漆黒の夜に君と。U[BL]
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#628 [ちか]
「俺の気持ちも知らんと、ようこんなん出来るわ…」


そう言って目線を繋がれた手に落とした。
確かな温もりを感じるその白くて細い手や指。

「残酷やわぁ。ははは…」


寂しい独り言は部屋の中で静かに消えるだけだった。

⏰:10/08/15 02:00 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#629 [ちか]
「ん‥‥―――」


時々苦しそうな声で唸る凌を見ていて、居たたまれなくなった俺はゆっくりとその手をほどき、風邪薬を探した。


ただでさえ殺風景な部屋。
薬を見つけるのに、そう時間はかからなかった。

⏰:10/08/15 02:04 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#630 [ちか]
おでこに手を当ててみると、やっぱり熱い。



「これ飲んで、はよ元気なれよな。」


そう言って、俺は水と薬を口に流し込む。



そして凌にキスをした。

⏰:10/08/15 02:07 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#631 [ちか]
しっかり薬を飲み込んだのを見て、また溜め息をつく。


最初で最後のキス。




そう思うと、切なさで胸は締め付けられた。

⏰:10/08/15 02:10 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#632 [ちか]
― 凌 side.―

グイッ



呆然とするめぐるを見上げながら、それ以上に呆然とする俺。


なんで俺、こいつの手掴んでるんだろうか?

⏰:10/08/15 13:07 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#633 [ちか]
理屈じゃない。

衝動的だった。


“行かないで”
ただそれだけ。


しかしさすがにそうは言えず、

「そんなの後で良いだろ。」

適当な言葉で繋ぎ止めようとする。

⏰:10/08/15 13:09 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#634 [ちか]
でもめぐるはそんな気持ちを察するほど勘が良い奴じゃない。

そんなのは分かってる。


「あほか。料理は片付けまでちゃんとしてこそ、」

ほら、何も気づいてない。

「料理って言うんや…「行かなくていいって言ってんの。」

上手く言えない自分にさえ、苛立って仕方ない。

⏰:10/08/15 13:14 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#635 [ちか]
暫く沈黙が続いた後、
めぐるは"観念しました"、といった顔で再び腰をおろした。

「はいはい、分かりました分かりました。今日は最後までワガママ付き合ったるわ〜。」

そう言われても、なぜか手を離す気にはなれなかった。


返事をしようにも何を言って良いか分からず、目を閉じて寝たフリをした。

⏰:10/08/15 20:59 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#636 [ちか]
目を閉じて考えた。




恭弥が言った、




あの言葉を。

⏰:10/08/15 21:49 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


#637 [ちか]
実は"あの事件"の後、
俺と恭弥は会っていた。



その時にあの子を襲うフリをした理由も全部話したし、向こうもそれには気づいていた。

つまり和解してたってわけ。

⏰:10/08/15 21:54 📱:P906i 🆔:clmDe0Hc


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