漆黒の夜に君と。U[BL]
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#619 [ちか]
「そんなの後で良いだろ。」
まだ声は熱っぽさが残っている。
俺はそんな凌を見下ろしながら、片手で食器の乗ったお盆を持ち上げた。
「あほか。料理は片付けまでちゃんとしてこそ、料理って言うんや…「行かなくていいって言ってんの。」
あれ?
なんやコイツ。
:10/08/15 00:56 :P906i :clmDe0Hc
#620 [ちか]
伏し目がちで、凌は目も合わせようとせーへん。
ただ強く手首を掴むだけやった。
観念した俺は再びさっきまで座っていた椅子に腰をおろす。
「はいはい、分かりました分かりました。今日は最後までワガママに付き合ったるわ〜。」
そう言っても凌はその手を離そうとはしなかった。
:10/08/15 01:01 :P906i :clmDe0Hc
#621 [ちか]
暫くして眠りに落ちた凌を眺めながら俺は考えた。
なんで俺は嫌いやったはずのコイツにここまでするんやろう。
この手が嫌じゃないんやろう。
…って。
:10/08/15 01:03 :P906i :clmDe0Hc
#622 [ちか]
自然と心臓は脈を上げた。
顔だけじゃなく、全身が赤くなっていくようやった。
「好き…やから?」
そう気づいてしまったから
:10/08/15 01:06 :P906i :clmDe0Hc
#623 [ちか]
思わず口に手を当てた。
「き、聞こえてへんよな…。はは」
半ば自分に言い聞かせるような形でそう呟く。
俺が凌を“好き”
まさか…と思ったけど、あまりにも自分の行動との辻褄が合いすぎて認めざるをえなかった。
:10/08/15 01:41 :P906i :clmDe0Hc
#624 [ちか]
今までは、適当にそこらへんの女と心の無い関係ばかりしてきた。
交わって、
また別の奴と交わって。
その次の日にはまた別の奴と。
そうやって、手頃な相手を見つけては寂しさを紛らわして満足していた。
せやけど、最近それも意味を持たなくなった。
:10/08/15 01:46 :P906i :clmDe0Hc
#625 [ちか]
いくら交わっても、
いくら気持ち良くても、
満たされることがなかった
誰か、別の奴が頭から離れなくて、ただ虚しさしか残らなかった。
その“別の奴”こそが
凌(コイツ)なんや。
:10/08/15 01:48 :P906i :clmDe0Hc
#626 [ちか]
今日コイツに会って、
漸くこの気持ちに確信した
出来れば気づきたくなかったけどな…
「叶わへんもんなぁ。」
溜め息混じりに呟いた。
凌が好きなのは今も昔も恭やから。
:10/08/15 01:54 :P906i :clmDe0Hc
#627 [ちか]
特別な存在。
恭にしか見せへん顔。
俺にはしない表情。
声、態度、笑顔…
解ってるからこそ苦しくて
:10/08/15 01:57 :P906i :clmDe0Hc
#628 [ちか]
「俺の気持ちも知らんと、ようこんなん出来るわ…」
そう言って目線を繋がれた手に落とした。
確かな温もりを感じるその白くて細い手や指。
「残酷やわぁ。ははは…」
寂しい独り言は部屋の中で静かに消えるだけだった。
:10/08/15 02:00 :P906i :clmDe0Hc
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