなるように、大きめの声量で話す。

向こうも素直に聞き取れたようで、スムーズな会話が期待できた。
その時。

『いやー、なんかさっき日下から電話あったんだけどさ、急に切れちゃって。かけ直したけど出ねーし。』

ああ、
武内にもかけてたのか。

そんな小さな嫉妬は心の隅に追いやって口や顔には出さない。

俺は至って冷静に相槌を打った。

⏰:11/10/02 01:42 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#891 [ちか]
『でさ、なんか学校、学校言っててな、なんかすげー焦ってたみたいだから、蓮見ならなんか分かるかなーって。』

学校?
焦ってる?

嫌な予感がしなくもない。


まさか。

俺は咄嗟に下駄箱に戻った。

冥の靴は……




まだある。

⏰:11/10/02 01:47 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#892 [ちか]
『ってあれ?蓮見?聞いてる?』


受話器の向こう側からそんな声がして咄嗟に言葉を返す。

「あ、聞いてる聞いてる。冥まだ学校みたいだから探すわ。連絡さんきゅ。」

そう言って一方的に通話を切った。


もう既に冷静を保ててはいない。

⏰:11/10/02 01:50 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#893 [ちか]
「どこ行ったんだよ、あのバカ…っ」


焦ってる。
その言葉が妙に引っ掛かる。

校舎内に居るのは確かだ。
教室には居なかった。

この雨じゃ中庭や屋上でもないはず。
そしたらアイツの居そうな場所は……、

「………備品室…っ」


そう呟いたと同時に、
俺の足は既に走り出していた。

⏰:11/10/02 01:56 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#894 [華子]
1から一気に読みました´ω`
面白いお話をありがとう
どうか2人が別れませんように

⏰:11/10/02 13:05 📱:SH08B 🆔:yVZPv3.k


#895 [ちか]
>>894 華子さま.

わりと長いシリーズなんですが
一気に読んでもらえて嬉しいです(*^^*)
こちらこそありがとうございます!
これから更新するので続きをお楽しみに♪
感想板もあるので遊びに来てくださいねっ

⏰:11/10/02 15:51 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#896 [ちか]
>>893

はぁっはぁっ…

「無駄に広いっつーの、この校舎…っ」

一気に階段をかけあがり、別館の最奥にある備品室に着く頃には既に息が上がっていた。

人気もなく、薄気味悪い。


「冥ー!!」

余っている体力から絞りように声を張り上げた。

すると、
「透?!」

紛れもない冥の声が耳を掠めた。

俺は備品室の戸を雑に叩く。

⏰:11/10/02 15:56 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


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