漆黒の夜に君と。U[BL]
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#123 [ちか]
「恭が、あんな風に笑うなんて想像も出来なかった。
あんなに誰かを愛しそうな目で見るのも…
君のおかげで恭は変わったんだと思う。」


凌さんはそう呟いて碧眼に星を映してた。


俺は、恭弥の俺にしか見せない一面があることを喜んだけど、そのすぐ後にめぐさんの言葉を思い出した。

⏰:09/05/13 22:08 📱:P906i 🆔:twm7d2MU


#124 [ちか]
『アイツに誰かを好きになる日が来ること自体、信じられへんかってん。』



二人の言葉は確かに似ていた。

それを言う時の表情(カオ)も。



まるで恭弥の何かを知っているかのようだ。

⏰:09/05/13 22:13 📱:P906i 🆔:twm7d2MU


#125 [ちか]
「恭は俺の恩人なんだ。」


真っ暗な空にその声はよく響いた。


思わず「恩人?」と聞き返す俺。
凌さんはそれにコクンと頷いて話し出した。



「俺子供の頃喋れなかったんだ。」

⏰:09/05/15 20:40 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#126 [ちか]
そんな言葉が耳に届き、俺は咄嗟に落としていた目線を凌さんに向けた。


「俺さぁ、子供の頃、親に結構酷い虐待受けてて捨てられたんだ。
で、施設に入れられて出会ったのが今の両親。」

そう話す凌さんの横顔が心なしか悲しげに見えた。


「でもその時にはもう喋れなくなってた。
今思えば心の病ってやつだったのかもな。
でも、今俺はこうやって普通喋れてる。」

⏰:09/05/15 20:57 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#127 [ちか]
「そのキッカケが恭弥‥ってことですか?」

そう聞くと凌さんはまた静かに頷いた。


「あの時恭が居なかったら今の俺は絶対居ない。
だから俺にとって恭は昔っから特別。」


凌さんの言う『特別』には確かに特別な何かが籠っていた。


俺はそれの嫉妬に似たものを感じた。

⏰:09/05/15 21:24 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#128 [ちか]
「でも今の恭はあの頃と…」

「はい?」


凌さんの細い声は聞き取りづらかった。


「…いや、なんでもない。」


聞き返すと凌さんがそう言ったから俺はその話をあっさりと流した。

⏰:09/05/16 18:08 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#129 [ちか]
どうして俺はこの時




その言葉の続きを、

凌さんの表情の変化を、




気づけなかったんだろう

⏰:09/05/16 18:09 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#130 [ちか]
「まぁ、とにかく恭は俺にとって一番大切な人なんだ。
『その大切な人の大切な人』は俺も大切にしたい。
だから俺、君のことも好きだよ。」


凌さんにとって恭はそれほど大切で大好きで守りたいものなんだ‥―――

ぼんやりとそんな事が頭の中で滲んだ。


しかしこう美人な人に意味は違えど『好き』って言われるとさすがに照れ‥‥、


「…――っ?!?!?/////」

⏰:09/05/16 18:21 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#131 [ちか]
一瞬自分に何が起こっているのか解らなかった。


解るのは頬に感じる確かな柔らかい温もりと、

その原因が凌さんであると言うことだけ…



俺の思考はそこで完全にストップした。

⏰:09/05/16 19:27 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#132 [ちか]
「じゃ、俺そろそろ寝るわ。ばいばい。」


そう言い残して凌さんは去っていった。

星空の下に俺を残して。


暫くして漸く状況を把握した俺。





「キ‥‥キスされた‥。」


その声は漆黒の空に溶けた。

⏰:09/05/16 20:21 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


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