漆黒の夜に君と。U[BL]
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#625 [ちか]
いくら交わっても、
いくら気持ち良くても、
満たされることがなかった
誰か、別の奴が頭から離れなくて、ただ虚しさしか残らなかった。
その“別の奴”こそが
凌(コイツ)なんや。
:10/08/15 01:48 :P906i :clmDe0Hc
#626 [ちか]
今日コイツに会って、
漸くこの気持ちに確信した
出来れば気づきたくなかったけどな…
「叶わへんもんなぁ。」
溜め息混じりに呟いた。
凌が好きなのは今も昔も恭やから。
:10/08/15 01:54 :P906i :clmDe0Hc
#627 [ちか]
特別な存在。
恭にしか見せへん顔。
俺にはしない表情。
声、態度、笑顔…
解ってるからこそ苦しくて
:10/08/15 01:57 :P906i :clmDe0Hc
#628 [ちか]
「俺の気持ちも知らんと、ようこんなん出来るわ…」
そう言って目線を繋がれた手に落とした。
確かな温もりを感じるその白くて細い手や指。
「残酷やわぁ。ははは…」
寂しい独り言は部屋の中で静かに消えるだけだった。
:10/08/15 02:00 :P906i :clmDe0Hc
#629 [ちか]
「ん‥‥―――」
時々苦しそうな声で唸る凌を見ていて、居たたまれなくなった俺はゆっくりとその手をほどき、風邪薬を探した。
ただでさえ殺風景な部屋。
薬を見つけるのに、そう時間はかからなかった。
:10/08/15 02:04 :P906i :clmDe0Hc
#630 [ちか]
おでこに手を当ててみると、やっぱり熱い。
「これ飲んで、はよ元気なれよな。」
そう言って、俺は水と薬を口に流し込む。
そして凌にキスをした。
:10/08/15 02:07 :P906i :clmDe0Hc
#631 [ちか]
しっかり薬を飲み込んだのを見て、また溜め息をつく。
最初で最後のキス。
そう思うと、切なさで胸は締め付けられた。
:10/08/15 02:10 :P906i :clmDe0Hc
#632 [ちか]
― 凌 side.―
グイッ
呆然とするめぐるを見上げながら、それ以上に呆然とする俺。
なんで俺、こいつの手掴んでるんだろうか?
:10/08/15 13:07 :P906i :clmDe0Hc
#633 [ちか]
理屈じゃない。
衝動的だった。
“行かないで”
ただそれだけ。
しかしさすがにそうは言えず、
「そんなの後で良いだろ。」
適当な言葉で繋ぎ止めようとする。
:10/08/15 13:09 :P906i :clmDe0Hc
#634 [ちか]
でもめぐるはそんな気持ちを察するほど勘が良い奴じゃない。
そんなのは分かってる。
「あほか。料理は片付けまでちゃんとしてこそ、」
ほら、何も気づいてない。
「料理って言うんや…「行かなくていいって言ってんの。」
上手く言えない自分にさえ、苛立って仕方ない。
:10/08/15 13:14 :P906i :clmDe0Hc
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