漆黒の夜に君と。U[BL]
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#920 [ちか]
「なんかこの雨の中傘も持ってないみたいでびっしょびしょやし、熱も酷くてなー、倒れるみたいに家入ってきて、」


恭弥はそこまでして何をしていたのだろうか。
待っていてくれたんじゃないか。
傘もささずにずっと…

なんて淡い期待が湧く。

でも、そんなわけ…

「そんで、どうしたん、どっから来たんって聞いたら、冥と約束がなんちゃらって、学校、ファミレス、って単語だけ喋ってそんままぶっ倒れんねんもん。
で、とりあえずベッドに寝かして、冥ちゃん探しに来てん。」


最後まで聞き終わる頃には心臓の締め付けがさらに強くなっていた。

本当に来てくれてたんだ…

何か熱いものがじんわり滲んでくるような感覚になった。

⏰:11/10/02 23:30 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#921 [ちか]
「やっぱ俺の勘は正しかったな!」


満足げに笑うめぐさんに容赦なく凌さんの鉄拳が入る。

「たまたまだろ、調子乗るな。」

ふくれためぐさんが凌さんに食って掛かる様子を見ながら、内心二人に感謝していた。

恭弥ごめん。

そう心の中で何度も呟いて。

⏰:11/10/02 23:35 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#922 [ちか]
心なしか車に乗っている時間が長く感じた。

焦りが時間の感覚さえ引き伸ばしている。
実際はそんなに距離もないはずなのに。


漸く着いた凌さんの家に上がり、
部屋に通される。

そこにはこんなにも会いたかった愛しい人。

⏰:11/10/02 23:44 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#923 [ちか]
「タオル。拭きなよ。」

「あ、どうも…」

凌さんに渡されたタオルで全体を軽く拭くと、俺はベッドの傍に駆け寄った。

バタン、という音がして二人が気を利かせてくれたのだと知る。

寝顔を見ながらおでこに手を当てる。
たしかにすごい熱。


「ごめん…」

こぼれるような呟きが漏れる。

⏰:11/10/02 23:49 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#924 [ちか]
「俺のせいで…」

声が揺れる。

感情に容量があるなら、もう決壊は近い。

「でも、俺…恭弥が居ないとやっぱり…」

恭弥が居ないこの期間、
世界がモノクロになったみたいだった。

⏰:11/10/02 23:55 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#925 [ちか]
「恭弥じゃないとダメなんだよ…」

溢れる言葉と共に涙が流れた。

もうダメかも知れない。
何を言ったって、恭弥の気持ちは変わらないかも知れない。

だけど、
それでも好きなんだ。


眠っている恭弥を見ながら、次から次へ言葉が溢れた。

⏰:11/10/03 00:03 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#926 [ちか]
「たしかに強引だし、独占欲強いし、わがままだけど…」

そんな恭弥に俺は
いつの間にか惹かれてて。

「それでも俺、」

そんな恭弥が愛しくて、

「俺…、」

もうずっとあんたしか、

「恭弥のこと…」

見えなくて

⏰:11/10/03 00:09 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#927 [ちか]
好き、


そう言いかける前に
唇が塞がれた。


一瞬のことに驚いて、
また涙が一筋頬を伝う。

目の前には
困ったように、でも優しく微笑む恭弥。

「ごめん、最後まで聞きたかったけど可愛かったから、つい。」

⏰:11/10/03 00:15 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#928 [ちか]
っな、

「なんで?!寝てたんじゃ…っ、///」

俺の動揺に、
恭弥はさらに不味そうな顔をした。

「や、起きてた。」

ごめん、と付け足されると、もはや攻める気にもならない。

焦りと恥ずかしさから言葉な出ずに口がパクパクと意味無く動く。

「でも、安心した。」

そう言って笑う恭弥の顔を見たのはいつぶりだろうか。

⏰:11/10/03 00:20 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#929 [ちか]
「冥のこと誰にもやりたくなくて、でもそしたら冥を幸せに出来ないと思った。だったらいっそ、僕と離れた方が冥のためなんじゃないかって思ってた。」


恭弥がそんなこと考えてたなんて。

胸の奥がじんわりと暖かくなった。

嬉しさにまた涙が出る。


「冥ってこんな泣き虫だっけ」

クスッと笑う恭弥が少し憎らしい。

「泣き虫にさせてんのは誰だと思ってんだよ、バカ」

⏰:11/10/03 00:25 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


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