漆黒の夜に君と｡Ⅱ[BL]

｢なに、その態度。
見るくらい良いじゃん。｣

透はそう言って口を尖らした。
と、思うとタイミングを見計らってまたその長い手を伸ばそうとする。

すかさずその手をはらう俺

｢なんでもないんだって!!
あ、そうだ文化祭の時の写真もらったけど見る?!｣

そう言って、友達からもらった写真を出そうとした時

｢見たくない。｣

ものすっごく機嫌の悪い声を出す透。

文化祭の“あの件”の後から、文化祭の話をするとずっとこうなんだ。

あんな格好させなきゃ良かった、とか
あんなゲーム(鬼ごっこ)くだらない、とか。

なんでそんな怒ってるのか知らないけど…

あ、恭弥のあの発言はどうなるかと思ったけど、結局あの後《生徒会長なりのユーモア》《盛り上げるため(?)》《ブラックジョーク》と言う形で片付けられた

俺達の関係はバレなかったってわけ。

まぁ、そんな話は置いといて。

再び透の手に目を戻す。

｢…あ、担任に呼ばれてるんだった。｣

透は不機嫌さが残る声でふいに呟いた。

｢ごめん、ちょっと行ってくる。｣

俺はそう言って教室を出ていったそれを見送ると、
｢はぁ～｣
と大きくため息をついた。

そして左手から再び薄っぺらい紙の集まりを机に戻す。

｢短期間にもっと稼げるﾄｺ無いかなあ～…｣

そう呟いてまた一枚めくるのは、駅や街の至るところにあるなんの変哲もないバイト情報雑誌。

普通の高校生なら、それ片手にあれやこれや悩むのなんて良くある光景。

そう、
“普通”の高校生なら。

だけど、俺は

｢まぁ、とにかくアイツらだけには、バレないようにしないとな…｣

残念ながら普通という世界から一歩踏み出してしまった高校生だったりする。

え？

なんでそんな俺がバイトなんか探してるかって？

そんなの……
今月が恭弥(ｱｲﾂ)の誕生日だからに決まってるだろ…///

プレゼントの一つぐらいやるべきだろ？

今の俺はアイツの家に世話になってるし、プレゼントくらい自分の稼いだ金で買いたいし！

つーわけで只今バイト探しに奮闘中なわけです。

でもこれは絶対秘密。

だって透にバレたら
絶対ついてくるもん。

｢お前だけじゃ心配だから｣

とか言ってさ。

いつまで経ってもガキ扱いの保護者気取りなんだよって感じだよな…

そんでもって質問攻めされて俺と恭弥の関係がバレる‥‥

リアルすぎて笑えない･･