漆黒の夜に君と。U[BL]
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#127 [ちか]
「そのキッカケが恭弥‥ってことですか?」

そう聞くと凌さんはまた静かに頷いた。


「あの時恭が居なかったら今の俺は絶対居ない。
だから俺にとって恭は昔っから特別。」


凌さんの言う『特別』には確かに特別な何かが籠っていた。


俺はそれの嫉妬に似たものを感じた。

⏰:09/05/15 21:24 📱:P906i 🆔:6NNgoRVc


#128 [ちか]
「でも今の恭はあの頃と…」

「はい?」


凌さんの細い声は聞き取りづらかった。


「…いや、なんでもない。」


聞き返すと凌さんがそう言ったから俺はその話をあっさりと流した。

⏰:09/05/16 18:08 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#129 [ちか]
どうして俺はこの時




その言葉の続きを、

凌さんの表情の変化を、




気づけなかったんだろう

⏰:09/05/16 18:09 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#130 [ちか]
「まぁ、とにかく恭は俺にとって一番大切な人なんだ。
『その大切な人の大切な人』は俺も大切にしたい。
だから俺、君のことも好きだよ。」


凌さんにとって恭はそれほど大切で大好きで守りたいものなんだ‥―――

ぼんやりとそんな事が頭の中で滲んだ。


しかしこう美人な人に意味は違えど『好き』って言われるとさすがに照れ‥‥、


「…――っ?!?!?/////」

⏰:09/05/16 18:21 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#131 [ちか]
一瞬自分に何が起こっているのか解らなかった。


解るのは頬に感じる確かな柔らかい温もりと、

その原因が凌さんであると言うことだけ…



俺の思考はそこで完全にストップした。

⏰:09/05/16 19:27 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#132 [ちか]
「じゃ、俺そろそろ寝るわ。ばいばい。」


そう言い残して凌さんは去っていった。

星空の下に俺を残して。


暫くして漸く状況を把握した俺。





「キ‥‥キスされた‥。」


その声は漆黒の空に溶けた。

⏰:09/05/16 20:21 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#133 [ちか]
― 恭弥side.―


めぐがココを出ていったのを追いかけて引き留めるワケでもなく、僕はあの後まず元の部屋に戻った。


が、すでに冥の姿も凌の姿もそこには無く、メイド達が食べ終えた食器類を片付けている最中だった。


そして今僕は部屋で冥の帰りを待っている。

⏰:09/05/16 23:05 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#134 [ちか]
部屋数は相当なもので、一人一部屋にすることも出来たけどそうはしなかった。
(だって旅行だし。)


ソファに腰かけてドアを見ていると、暫くしてドアノブがぐるりと回った。


「おかえり。」


そんな出迎えの声に冥は肩をビクンと震わせた。

あからさまな動揺。

⏰:09/05/16 23:08 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#135 [ちか]
じっと見てみると、何故か片手でずっと右頬に触れているのに気づいた。

何か気にしているような素振り。


「どこ行ってたの?」


これから尋問TIMEになりそうだ。

⏰:09/05/16 23:18 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


#136 [ちか]
「え‥っと、ちょっと外に…」

視点の定まらないまま泳ぐ瞳が可愛いくてたまらない。

「‥ふぅん。凌は夕食の後どこに行ったの?」


僕はこの時、冥の肩が微かに揺れたのを見逃さなかった。


凌と何かあったんだ、と言うのが分かると僕はニヤリと口角を上げた。

⏰:09/05/16 23:22 📱:P906i 🆔:VYdIZ03.


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