漆黒の夜に君と。U[BL]
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#602 [ちか]
>>599続き.
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― 凌 side.―
この前の一件を説明し終わったころには、アイツの血色のよかった顔色もすっかり青くなっていた。
動揺を隠しきれない声で叫ばれると、頭痛はさらに酷くなりそうだった。
「なんで冥ちゃんやねん…」
その言葉が頭の中で何度も何度も響く。
「あの子だから、だよ。」
:10/05/28 17:41 :P906i :r2c5aQB2
#603 [ちか]
「もう、あの時みたいな恭弥もアイツ意外の犠牲者も俺は見たくない‥‥」
「凌‥‥――」
脳裏に浮かぶのは少し古ぼけた、しかし意識のはっきりしたあの頃の記憶。
きっとコイツも同じことを思い出したはずだ。
「あの子、道端に倒れこんでたんだ。どれだけ泣いたのか知らないけど目も真っ赤でくっきり涙の痕がついてた。
うちに運んで寝かせてたら、寝言で恭弥の名前ばっかり呼ぶし。」
熱のせいか言わなくて良いことまでつい口走ってしまう。
:10/05/28 17:54 :P906i :r2c5aQB2
#604 [ちか]
「本人はちょっと喧嘩したって言ったけど、ちょっとじゃないだろ。
俺は自分のしたことが間違ってたなんて思ってない。
端から襲う気も無いし。
ああでもしなきゃ、恭弥はあの子をもっと傷つけてた。
恭弥の気持ちはっきりさせてやりたかったんだよ。」
言い終わって、漸く自分の饒舌さに気づいた。
馬鹿だ。
何もこんなことまで言わなくたって良かったのに。
言ったところで‥‥――。
:10/05/28 18:00 :P906i :r2c5aQB2
#605 [ちか]
「お前はアホか!!!!」
ほら。
余計にコイツの神経逆撫でするだけ‥‥、
「お前ばっかり悪者(ワルモン)なる必要無いやろ!!!」
は?
:10/05/28 18:04 :P906i :r2c5aQB2
#606 [ちか]
「なんで最初からそうやって説明せんかってん?!
誤解するとこやったやろ!!」
なんだ。
なんでコイツ涙目なってんの。
わけわかんね…
予想外のめぐるの言葉に驚いて目をキョロキョロさせていると、奴は俺の頭に手を置いた。
「一人で罪被ろうとすんなよなぁ。独りちゃうねんからさ。」
それは少し呆れたような笑みと口調だった。
:10/05/28 18:09 :P906i :r2c5aQB2
#607 [ちか]
悔しかった。
いつからこんなこと
出来るようになったんだ、コイツ。
いつからこの手が心地良くなったんだ、俺…
「…………ありがとう。」
素直に言えた自分が、少しおかしかった。
:10/05/28 23:07 :P906i :r2c5aQB2
#608 [ちか]
「おし!昼飯作ったるからそこで寝とき!」
そう言ってめぐるは急に腰をあげた。
「え、ちょ…!!ゴホッ
お前料理なんか出来…、ゴホゴホッ」
大きな声を出すとすぐに咳払いしてしまう。
わりと風邪は重症らしい。
「出来るわそれくらい!
お前は大人しく寝てたらええねん!!」
母親のようなその叱り口調に不安を覚えながらも、相当身体は疲れきっていたからその言葉に甘えることにした。
:10/05/28 23:20 :P906i :r2c5aQB2
#609 [ちか]
― めぐる side.―
凌がぐっすり眠ったのを確認して、ため息をついた。
「無理ばっかするから、体壊すんやろ…。
恭弥と喧嘩って慣れへんことするから、………、」
そこで口は止まった。
単なる喧嘩とはちょっと違うと思ったから。
「‥‥‥大切やから、か。」
零れた単語と凌を見合せて、いつからそんな強くなったんやろって少し羨ましくなった。
:10/05/29 10:33 :P906i :.rkY4LLw
#610 [ちか]
キッチンでお粥を作りながら、辺りを見回す。
高層マンションなだけに景色のいいその部屋は殺風景にもほどがあった。
必要最低限の物しか置いていない、そんな感じや。
なんとか飯が出来たところで、不本意ながらも凌を揺する。
寝ぼけたままのソイツに向けて大袈裟にお粥を突き出してみせた。
:10/05/30 00:43 :P906i :99cLzqjg
#611 [ちか]
「………………うま。」
一口食べてからそんな言葉が聞こえた。
お互いそんな言葉が出るなんて思ってなかったから、間抜けな顔を合わせるハメになった。
「…あ、当たり前やろ!
俺様が作ったんやから美味いに決まってるやろ!!」
慌てていつもの調子に戻してみせた。
今日のコイツと居ると、さっきから調子狂わされっぱなしや。
:10/05/30 16:54 :P906i :99cLzqjg
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