漆黒の夜に君と。U[BL]
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#624 [ちか]
今までは、適当にそこらへんの女と心の無い関係ばかりしてきた。

交わって、
また別の奴と交わって。
その次の日にはまた別の奴と。


そうやって、手頃な相手を見つけては寂しさを紛らわして満足していた。


せやけど、最近それも意味を持たなくなった。

⏰:10/08/15 01:46 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#625 [ちか]
いくら交わっても、
いくら気持ち良くても、
満たされることがなかった

誰か、別の奴が頭から離れなくて、ただ虚しさしか残らなかった。



その“別の奴”こそが
凌(コイツ)なんや。

⏰:10/08/15 01:48 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#626 [ちか]
今日コイツに会って、
漸くこの気持ちに確信した

出来れば気づきたくなかったけどな…


「叶わへんもんなぁ。」


溜め息混じりに呟いた。

凌が好きなのは今も昔も恭やから。

⏰:10/08/15 01:54 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#627 [ちか]
特別な存在。


恭にしか見せへん顔。


俺にはしない表情。

声、態度、笑顔…


解ってるからこそ苦しくて

⏰:10/08/15 01:57 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#628 [ちか]
「俺の気持ちも知らんと、ようこんなん出来るわ…」


そう言って目線を繋がれた手に落とした。
確かな温もりを感じるその白くて細い手や指。

「残酷やわぁ。ははは…」


寂しい独り言は部屋の中で静かに消えるだけだった。

⏰:10/08/15 02:00 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#629 [ちか]
「ん‥‥―――」


時々苦しそうな声で唸る凌を見ていて、居たたまれなくなった俺はゆっくりとその手をほどき、風邪薬を探した。


ただでさえ殺風景な部屋。
薬を見つけるのに、そう時間はかからなかった。

⏰:10/08/15 02:04 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#630 [ちか]
おでこに手を当ててみると、やっぱり熱い。



「これ飲んで、はよ元気なれよな。」


そう言って、俺は水と薬を口に流し込む。



そして凌にキスをした。

⏰:10/08/15 02:07 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#631 [ちか]
しっかり薬を飲み込んだのを見て、また溜め息をつく。


最初で最後のキス。




そう思うと、切なさで胸は締め付けられた。

⏰:10/08/15 02:10 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#632 [ちか]
― 凌 side.―

グイッ



呆然とするめぐるを見上げながら、それ以上に呆然とする俺。


なんで俺、こいつの手掴んでるんだろうか?

⏰:10/08/15 13:07 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#633 [ちか]
理屈じゃない。

衝動的だった。


“行かないで”
ただそれだけ。


しかしさすがにそうは言えず、

「そんなの後で良いだろ。」

適当な言葉で繋ぎ止めようとする。

⏰:10/08/15 13:09 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


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