漆黒の夜に君と。U[BL]
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#903 [ちか]
そのまま走り去った冥の姿が見えなくなったのを確認して、俺は壁を背にそのまま座り込んだ。


倒した拍子で散らばったガラスに
軽く腕を切ったことに気づいた。

触れてみて
いてっ、とつい口から溢れた。

そしてふいに呆れたような笑みが出る。


「…俺のお人好し。」

―――――…………
―――…………
――………

⏰:11/10/02 20:46 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#904 [ちか]
― 恭弥side.―

時計を見る。

とうに約束の時間は過ぎ、7時を回っていた。


苦笑に近い笑いが出る。

降りだした雨が容赦なく体を打ちつけ、自分の愚かさがさらに浮き彫りになったような気分になる。


「バカみたいだ…」

⏰:11/10/02 20:52 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#905 [ちか]
突き放しておきながら、

結局何かに期待していた。


期待していたのは自分だけだったと、
思い知らされた。

一時間前から来て、
約束の時間が来て、
雨が降ってもその場から動く気はしなかった。

正しくは、
傘でも買っているうちに来たらすれ違ってしまうと思うと、動けなかった。

⏰:11/10/02 20:55 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#906 [ちか]
「自業自得かな。」


虚しさが増すだけと分かってはいるが、言葉にすると漸く重い足を動かすことが出来た。


もう冥にそんな気はないんだ。

今さら、なんだ。
僕が自分で決めたこと。

⏰:11/10/02 20:59 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#907 [ちか]
すっかり濡れて重たくなった制服が虚しさを煽り、家に帰ることは憚られた。


自ずと足は自宅と逆の方向に歩き始める。



霞む視界には人混みとネオンの光。

そこに冥の姿はやはり無かった。

⏰:11/10/02 21:05 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#908 [ちか]
― 冥side.―


はぁ…はぁっ……

全速力で走って、
漸く約束の場所に着いた。


が、すでに時計は7時を少し回ったところだった。

「くそっ……」


恭弥の姿は無い。

雨に濡れた髪が鬱陶しいほどまとわりつく。

まるで、自分の気持ちにまさ絡み付くように。



終わっちゃうのかな、俺たち。

⏰:11/10/02 21:09 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#909 [ちか]
「俺のバカっ…」

思わず溢れそうになる涙を必死に止めた。

そんな資格、俺には無い。

それでも、そこから離れたらすべてが終わってしまいそうで、


俺はなかなか動けずに居た。

浅ましい期待が動くことから遠ざけていた。

⏰:11/10/02 21:17 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#910 [ちか]
どれくらいそうしていただろうか。


すっかり雨は体を冷たくしていた。

っくしゅん、
と、くしゃみをして、
冬の雨はこんなに寒かったのかと今さらのように気づく。

虚しくて、

締め付けられるように悲しい。

⏰:11/10/02 21:19 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#911 [ちか]
深くため息をついた時、
ふいに携帯が鳴った。

おもむろに通話ボタンを押す。


「もしもし?」

『あ!!もしもし、冥ちゃん?!』

「めぐさん…?」


慌てたような声が受話器から届く。

なんでこんな時にめぐさんから?

不思議に思い、その声を聞く。

⏰:11/10/02 21:22 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#912 [ちか]
『いや、なんか、今凌の家おるんやけどな、』

間間に、いや、とか、あの、とか、繋げ言葉が混ざる。
せっかちなめぐさんらしい。

おかしくなって、少しだけ笑うことが出来た。
でもなんで凌さんの家に?

疑問を抱きつつ、受話器に耳を傾ける。
そして次の一言で俺の心臓はドクンと跳ねた。


『そしたら、急にキョンが来て…、』

⏰:11/10/02 21:26 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


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